彼方に継ぐ道化師   作:転生したらアメリカザリガニだった

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第五話 妖精顧問(スーパーアドバイザー)

 冒険者生活二日目の朝。ベルは息苦しさから目覚めて、飛び込んで来る衝撃的な光景にまどろむ意識が秒で覚醒した。いつの間に忍び寄ったのか、一つしかないベッドで寝ているはずのヘスティアが、あろうことか隣で心地よさそうに小さな寝息をたてて眠っている。

 

 ベルが逃げられないよう、細い腕を回してがっちりと抱擁して眷族を抱き枕にしていた。息苦しさの原因となっていた、ある膨らみを目の当たりにしたベル。天国と地獄を往復するような心持で、なんとか脱して一息つき、その場から離れる。去り際、「ベル君のへたれ……むぅ」という、ヘスティアの寝言を浴びて苦笑をもらし、ベルは朝食の準備に取り掛かった。

 

 こじんまりとしたキッチンに向かい支度をする。朝食の準備とはいうものの、もっぱら主食(メイン)はヘスティアが働いているバイト先で売れ残ったジャガ丸くんであり、温める位しかない。あとは見よう見まねで再現しようと努力した手製のスープ。味見にひとすくい口に入れるが、まだまだ目指す領域には程遠いのを舌で感じた。

 

「おはよう……ベル君。いい匂いだね」

「おはようございます。神様!」

 

 簡素に盛り付けをしたジャガ丸くんと二人分のスープをテーブルに置いたところで、神様が目を覚ました。ぐっと体を伸ばして、大きな欠伸をしながら出る間延びした挨拶に返事をしながら、二人分の(マグカップ)に水を注ぐ。睡魔から抜けきらない顔をしていたが、やがて香るスープの匂いに覚醒して、幼い顔に笑みが浮かぶ。

 

「おおーベル君、料理もできるのかい! うんうん、ご機嫌な朝食じゃないか」

 

 艶のある漆黒の長髪を揺らしながら、感心するヘスティア。正対するように互いに、ソファーに座って一緒に食事を始める。きぃきぃと半ば中身の綿とバネが出ている古いソファーの悲鳴を聞きながら、チラリとベルはヘスティアに視線を飛ばした。

 

 ヘスティアは、その可愛らしい口を小さくして、木製の(スプーン)ですくったスープを冷まそうと湯気を飛ばしている。その仕草と容姿だけを見れば幼女と少女の中間点。永遠に変わらない幼さを残す相貌に不釣り合いな胸の膨らみに視線が落ちるベルではあったが、自発的な瞬きを一つして邪な視線を剥がした。そして、またチラリと送る。

 

(……もう、怒ってないかな?)

 

 そう、内心で思っては胸をなでおろすベル。少年の与り知らぬことだが、初眷族の初手料理に上機嫌ならぬ超機嫌のヘスティアは向こう側の視線のなど気づかず、半端に冷めそこなったスープで舌を焦がして、水をゴクゴクと飲んでいた。

 

 ベルがヘスティアの機嫌を慮る理由。それは昨日の出来事。人々の喧騒が静まる真夜中の只中に帰宅して落ちたのは雷。すこぶる機嫌の悪い仁王立ちヘスティアに鬼詰めされながら尋問というの名のお説教を受けるベル。初の眷族が、初日から自神以外の女の子と仲良くなっている光景を見たヘスティアは無敵だった。そして、ダンジョン探索そっちのけで女の子と談笑しては夜帰りという後ろめたさ全開のベルの言い訳は無駄だった。

 

 両者、互いに抱く動機と心当たりから絶妙なまでの食い違いを見せるやり取りは終始ヘスティアの攻勢で押し進み、【ヘスティア・ファミリア】初規則(ルール)となる眷族の門限が決まった。投票、賛成二票と反対票無しの公正な結果である。

 

 そのまま正座で反省するしかない兎。そこから好転も逆転の一手も打ち出せず、少年の弁明もままならぬまま、何処に向かったのかと追及されて口にするのは市場通り。つまり買い物であり、それはデートであると思考を突っ走って全力妄想してしまったヘスティア。漆黒のツインテールが重力を無視して逆立ち、うねるのをベルは見た。

 

 怒れる女性の恐ろしさを知るベル。その姿に思わず重なる、ある人の面影にベルは身を正して小さく声を鳴らしては精一杯、謝った。そんな夜の出来事。

 

「――――今日もダンジョン探索に行くのかいベル君?」

 

 不意にかけられた声にベルは驚いて我に返る。

 

「は、はいっ! 少しでも生活が楽になるよう頑張らないと」

 

 既に朝食を食べ終えたヘスティアの問いに思わず、声がきょどる。気のせいか、その視線がさっきまでの穏やかなものから、緊張感が漂うものに変化している。

 

「ふーん、エルフ君と一緒にダンジョンへ行くのかい?」

 

 ストレートな問いかけにジャガ丸くんが喉を通らない。慌てて否定するが、そっぽを向かれた。まだ、怒っている、誤解されていると思いながらも必死に弁明するのだが、機嫌が悪いままだった。悲しみと一緒に食器を持って台所に向かうベル。

 

 そんな眷族の背中をじっと見るヘスティア。台所で悲し気な顔をして食器をシクシクと洗うベルを眺めながら、ヘスティアの胸中は絶賛後悔中の嵐であった。

 

(むむっ……どうしよう、完璧に機会(タイミング)を逃したーボクのアホー!?)

 

 昨日は勢いのまま嫉妬の感情を惜しげもなく全面に出してしまった。ベルが話した事情は十二分にヘスティアを納得させる事情であったし、一欠けらもやましい物はなかったと視抜いていた。なにより、誤魔化さず嘘も無かった。ぶっちゃけ許してた。

 

 だというのに、何故かモグモグとジャガ丸くんを食べる度、モクモクと復活して浮かぶ嫉妬の渦。初めての眷族が知らない女の子と歩いているという事実から来る悲しみと羨ましさが、どうしようもなくて、どうにもならないのである。それは独占欲。念願叶った、初めての眷族であるベルが自分ではない他の誰かに取られるのが嫌なのだとヘスティアは理解していた。

 

 だが、このままでは不味いとヘスティアは思っていた。ベル君に限ってありえない事だと思いながらも、仮に愛想を尽かして見捨てられたら数百年は余裕で引きずって引きこもってしまう。ついでに、ロキ辺りに弄られてムカつく。

 

(うーん、仲直りの妙案はないかなぁ……)

 

 この手の問題は時間が経てば経つほどに困難極まる。早急な対応を求められるのだが、どう切り出せばいいのかと悩む。むぅ、と腕を組んでは唸るヘスティア。詰め寄るのも、素直になるのも神の威厳的にアウトだ。という建前の後ろにある本音の恥ずかしさがあって、一歩進めない。

 

 ふと視線を移せば、身支度をする時に使う姿見に浮かぶ自分の姿。酷い顔だな、と胸の中で苦笑を落とす。そして時計を見れば、そろそろバイトの時間であった。慌てて髪をまとめようとして手にする、紐の髪留め。臨終間近のギリギリまで使い古された髪留めの紐が千切れないように上手く髪をまとめて、いつものツインテールを作る。

 

 目を離せば何処か遠くに行ってしまいそうな眷族や、限界を迎えて切れてしまいそうな髪留め等々。まったくもって気の多い一日になりそうだと、愚痴りながら姿見越しで少年と視線が合う。実に気まずい。

 

「じゃ、じゃあボクはバイトに行って来るからダンジョン探索、気をつけて行ってきてくれよ」

「はい、神様もお気をつけて……」

 

 バイトの時間に追われる形で後回しになってしまう、自分の愚かさを呪いたい気分。見上げれば空は昨日と同じ晴れやかな青空であったが、ヘスティアの胸中はどんよりとした曇り空。陰鬱な気持ちに満ちていた。

 

 

 

 バイト先に向かった神様を見送った後、ベルも身支度を済ませて本拠(ホーム)である、教会をあとにした。外は快晴、雲一つない青空。悠然とそびえる白亜の摩天楼(バベル)をベルは見上げては何かを決心するようにして、今から向かう場所に歩を進めた。

 

 やがて、その荘厳な佇まいが姿を見せる大神殿――――万神殿(パンテオン)。白い石柱と白大理石の壁で作られた、この巨大な神殿はギルド本部。この迷宮都市オラリオを運営、管理している機関、『ギルド』の大本であり、【ファミリア】でいうところの本拠(ホーム)

 

 生産系、医療系、花形の探索系、なんであれ【ファミリア】に属する者ならば、絶対に無視することのできない存在。殊更、冒険者として生活していくのならば切っても切れない関係なのが『ギルド』である。

 

 昨日、ちょうど時間も同じ頃。冒険者登録や探索系のアドバイザーの契約。【ファミリア】の登録等々と受付のギルド職員に案内されて説明されたのを思い出す。諸々の審査が明日……つまり、今日には終わると言っていたので朝一番に本部を訪ねることにした。そして、そのまま係の人に誘導されて面談用の個室に案内される。中に入ると昨日、出会ったギルド職員の女性がそこにいた。

 

「本日はご足労いただきありがとうございます。今日からクラネル氏のアドバイザーを務めることになりました、エイナ・チュールです。よろしくお願いします」

 

 小さく腰を曲げて事務的な挨拶をするギルド職員、エイナ。その清潔感を与える茶褐色(ブラウン)のショートヘアーが揺れ、覗かせるエルフ特有の長耳。しかし、先端はやや丸みを帯びていた。つまり、彼女はハーフエルフ。眼鏡の奥には柔和な色を宿す、緑玉色(エメラルド)の瞳があった。

 

「こちらこそ、よろしくお願いしますチュールさん」

 

 白い頭を下げてベルが口にした名字(ファミリーネーム)。それに返すように薄く微笑を浮かべるエイナが口を開いた。

 

「では、昨日お話した打ち合わせをしたいのですが……その前に私から提案を一つよろしいでしょうか?」

「はい、なんでしょうか」

 

 コホンと咳払いをして眼鏡をかけ直すエイナ。持参してきた書類の山を机の上に置き、ベルとの距離を縮めてきた。白い髪と深紅(ルベライト)の瞳から連想させる小動物の兎。オロオロとして視線を泳がせる仕草など如何にもそれらしいと胸の中に笑みを落とすエイナ。小さく腰を落としてベルとの目線を合わせる。

 

「これからクラネル氏の相談役。アドバイザーになるにあたって、今のような形式張った会話ではなく、砕けた話し方をしたいのですが」

 

 このエイナの提案は組織とは関係のない独断。エイナは自身が、アドバイザーとして担当する冒険者達に、こうして同じ目線、同じ立ち位置で築く関係性を重視していた。親密に打ち解けてこそ真の信頼関係が生まれるとエイナは思っている。『ギルド』と【ファミリア】のような利害関係ではなく、相互関係になろうとしての働き。因みにギルド長からは白い目で見られている提案だが、エイナは要領よくスルーしている。

 

「分かりました、じゃあ……エイナさん」

 

 そして、その提案をベルは間髪入れずに返事をした。歴代最速の即答である。過去の経験からして悩むのに六割、残りは提案を断るのが二割と怒って出ていく二割。男女別で割合を出すと、また話は違ってくるが男性冒険者からは断られたことは無い。勿論、その下に抱く心がどういうものか、エイナは苦笑いを落としながらも見抜いている。

 

「ふふ、うん。ありがとう、困った時や悩み事があったら気軽に相談してね、ベル君」

 

 エイナは穏やかな笑みを浮かべつつ、椅子を引いてベルを案内した。年頃の少年らしい反応をして椅子に腰を落とすベル。そして、テーブルを挟んで向き合う形でエイナはベルと向かい合う。少年の冒険者らしからぬ素直さと明るさは好感を持てた。一見して冒険者には見えない風貌だが、提出された彼の冒険者経歴書は『冒険者の外見や年齢は当てにならない』という格言を物語っている。

 

 ギルド長……ロイマン・マルディールから直々に聞き出すよう言われたことを思い返して、エイナは苦悩を悟られないよう押し込むように眼鏡をかけ直す。ギルド長が嫌味を織り交ぜてエイナに下した命令。それは都市外からオラリオに移籍してきた第一級冒険者の活動記録である。『ギルド』は昇格(ランクアップ)を果した冒険者達から、昇華に至るまでの道のりを記録しては参考情報として広く公開しているのだ。

 

 冒険者達の成長模範(モデル)となる情報。オラリオ全体の質を向上させるためのものではあるのだが、【ファミリア】の機密に深く関わる為、無理のない範囲で答えてもらっている。

 

 そして、今回。

 

 世界で唯一、迷宮(ダンジョン)を保有するオラリオにおいても数少ない高みに至った都市外の新参者、ベル・クラネル。そんな彼の成長模範(モデル)貴重(レア)な参考情報であり、ロイマンをはじめとした幹部達は喉から手が出る程に欲していた。

 

 本来であれば、この春の時期は多忙を極めており、その中でも数多くの業務をミスすることなく完了するエイナに追加としてアドバイザーを任せるというのはありえなかった。アドバイザーの業務を通達してきた犬人(シアンスロープ)のレーメル班長は死んだ目をしていたし、同僚であるミィシャ・フロットに至っては泣きつく相手が消えたので昇天していた。

 

 選ばれた理由の一つとしてあるのはベルが選んだアドバイザーの種族欄。他種族極める冒険者の人種問題を考慮しての項目欄であり、一部種族を除いて一番人気のエルフは常に引っ張りだこである。例え、それがハーフエルフであっても例外ではない。事実、男性冒険者からの人気はすこぶる高いギルド職員の一人がエイナだ。

 

 この繁忙期に、窓口を叩く新顔を優遇するほど『ギルド』という組織は甘くない。つまり、それだけ『ギルド』は、この少年を重要視している。あとは薄らぼんやりとギルド長の嫌がらせが含まれていそうだなとエイナは思った。きっと情報を引き出すことが出来なかったら嫌味が飛んでくるだろうことは明白だ。

 

 そして、この少年。ベルは間違いなしに噓偽りなく聞かれたことを全て話す、絶対に。そうなればどうなるだろうかとエイナは考える。ベル自身の実力は疑いようもなく本物だ。ダンジョンの無い都市外で第一級冒険者にまで登りつめたのだから彼自身、降りかかる火の粉は払えるだろう。だが、彼が所属する【ファミリア】の主神はそうはいかない。【ヘスティア・ファミリア】はいうなれば新規新鋭の派閥だ。

 

 将来有望な新参の派閥など、どうみても他派閥から嫌がらせを受けるだろう。それを未然に防ぐ眷族もベル一人だけとなると、正直な話だが不安だ。現に『ギルド』の思惑に半ば乗っかている。このまま彼の素性を表に出せば否応なしにオラリオ中の注目の的になってしまう。せめて、主神の護衛と本拠(ホーム)を預かる眷族が欲しいところである。それだけに主神と眷族一人の現状は極めて危うい。

 

(……よし! 決めた)

 

 時間にして数分も経っていないがエイナは熟考の末に納得する答えを出した。緑玉色(エメラルド)の瞳をベルに向ける、その視線は自然と弟を見るような柔らかい眼差しになっていた。

 

 ギルド長に急かされるだろうが、堪忍袋の緒が切れるまで時間は稼ぐ。確かに貴重な参考情報だ、でも都市外の成長模範(モデル)がオラリオの冒険者に役立つとは思えない。つまり、発信するのは外。そして、その情報をわざわざ他国に流すことなどしないだろう。であれば、発信先は一つだけだ、『学区』しかない。

 

 ギルド職員として働くエイナは他でもない『学区』の卒業生。故に知っている『学区』の成り立ちと『ギルド』との関係性。それこそ、ベルの成長模範(モデル)が参考になれば勧誘(スカウト)の際、より質の高い学生がオラリオに席を置くのだ。恩を売りつつ貸しを作って利益を確保するのは如何にもギルド長らしい。

 

(学区がやって来るのに数ヶ月の猶予が……大丈夫、時間はまだある)

 

 エイナは少年から視線を剥がして窓の向こう見た。雲一つない青空の彼方にあるだろう『学区』に向けて。胸の中で滲む苦い感情に蓋をして眼鏡をかけ直す。

 

(今はアドバイザーとしてベル君の今後を考えよう)

 

 胸に落とす言葉と共に切り替えては持参してきた、分厚い束となっている羊皮紙と羽ペンをベルの前に置く。

 

「それじゃあ確認なんだけど、ベル君。ダンジョンについて、どれくらい知っているか確かめてもいいかな?」

「はい、大丈夫ですよ」

 

 ベルの返事にエイナは頷き、束ねていた紐をほどいて羊皮紙に指を指す。そこには、ぎゅうぎゅうに書き記された圧倒的なまでの文字の暴力であった。

 

「ダンジョンに関する、ちょっとした試験(テスト)を作って来たから今日は勉強しようかベル君」

「……勉強ですか?」

「うん、こればっかりは強制だよベル君。嫌かもしれないけどダンジョンは本当に危険が多い魔窟なんだからね。確かにソロとはいえベル君一人で深層まで行けるだろうけど、私はオススメしないかな……可能なら当分の間、私が定めた階層区域でダンジョンの空気に慣れて欲しいと思うの」

 

 ダンジョンという閉鎖空間もさることながら、絶え間なく産まれるモンスターの脅威に常に神経を尖らせて疲弊するのが新米冒険者の通る道だ。あまりに例外的なベルでも、その可能性が少しでもあるのならギルドの定めている適正基準を満たしていても、下層や深層に出向かせるのはアドバイザーとして失格。しがないギルド職員には推し量ることのできない偉業や場数を踏んでいたとしても、そこだけは譲れない信念がエイナにはあった。

 

 まずは必要な知識。ダンジョンで起こりうる……過去に起きた事故や事件のトラブルから異常事態(イレギュラー)。各階層に出現するモンスターの特色、特徴。そして対処法をこれまで通り、叩き込まなければいけない。もしかしたら今まで担当した冒険者達と同じくベルも逃げ出すかもしれない。でも、今回はそうならないと予感めいた期待を抱き、少年の返事を待った。

 

「分かりました、よろしくお願いします。エイナさん」

 

 やる気を見せるベルの言葉に笑みを浮かべて頷くエイナ。そして始まる勉強会は日が傾くまで続いたが、エイナの期待を大幅に上回る結果となる。徹底指導の教育(スパルタ)と名高い、エイナの大変、有益な勉強会は荒くれ者の冒険者をして逃げ出すほどの試練であった。そして、誰が呼んだか『妖精の試練(フェアリー・ブレイク)』という名で恐れられている。過去、狭き門をくぐり抜けてハーフエルフを担当にした男性冒険者達が素足で逃げ出したのはこれが原因だ。

 

 都市外からやって来たばかりの者からすれば過酷で困難である。だが、山積みの試練を前に参考資料に一瞥もくれず、ひたすらに羽ペンを走らせては、その解答にエイナは驚嘆する。前人未到の初見クリア、全問正解であった。

 

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