やあ、こんにちは。俺は宇宙人御用達のペットショップで絶賛販売中の人間(♂)さ。
…………いや、マジで。
ーーーー今から大体3年前、地球という惑星は某有名映画よろしく遥か彼方の銀河系からやってきた宇宙人達によって征服された。
一瞬だった。
世界中の勇気ある人間達の映画みたいな感動的な犠牲も全く意に介さず、侵略者達は人類を、まるで庭にできた蟻の巣に水を流し込む幼子の如く呆気なく蹂躙した。
大規模な戦争はほんの数週間で終結し、その時点で世界人口は約37億人にまで減少するも、希望を捨てきれなかった
………これがまずかった。
宇宙人側の被害は極々微々たるものだったが、先の戦争で完全勝利していた彼らは人間とかいう下等生物の小賢しい抵抗によって犠牲者が出たことが余程気に食わなかったらしい。
それから半年の間に、人間は害虫として駆除対象に指定され、半分になっていた人口は2年をすぎる頃には億を切っていた。
俺たち残された数千万の人類も後は駆除されるのを待つばかりかと思い、武器を捨て、無駄な抵抗を辞めた。武装放棄し、隠れるのを諦めた人間を見た宇宙人達の反応は意外にも悪く無かった。
宇宙人側の偉い人が通訳を用意してくらたらしく、人間との対話の席を設けてくれた。対談した人間の代表達によると、元々宇宙人達は地球を侵略しにきたわけではなかったらしい。
端的に言えば、友好を結びに来たという事らしい。
ところが、いきなり現れた巨大な宇宙船に驚いたどっかの国が話も聞かずに先制攻撃をしてしまった為、戦争へと発展してしまったとの事。
聞くところによると、宇宙人的には1惑星単位で国家とみなしているらしく、人間のように1つの惑星を分割統治するという概念がなかったらしい。だから、先走った一部の人間の攻撃が、人類の総意として受け取られるハメになり、宇宙人達は反撃を開始、攻撃した覚えの無い国家から見ればいきなり現れた宇宙船から攻撃されたという状態になっていた。
なんとも悲しい行き違いである。
彼らとの交流を深めるため、人間側から何人か使節団的なものを送ることになり何故かそのメンバーに選ばれていた俺は、中型サイズの宇宙船でどこかの施設へと移送されている途中、初めて宇宙人を生で見た。
なんか…………犬?………二足歩行の。
創作物でよく見る獣人というやつに似ている。とは言っても、人間に耳と尻尾をつけたようなものでは無く、何というか本当に獣。骨格自体二足歩行に適したものになってはいるが、見た目は服を着た犬や猫だ。
「安心してください。痛い事も怖い事もありませんから」
通訳として付いてきている犬型の獣人の女性は妙に慈愛に満ちた声で、俺にそう言った。
慣れない環境でオドオドしている俺を心配して声をかけてくれたのだろう。
ここ2年味わえなかった安心感に溺れそうになった。
彼女の垂れ下がった大きな耳はふわふわとした毛に覆われていて、ショートボブのように見えて大変可愛らしい。
………あと、なんか俺を見る目がエッ(
研究施設のような場所に着いた俺は、見た事もない機械で全身を隅々まで検査された…………もうお婿に行けない。ちなみに検査を担当したのは白衣を着たガゼルだった。
数週間の検査の結果分かったことは、人間は身体能力的には彼ら獣人(仮)の完全下位互換であるということ。分かってはいたが免疫力も何もかもが負けているというのはあまりにも悲しすぎる。
しかし、何やら人間には俺たち自身も知らない特殊な力があるらしい。ガゼルさんの話によると、人間と獣人の間に何かしらの信頼関係?を築くと、獣人達の身体能力が向上するのだとか。この能力向上効果は関係が深ければ深いほど、効果量が上がるらしい。
ほんの数週間で通訳わんこさんと白衣ガゼル先生は身をもって効果を感じているらしいが、俺たち的には感じるものが無いので判断に困る。
強いて言うなら、ここ一週間彼女達の毛並みの艶が良くなっているような気がするというくらいである…………触りたい。
何はともあれ、獣人達の役に立つ能力が人間にあると判明したのは大きい。
戦争によって人口が激減し、ライフラインもぐちゃぐちゃにされた人間は生き残るための戦略を定めた。
獣人の皆様
拾ってください。