Pastel*Palettes feat.ゲゲゲの鬼太郎〜BanG Dream!ガールズバンドパーティ!外伝〜   作:キプkeep

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投稿が遅れてしまい、申し訳ございません!
今回は妖怪白うねりが登場します!
この小説はpixivで投稿されたものに加筆修正をしています。


第七話「白うねり」

某日、ゲゲゲの森。

 

富士の樹海の奥地に存在するゲゲゲの森にとある妖怪がいた。

一見すると頭に笠をかぶった人間の子供だが、常に豆腐が乗った皿を持ち歩いている妖怪、豆腐小僧である。

 

「おーい!どこ行ったんだよー!おーい!」

 

豆腐小僧は誰かを探しているのか、大声を出しながら呼びかけていた。

しかし、彼の声に返事をする者はいなかった。

 

「こんなに探してもいないなんて…大変だ!きっと人間界に行ったんだ!早く鬼太郎に知らせないと!」

 

豆腐小僧はそう言って慌てて鬼太郎のもとに向かったのだった。

 

…………………………

 

その頃、花咲川女子学園。

 

彩と千聖の高校時代の母校でもあり、イヴの通う学校であるこの学園ではちょうど生徒たちが帰り支度をしているところだった。

 

「さてと。今日は部活はありませんし、帰りましょうか」

 

帰り支度を終えたイヴがそう言って教室から出ると、一瞬だけ何かが目の前の廊下を横切ると曲がり角を通る。

 

「ん?今のは…?」

「あっ!イヴちゃんだ!おーい!」

 

イヴがそれに気づくと、後ろから誰かが声をかける。

Poppin'Partyのリーダーでギターとボーカル担当の少女、戸山香澄である。

 

「あっ、カスミさん!」

「どうしたの?ボーっとして?」

「実はさっき、変なものが目の前を横切って…」

 

香澄の問いかけにイヴはそう言いながら曲がり角を指さす。

 

「変なもの?」

 

イヴの発言に香澄は不思議に思うと、気になったのか、イヴは何かが通った曲がり角に向かう。

 

「あっ、ちょっと〜!」

 

香澄もイヴに続いて曲がり角を通ると、白くて細長い小さな何かが図工室の隣の準備室に入っていった。

 

「!今何かが!」

「っ!」

 

それに気づいた香澄が驚くと、イヴは準備室に向かうと準備室に入る。

準備室の中は石膏像やキャンバスなど、授業で使われる備品が仕舞われていた。

 

「イヴちゃん何かいるー?」

 

香澄もイヴに続いて準備室に入るとイヴは辺りを見渡す。

すると、すぐ近くのバケツの中からガタッという音が響いた。

 

「!誰ですか!姿を現してください!」

 

咄嗟に箒を持ったイヴが物音の主に向かってそう言い放つと、バケツの中から何かが顔を出す。

それは白い竜のような姿の奇妙な生物だった。

 

「クー」

 

その生物はイヴと香澄を見ると鳴き声をあげる。

 

「な、何これ〜〜!?」

 

それを見た香澄の驚きの声が学校中に響き渡ったのだった。

 

………………………

 

翌日、ライブハウスCiRCLE。

 

ガールズバンドたちの憩いの場であるライブハウスに彩達パスパレの面々がイヴと香澄に呼ばれてやって来ていた。

 

「わぁ〜!何この子〜?」

「かわいいー!」

 

彩と日菜はイヴと香澄が見つけたバケツの中に入った竜のような生物を見て驚きつつも興味を示していた。

竜のような生物は不思議そうに辺りを見回していた。

 

「2人とも。この生き物は一体…?」

「学校の準備室にいました!バケツの中に隠れて出ようとしなかったのでバケツに入れたまま連れてきました!」

 

千聖の問いかけにイヴが笑顔で答えると、麻弥は興味深そうに生き物を見ていた。

 

「しかし…どう見ても竜ッスよね…?これってもしかして妖怪なんじゃ…?」

「その可能性はあるわよね…」

 

香澄に聞こえないように麻弥と千聖はヒソヒソと話し合うと、生き物のお腹から音が鳴る。

 

「クー…」

「あっ、お腹すいたのかな?」

「だったらみんなでこの子のご飯探しに行こうよー!」

「さんせーい!」

 

生き物がお腹をすかせていることを知ると日菜が提案を出し、香澄がそれに賛成する。

 

「それじゃあ、この子に名前つけよ!えっと〜…クーって鳴いてるから…クーちゃん!」

「クー!クー!」

 

彩が生き物に名前をつけると生き物は嬉しそうにはしゃぐと彩に顔を擦り寄せ、彼女に懐いている様子だった。

 

「くすぐったいよ〜」

「喜んでるみたいッスね」

「よーし!クーちゃんのご飯を探しに行こー!」

「おー!」

 

香澄がそう叫ぶと彩と日菜、イヴははしゃぎながらバケツを持って外に出る。

 

「ちょっ、みんな!も〜…」

「待ってくださいッスよ〜!」

 

千聖と麻弥は四人を追いかけて外に出た。

その頃、花咲川女子学園の図工室の準備室に鬼太郎と目玉おやじがいた。

鬼太郎は妖怪アンテナを立てており、妖気を探っていた。

 

「どうじゃ鬼太郎?」

「僅かに妖気を感じますが、残り香みたいなものなのでもうここにはいないようですね…」

「そうか…もしや誰かに外に連れ出された可能性があるのぉ…鬼太郎。妖怪アンテナを立てながら探しに行くぞ」

「はい。父さん」

 

目玉おやじがそう言うと、鬼太郎は窓の外に待機していた一反もめんに飛び乗って飛び去って行った。

 

………………………

 

同じ頃、羽沢珈琲店。

 

羽沢珈琲店では紗夜が千聖のルームメイトでもあり親友でもあるハローハッピーワールド!のドラム担当、松原花音と共にコーヒーを飲みながら話し合っていた。

 

「え?日菜ちゃんが?」

「えぇ…最近様子がおかしくて…普段なら読まないはずのお化けに関する本を読んだりしてるんですよ」

「そうなんだ…そういえば千聖ちゃんもネットでそういうの調べてたな〜…」

「え?日菜先輩たちもですか?」

 

二人の話を聞いていたつぐみが二人に声をかける。

 

「どういうことですか羽沢さん?」

「はい。実はこの前イヴちゃんが図書館で日菜先輩たちと一緒にお化けの本を読んでたのを見かけて…怖いの苦手なはずなのに珍しいなって思って…」

「イヴちゃんが?」

 

つぐみの発言に花音が不思議そうに思うと来客がやって来る。

やってきたのは愛音とMorfonicaのベース担当、広町七深、RAISE_A_SUILENのキーボード担当、パレオこと鳰原令王那だった。

 

「こんにちはー」

「いらっしゃいませ!あっ、愛音ちゃん!それにみんなも!」

「珍しい組み合わせね」

「いや〜、たまたま近くでばったりと会っちゃいましたので〜」

 

紗夜の言葉に七深がそう答えると、パレオが声をかける。

 

「あの、さっきパスパレの皆さんについて話してるのを少しだけ聞いてしまったのですが、何かあったのですか?」

「あ〜、聞こえてたんだ〜。実は…」

 

つぐみは三人に事情を説明する。

 

「おばけの本〜?ん〜?広町的には普通のことだと思いますけどね〜」

「あっ、そういえばこの前千聖さん達が小さな男の子と一緒に変な人追っかけてたな〜。確かネズミみたいな顔したおじさんで…」

「ネズミみたいな…?それなら私も前に見ましたね。日菜たちが小さな男の子と一緒に探してたようですけど…」

「あっ!私も小さな男の子なら見ましたよ!」

 

愛音の言葉に千聖とつぐみが反応し、どちらもねずみ男や鬼太郎のことを言及していた。

 

「小さな男の子とネズミみたいな人…関係あるのかな…?」

「何かの犯罪に巻き込まれないといいんですけど…ん?」

 

そう呟いたパレオはふと窓の外を見ると、バケツを持った彩たちが歩いているのを見つける。

 

「あっ!パスパレの皆さんと香澄さんです!パスパレさーん!」

 

パレオが外にいる彩たちに向けて手を振ると、それに気づいた彩たちは羽沢珈琲店に入る。

 

「やっほー!おねーちゃーん!」

「日菜。そのバケツは何?」

「実はこの子のご飯を探してて」

 

紗夜が香澄の持っていたバケツに気づくと、香澄はバケツを床に置き、バケツの中から竜のような生き物が顔を出す。

 

「わっ!?何この子!?」

「昨日学校で見つけました!クーちゃんと言います!」

「こ、こんな生き物が花咲川に…?」

 

イヴの言葉に紗夜が半信半疑でそう呟くと、生き物のお腹から音が鳴る。

 

「あっ、ごめんね。すぐご飯用意するから。つぐみちゃん、何かこの子が食べられそうなものないかな?」

「へっ!?あっ、はい!ちょっと待っててください!」

 

つぐみは慌てて厨房の方へ行くと、しばらくしてパンの耳がたくさん入った袋を持ってくる。

 

「とりあえずこれならどうかな?パンならどんな生き物でも食べれると思いますし」

 

そう言いながらパンの耳を一つ取り出して食べさせようとすると、それを見た生き物はパンの匂いを嗅ぐとそっぽを向く。

 

「食べないなー」

「パンが嫌いなんですかね〜?」

 

すると生き物は厨房の方を向くと、バケツから出て真っ先に厨房へ向かう。

 

「あっ、ちょっとー!」

 

慌てて追いかけると、生き物は厨房の換気扇のほこりや油汚れ、そしてゴミ箱の中の生ゴミを美味しそうに食べていた。

 

「えぇっ!?何してるんすか!?」

「そんなの食べちゃダメよ!お腹壊すわよ!」

 

それを見て驚いた麻弥と千聖が慌てて止めようとすると、生ゴミや汚れを食べ尽くした生き物の体が一回り大きくなる。

 

「わっ!?大きくなった!?」

「も、もしかしてゴミや汚れを食べたから大きくなったの!?」

「そんな生き物聞いたことないわよ…!」

「てことはやっぱり妖怪…?」

 

生き物が大きくなったことで全員が驚いていると、生き物は突然鼻をヒクヒクと動かしながら何らかの匂いを嗅ぐ。

 

「…!クー!」

 

すると生き物は声を上げると真っ先に外に出る。

 

「あっ!クーちゃん!」

「追いかけるわよ!」

 

彩たちは慌てて生き物を追って外に出る。

 

「ちょっ、日菜!」

「ふえぇ〜!待ってよみんな〜!」

 

それを見た紗夜たちも彩たちを追って外に出る。

店の裏側ではねずみ男がゴミ箱の中を漁っていた。

 

「ったくよ〜。ここ喫茶店なのに何もねぇな〜…はぁ〜、腹減った〜」

 

ねずみ男がぼやいていた次の瞬間、店から出た生き物が勢いよく彼の頭に直撃する。

 

「あだぁっ!?」

 

それによりゴミ箱の中に頭から突っ込んでしまうと、彩たちが駆け寄る。

 

「クーちゃーん!あれ?ねずみ男さん?」

「いででで…ん?彩ちゃんたちじゃないの」

 

ねずみ男がゴミ箱から顔を出すと、香澄たちも駆けつける。

 

「あれ?彩先輩その人は?」

「この人はねずみ男さん。私たちの知り合いだよ」

 

香澄の問いかけに答えながら彩がねずみ男を紹介すると、彼を見た紗夜が何かに気づく。

 

「ん?その人…この間連続爆破事件の現場にいた人じゃないかしら…?」

「ギクッ!?え、えっと〜…」

 

以前のぬらりひょんの事件でねずみ男を目撃していた紗夜がねずみ男を怪訝な顔で見つめながら言い、ねずみ男も滝のような汗を流していると、つぐみとパレオも続けて言う。

 

「あっ!この人!この前からお店の裏側でゴミ箱漁ってた人!」

「学校の前でうろついていた不審者の人ですよ!」

「何してるんすかねずみ男さん!?」

「ひ、人違いじゃないかしら〜?あはは〜…」

 

二人の言葉に麻弥がツッコミを入れ、ねずみ男がゆっくりと後退りしていると、生き物がねずみ男の背後に現れる。

 

「クー!」

「あっ、クーちゃん!」

「ん?…っ!!?し、しししし白うねりぃ!?なんでお前ここにいるんだよ!?」

「白うねり?」

 

腰を抜かして驚くねずみ男の反応に全員が困惑していると、白うねりと呼ばれたその生き物は嬉しそうにねずみ男に近づく。

 

「クークー♪」

「ちょっ、俺は同じ不潔系の妖怪でもお前だけは苦手なんだよぉ〜!」

 

そう言いながらねずみ男は慌てて逃げようとすると、白うねりはねずみ男のマントの裾を噛む。

 

「ギャー!離して〜!いや〜ん!」

 

マントを噛まれたねずみ男が慌てて逃れようとすると、白うねりは噛んでいた裾の一部を噛みちぎるとそれを丸呑みにする。

 

「クーッ!」

 

裾の一部を飲み込んだ白うねりが嬉しそうに目を輝かせていると、先程よりも更に大きくなり、1メートル程にまで身体が大きくなる。

 

「さ、さっきよりもまた大きくなりました!」

「ねずみ男ちゃんって、不潔が服を着て歩いてるような人だから大きくなっちゃったんじゃ!」

「日菜ちゃんいくらなんでも言いすぎ…」

 

驚くイヴの隣でそう叫ぶ日菜に対して彩がツッコミを入れると、白うねりは舌舐めずりをしながらねずみ男を見る。

 

「ひ、ひえぇーーっ!」

 

それを見たねずみ男は慌てて逃げ出し、白うねりは宙を泳ぐように浮かび上がりながらねずみ男を追いかける。

 

「飛んだ!?」

「や、やっぱりあの子妖怪だったのよ!」

「クーちゃん!」

 

彩たちはねずみ男と白うねりを追う。

 

「ちょっ、妖怪ってどういうこと彩せんぱーい!」

「説明してくださいよ日菜せんぱーい!」

 

状況が分からず、混乱する香澄たちも彩たちを追いかける。

ねずみ男は白うねりから逃げ回り、近くの河原にまで逃げていたが、白うねりはしつこく追いかけていた。

 

「しつこいなコイツ〜!これでも喰らいやがれ!」

 

ねずみ男は白うねりに向けて屁を放つが、白うねりには全く効果はなかった。

 

「あら〜、効かないわね…」

 

すると白うねりはねずみ男に飛びかかる。

 

「おわっ!」

 

慌てて避けるも、マントの一部を食いちぎられ、白うねりはそのままマントの一部を飲み込むと、更に2メートルほどにまで大きくなる。

 

「ぜぇ…ぜぇ…やっと追いついたって、うわぁっ!?また大きくなってる!?」

 

ようやく追いついた彩が白うねりを見て驚き、他の全員も駆けつけると、白うねりは口から緑色の息のようなものを地面に向けて吐く。

その息を浴びた草はあっという間にカビに覆われ、そのまま朽ち果てる。

 

「な、何あの息!?」

「草がカビだらけに!?」

 

それを見た全員が驚くと、白うねりはねずみ男に襲いかかる。

 

「誰か助けてくれー!」

 

助けを求めたその時、地面の中からぬりかべが現れて突っ込んできた白うねりを弾き飛ばす。

 

「クゥ!?」

「ぬりかべさん!」

「何あれ!?地面の中から壁が!?」

 

ぬりかべを見た香澄たちが驚くと、ぬりかべはねずみ男を見る。

 

「サンキューぬりかべ〜!」

「ぬ〜り〜か〜べ〜。きたろう。すぐくる」

「あっ、普通に喋れたんだ」

 

普段自分の名前しか言わないぬりかべが普通に言葉を話したことに彩が思わずそう呟くと、邪魔されたことで白うねりは怒りを露わにする。

 

「クゥ〜…!クゥーーッ!!」

 

そのまま口から緑色の息を吐いてぬりかべの腹のあたりをカビで覆う。

 

「ぬりっ!?」

「クーーッ!!」

 

そのまま勢いよく突っ込んで行き、体当たりでカビに覆われて腐食したぬりかべの腹部を貫通する。

 

「えぇーーっ!?」

「はらいて〜!」

 

胴体に風穴が空いたぬりかべがそのまま地面に倒れると、白うねりはねずみ男を咥える。

 

「助けてくれー!」

 

白うねりはねずみ男を真上に放り投げると、そのまま丸呑みにする。

 

「わっ!食べられた!」

「ねずみ男さん!」

 

するとその時、ねずみ男という汚れの塊を飲み込んだからか、白うねりの全身を黒い妖気が覆うとみるみるうちに巨大化し、15メートルほどの大きさにまで巨大化する。

 

「クエェェェェェッ!!!」

 

目を真っ赤に輝かせながら白うねりは咆哮を上げ、凶暴化して暴れまわる。

 

「な、なんかヤバいっすよ!」

「クーちゃん!」

「早く逃げるわよみんな!」

 

それを見た全員が慌てて逃げ出そうとすると、足元の石に躓いて香澄が転んでしまう。

 

「あだっ!あっ!」

 

すると、香澄に向かって白うねりが向かってくる。

 

「香澄ちゃん危ない!」

「うわぁぁぁぁっ!」

 

思わず香澄が身をかがめたその時である。

上空に現れた一反もめんから飛び降りた鬼太郎が香澄の目の前に着地し、右手に霊毛ちゃんちゃんこを巻き付けると、白うねりの顔面を殴り、白うねりは鬼太郎の攻撃により怯む。

 

「!?」

「鬼太郎くん!」

「落ち着くんだ!白うねり!」

 

鬼太郎が白うねりに呼びかけると、白うねりは叫び声を上げながら向かっていき、鬼太郎は白うねりの顔を掴むとそのまま地面に叩きつける。

その隙に彩たちが香澄に駆け寄る。

 

「香澄ちゃん大丈夫!?」

「な、なんとか…それよりもあの子…?」

「あの子って、この間お店に来た子…?」

「彼は鬼太郎君よ。大丈夫。私たちの味方よ」

 

香澄とつぐみの問いかけに千聖が答えると、白うねりを退けた鬼太郎の髪から目玉おやじが姿を現す。

 

「鎮まるんじゃ!白うねり!」

「ふえぇっ!?め、目玉が喋った!?」

 

目玉おやじを見た花音が驚くと、白うねりは叫び声を上げながら緑色の息を吐いて辺りをカビまみれにする。

 

「またさっきの!」

「離れるんじゃ皆のもの!このカビは人間にとっては猛毒じゃ!」

「は、はいっす!」

 

目玉おやじの言葉に麻弥が返事をすると、彩と香澄は白うねりを見てあることに気づく。

緑色の息を吐く白うねりの表情は何処か苦しそうであり、額に汗を浮かべていた。

 

「クーちゃん苦しそう…!鬼太郎くん!クーちゃんはさっきねずみ男さんを飲み込んじゃってから暴れ出したの!」

「なんだって!くっ、やっぱり恐れていたことが…!」

 

彩の言葉を聞いた鬼太郎がちゃんちゃんこを構えながらそう呟くと、白うねりは叫び声を上げながら何処かへ飛び去って行った。

 

「白うねり!」

「あの子が街に行ったら大変なことになるわよ!早く何とかしないと!」

「ちょ、ちょっと待ってください!これは一体どういう事ですか!?その人は一体…!?説明しなさい日菜!」

「イヴちゃん!どういうこと!?」

 

先程までの事で混乱が限界に達した紗夜達が彩達に問いかけ、彩達は困った様子で互いの顔を見つめる。

 

「えっと…説明したら長くなるけど…実はカクカクシカジカというわけで…」

「…ふえぇっ!?てことは妖怪なのその子!?」

「い、いまいち信じれないけど、さっきのことや動く目玉が目の前にいたら信じるしかないよね…?」

 

事情を説明した日菜の言葉に全員が驚くも、白うねりや目玉おやじのこともあり、信じることにする。

 

「今の説明でわかるものなのね…」

 

それを見ていた千聖が思わずそう呟くと、鬼太郎は目を回して倒れているぬりかべに近づく。

 

「ぬり〜…」

「このくらいの怪我ならまたセメントを塗り込めば治るな」

「鬼太郎くん。あの子のこと白うねりって言ってたけどどういう妖怪なの?それにねずみ男さんとも…?」

 

彩が鬼太郎に問いかけると、目玉おやじが彼女の質問に答える。

 

「白うねりは古い布に付喪神が乗り移った妖怪じゃ。汚れが好物での。前にねずみ男は白うねりを利用して金儲けしていたのじゃが、白うねりはねずみ男が不潔の塊だということに気づいてその時もヤツを丸呑みにしたんじゃよ」

「不潔すぎるねずみ男を丸呑みにしたせいで暴走しちゃってその時も僕が対処してゲゲゲの森の奥で大人しくさせてたんだけど、豆腐小僧の知らせで森から脱走した白うねりを探しに来たんだよ」

 

白うねりについて説明した目玉おやじに続いて鬼太郎も説明をするとそれを聞いていたイヴが口を開く。

 

「…皆さん!クーちゃんを助けましょう!苦しんでいるんでしたらあのままなのは可哀想です!」

「イヴちゃん…そうだよね!クーちゃんには罪はないし、みんなで助けようよ!」

「私も!」

「もう…仕方ないわね彩ちゃんたちは…」

 

イヴの言葉に彩や香澄達も白うねりを助けることを決め、それを聞いた千聖が呆れつつも微笑んでいると、紗夜が声を上げる。

 

「待ってください!いくら貴女たちがその子と一緒に今まで事件を解決したと言ってもあのカビを吐かれたら…!」

「その心配はいらないよ」

 

紗夜の言葉に対して鬼太郎は微笑みながら妖怪オカリナを取り出すとその音色を奏でる。

すると、オカリナの音色に呼ばれた妖怪が姿を現す。

 

「呼んだか鬼太郎?」

 

現れた妖怪は家の天井を舐め回す妖怪、天井なめだった。

 

「わっ!?また妖怪!?」

「コイツはワシらの仲間の妖怪の天井なめじゃよ。コイツの胃液はカビを浄化する効果があるんじゃ」

「そうとも。オラの胃液と風呂桶1杯分の水があればカビ消しの妙薬の出来上がりだ」

「お、お風呂掃除の時に頼りになりそうだね…」

 

ぬりかべの空いた穴の周りに付着したカビを舐め取りながら天井なめはそう答え、花音が思わずそう呟くと、彩が声を上げる。

 

「よーし!クーちゃんお助け作戦開始だよー!」

「おぉーーっ!」

 

こうして、白うねりを助け出すため、全員の心が一つになった。

 

………………………

 

その頃、街にやって来た白うねりはカビを撒き散らしながら暴れ回り、人々は逃げ惑いながらパニックになっていた。

 

「そこまでだ!白うねり!」

 

その時、鬼太郎の声が聞こえると、一反もめんに乗った全員が現れる。

それを見た白うねりは緑色の息を吐いて攻撃を仕掛ける。

 

「わわっ!一反もめんさん早く避けて〜!」

「定員オーバーで早く動けんば〜い!」

 

ギリギリのところで躱すも、体の一部に息が当たったことでカビが発生する。

 

「ひえぇ〜!体が腐るばーい!」

「もう少し耐えてくれ一反もめん!」

 

慌てる一反もめんに対して鬼太郎がそう言い放つと、ゆっくりと地面に降りる。

全員が一反もめんから降りると、一反もめんの体は既に半分ほどカビに侵されていた。

 

「うわぁ…!あっという間にカビだらけに…!」

「心配すんな!まずは実験でコイツについたカビをこの特製カビ取り薬で…!」

 

天井なめの胃液と水を混ぜて作ったカビ取り洗剤が入った水鉄砲を持った天井なめがカビが発生した一反もめんの体にカビ取り洗剤をかけるとあっという間にカビが除去される。

 

「すごい!一瞬でカビがなくなった!」

「みんなも水鉄砲を持って白うねりにかけるんだ!そうすれば白うねりは元の大きさに戻る!」

「オッケー!みんなー、ルンっていくよ~!」

「えーい!」

 

彩たちは一斉にカビ取り洗剤を噴射し、それを浴びた白うねりは悲鳴を上げながら苦しみ出す。

それと同時に白うねりの身体が少しづつ縮んでいる様子だった。

 

「いいぞ!その調子でカビ取り薬をかけるのじゃ!」

「は、はい!」

 

すると、白うねりは悪あがきとして緑色の息を吐き出そうとする。

 

「させるか!」

 

それに気づいた鬼太郎がちゃんちゃんこを投げ、息を吐き出すギリギリのところで白うねりの口を塞ぐ。

 

「今のうちにかけ続けるんだ!」

「待っててねクーちゃん!すぐに楽になるから!」

 

白うねりの緑色の息を封じ込めている隙に彩たちはカビ取り洗剤を白うねりに浴びせ続ける。

 

「その間にオラは街中のカビを舐めよう。う〜ん。ブルーチーズのようにスパイシーながらもヨーグルトのような爽やかな風味だ」

「お前も手伝わんかバカモンが!」

 

天井なめは街中に発生したカビを舐め取り、目玉おやじが天井なめを怒鳴ると、半分ほど縮んだ白うねりは突然尻から何かを出す。

 

「な、なんか出たっすよ!?」

「もしかして、う…ウンチ…?」

 

麻弥と花音が驚いていると、白うねりが尻から出したものは身につけているマントがボロボロになり、排泄物にまみれて気絶しているねずみ男だった。

 

「ね、ねずみ男さんだ…ウンチになって出てきちゃった…」

「くさーい!」

「ねずみ男が白うねりから出たならもうすぐじゃ!」

 

鼻を摘む日菜の隣でねずみ男の姿を見て引いている彩の肩の上で目玉おやじが言うように白うねりはねずみ男を出したことで更に小さくなっていき、元の大きさに戻った。

 

「クーちゃん!」

 

彩とイヴが駆け寄ると、白うねりはゆっくりと顔を上げる。

 

「ク〜…」

 

白うねりはすっかりもとに戻っており、暴走も収まっておとなしくなっていた。

 

「良かった〜…!一時はどうなるかと思ったよ〜」

「でも、今までと比べたらだいぶ楽だったけどね〜」

「日菜先輩たち…ホントに今までこんな事件に遭遇してたんだ…」

 

彩と日菜の発言につぐみが苦笑いを浮かべていると、ねずみ男が目を覚ます。

 

「う、う〜ん…な、なんとか生き延びれた…白うねりの腹の中はゴミだらけだったぜ…」

「ねずみ男。大丈夫だったか?」

「俺は不死身だから当然よ」

 

鬼太郎とねずみ男がそんな会話を交わすと、街中のカビを全て舐め、腹を膨らませて満足そうな様子の天井なめがやって来る。

 

「ふ〜。こんなに腹いっぱい食べたのは久しぶりだな〜。大満足」

「あの量のカビを全部食べたんすか!?凄いっすね…」

 

麻弥が驚いていると、白うねりが天井なめの頭に乗る。

 

「クー♪」

「そんじゃあ、オラは白うねりを連れて帰っとくぜ。また将棋やろうなー」

 

天井なめが帰ろうとすると、白うねりは彩たちの方を向く。

 

「クーちゃん!また会おうね!」

「バイバイクーちゃん!」

「クーー!」

 

別れを告げた彩と香澄に対して白うねりが手を振ると、天井なめと共に景色に溶け込むように消えて行った。

 

「行っちゃったわね…」

「まぁ、ゲゲゲの森に行ったらいると思うからいつでも遊びに来いよ」

「それよりもねずみ男。お前今ウンコだらけだから普段以上に臭いぞ。あんまり僕らに近づくな」

「そりゃないよ鬼太郎ちゃ〜ん!」

 

鬼太郎の辛辣な言葉にねずみ男が嘆き、彩たちの笑い声が響き渡った。

 

続く

 

次回、第八話「吸血鬼ピー」

 




白うねりは鳥山石燕の妖怪画にてその存在が確認されており、ボロ布の龍という容姿以外に詳しい設定が存在しなかった妖怪だったが、近年ではゲゲゲの鬼太郎などの作品に登場して以降、様々な設定が追加されていった妖怪である。
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