はい、こちらストーム1 ~IS編~   作:えるらるら

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ハーメルン初投稿。
緊張します。ほのぼのとしていきたいですね。


ぷろろーぐ

「あばよ、ペ◯シマン」

 

 やりきった。

 この世界に来てから苦節約二年。

 体感時間はそれ以上。

 

「やっとお前の顔を見なくて済むと思うと清々する」

 

 纏うパワードスーツは、つや消しした黒に赤と青の二本ラインのイカしたマイカラーリングの見る影もなく、馬鹿みたいな量の紫色の返り血で染まっている。

 何度も繰り返した作業でもはや思う所も無いが、今日ばかりはいつもより丁寧にマイパワードスーツの手入れをしてやろう。

 

「はぁ……今度こそゆっくり『ストーム1!! 逃げてください!! 逃げてぇぇぇ!!!』――は?」

 

 今までの事を思い返して出てきたため息とボヤキを遮ったのは、オープンチャンネルでとんでもねぇ事を叫ぶ聞き慣れた声の狂ってしまった卵神信者オペ子ちゃん。

 何にせよここでとりあえず()()()()()()()()()からか、それとも()()()()()()()()()()()のにも関わらず、あまりのトライ回数からくる疲れと達成感からかで気の緩んでいた俺は、銀ののっぺらぼうが不気味に笑っている様に歪んでいる事に気付くのが遅れ――光に飲まれた。

 

 

 

 いつものソレとは違う感覚で俺はもうあの世界に戻れない事を察した。ただ今更なにもできないし、思い出を振り返るとしよう。

 

 最初はなんだったかな。特に死ぬ理由が無いから生きていて、呼吸するのすらだるくて生きるのが面倒に感じてなんとなく……とかだった気もする。

 そんな感じで気が付けば転生して、一分後にはバカでかい蟻に食われて終わった。んで次の瞬間にはまた同じ場所に立ってを繰り返して、埒が明かないから色々やってみてなんとか生き残ってみたら、生存確認の為の書類にサインしたはずが地球防衛軍――通称:EDFの隊員になっていた。

 あの時の周りの隊員達の同情する目は多分今後も忘れないだろう。

 

 そして俺は、バカでかい蟻の辺りで察してはいたけど、改めて生前に遊んでいたゲームの世界――地球防衛軍の世界に転生したんだと絶望した。

 だってね。画面越しならまだしも、主観で波の様に押し寄せてくるのは普通にキツイ。泣きそうになるほど、いや俺は泣いたね。死んだら最初に戻されたって現実を体験した後だったし、これ続くのかって泣いたよ。

 

 まぁ、そんなこんなでEDFの隊員になって、フェンサーの武装がある事でナンバリング的に4以降だって事が判明した。結果的にそこは4の世界で間違いはなかった。

 更には転生特典というやつなのかは知らないけけど、自分にステージ選択と武装変更。ゲームで言う所の出撃準備画面が出せる力があったことが分かり、そしてまた泣いたよ。だって難易度がINFERNO固定だったんだ。ついでに武装は初期武装のみ……そりゃ泣くさ。

 

 泣いて、泣いて、無気力に襲われて思考停止して、フェンサー以外の武装が使えない事にまた泣いて。先輩隊員達の優しさに男泣き。

 しかし人間慣れるというもんで、ステージが30になる頃には蜘蛛に巻き殺される事にも、蟻の酸に溶かされる事にも、巨大ロボにインファイトしにいく事にも、調子に乗って吹き飛ばされて落下を堪能する事にも慣れた。

 親しかった隊員の形見を部屋に飾ってしんみりしたりもしたが、そもそも形見が残る方が稀という事実に気付いて掃除のついでに全部破棄したりもした。ただ何を血迷ったか、ラストステージ前、対フォーリナーワンマンアーミーのストーム1として戦い続けて空を見上げた時にノスタルジックになってしまったのか……俺はもう馴染みに馴染んだ転生特典を使ってフル武装で一番最初のステージを選択した。

 

 そして突然フル武装で現れた俺に驚いている、ステージ5でドッグタグだけを残してレタリウスに殺された先輩の顔を見て……枯れ果てたと思っていた涙が出た。

 親しかった人が死んだステージを俺自身が選ばなくなっている事はどこかで気付いていた。武器稼ぎで前のステージを周回した事もあるし、同じ人間が死んでいく場を何度も見た事もある。俺の行動で死ぬはずだった人が生きる事がある事も知ってるし、それでもその人が次のステージでは勝手に死んでることがある事も知っていたから。

 だからなんとなく。本当にただなんとなく。最初のステージに来て、無双して、新人歓迎会の場で皆の顔を見た時にふと思った。アースイーターが墜ちた空を彼等と見たいと。

 

 頑張ったね。もう超頑張った。

 なんとなくで死んだ俺が、なんとなくで皆の死ぬ運命を変えようとか傲慢にも程があるって戦場で一人爆笑してしまうぐらいには頑張った。

 何度も何度も失敗を繰り返して親しい人の親しい人が死ぬ流れすら変えてみせた。バグ再現すらしてみせて、スラスターを吹かし続けて戦って、アースイーターを地に墜とした。

 

 通信越しから聞こえてくる声が騒がしくて、やっと望んだ結果を掴み取れて、思わず俺も口元が緩んだ。そして気も緩んだことは否定しない。

 だからまだ機能していた砲台から放たれたレーザーに気付かず、スッカスカになった俺のアーマーを貫通して俺は死んだのは自業自得でもあると受け止められた。

 

 もう一度やればいい。何度でも……なんて気を引き締め直した俺が見たのは、立ち並ぶ高層ビルの奥でワラワラとしている黒蟻共。さっきまで居た世界よりも世界は荒廃してないし、通信越しから聞こえる声は絶望というよりは焦りが強い声で状況説明がされている。

 見えているアーマー値もリセットが掛かっていて、武装も初期も初期。そして通信内容はどこか聞き覚えがあるのに対して若干風景と開始地点が違う。

 俺は察したさ。

 

 ――これ、4.1じゃね?

 

 まぁ、心、折れたよね。軽快な音を立てて絶望君がムエタイキックしてる幻視すらしたもん。

 だがそこは培われたモノもあってか、やってやりましたよ。4.1でもやってやりました。何だったら4よりもいい結果でラストステージクリアできたと言える。

 同じ轍は踏まんと最後まで警戒は解かず、祝勝会で飲酒も控えて終始厳戒態勢で自室に戻ったさ。疲れてたからか走馬灯にも似た夢をみたさ。でもさ、寝て起きたら5の世界になってるとか思わんじゃん。民間の志願兵になってるとは思わんじゃん……。

 

 そんなこんなでまた戦い続けました。4からループし続けて戦い抜いた肉体はそのままだったおかげか、少しだけ勝手が違うもののすぐにフェンサーとして戦えたのは不幸中の幸いだったが、そのせいで精鋭フェンサー部隊のグリムリーパー隊の隊長がやけに勧誘してきたり、精鋭ウイングダイバー部隊のスプリガン隊がやたら絡んできたり、なんかすごい軍曹と仲良くなったりと色々困惑する事も多かった。

 

 ただそんな彼等に親しい友人達の面影を見たからか、俺はまだ前線に立って戦い続けられた……ナンバリング的に最後だったからこれクリアしたら終わりだろ!という考えがあったのも否定はしない。

 4や4.1の世界があの後どうなったのか気にはなるけど、戻り方はわからない以上はやることは一つ。死んでもやり直しをさせられるのならばクリアをするだけ。

 流石にもうなんとなくで死ぬ気はないし、そろそろちょっと一息つきたいという気持ちもあった。

 

 だから戦った。武器周回もした。死にまくったし殺しまくった。最終ステージも何度も何度もやって、やっとかの者を倒したと思ったんだがなぁ……。

 

 俺の思考に合わせていたのかと聞きたいぐらいのベストタイミングで視界が晴れてきた視界に最初に入ってきたのはメカチックなうさ耳。

 そしてボヤケていた視界のピントがちゃんと合うと、メカチックうさ耳にひらひらした服を纏った民間人の女性がめっちゃ睨んできている姿が見えた。




主人公以外の隊員は回想があれば出てくるかもしれません。
あと主人公はそこはかとなくお馬鹿さんで脳筋です。


出すタイミングがあるか分からないので主人公が行動した結果の軽いまとめ。
・4と4.1の最終ミッション開始時点で各地のEDFは壊滅までは至っておらず、その最終ミッションにおいては単独出撃に加え当初出撃予定だったレンジャー部隊到着までに9割近い砲台を破壊。第三形態移行後のブレインを半壊させている。
 以降、レンジャー、ペイル、スカウト4,オメガの各部隊に加え、生存勢力による増援の到着から数分後にブレインを撃破。

・5において、単独出撃にてコマンドシップの撃破。そのまま最終ミッションへと以降しオペレーション・オメガを発動させず銀の人を撃破。そこに至るまでの結果を含め、人類の生存総人口は二割近く。


各EDF隊員からの評価は
・人間やめてる人類種
・対侵略者最終兵器
・イカれてる英雄...など。

色々と吹っ切った主人公は関わった隊員を無自覚に曇らせてきたりしましたが、多分一番曇ったのは5の軍曹です。

まぁでも過去の話なので、本編はほのぼの予定。



至らぬ点も多々あるでしょうが大目に見ていただけると幸いです。
ゆるく書いていきたいなと思います。
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