ごみ拾いしながらコーラル漬けの飼い犬と飼い主を救おうとするお話 作:一般通過コーラル漬けルビコニアン
え、一晩でそこまで上がったの?
残党を狩り尽くして、基地に帰還。
ACから降りるとカーラが迎えに来てくれた。
―――ボス、ただいま戻りました。
「ああ、見ていたよ。ただアタシの断りなしに出撃したのは頂けないねぇ?」
俺を叱りつけるがその割には声と表情が一致していない。
―――申し訳ありません。RaDの拠点から近かったので居ても立ってもいられず。
「気持ちは分かるよ。だけどアンタは今RaDの代表としてここにいる。アタシはアンタの上司として独断専行に対する罰を与えなきゃいけない」
ニヤニヤと笑みを浮かべながらそう言ってくるので何となく察しがついた。
―――……わかりました
「……さっきハンドラーの猟犬にデレデレした分もキッチリと話をしようじゃないか」
俺の耳元でそう囁いてそのまま踵を返した。「ぼさっとするんじゃないよ、早く作戦室に戻りな」と言われ、カーラの後を着いて行った。
「戻ったようだな命知らず! 明日G5と仲良く扱いてやる。覚悟しておけ!!」
作戦室に入るとミシガン総長からのありがたいお言葉を頂いた。やっぱり免れなかったか……
「アタシからもお願いするよ。何せ今まで本格的な訓練も受けてなかったんだ。この際アンタらの洗礼を叩きこんでやってくれ」
カーラからの援護射撃にミシガン総長はより一層笑顔を深めた。地獄確定でイグアスが笑いを堪えているのが見える。お前も地獄を見るのは確定なんだが……
この後の地獄に辟易していると後ろから誰かに肩を掴まれた。
振り向くとV.Iのフロイトがそこにいた。
「やあ、初めましてだな。俺はV.Iのフロイトだ。早速シミュレーション室に行こうじゃないか」
あ、厄介オタクに捕まった。
抵抗する間もなくシミュレーション室に連行された。スネイルが憐れみと感謝の眼でこっちを見ているのを最後に作戦室のドアが無情に閉められた。
V.Iフロイトが『彼』をシミュレーション室に連行するのを、スネイルは自分が受けるはずのしつこいアセンブル検証の誘いから解放されたこと、そしてそのすべての矛先が『彼』に向けられたことに若干の憐れみと感謝を込めて見送った。
(これで安心して事務作業に移ることができる)
元々ヴェスパー部隊は作戦執行のための部隊ではあるものの事務作業を行う人員がルビコンには来ていない。故に、各々で行うほかないのだがV.Iは見ての通りで役に立たない。その分のしわ寄せと本社からの『ありがたい気遣い』があるため更に時間がかかる。
(だというのにフロイトはそんなことに構わず検証に執拗に誘うものだから断るのにも時間と労力を割かれる始末っ! それを彼が受けてくれるのはありがたい)
其れだけでは無い。3社合同になり書類の企画を統一するという作業が発生してしまったものの、事務作業をする人数が一気に増えたこともまた、彼のストレスを軽減させるのに一役買っている。
(今日は久々に溜まっている電子書籍でも読み漁りましょうか……丁度良い茶葉がないのはいささか残念ですが、贅沢は言えません。時間があるだけましだと思いましょう)
そんなことを考えながら、事務室に向かうのだった。
おまけ:久しぶりの顔合わせ
ウォルター:「久しぶりだなカーラ」
カーラ:「何年ぶりだろうね? アンタも相変わらず変わっていないようだね」
ウォルター:「そういうお前は……随分と変わったな。アイツも拾ったときから考えても随分と若いが……手術を受けたのか」
カーラ:「ああ、アイツの為を思えば安いモノさ」
ウォルター:「そうか……お前が受けるとは意外だ」
カーラ:「なに、アタシもオンナだったってだけだ」
ウォルター:「……そうか。喜ばしいことだ」
ウォルター:「ところでアイツの姿がお前より若いのは……」
カーラ:「アタシの趣味さ」
ウォルター:「…………そうか」
おまけその二:スネイルと本社の通信ログ(3社共同調査前)
『……という事だから残りの2社と協力してね』
「了解しました」
『あれ? 声が小さいようだけどこの共同調査の重要性を理解しているのかな?』
「―――ッスゥ―――……ええ、重々理解しています」
『本当かなぁ…? まあいいや。あ、あとこの書類だけど明日まで片付けておいてね?』
「は? いや、しかし期限はまだ先―――」
『社会人なら期限前に終わらせてチェックする時間を作るべきでしょ? 出来なかったら査定は低くなるからね?』
(……まだ半年以上もあるモノをチェックする時間だけでどれだけかけるつもりだッ!!!)
『何か言ったかいスネイル君?』
「ッ! いえ、何も」
『ふ~ん? まあ、とにかくよろしくね~』
通信終了
「クソッ!!! どいつもこいつも私を苛立たせるッ…! 私は企業だぞっ…!」(小声)