『こちらクロエ、通信回復を確認。以後、束様と織斑千冬様に代わり私がナビを致します』
『はい、こちらストーム1、回復確認。敵勢力分断完了。スコール、オータム、マドカは作戦通りに』
『おいコラ! イカれ野郎! あんなもん使うなら先に言え!』
『衝撃の予告はしたぞ?』
オータムの怒声に返したストーム1は、武装を切り替え、事前に停滞させていたシールドビットの傘を足場に上へと跳んでいく。
目標は当然、超重粉砕迫撃砲の爆風を受けて尚、傲岸不遜を表した様に佇んでいる銀の人。
『本当に弾除け役に徹するだけでいいの? さっきのを使うにしても、全員でやった方が早いと思うわよ?』
『流れ弾や破壊した部位の除去だけで問題ない。更地にするわけにはいかんからな。同じ理由で粉砕迫撃砲は使わん』
更に言えば口にこそしないが、銀の福音の暴走に銀の人が関与している可能性がある以上、ストーム1はスコール達を直接戦闘に参加させる気は無い。
ただそれでも、光弾や吹き飛ばした部位の処理をしてもらえるだけでストーム1にとっては十分に戦いやすくなる。何より被害を抑えるためには、スコール達の存在は必須に近い。
『光弾来るぞ』
組んでいた腕が自分に向けられ、その掌から僅かに漏れた光を見逃さなかったストーム1は一言だけ告げ、サイドスラスターで真横に滑りシールドビットの足場へ。
一拍の後にサイドスラスターとジャンプブースターの組み合わせで一気に距離を詰め、懐に入り込んだ所でジャックハンマーMBFを右腕に向け瞬く間に叩き込み、ちぎり飛ばされた右腕をNCSSキャノンショットで吹き飛ばす。
『腕は海に落ちる。光弾の処理を優先しろ』
そのまま左腕をやるには高度の維持もリロードも間に合わないと判断したストーム1は、既に発射され始めた光弾の処理を予定通りにスコール達に任せ、自分はジャンプブースターで高度を取り直すとパワードスーツを待機状態へと変える。
そしてこちらを狙おうとする腕を握力に任せて掴み、懸垂の要領で腕の上に立つと同時にパワードスーツを展開。
懸垂中に変更した装備であるフラッシング・スピアM5を杭代わりに腕に突き刺し固定したストーム1は、ブラスト・ツインスピアM5をその卵面へと全弾打ち込んだ。
『おい、今――『オータム、気にしちゃダメよ』
『弾の処理も満足にできんのか』
『……オレがズレてんのか?』
さも当たり前の様に戦闘中にも関わらず待機状態へと移行し、即時展開をして見せたストーム1に困惑したオータムは、動揺から二発ほど光弾の処理を怠ってしまいシールドビットがカバーをした。
その事をマドカに煽られ、本来ならば言い返していたであろうオータムだが、それ以上に納得がいかない様子。それでも以降は漏らす事も無くマシンガンとエネルギーワイヤーで光弾は処理しきったものの不満げな様子が変わることはない。
しかしスコールの言う通り気にしている暇が無いのも事実。
『マドカ、足場と俺の背に壁を。次の攻撃はこちらで対処する』
身を回転させ翻す様な動作で腕を振られたことで飛ばされたストーム1からの通信が入ると、ズタズタにされた顔面どころか失われたはずの腕まで急速に生やした銀の人の背後には、煌々とした光輪が現れた。
言われた通りにマドカがシールドビットを配置すると同時に着地したストーム1と銀の人が動く。
ストーム1はまたしても待機状態へと切り替え――銀の人の光輪の輝きが強まり
今度はすぐさま展開を行い――光輪が回転を始める両手を翳し
大盾を二枚構えるストーム1に高速の光弾と緩やかな光弾が降り注いだ。
時間にして数十秒。止め処なく爆音と爆風を生み出していた光弾が止み、ストーム1が居る場所は煙が立ち込め様子が分からない状況。
そこに向けて銀の人が拳を振り抜こうとした瞬間――煙の尾を残しながら超重粉砕迫撃砲の弾頭を穿った弾丸がリズムを刻むようにその拳を破壊した。
『スーくん様、上空に空間の揺らぎを確認いたしました。想定より小規模ですが、生体反応は無し。隕石による攻撃が予想されます』
『了解。スコール、オータムと右側を頼む。オータム、今すぐワイヤーで俺をビットに固定。マドカ、欠片と脚は任せた』
『分かったわ。オータム』
『オーライ』
『了』
クロエの通信を聞きながら残りの38ミリレイジキャノン砲を撃ちきったストーム1は、頭の中で必要な装備を選び最速でパワードスーツの着脱及び武装変更を終え、更に集中力を研ぎ澄ませていく。
懐かしい感覚。
少しだけ世界が遅くなった様で、その中で自分だけは等速で――。
『お前の動きがよく見える』
雲を押し退け、予想通り最初の隕石が顔を見せると同時に銀の人は右脚を少し引く――のをストーム1は見逃さず、即座にNC290ハンドキャノンの砲口を向けトリガーを引く。
そしてもう片方のハンドキャノンの砲口は空へと向け一つ目の隕石を打ち砕く。
左腕が動けばその肩を。
二つ三つと隕石を。
『マドカ、距離を開けてくれ』
距離を詰めようとすればシールドビットが距離を開けると同時に額に。
途中降ってくる大きな隕石は一発目で半分に、二発、三発と使い四分割に。
敢えて部位を破壊しないように銀の人の行動の出だしだけを打ち抜き、もう片方ではマドカが処理をし易い様に隕石を打ち割っていく。
『見ろよスコール、あのイカれ野郎の気持ち悪りぃ精度』
『あれで知覚強化の手術もせず、ハイパーセンサーも使用していないって言うんだから驚きよね』
ストーム1とマドカの戦いを見ているスコールの周りにはチリチリと火の粉が舞い、近付いてきた隕石に纏わりつき爆破。
砕けた隕石の欠片は、スコールのプロミネンスと名付けられた炎の鞭とオータムのエネルギーワイヤーにより更に細かくされ、最後には薄く広く展開された熱線のバリアによって受け止められて海へと落とすという工程により陸には被害を出すこと無く封殺していた。
『あん? 随分とデケェのが来たな』
降ってきていた急に隕石が止み、少しの間の後。
急に明るさが増した空を見上げるオータムの視界には、今までよりも二回りは大きな隕石が二つ。
『スコール、オータム、変わらず処理できるか?』
『問題ないわ。ねぇオータム』
『あぁ問題ねぇ。そっちはいけんのかよ』
『こちらも問題ない。できるな? マドカ』
『愚問だ』
今までとは違い一撃で砕けはしないものの、爆発に次ぐ爆発で破壊したスコールの耳に、これまで聞こえていなかった暴風を彷彿とするモーター音が届く。
意識をそちらに向ければ、ストーム1はいつの間にか両片手にハンドガトリングを掲げ、片方は巨大な隕石へ。もう片方は両手を翳す銀の人へ。
そして聞こえていた音にテンポ良くタンタンと紛れていた音は、瞬く間にモーター音に並び、唸り声を上げながら銃弾の嵐となる。
銃弾の嵐は方や巨大な隕石を削り落としていき、方や銀の人が打ち出すエネルギー弾を物量にて相殺していく――。
時を同じくして超重粉砕迫撃砲の爆風により吹き飛ばされた銀の福音と対峙するのは、各々が専用機を操る六名の学生。
『いやいやいや、あそこだけ世界観違うだろ!!』
その中で唯一の男である織斑一夏は、後光を背に両手からエネルギー弾を発射する巨人やら、世界の終わりかと思わせる様な隕石の雨やら……少し離れた所で行われている距離感がバグりそうな戦闘に向け叫んでいた。
今でもエネルギー弾とガトリングの打ち合いが終わったかと思えば、一瞬でISの着脱が行われ、当然の様に
『いっく~ん、よそ見は良いけどクーちゃん到着まで後三分。しっかりね~』
『よそ見をするのであればしっかりと見ておけ。ストームの慣性制御はもはや芸術の域だ』
『束さんも千冬姉ぇもその反応はおかしいって! あそこだけ映画じゃん!』
なぁ!と、他の面々に織斑一夏の同意を求める声が返答はない。
ストーム1達への通信は篠ノ之束が不必要だと判断して現在切っており、織斑一夏を除く五人は心の中で大きく頷きながらも、ストーム1に限らずそこで戦っている技量の高さを理解し少しでも取り込もうと必死で声はでていない。
射撃精度、慣性制御、BT操作、接近技術、距離、緩急、どれを取っても自分達では到達できていない域であり、見ているだけで得られるモノが多く目が離せない。
ともなると銀の福音を相手にしているのにそんな余裕があるのか? という疑問が生まれてしまうが、結論から言えば余裕はある。
なにせ銀の福音は、既に篠ノ之束の手中。
篠ノ之束は、銀の福音との戦闘が始まり僅か二分で完全に暴走を制御しきった上で原因の解析を行っていた。
その二分間も織斑一夏達はチームワークで危なげなく圧倒していたが、今では模擬戦の様な状況になり緊張感はどこか無くなってしまっている。
現在は織斑千冬の指示に沿った再現戦闘を行っている中、篠ノ之束は解析を続けるに連れて表に出さない様にこそしていたが次第に機嫌が悪くなり始め――
『んー、やっぱり独自の言語だなぁ。にしても別の言語に対しての互換性が異常に高いねコレ。物理的にウイルスを打ち込んでいるような、まるで生き物みたいな……ナノマシン? いや、ピコマシンの一つ一つに意味を持たせて臨機応変に組み替えているような……あぁでもそうだね。この感覚はそうなんだろうね――人間臭すぎて反吐が出る』
――堪えきれず誰にも聞こえない小さく冷めた声が漏れた。
天才故に分かってしまう。僅かであれどきっかけとしては十分な癖にも似たソレ。
すり寄ってきたのか、元から似ている部分があるのかまでは分からないが、解析していく中で受けたその印象は篠ノ之束にとって気持ち悪さでしかない反面、思っていたよりも自分は人類に愛着がある事が分かり、ストーム1をまた少し知り、理解し、近付けたようで嬉しくなる。
『束様、目標地点に到着致しました。これより本艦は待機モードに以降。私は銀の福音へ接触を行います』
そんな事を思っていると、拠点にしている潜水艦を移動させていたクロエから無線が入り、ストーム1達の戦闘を映し出しているディスプレイを眺めて心を落ち着かせた。
『面倒押し付けてごめんねぇ……一応コア自体は掌握してるけど、こっちで色々やると搭乗者への負荷がさぁ。大気変質までは使わなくて良いから、ビビッと電脳に落とし込んで搭乗者の意思で解除させちゃって。ただ暴走して気絶までしてるから抵抗もないと思うし、こっちでサポートはするけど接触時には注意するんだよ!』
『心得ております』
クロエの言葉に満足気に頷く篠ノ之束は、最後の調整をしながらストーム1へと通信を入れる。
『スーくん、そろそろ準備できる――なっ!?』
突然篠ノ之束から驚きの声が上がる。
それは焦りにも似た声であり、織斑千冬ですら篠ノ之束のその反応を見たのは初めての事。
『束? どうした?』
『スーくん全力で逃げて! 多分かなりまずい! 全員その場から離れて! クーちゃんは現地にいかないで!』
取り繕うこともできず、焦りを露わにする篠ノ之束は全通信に向けて叫びにも似た声を上げ、あまりの様子にストーム1を除く面々は困惑し行動に移せずに固まる。
『姉さん?』
『束様?』
『篠ノ之博士、こちらで変化が分からないわ。撤退はするからその間に状況説明を『オータムだ。スコール、シールドエネルギーが急速に消費されてるぞ』――これは』
オータムに言われて確認すれば、確かにシールドエネルギーが急速に減っていっている。後十数秒もすれば無くなってしまうほどの速度。
スコールの計算ではまともに撤退する事はできそうにない。その前にISが停止してしまう。
『クロエは束さん達と合流。スコール、オータム、マドカ、織斑一夏達と合流しろ、そして固まれ。それぐらいは間に合うか?』
『クロエ、了解しました』
『ギリギリね。二人ともいくわよ』
無線越しに聞こえる声の様子からそれほど時間が残されていないと察し、何より目の前で織斑一夏達の方とスコールに向けて手を翳した銀の人の動きで何をするつもりか分かってしまった。
『各自ゴスペルの元に集まって待機』
『スーくん!』
『……攻撃直後は隙だ。そこで一気に仕留める』
『っ……うん、わかった』
『期待しているよ。束さん』
少しの溜め。
――腕を吹き飛ばすにしては力が溜まりすぎており、止めたほうが周りに被害が出る可能性が高い。
狙いは単純。
――そうすればストーム1は必ず守りに行くと把握されている。
見捨てるのは簡単。
――しかしストーム1にその選択肢は存在しない。
『行動の価値を理解させるのは癪だが、その程度でブレると思うなよ』
ブーストとスラスターを使った高速移動で三人より数秒遅れて織斑一夏達の元へとたどり着き、既にISが維持できなくなっている全員になるべく横に膨らまない様にまとまるよう指示を出しつつ、一瞬の装備変更を挟み、全員を背に先程も握っていた二枚の大盾を構えた。
「しっかり固まって互いに踏ん張り手を握り合え。その手を離すな。安心して耐えろ、俺の後ろに居れば死にはしない」
薄くストーム1の横にまで展開される半透明な壁。加えて計り知れない安心感を生み出したその言葉に力強く頷く面々――だが、ここで織斑一夏は不思議に思う。
自分たちのISは何故かシールドエネルギーが減り続け、直接的な攻撃でない故か救命領域対応が発動することもなく維持できなくなった。
であるならば、目の前の黒いISは何故変わらず動いているのか。
――ISだけではなく周辺一帯のエリアが停電を起こし、音すら飲み込むエネルギーが銀の人から発射された。
そこで織斑一夏の思考は一つの可能性を導き出す。
――緑色のソレは速すぎる事はないが遅すぎない速度でストーム1達へと迫っていく。
しかしそれに気付いた所でこれから起こる事が変わるわけではない。
ISであろうがなかろうが関係はない。篠ノ之束すら気付かなかった銀の人の目論見を防ぐことは出来ない。
唯一、証拠はないが確信しているのはただ一人。
「俺を殺せそうになくて残念だったな。だが、実に業腹だが、その選択を取った事には感謝はしようペプ◯マン。お前を殺すにはこの世界は暖かすぎた」
その呟きは誰にも届かず――世界は白に包まれる。
「ああああああああ!! クソッ! クソクソクソッッ!! ふざけるなよ! なんなんだよ!」
不可解な停電から即時復旧した瞬間、モニターで現状を確認した篠ノ之束は何か起こったかを瞬時に理解し怒りの抑える事なく声を荒げた。
それがこの瞬間まで気付かなかった自分に対してなのか、既にモニターやレーダーに映っていない銀の人に対してなのか、はたまたその両方かは本人にしか分からない。
「落ち着け束。ストームは、一夏達は無事なのか」
「……束様」
二人に答える事無く遠慮なしに振り抜かれた篠ノ之束の拳は、打ち付けた面を吹き抜けにする。ただその面に機器などはなく、外に出やすくなっただけに済んだ所を見ると、まだその判断ができるぐらいには冷静さがある。
「ふー……ふー……そうだね。落ち着かないとね。うん、いっくんも箒ちゃんも大丈夫。スコール達も問題ないよ。代表候補も銀の福音の搭乗者も大丈夫。ISの方は分からないけど、多分問題ない。銀の福音の暴走も止まってるだろうね。でも、うんそうだね、大丈夫、ちゃんと後でこの束さんがメンテしてあげるよ。そう大丈夫、映像でも確認できるよ。コアネットワーク使ってバイタルチェックでも問題ないさ」
「ならストームの予定通り攻撃を……まて、ストームはどうした」
「攻撃直後の隙? ははっ、ないよそんなもん。何故? 簡単だよ。居ないんだもん銀テカ。居ないんだよね、スーくんもさ」
「なんだと?」
「束さんの失態だよ。気付くべきだった。スーくんは気付いてた。コアネットワークからの切断やISの暴走させられるなら、それが出来る可能性もあった。前回の時に変に学習したんだろうね、スーくんはISの相手はISに任せられるなら任せるって傾向があって感じにさ。だから逆手に取られた……そうだ、逆手に取られたんだよ。それがこの世界が可能だと証明したのはあの銀テカじゃん! ん、まてまて、でも行き先が分からない。消費エネルギーから算出するのがいい? いや、それだと星の数を数えるより時間が掛かる。何か特定する術――」
「待て待て、勝手に一人で盛り上がるな。ちゃんと説明しろ」
一人の世界に入りかけていた篠ノ之束は、織斑千冬の声に少しだけ意識を向けるが、視線は目の前のモニターに固定されており、ベルトから伸びる二本の副腕と共に指は凄まじい速度で何かの入力を続ける。
隣には静かにサポートに入ったクロエが並び、二枚、四枚と増えていく画面にはこれまた凄まじい速度で文字が流れていく。
その様子を眺めつつ、急かしたい気持ちを抑えて織斑千冬が静かに待っていると、変わらず何か作業をし続けている篠ノ之束が独り言の様に喋り始めた。
「いけるぅ、いけるぞゥ! ふぃー、まったく束さんとしたことが、危うく世界の果てでちーちゃんと殺し愛しながら星を消す所だったよ。あ、説明だったね。すっごく端的に言うと、この世界にスーくんはもう居ない。遠くの国とか、過去とかじゃなくて全く別の世界に移動した」
曰く、ISの暴走はただの囮でストーム1と他のISを釣り出すのが目的であろう事。
曰く、戦闘が始まった時には既に戦闘地点一帯の電気系統は掌握されていたであろう事。
曰く、本当の目的はストーム1をこの世界から連れ出す事。
その後も篠ノ之束が現状整理をする様に語り落とす言葉を聞いていた織斑千冬は、粗方の状況を把握し終えて織斑一夏達へ帰還命令を出した。
もはや理解できない単語や数字の羅列を呪文の様に口にし始めた頃、戻ってきた織斑一夏と篠ノ之箒、ラウラ・ボーデヴィッヒの三名は、吹き抜けになっている壁や篠ノ之束とクロエの様子に困惑したが、織斑千冬に「今関わると死ぬぞ」と短く説明されて静かに部屋の隅へと移動する。
「あの、ス「名前を出すな。今は絶対面倒になる」――えっと、姉さんは何を」
「人探しだ。あのブツブツ言っているのは、おそらく頭の整理と、機械腕の音声操作と、クロエへの説明とを兼ねている……と思われる。すまん、私にももう分からん」
「は、はぁ……」
篠ノ之束が無視をしないであろう声。篠ノ之箒に注意をし、様子を察して懸命に絞り出された質問に答えてはみた織斑千冬だが、正直もう何をしているのかは分からず、ただ声と動きで予想しているだけにすぎない。
「それより、ナターシャ・ファイルスの容体は」
「はっ! 軽傷はありましたが触診の限りでは重症はなし、しかし未だ意識は戻らぬまま。旅館の人間に隣の個室と医療道具の使用許可を貰い、現在は簡易的な手当を終えた後、隣室にて寝かせております。又、私を抜かした代表候補生三名は流石に最後の爆発には堪えたようで、私の判断にて監視と共に休憩を与えております!」
「合流したスコール達はどうした」
「はっ! スコール隊はIS展開が可能である事を確認した後、周辺の状況確認を行うとの事で現地で別れた次第です!」
「なるほど。お前達も良くやった。他に報告が無ければ下がって休め。篠ノ之も、姉はあの状態だから今は話せん」
そう言われてしまえば残っていた緊張も解れ、篠ノ之箒は体が酷く重たく感じ、自身が思っていたよりも精神的に疲労していた事を自覚する。
今は言葉に甘えようと頭を下げて部屋を出ていこうとする篠ノ之箒だったが、織斑一夏はまだ何か言いたそうに様子を伺っている事に気付き、もちろんその事に織斑千冬も気付き、ストーム1の名前を出さないように気をつけながら「何が聞きたい」と問いかけた。
「あーっと、教えられないとかなら全然それでいいんだけどさ……もしかしてだけど、あの黒い機体ってISとは別物?」
確かに織斑一夏がそこに気付いた所で今の結果は変えられなかっただろう。
だが、かの者は侮りすぎていた。ストーム1ばかりで他を知ろうとしなさすぎた。
その先を予想していたのは唯一人。証拠はないが期待しているというだけで確信していた者がただ一人。
「それだぁ!!! いっくんナイスだよ! あぁぁ、そうだよ、なんで忘れてたんだろう!」
織斑一夏の言葉に反応した篠ノ之束はメカうさ耳を取り、コードで機材と繋いで先程の倍以上の速度で操作をしていく……。
使用装備
NCSSキャノンショット
ジャックハンマーMBF
フラッシング・スピアM5
ブラスト・ツインスピアM5
グレート・シールド
38ミリ レイジキャノン砲
NC290ハンドキャノン
FGZFハンドガトリング
ラピッドハウンド
FGX高高度強襲ミサイル
M3ブラッドストーム
砲口安定化装置S式
バリケードシステムX
シールド保護装甲Y型
アドブースターG
ダッシュセルG
マルチチャージャー4-4