ラドリーのぱーふぇくと遊戯王教室【二次創作編】 作:Othuyeg
期待はするな。警告はしたからね。
「ラドリーと!」
「エルドリッチの」
「「ぱーふぇくと遊戯王教室~!!」である!」
どんどんぱふぱふ~! と音が鳴り響きクラッカーが弾ける。
今回は、「ラドリーとエルドリッチのぱーふぇくと遊戯王教室」の記念すべき第一回だ。
「この教室は、遊戯王OCG、及び遊戯王MDの二次創作とその派生について余が語り、ラドリーと共に学ぶ場だ。」
「はい! 提供は私、ドラゴンメイド・ラドリーと!」
「黄金卿エルドリッチでお送りしよう」
ぺこりとお辞儀をするラドリーの隣で、優雅に一礼する黄金卿。
挨拶を終えるとすぐ、エルドリッチがホワイトボードを運んでくる。
「では早速、第一回講義を始めようではないか」
「はい! よろしくおねがいします!」
ラドリーの元気な返事と共に、遊戯王教室の記念すべき第一回が始まるのだった。
「再三言うが、この教室は遊戯王の二次創作について語る場だ。遊戯王の基本ルールは既知のものとして扱うぞ」
「はい! 邪神の裁定とか、よくわかんないものもありますけど、基礎のルールはばっちりです!」
「うむ、良い返事だ。ではいくぞ。今回扱うのは、作品内でのみ登場するカード、いわゆる『オリカ』についてだ」
エルドリッチがホワイトボードに【オリカについて】と書く。
「オリカですか」
「うむ」
ラドリーに向けて大きく頷くと、エルドリッチは再びホワイトボードに向き直る。
「『オリカ』というものは、いわば作者の『こんなカードがあったらいいな』という願いの具現だ」
「なるほど。たしかに、現実に存在しないカードをつくってるわけですから、願望が混じってないほうがヘンですね」
「その通りだ」
エルドリッチがホワイトボードに【オリカ≒作者の願望】と書く。
「あれ? ここ、
「うむ、よくぞ聞いてくれた。これは、作ったカードのサポートのために、必要に駆られて作ったカードも存在しうるからだ」
「ほえ?」
首を傾げるラドリーを見て、エルドリッチは腕を組み、少し考えてからこう言う。
「つまりだな、必要に駆られて作るカードというモノには作者の『こうだったらいいな』は介在しにくい、ということだ。基本的にそこにあるのは、『これにはこれが必要だな』なのだ」
「なるほど……。必要だからつくったカードは、作者本人の願望とは違うところに重心がある場合が多い、ということで合っていますか?」
「うむ、素晴らしい理解だラドリーよ。
そう、考えていくうちに1枚のカードに詰め込むにはあまりにも効果が多すぎる、という場合もあろう。最強カードを作ったし、そのカードはお気に入りだが、ストーリーの都合上それを突破してもらいたい、という場合もあろう。
そういった場合に、例外的に『欲求や願望以外の目的』で作られるのがこのカード達だ」
ホワイトボードに【例外:願望や欲求以外の目的で作られたカード】と書き足す。
「ここからが本題だ。良いオリカを作る時、願望以外に必要なものがある。それが何かわかるか?」
「え? えーっと、えっと……。自重、とか……?」
首を捻りながら、おずおずと答えるラドリー。それを見て、エルドリッチは鷹揚に笑う。
「ふッ、はっはっは! それも間違いではないぞラドリーよ。正解は『現行の規制をよく見る』ことだ」
「規制を、よく見る……」
ラドリーの呟きに、エルドリッチが「うむ」と頷く。
「例えば、いわゆる『ぼくのかんがえたさいきょうのモンスター』を作ったとしよう。だが、それの効果が全て現行の禁止カードに存在していたとしたら? 当然読者は白ける。『そんなカード即刻禁止行きじゃボケ』『それこのカードとこのカード並べれば良くね? オリカの必要ある?』となるわけだな。そういうわけだから、そう言う強力なカードは慎重に作らねばならん」
「なるほど! カオス・ルーラーが禁止になったのに、カオス・ルーラーより単体性能と汎用性が高い墓地肥やしカードを作るのはダメって感じですね!」
「その通りだ」と返し、ホワイトボードに【・現行の規制をよく見ておく】と書き足す。
「まだあるぞ。次に、『どのような役割なのかを明確にする』だ。サーチに、高ステータスに、耐性に、除去に……と1枚にたくさんの役割を詰め込んでしまえば、結局何がしたかったのかわからなくなってしまうだろう。それを避けるためにも、初動札は初動札、フィニッシャーはフィニッシャーといった具合にカードの役割は絞って作るべきだな」
「分かりました!」
ホワイトボードに【・役割を明確化する】と書き足すエルドリッチ。
「少なくとも、オリカを作るならこの二つは最低限覚えておくべきだな。講座の内容としては以上。ここからはおまけだ。今まで以上に私見が入るから、話半分に聞いておくが良い」
ホワイトボードを裏返し、上部に大見出しとして【おまけ】と書く。
「早速私見だが、余はオリカでテーマは作らない方がいいと思っている」
「なぜですか?」
「これは、オリカの醍醐味である『未知への興奮』というモノを損なうからだ。そして、それは作品の雰囲気をも損ないかねない。オリカというモノは、その『テーマ性』やコンセプトを読者に理解してもらった上で使うからこそ映える。つまり、オリカでテーマを作れば、そのカードである必要性が薄くなり、カードの『テーマ性』やコンセプトが霞むのだ」
「まあ、単純に余が『そのキャラクターしか使えないテーマ』というモノが好きではないのもあるが」と言い、【▶オリカでテーマは作らない】と書く。
「はい! エルドリッチさま!」
「なんだ、ラドリーよ」
「すでにあるカードをオリカでテーマ化するのはありですか?!」
ラドリーの質問に、「ほう!」と驚いた顔をするエルドリッチ。
「ラドリーよ、素晴らしい質問だな。褒めてつかわす」
「えへへ~、ありがとうございます!」
「うむうむ。それで質問の回答だが、余はこれは構わんと考えている」
「そうなんですか!?」
驚くラドリーを膝にのせて撫でながら、エルドリッチは続ける。
「うむ。既存のカードにテーマ性を持たせたい場合は、それをオリカで行うのが手っ取り早いからな。それに、そういうカードをいい塩梅で作れるかどうかは作者の力量の見せ所でもあるだろう」
「なるほど、奥が深いですね……!」
「そうだ。一口に『オリカ』と言っても、その性質は多岐に渡る。気を付けて作りたいものだな」
うんうんと頷き、ラドリーを膝から降ろすエルドリッチ。そこで、ふと思いつく。
「そうだ、ラドリーよ。一つオリカを作ってはみないか」
「私がですか!?」
「他に誰がいる。そうだな……モデルは誰でもよい。既存のカードから、ラドリー独自のカードを作って見せよ」
「わ、わかりました……。あ、そうだ! つくりかたのコツとかありますか!?」
突然の無茶振りに、質問でどうにか時間を稼ごうとするラドリー。
「先程まで教えたことを守ればよい。後は……そうだな、作るのが簡単なのはフィニッシャーやメインアタッカーだろうな」
「フィニッシャーとメインアタッカーですか」
「そうだ。フィニッシャーならば、耐性は控えめにして、ド派手な盤面整理効果や攻撃力の増強、複数回攻撃などを持たせておけばよい。メインアタッカーならば逆に、派手な効果は持たせず、自己特殊召喚や耐性を盛って堅実な攻め能力を与えるが良かろう」
「な、なるほど……わかりました、つくってきます!」
―――12分後。
「できましたエルドリッチさま!」
「おお、存外に早かったではないか。どれ、見せてみるがいい」
「はい!」
【ドラゴンメイド・クシャトリラ】
星2/水属性
ドラゴン族/効果
ATK500/DEF1600
このカード名の(2)(3)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。このカードの種族はルール上「サイキック族」としても扱う。
(1):自分フィールドにモンスターが存在しない場合、このカードは手札から特殊召喚できる。
(2):このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合に発動できる。
自分のデッキの上からカードを7枚までめくる。
その中から「ドラゴンメイド」モンスターまたは「クシャトリラ」モンスター1体を選んで手札に加え、カード3枚を墓地に送ることができる。
残りのカードは好きな順番でデッキの上に戻す。
その後、このカードのレベルはめくった枚数分だけ上がる。
(3):自分・相手のバトルフェイズ開始時に、デッキから「ドラゴンメイド・クシャトリラ」以外の「ドラゴンメイド」カードまたは「クシャトリラ」カード1枚を除外して発動できる。
相手のデッキの上から3枚を裏側で除外し、手札・墓地・除外状態のレベル7の「ドラゴンメイド」モンスター1体を守備表示で特殊召喚する。
「……ラドリーよ」
「? はい」
「初動札の作り方を教えていないにも拘らず、初動札を作ってみせたことは称賛しよう」
「はい、ありがとうございます!」
「だが……」
「?」
「教えたことが何一つ守られていないではないかァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!」
「ひえぇぇぇぇ~!! ごめんなさ~い!!!」
ぱーふぇくと遊戯王教室、これにて閉幕。エルドリッチ邸は今日も平和だ。