それではどうぞ。
春人達が無人機を倒していた頃、一夏達の所へ来た無人機も丁度機能を停止させていた。
「…ハァ、ハァ……やったのか…」
「どうやらその様ですわね」
一夏の問いにセシリアが答える。更に鈴と秋二もやって来る。どうやら四人でギリギリの相手だったようだ。だが、強敵を倒せて事により、一夏達には安堵の顔が見られる。
するとそこへ、
『一夏!聞こえるか?』
織斑千冬の声が入る。それも切羽詰まった様な感じだ。
「どうしたんだ?千冬姉」
『織斑先生と呼べ!…と、それどころじゃない。お前達が倒した無人機だが、まだこの学園に侵入したそうだ。しかも7機』
「……は?」
「…う、そ…」
「どういうこと?姉さん!」
「…ありえませんわ…」
一夏達は目の前が真っ暗になるような感覚さえ覚えた。四人がかりでやっと倒した相手があと7機?冗談じゃない。
エネルギーが充分にあれば少しは相手になるのだが、先程の戦いで全員エネルギーを使いきってしまったと言っても過言ではない。
『私も出るからお前達はエネルギーを…』
千冬の話をこの場にいない第三者が遮った。
「その7機は全部倒しました」
無人機を二機抱えた春人がやって来た。その後ろにマドカ、愛紗、恋がいた。
春人達は無人機を地面へ置く。春人以外が持ってきた無人機はどれもこれもボロボロだった。
マドカのはコアは焼けているし、愛紗のは全身穴だらけ。恋に至っては顔三つと一つのコアだけだ。
『なっ…お前達が倒したのか…?』
「…ええ。何故かは知りませんがこの無人機達、僕達の所へ来たので各自相手をしました。見慣れない形でしたし、無人機ということもありコアは成るべく傷つけないつもりだったのですが、三個しか残せませんでした」
その言葉に春人以外が罰を悪そうに顔をそっぽに向ける。
『…いや、倒せたのなら問題ない。むしろ感謝をしている。ありがとう』
「…いえ、このくらい…」
『すまないが、その無人機達のコアを持って来てはくれないだろうか?』
「…分かりました」
春人は三つのコアを持つと、ピットの方へ向かっていた。
それを一夏達は呆然と見るしか出来なかった。
「これが無人機のコアです」
春人は三つのコアを山田先生へと渡した。
「本当にすみません。神薙くん。本来なら私達教師がやるべきことを神薙くん達に任せてしまって…」
山田先生はペコペコと頭を下げてくる。本当にこの人には頭が上がらない。
「いえ、たまたま僕達が近くにいましたし、それにいい経験にもなりました。このくらいなら何とも無いです」
春人は丁寧に言葉を返す。すると後ろから織斑先生がやって来た。そして春人の前へ立つと頭を下げてきた。
「今回の事は本当にすまなかった。神薙。お前達がいなければどれ程の被害が出ていたか…」
「…いえ、僕たちは別に…」
先程の山田先生とはまるで態度が違う。あっ、しまったな、と思う春人だったが織斑先生は特に機にする様子は無かった。
「山田先生…先にそのコアを持って研究室の方へ行ってくれないか?私は神薙と少し話をしたいことがあるので…」
話?何かにあったのか?と思う春人。山田先生は、はいと答えるとすぐにこの場から立ち去った。そして織斑先生は先程とは違う真剣な顔になった。
「…なんでしょうか…?」
「いや、な…お前と二人で話をしてみたくてな…」
「僕にはありません…では…」
そう言い、春人は立ち去ろうとするが、
「待ってくれ!」
織斑先生に腕を掴まれた。
「待ってくれ、神薙。話を聞いてくれないか?」
流石に今の対応は無いなと思いつつ、春人は振り向く。そして何の話だろうかと聞こうとする前に、
「お前は……春人……なのか?」
「…は?」
何を言っているんだ?この人はと春人は思うのだが、次の言葉でその意味を理解する。
「…お前は……私の…もう一人の弟の…春人、なのか?」
「………何を…何を言ってるんですか?話が全然見えないんですが…」
それもその筈。いきなりお前は私の弟なのか?と聞かれたら誰だって戸惑う。当たり前だ。
「…いきなりこんなことを言ってすまない…だが、お前は…私のもう一人の弟に似ているんだ…凄く…」
春人は急に頭が真っ白になる。ここでなんと返せばいいのか分からなかった。最初は『会ったことが無いか?』と聞かれただけなのでどうとも無かったが、こうもストレートに言われれば、こちらもどう対応すらばいいか分からない。
だけど、春人は…
「…人違いですよ…僕があなたの弟なわけ無いでしょう?いきなり何を言い出すかと思えば…」
春人は必死で冷静さを保った。ここで、自分が弟だと言えばまた違った未来があったかも知れない…。だが、自分はもう決別したのだ。あの家と…。もう元には戻れない。
「それに、たまたま名前が一緒だっただけでしょ?顔だって世間には似た人だって少なからずいますし…考えすぎだと思うんですが…」
「……そうか……そうだな…、すまない。変なことを聞いて…今の事は忘れてくれ…すまなかった」
織斑先生は頭を下げると来た方向へと帰っていった。
『…いいのか?主人よ…姉はお前にとって…』
「いいんだよ…天照…もう、もう過去のことだ。それに僕はもう決別したんだ。あの家と…あの家族と…もう戻れない…」
春人はそのままおぼつかない足で部屋へと戻った。マドカ達には先に帰っててと言っているので心配するような事は無い。簪達から今回の事を聞かれそうだったのでそれはマドカ達に任せよう、と思い自分は先に寝ようと思う春人だった。
「あっ、話は終わりましたか?織斑先生」
その後千冬はIS学園の地下にある研究室に来ていた。無人機の残骸は後でこちらに持ってきて詳しく調べるつもりだ。そしてまず、その無人機達のコアを調べるのが先だった。
「ああ、待たせてすまない、山田先生」
千冬はコアのデータが出ているパソコンを覗き混む。
「織斑先生これは現在あるISのどのコアにも合いません。完全に登録されていないコアです」
「そうか…そうだろうな…」
千冬にはある心当たりがあった。あの天災…バカの事だ。
「何か心当たりでも…?」
「いや…私の考えすぎのようだ」
千冬はあの天災が原因だろうなと考えているのだが…今口にすることでは無い。
それに、今は…
「(神薙…お前は…)」
あのときの神薙は明らかにおかしかった。後になって冷静さを保っていたようだが、最初のあの間はどう考えても長かった。その事に気づかない千冬ではない。
「(…今は、まだいいか……)」
千冬はもう一人の自分の弟を思い出す。あの優しかった…弟を…。
「(お前は…私が必ず…)」
千冬の心の声は誰にも聞こえず、ただ自分の中だけに響き渡っていた。
side春人
春人は、あの後すぐに部屋に帰りそのままベッドに横になった。今はただひたすら一人になりたかった。思いもしなかったいきなりの言葉。春人は忘れようとしても中々忘れられなかった。それほど自分はあの家を恋しがっているのだろうか?それは無いな、と思いつつも夢では度々見ることがあった。笑いながら姉たちと一緒に暮らしている自分を…。
だがもう捨てたただの幻想だ。あれは…。今の居場所は皆のところだ。暖かいあの場所。
あの人が言った通り忘れよう。
そう思い意識を落としていく春人だった。
どうだったでしょうか?
ちょっと短すぎましたね…すみません。
今回はちょっと暗い?話だったでしょうか?
本当ならこの話はもうちょい後にくる予定だったのですが…二人になるシーンはあんまりないのでここでくいこみました。
ちょっと無理があったかな、と反省しています。
春人君は実際姉の事を嫌ってません。寧ろ好きな部類です。ですが、色々ありましたし、決別したということでもう自分には関係の無い相手だと思っているのですが、何処かそういった思いも少なからずはあるんじゃ無いでしょうか?(弟二人にはありません)
ですから二人にはキチンと和解、というか、話し合う場面を作ってやりたいと思っています。
あとヒロインの事ですが
丁度中間ぐらいなんですよね。取り合えず、11月12日まで待とうと思っています。
どちらがいいかよろしくお願いします。
ヒロインにするかは活動報告の方に載せたいと思います。
それでは、また読んでくれたら嬉しいです_(..)_