ある日のお昼頃────。
「やばっ、乱数調整ミスった」
わたしは妖精さんと出会った。
その妖精さんは真っ黒なワンピースと三つの足を生えたカラスと一緒にいる不思議な女の子の姿で、お兄ちゃんとママには見えていないようです。ときおり「コンナコトデこランスウガーッ!」とか「サイソウイヤダーッ!」とか叫んでいるけど。とってもかわいい女の子だ。
「ルビー、忘れるのよ。いいわね?」
んーっ、やだ。
わたしはそう言って妖精さんの言葉を拒否する。少なくとも妖精さんと出会えるなんて前世では一度も体験できなかったことだし。だから、わたしは妖精さんのことを忘れたくない。
「はあ、仕方ないわね」
わーい、やったーっ。
わたしは小躍りしながら妖精さんとお友だちになれたことを喜んでいると「えぇい、うるさいわね。いつか再走するから黙ってなさい」と言って妖精さんはカラスに怒っている。
ところで、妖精さんはどうしてお家にいるの?とワクワクしながら聞けば「そんなのRTAのためよ」と答えてくれたけど。
あーるてぃーえーって、なに?
「妖精のあそびよ。気にしないで」
ほえーっ、そうなんだ。
わたしは妖精さんの言っていることは分からないけど。とにかく難しいことをしているのは、なんとなく分かっちゃった。ウ~ン。わたしにも手伝えることってあるかなあ?
「あるわ。そうアイドルRTAがね」
アイドル!
わたしは妖精さんの言葉に反応する。
今日も可愛いママのライブをお兄ちゃんと一緒に見てたよ。やっぱり妖精さんもママ推しなんだね。そう笑顔で訊ねると「ふっ。私の推しは貴女よ、ルビー」と優しく頭を撫でてくれた。
まだ、わたしはアイドルじゃないよ?
そう妖精さんに言うと「それでも私の推しは貴女よ。いざ『星野ルビー最速アイドルRTA』を始めるわよ」なんてカラスに言っている。やっぱり、あのカラスも妖精さんなのかな?
「がんばりましょうねルビー」
うん、わかった!
あーるてぃーえーっていうのは分からないけど。わたしは妖精さんと一緒にアイドルになるよ。ママを越えちゃう、すっごいアイドルに!
「よし、修正できたわ」
…………んむう。ねむくなってきた。
「子供は寝るものよ、おやすみ」
おやしゅみぃ……。
わたしは妖精さんとカラスに手を振り、よたよたと歩きながらお兄ちゃんの眠っている横に寝ころぶ。んふぅーっ、日向ぼっこするのすきだなあ…。妖精さんも一緒に寝ればいいのになあ…。
「ふふっ。いつかね」
‥ふぁい……。
〈邪神幼女〉
邪神界のRTA実況者。
最後の最後で星野ルビーと