続く気はない。
五条悟は死んだ。自分のすべてを持ってして宿儺に挑んだ結果、負けて死んだ。
現世のことなんて、唯一残された同期である硝子も教え子たちも、花程度にしか思ってない人間たちも、思うところはある。が、そんなことしたってどうにか出来るわけじゃない。
今際の際に見た景色が自分の妄想か走馬灯か、あるいはあれがあの世の一つの形なのかはわからない。正直、別にどちらでもいい。
思えば意味を見出だせない人生だったかもしれない。度々自分のふざけた態度がほんの少しの隙が周りにとって甚大な被害の原因になることは、よく考えれば数え切れないほどある。
けれど、像の一戯れが蟻を殺すように他者にどれだけ迷惑があろうとも自分にとっては些細なことに過ぎない。恐らくこんな狂った価値観が心の底に根付いた日から五条悟という人間は死ぬ覚悟が出来ていたかもしれない。
それをやろうとしなかったのはどこか自分が生まれた意味を探していた、だと思う。
全てがあの決戦のためなら、そうならば例え負けても全てを出し切れたならば悔いはない。
これで満足して逝ける。
ーーーと、ずっと自分に言い聞かせてきて、今になってそれが己の感情の誤魔化しに過ぎないと五条悟(ごじょうさとり)は気付いた。
「術式の解釈、か」
無下限を突破され胴体真っ二つにされ、それでも周りの声が聞こえる程度の意識はあった。
世界ごと空間という概念そのものを斬るというあの技。ふと気付いた程度でその応用から自分で試したら
獄門疆の中で果てのない時間の中でありとあらゆる可能性を試した。その一つが『時間』である。タイムマシーンがあれば最強でも欲するものだ。
「いやまさか出来ると思わないしな」
立て続けて初めての術式のアドリブに成功した自分を褒めてやりたいものだが、そうもいかないわけが今の五条にいくつかある。
一つは時間の逆行は出来たもののその理屈が全くわからない。ただ反転術式を使ったのだけは覚えてる。昔硝子がひょっとほいとか言っていたように言葉や理屈で言い表せない感覚だった。
次に目が覚めた瞬間からいつもの自分に違和感があった。周囲に目を向けば十年以上も遡ってるのがわかるが、若くなったとはいえここまで呪力が少ないのは異常だ。まあ原因は恐らく片方の目にあるのだろう。
六眼のお陰でほぼ無限に近い呪力は一般術師にまで落ち片方の眼は
そのせいで常に六眼による呪力まみれの世界と通常の景色が同時に見えるため所謂画面酔い担ってきたところだ。
「取り敢えずこれでいいか」
この頃はまだ目隠し布もサングラスもしてないので手短にある布切れで片眼を覆う。完全に、とまでは行かないが多少はマシになった。
そして最後に。
「うわぁ、マジで女になってんじゃん」
目隠しの時、異様に長い髪の毛にもしやと思ったが全身を確認するとどうやら自分は男性から女性に変わったのだと、五条悟は悟った。
「まっ、いっか」
しかしそれでも大して気にしてなかった。
他者、というより非術師に対する認識が花程度で同じ術師でもどこか違うと感じていた彼ーーー否、彼女は性別云々以前にそもそも自分は違う生き物という認識が強かったため、男とか女とか今までどうでもよかった。
けれど今は違う。
術師女より男のほうが優れるとか血を重んじる掟とか、それらのあらゆるどうでも良かったことが今の五条の頭を巡る。
別に男女差別主義に目覚めたわけじゃない。自分が最強じゃないことを知っただけだ。
故に、だからこそ五条は思考を巡らせる。
最強だと豪語した自分が全力を出し切ってない宿儺に負けたならもはやそれは最強ではない。
今まで適当に生きて夏油の死以来も彼の代わりに彼の理想を求めてきただけでそれは五条自身の願いではない。
自分はなんのために生まれてきた?そんな疑問が常に自分の中にあるが、今なら答えがわかる。
伏黒とうじとの戦いで反転術式に初めての成功した時の高揚感、自分が最強になったと自覚した時の優越感。
最強になりたい。
五条悟は今まで呪術以外何かを成したことはない。逆に呪術においては誰にも負けることはなかった。
とうじに負けたときも、そして宿儺に負けた今なら、呪術で負けた悔しさが何倍かはっきりと五条には感じられる。
故に今はただただ反省そして闘志を燃やす。
「いいさ」
この時間の逆行が本能の故意なのか自分の不本意なのかはわからないが五条悟は一つの結論を出した。
「もう一度、勝つまでだ」
五条は不敵に静かにほほ笑んだ。
続きは一応書いてますが多分載せることはないでしょう。賛否両論が多い内容になりそうだからです。続くにしても原作を読み返して設定を色々と練る時間が必要ですしめんどいです。あと単に読む気力がないですね。
原作のあの展開は一応なくはないと思いますがもっとうまいやり方というか表現いうものがあるでしょうになんでああなってしまったんですかね。
個人的に宿儺の術式がふわっとしたもの過ぎて、それなら他の術式も「何でもありじゃん?」ってなってしまい、五条がなんやかんやで時間逆行してもおかしくないという考えに至りました。
私個人の五条の解釈ですが、花発言は一応非術師に対するもので術師とは別の認識してると考えてます。そうじゃないと虎杖たちに青春がどうのこうのだとか伏黒の面倒を見てたこととか、全部嘘になりますし、宿儺ひいては呪いの本能が人間と他者と分かり合えないものだって五条もわかってるはずです。自分より強い奴と戦いたい(もしくは理解者がほしい)願望もそのために乙骨などを育ってるって思ってるので、いきなり何も考えず何も為せずに戦って死ぬだけの五条じゃないと思います。