はい、こちらストーム1 ~IS編~   作:えるらるら

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6の予約をしてテンションがニョキッとなったので予約投稿です。

又、本日中に完結まで更新致します。
この話を投稿したタイミングで感想の返信も終了させていただきます。
いつも以上にノリと勢い任せですが、最後までお付き合い頂ければ嬉しいです。


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「上は何がしたい」

 

 俺の雰囲気で察してくれた生徒会長を見送り、束さんと連絡を取りながら風呂場から束さんの拠点へ。そこから更に扉を一枚くぐり人参を模した小型ロケット内部へと移動すると、そこはどうやら特別実習が行われている場所の宿泊施設の一角。

 

 待ち構えていた束さんに案内されるがまま移動すれば、既にある程度の話を終えていた織斑先生と山田先生に加えて見知った生徒が七名。

 織斑先生以外は俺の登場に驚いていた様だが、俺としては移動中に聞いていた内容が内容なだけに織斑一夏達が居る方が驚きだ。

 

「学園の生徒は特定の国に帰属していない。その立場が都合がいいんだ。本来ならそうする事自体が問題だが、今回は事故による暴走状態という明確な介入理由がある。各国に協力を仰げば軍用ISの情報開示を要求されるのが目に見えているからな」

 

「情報開示を要求しない代わりに学園側は何かしらの利益を得ているということか。暴走させた側は損こそするが情報に比べればマシだと?」

 

「理由の一つである事は確かだ。他にもやり取りはしているだろうが、すぐに把握できるものでもない」

 

「なるほど……そういう所も人類の強かさだな。よく頭が回るものだと尊敬する。俺には真似できそうにない」

 

 大体は理解したが……まぁ、とやかく言った所でやることは変わらんか。邪魔をしないのならそれでいい。

 ペプ◯マンの処理と銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)の鹵獲。ただ人員は生徒のみでやれと言われているだけ。当人達が納得の上で人選がされているだけマシだ。

 

「確認だ。ゴスペルは搭乗者が意識不明の状態にも関わらず暴走をしているんだな?」

 

「正確には共同開発チームが呼びかけをしているが反応はない。計測しているバイタル数値からして死んだりはしていないとの事だ」

 

「そうか」

 

「スーくんスーくん、今は切断されてるけど、無理矢理コアネットワークからコアに逆アクセスして強制停止しようか? すぐに取りかかれば多分接敵予想時間までにはできるよ?」

 

 俺もそれは考えたが、今回は止めておいたほうがいいだろう。

 無人機なり、ただの離反行為であるとハッキリしているのであれば、その方法も取れたが……要求されているのは鹵獲。明言こそされていないが、その中には搭乗者の確保なり保護なりも入っているだろう。

 

「いや、下手に刺激しなくていい。銀の人がある以上は強制停止で生身になった搭乗者の安否の保証ができん。絶対防御があるほうが今は好都合だ。連れて来るというのであれば、戦闘開始後に強制停止は頼む」

 

「りょーかい! あ、ここの機材じゃできないし、前に考えてたアレも完成したから持ってくるついでに船でやろうと思ってたけど、人手あったほうがいいなら向こうから皆呼ぶ? 機材持ってきてもらえばいいし」

 

「……EDFはどこに帰属している」

 

「どこにも? 義勇軍と言われればそうだし、そうだね~……強いて言うなら未来の国かな?」

 

「それはいいな。向こうが大丈夫なら召集してくれ」

 

「あいあいさー! じゃあ、束さんは少し準備してくるね」

 

「頼んだ。あー……マドカのISに以前の武装を追加できるだろうか。使い捨て予定でバススロットに格納する必要はない」

 

「シミュレーションの時にやってたやつするの? いいよ~、束さんにまっかせなさぁ~い! 調整済みシールドビットをお持ちしてしんぜよう」

 

「助かる」

 

 去り際に耳元で「素性については内緒がいいかも」と伝えてきた束さんを見送り、壁に映し出されている地図と写真を見る。

 地図には予測移動ルートと現在行われているという空域封鎖エリアの記載。写真には銀の福音とペプ◯マンが写っているのだが……ペプ◯マンのサイズが前回より一回り程デカくなっているな。

 束さんの予想通りであれば回復していると言うことか。次こそは殺れると愚直にくるだけならいいがな。

 

「織斑先生、予定していた作戦はどうするつもりだった」

 

「銀の福音のスペックを考えて一撃離脱を想定していた。篠ノ之の紅椿で白式を運び、織斑が零落白夜で行動不能にさせる予定だった。それに失敗した場合はオルコットの狙撃を主軸に、ボーデヴィッヒのAICで適時拘束しつつ専用機持ちで対処するつもりでな。指揮はストームに譲る、変更があれば遠慮なく言え」

 

「なるほど」

 

 スコール達が来てくれる以上こちらで全て対処してもいいが……どうにも大人しくしてくれる様子ではないな。

 ラウラ・ボーデヴィッヒ以外は、指揮を任せるという織斑先生の判断に多少なりとも疑念を抱いているのが分かる。まぁ、俺がどう戦えるかを知らないことを考えれば当然といえば当然。

 待機させた上で誰かが勝手に単独行動をしたとして、最終的には芋づる式で全員が動きかねんか。

 

「銀の人とゴスペルを分断させる。ゴスペルの方は束さんに停止を頼む予定だが、それまでの時間稼ぎ、不慮の事態に備えるのは織斑一夏君達に任せよう。ただし七人で行って欲しい」

 

「織斑達がやらかした場合は」

 

「こちらで対処する。俺が使ったルートで生徒会長に応援を頼む方法も考えはしたが、織斑先生が表に出ない理由も含めて学園関係者はこれ以上増やさん事を望まれているぐらいは理解している」

 

「私もEDFだが?」

 

「立ち位置は俺と同じかもしれんが、優先順位まで同じである必要はない。君の守りたいものをしっかり見ていろ。弟君達が心配なのだろう? 隠しきれていない」

 

「……はぁ、ストームに意地を張っても仕方ないか」

 

「心配という言葉が恥ずかしいのであれば、これは貴重な経験だ。誰も死なせず終えるために見といてあげねばな。織斑一夏君達を頼む、織斑先生」

 

 返事代わりに俺の肩を叩いて壁際に向かった織斑先生の雰囲気は……張り詰めすぎずいい感じだな。どこか落ち着きがない織斑一夏達もある程度は落ち着くだろう。

 

 さて、俺は俺で時間の許す限り可能性を潰していこう。

 ペプ◯マンが人質なんて知恵を持ち始めたとは思いたくないが、僅かにでも可能性が出てきた以上は無視もできん。

 全くもって厄介だ。尤もあの傲慢野郎が人質の有用性を理解できる姿は、どうにも想像できんがな。

 

「混ざってもいいかしら?」

 

「スコールか。早かったな」

 

「私一人だけ先にね。時間、あまりないのでしょう? あの子達、また腕を上げてるのよ。今の情報なら私が正確に把握しているわ」

 

「なるほど。俺が束さんに頼んだ事は聞いているか?」

 

「使い捨てのBT兵器の件よね? まさかもう実践とは驚きだけど問題ないわ。もちろんマドカにも伝えてあるわよ。それと篠ノ之博士から伝言。"認識阻害を組み込むからスコール達の事は好きに使って"だって」

 

「前の会社に配慮をしなくていいということか。そうであればもう少し楽になるかもな……先に今回の敵の情報と予定していた作戦を伝える。その後で細かい所を調整しよう」

 

「銀テカだったかしら。アレと銀の福音の基本スペックは篠ノ之博士とシミュレーションの数値である程度は把握しているわ」

 

「ではその辺りは、軽い擦り合わせで済まそう。不明な点があれば遠慮はしないでくれ――」

 

 

 

◇◆

 

 

 

 高いヒールの音を響かせ、甘い香りを引き連れてふらりと部屋に入ってきたのは、扇情的なドレスに身を包んだ女性――スコール・ミューゼル。

 少し後に続いて現れたのは、着崩したスーツ姿で大きな袋を肩に掛け、心底面倒だと表情で語る女性――オータム。

 そんなオータムと共に入ってきたのは帽子の上からフードを被り、更にはマスクを付けて鋭い目つきだけが見える少女――マドカ。

 更に遅れてマドカよりも年上であろう少女。流れる銀髪を靡かせ、両目を閉じ、青いゴスロリ系ドレスに身を包み、優雅に一礼をする――クロエ。

 最後に何故か天井裏から「シュタッ」と擬音を口に戻ってきた篠ノ之束の五人が合流すれば、会議室として貸された部屋は些か狭さを感じる。

 

 対して隅に集まり織斑千冬から作戦を聞きながら狭くなる部屋を見ていた面々は、次々とストーム1の周りに集まっていく人達を興味深そうに眺め、最終的に織斑姉弟を除いた五人の視線は織斑一夏へと集中する。

 

「な、なんだよ」

 

「いやぁ……ねぇ?」

 

「流石にストームさんは違うと思うぞ……たぶん。なぁ?」

 

 自分に向けられた視線に気付いた織斑一夏が戸惑いがちに問えば、凰鈴音から篠ノ之箒へと言葉は流れ。

 

「そういうのとは違う気もしますわ」

 

「仮にだとしても、一夏程ではないと思うよ。ね、ラウラ?」

 

「英雄色を好むという言葉があるとクラリッサから聞いた! 教官が認めるほどの男だ。おかしい事はないだろう」

 

 セシリア・オルコット、シャルロット・デュノアと続けば、うむうむと頷くラウラ・ボーデヴィッヒの一言は不思議と納得できてしまい、確かに……と四人は唸り声を上げた。

 

 その様子に呆れ、ため息を漏らす織斑千冬が謝罪の意も込めてストーム1に視線を向ければ、当然聞こえていた本人に気にした様子は無く、その事を伝える様に片手をヒラヒラと揺らし応えるだけ。

 ストーム1にとっては変に緊張させるよりはそれぐらい軽口を叩けている方が好ましい。どうせ戦う時は嫌でも突きつけられるモノがある。だったら今ぐらいはそれでいい。

 

 故に話題の内容が自分のことなのに意味が分からずとも大して気にしていない。機械の設置を終えたのか、スコール達に向けて威嚇を始めた篠ノ之束を放置する事も容易だ。

 

「なんだこのクソ兎、ウザってぇ。ってかお前のその服装もなんだよ。色気づいてんのか? いつものジャージの面影もねぇじゃねぇか」

 

「絡んでくるな、貴様もウザい。私は自分の外見をちゃんと把握しているだけだ」

 

「あら、私も飛びかかるんじゃないかと心配だったけど、マドカもちゃんと精神的成長もしているのね」

 

「……す。……殺す。あぁそうさ。触れられたら殺す。声を掛けられたら殺す。近付いてきたら殺す。作戦の邪魔でも殺す」

 

「コレ成長してんのか? スコールの勘違いじゃねぇか?」

 

 なんてやり取りでマドカが呪詛の様に「いつか殺す……」と繰り返し始めていても、作戦の概要は伝えてあるので問題もない。

 逆にこの喧騒に懐かしさを覚え、もう少し……と思うストーム1だったが、部屋にアラートが鳴り響く。

 

「作戦開始」

 

 大きく叫んだわけでもなく、ただ淡々と発せられたストーム1の一言は一瞬で空気を変え、それぞれが役割を果たすために動き始めた。

 経験不足ながらも相応の訓練を積んできた専用機持ちの代表候補生四人も遅れないようにと動き始める中、篠ノ之箒と織斑一夏は切り替わった初めての空気に戸惑い、何をしたらいいかを忘れて固まってしまうが、そんな二人の肩に優しく手が置かれる。

 

「一夏、その緊張は悪いものじゃない。だから焦る必要もない。また一つ成長してこい」

 

「箒ちゃんも楽しんでおいで。今の箒ちゃんなら大丈夫だからさ! 束さんもいるしね!」

 

 姉からの言葉に二人は、今まで感じていた嫉妬や羨望、怒りもあれば今更と呆れもあったかもしれない。いや、もしかせずともそれらは今でも複雑に絡み合っている。

 だが、その中に確かに生まれる小さな驚き。そして嬉しさと安心感。知らず知らずに求めていた事を自覚し、得られたという事を理解した二人にとってその一歩は不思議と軽いものだった。

 

「「いってきます」」

 

 

 

――

 

 

 

 熱を持つ気持ちに背を押され、先に出たセシリア・オルコット達と合流した織斑一夏と篠ノ之箒を合わせた六名は、各自ISを展開して目標地点への移動を終え待機をしている。

 通信確認のついでに作戦の最終確認などを行っていた六人――その中でふと、セシリア・オルコットが誰もが気になっていた事を口にした。

 

『スコールさんとオータムさん、そしてマドカさんでしたっけ? あの方達は何者なんでしょう。それにあの黒いIS……まさかそんなことありませんよね?』

 

 山岳地帯の一角に待機する六人よりも離れた位置。海上上空にて大きなトライアングルを組む様に待機する三機のISは、ハイパーセンサーで目視する事こそできるが、その機体にはノイズが走り正確な姿を見ることができない。

 更にセシリア・オルコットにとってはマドカがBTシステムを扱うという事実。その技量の差も見ているだけで分かってしまう故に言及したい事が溢れ出てくる……が、それ以上に気になる存在がある。

 

 マドカが操るシールドビットの傘を足場に水面に立つのは、赤と青のラインが入った全身装甲の漆黒。

 以前に見たハンマーや殺意の塊の様な武器こそ持ってはいないが、その時の印象はあまりにも強すぎた。

 

『前に私達が襲われた時に現れたアレだよね』

 

『あぁ……でも前は分からなかったけど、あの雰囲気というか佇まいというか……どうしよう、脳がバグってるかも』

 

『安心しろ嫁よ。その感覚は正しい』

 

 たとえ肩からアームが伸びて巨大なリボルバーの様なモノが生え、片手には小型戦車に付いていそうな銃身のある武器を握っていようとも、その漆黒があの時の漆黒であると分かる。

 加えて今の織斑一夏達には、もう一つの真実へ辿り着く。

 

『見たこともない武装しているけど、皆はあの黒いISを知ってるの?』

 

『知っていると言っていいのか、知っているつもりだったと言うべきか、今知ってしまったというべきか……少なくとも姉さんの知り合いである事は知っていた』

 

『篠ノ之博士の知り合い……え? いや、まさかそんな』

 

 尤もシャルロット・デュノアとラウラ・ボーデヴィッヒは当時を知らない。だがラウラ・ボーデヴィッヒは自信満々に確信している様子であり、篠ノ之箒の返事を聞いたシャルロット・デュノアも一つの可能性が浮かびあがり、必死に否定するが――その甲斐無く問答無用の答え合わせが行われる。

 

『こちらストーム1。敵機レーダーに入った。およそ四十秒後に接敵する。分断はこちらで行うが、同時に全機耐衝撃準備を。又、分断直後は数秒通信障害が予想されるからそのつもりで。これは現在の通信状況の確認も兼ねている、即時返答するように』

 

『ラブラブ裏方組はバッチリ~! 続けてどうぞ~』

 

『スコール、いつでもいいわよ』

 

『オータムだ。問題ねぇ』

 

『マドカ、了』

 

『クロエです。こちらも問題ございません』

 

『こちらラウラ・ボーデヴィッヒ、了解しました』

 

『……他は不具合か?』

 

 一拍の間。

 通信越しに聞こえる言葉で行われた取捨選択の結果、漆黒のソレがストーム1である事が否定出来なくなり様々な思考が行き交うが、その声に圧されて思考は今やるべき事へと集中していく。

 

『い、いえ! セシリア・オルコット、通信良好、作戦も承知いたしましたわ!』

 

『凰鈴音、大丈夫です!』

 

『シャルロット・デュノアです。問題ありません』

 

『篠ノ之箒、私の方も問題ありません』

 

『お、織斑一夏! いけます!』

 

『ストーム1、了解。戦闘開始』

 

 淡々と告げられた言葉と同時にストーム1から発射されたのは、緩やかすぎる速度の弾頭。目で終える程にゆっくり進むそれは、次第に速度を上げていく。

 しかし、既に目視できる距離に来た銀の人にも銀の福音にもソレが当たるとは誰もが思えす、事実それはどちらにも当たる事無く、変わらず速度を上げながら二体の間を抜けて十分に距離が出来た所で――『衝撃来るぞ』

 

 ストーム1から入る一言。

 

 同時に小型戦車の砲身の様なソレから放たれた弾丸が、1019.2m/secという速度で先行する弾頭を穿ち――恐怖を押し付ける爆発と暴風が開戦の狼煙を上げた。

 

 






装備1左手:超重粉砕迫撃砲
装備1右手:38ミリ レイジキャノン砲
装備2左手:ジャックハンマーMBF
装備2右手:NCSSキャノンショット
補助装備:ダッシュセルG
補助装備:アドブースターG



装備編成紹介は今回が最後です。
次は色々使うので、使った装備のみを記載する形になります。
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