はい、こちらストーム1 ~IS編~   作:えるらるら

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防衛6の発売延期を知ったので投稿です。


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 やはり週明けは荷物受け取りが多いな。

 職員室への配達に漏れは無かった。部活動関連は昼過ぎに届くのを待ってからでも遅くはないか。となると、後は医務室へ備品を届けて昼飯にしても問題ないだろう。

 あー……消毒液は在庫倉庫からか。先に取りに行くとなれば、次で曲がった方が倉庫まで早い――

 

「何故ですか!!」

 

 ……あれは、ラウラ・ボーデヴィッヒと織斑先生か。

 随分とラウラ・ボーデヴィッヒの方が感情的になっているようだが……通りづらいな。少し遠回りになるが邪魔をするよりはマシか。先の方からい「はぁ……ん? 待てストーム、丁度いいところに来た」

 

「……丁度いい様には思えんが」

 

「いいから少し付き合え。お前に紹介しておいて損はないだろう」

 

 曲がらずに進もうとした矢先、織斑先生に呼び止められてしまった。

 先程の様子を考えても、どう見ても丁度いい様には思えんのだが、感情的になっていたはずのラウラ・ボーデヴィッヒは静かに織斑先生についてきているな。

 

「一応書類で顔ぐらいは知っているだろう? ドイツから編入してきたラウラ・ボーデヴィッヒだ」

 

「失礼いたします! 先日ドイツより参りましたIS配備特殊部隊『シュヴァルツェ・ハーゼ』隊長 ラウラ・ボーデヴィッヒ! 階級は少佐であります!」

 

「あ、あぁ……用務員をしているストーム1だ。そこまで堅苦しくしなくて構わん」

 

「ハッ!」

 

「……崩して良い」

 

「ハッ!」

 

 このキビキビしている感じ、隊員達を彷彿として懐かしいな……いきなり生徒に敬礼をされるとは思っていなかったが。

 しかしなんだ……小さいな。凰鈴音と同じぐらいだろうが、どことなくクロエに雰囲気が似ているせいか、余計に小さく感じてしまう。

 

「その歳で佐官とは、優秀なんだな」

 

「織斑教官のおかげであります!」

 

「あぁ、なるほど。織斑先生の教え子か」

 

 そういえばドイツに一年行っていたと資料で見た記憶がある。

 ラウラ・ボーデヴィッヒはその時の教え子か。ISの特殊部隊ともなれば、シュヴァルツェ・ハーゼ隊は織斑先生の教え子達で構成されている可能性もあるな。

 

「現役の隊長ともなればあまり国を離れられないようにも思うが、学園には卒業実績でも取りに来たのか?」

 

 各国の代表候補生とのパイプ作りか、それともシャルル・デュノアと同じ様に白式のデータ狙いか……ん? そういえば、織斑先生の教え子なのに織斑一夏に初日ビンタをしたのか。ますますわからん状況だな。

 

「織斑教官を連れ戻しに参りました!」

 

「連れ戻し……?」

 

「誤解を生むような言い方をするなボーデヴィッヒ。契約は一年、ちゃんと済ませてから学園に来ている」

 

「ハッ! 失礼致しました! 織斑教官には再度ドイツへ戻ってきていただく説得のために来日致しました! この数日で学園の生徒では能力が低すぎて指導する価値は無いと確信した為、現在その旨を説明した上で懇願していた次第です!」

 

「あー……なるほど。それで織斑先生の返事は?」

 

「拒否に決まっている。少し見ない間に随分と偉くなり、選ばれた人間気取りとは恐れいっていたところだ」

 

「なるほ「ですから教官! 何故!」――ど」

 

 そしてさっきに戻ると。

 

「やはり織斑一夏ですか……」

 

 あぁ、なんとなくだがビンタの理由に予想が付いたな。

 ラウラ・ボーデヴィッヒも織斑一夏が拒否されている一つの要因とは気づいているのか。いや、むしろそれぐらいしか見当がつかない感じか。

 織斑先生をドイツに連れていきたい気持ちは本当なのだろうが、さっき言ったままの説得としているのなら、まず無理だろうな。

 学園も国も認めるとは思わんが、織斑一夏共々連れて行くぐらいの準備は必要だろう。弟大好きな相手を説得するのに、弟君ビンタはあまりにも心証が悪い。

 

 織斑先生と視線を合わせれば、呆れ半分苛立ち半分といった様子だな。

 なんとかしてくれ。と訴えかけてきている気もしないが……俺にどうしろと。

 

「――! もしや、ストーム用務員が学園に居るのも関係があるのですか!」

 

「は? ……フッ。あぁ、お前の態度を見る限り既に気づいているだろうが、ストームは私が認める男だ。ISには乗れんが、それを差し引いても十分な程にな」

 

「織斑先生?」

 

「やはりそうですか! 未熟な私では正確な実力を測ることはできませんが、相当な実力者であることは把握できております!」

 

「……」

 

「そのストームが学園に居る。つまり私が居ることがおかしいなんて事はないだろう」

 

 それは理屈として通るのか?

 

「そ、それは……そうですが……」

 

 通るのか。

 

「今のお前の行動はガキが癇癪を起こしているのと何ら変わらん。お前が私をどう見ているかは知らんが、私に押し付けるな。ハッキリと言っておこう――私はお前が思うほど強くない」

 

「そんな事ありません! そんなはずがありません! 教官はッ……失礼します……」

 

 そんなはずがありません……か。

 とりあえずラウラ・ボーデヴィッヒの姿は見えなくなったが、織斑先生の困り果てている表情を無視して倉庫に行くのもな。

 多少余裕を持っての申請だ。昼休み明けからでも遅くはないだろう。

 

「言い過ぎだと思うか?」

 

「不器用だなとは思うが、俺もどちらかと言えば織斑先生寄りの言葉しか出せん人間だ」

 

「はぁ……アイツは強くあれと産み落とされ、一度出来損ないの烙印を押され、その後に私が育てあの座まで上り詰めた」

 

「なるほど。彼女からすれば、織斑先生に救われたと言っても過言ではないのだろうな」

 

「今、アイツの中にある強さの指標は私しかいないのだろう。私のようになりたいと憧れるのは勝手だが、私にはなれんと気付かんものか」

 

「分かってはいるだろう。ただそれだけが今の彼女の拠り所である様にも感じる。織斑先生が絶対の強さである――という認識が崩れるのを恐れていると言ったほうが正しいかもしれん」

 

 崇拝か、嫉妬か。見て感じた絶対強者が歪むと思ったんだろう? ラウラ・ボーデヴィッヒ。

 織斑一夏の為に強くあろうとして強くなった織斑千冬。

 織斑一夏が歪ませより強くあるはずが弱くなった織斑千冬。

 きっと彼女の中では後者を答えとした。

 だが俺への態度を見るに力量を見抜けないというわけではなく、どこかではちゃんと分かっているのだろうが……憧れの盲信が過ぎたか。

 

「理解できんな。私を超えるぐらいの気概を持てばいいものの」

 

「それは先を知っている、求めている者の言い分だ。ラウラ・ボーデヴィッヒがそこに至るには、まだ時間がかかるだろう。今の彼女はそこに至った織斑先生の強さしか見えていない。そうありたいと願うばかりで、そうある為にを探している時間だ……なに、きっかけが有ればすぐだ」

 

「……難しいな」

 

「織斑先生にとっての弟君がラウラ・ボーデヴィッヒには居ないと見える。織斑先生が弟君を気にかけていると分かっていても、何故気にかけるかは理解できない。それこそ織斑先生が理解できんなと思ったように」

 

「見透かされている気分というのは、こういう感じか」

 

「全てではないにしろ外れているとも思わん。これでも幾ばくか人よりも多く歳を重ね人類を見てきた。故に俺の持論からの助言だ……ラウラ・ボーデヴィッヒを僅かにでも思うのであれば、ちゃんと線引をしてやるといい。きっとそれが最後のきっかけだ」

 

「なんと言えばいいと思う」

 

「そう悩む必要はない。私を超えてみろと焚き付けてやれば良い。私になるのではなく、君は君の強さで私を超えてみろと。どういう言葉を選び告げるかは織斑先生の宿題だな」

 

 これ以上は余計だ。今のラウラ・ボーデヴィッヒに必要なのは俺の言葉ではない。

 

「これから俺は昼食を食べる予定だが、織斑先生はどうする」

 

「私も少し腹が減った。何を食べる予定なんだ?」

 

「この前、"これでIS超上達! のびのびカップ麺"とかいうのを売店で購入した。今日はそれにしようと思っている」

 

「ふふっ……ストームもそういうのを買うんだな。ちなみにだが、あまり美味しくなかったぞ」

 

「……食べたことがあるのか。IS超上達」

 

「そこを抜き取るな。その時はそれしか売店になかったんだ」

 

 その後、織斑先生に許可を貰い先に倉庫へと立ち寄り台車に荷積みをしていると、俺が作業中に売店で同じカップ麺を購入していたようで、相変わらず美味しくないと渋い顔をしながら食べていた。

 まぁ。カラフルなわりには無味……確かにあれは評価が難しいな。

 

 食事を終える頃には織斑先生も考えがまとまった様子だった。上手く行けばいいが……。

 

「ねぇ聞いた? さっきアリーナで一年の生徒同士で戦いがあったらしいよ! ドイツから編入してきた代表候補生対中国とイギリスの代表候補生で」

 

「えー、うそ見たかった~。どっちが勝ったの?」

 

「それが途中で織斑くんが乱入して、そのあと織斑先生が止めたんだって。しかもここだけの話なんだけど、織斑先生、生身で打鉄の武器振り回したってさ」

 

「やばっ、流石ブリュンヒルデって感じ?」

 

 聞こえてくる生徒の会話から察するに、これはダメだっただろうな。

 経緯は分からんが、ラウラ・ボーデヴィッヒが暴走したか。それとも凰鈴音とセシリア・オルコットが喧嘩を売ったか……どちらもありそうだ。

 

「あ、そうそう! これも噂なんだけど、学年別タッグトーナメント! 一年は優勝したら織斑くんと付き合えるんだって!」

 

「聞いた聞いた。でもさ、絶対どこかで内容歪んでるってソレ。でもでも、面白そうだからウチらで優勝狙っちゃう?」

 

「私達二年じゃん。多分意味ないってぇ~。それに生徒会長に勝てる気しない」

 

「やっぱだよねぇ。あ、用務員さんだ。おつかれさまでーす!」

 

「おつかれでーす!」

 

「あぁ、お疲れ様。気をつけて帰るように」

 

「「はーい」」

 

 気がつけば日も沈みかけか。

 ベンチの塗装も終わったことだし、俺も今日は戻って日報をあげるか。ついでに束さんへの相談事も済ませよう。専用電話は持ってきているが、流石に今は人目もあるからやはり戻ってからだな。

 この予感が杞憂であればいい。だが備えておいても損はない。

 はぁ……今でも配慮と厚意に甘えているというのに、また束さんには迷惑を掛けてしまうな。

 

 

 

――

 

 

 

その日の夜。とある一室。

 

「クラリッサ、教官の説得はまだ掛かりそうだ。やはり織斑一夏を分からせてから説得するしかないだろう。あぁ、それと事前情報には無かったが、教官がお認めになった男が学園に居た。IS無しだと私では相手にもならないだろうな」

 

「お、え? 織斑教官が認めた男ですか? 隊長の聞き間違いや見間違いではなく?」

 

「親しげにやり取りもしていた。噂では共に食事もする仲のようだ」

 

「……つまり、男女の関係の可能性があると?」

 

「? よく分からんが男女ではあるだろう」

 

「ほぅ」

 

 






セシリア・オルコットと凰鈴音は原作よりは頑張りましたが、AICは強かったです。

この時点でラウラとクラリッサがどれぐらいのやり取りをする仲なのか知らないので、この世界線ではこんな感じで。


次回は束さん達を出したい気分です。


誤字脱字報告、感想等々ありがとうございます。
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