明日のパンツと少しの小銭で異世界を生きれるか   作:単眼駄猪介

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最初は申鶴×映司な原神書こうとしてたのにいつの間にか変わった……後悔はしていない()

ちなみに少年映司君に関しては原作ハジメの容姿でも映司でも構いません。
まあキャラとの掛け合い上、映司の容姿がデフォになりますが、お好みで……




オルクス大迷宮編
ダイジェストプロローグ


 

 

 

 

この物語を始める前に、火野映司という少年の事を説明しなければならないだろう。

まず、火野映司の家庭環境は複雑である。

映司が高校生に上がる前、入学祝いにと家族で外国へ旅行に行ったのだ。

しかし、それが火野家に大きな災いをもたらすことになった。

旅行先は観光資源を売りにした小さな国であった。

だが、その国は未だ内紛の残り火が燻っており、不安定であった。

そんな国に豊かな国からやって来た火野家がどうなるか。

映司の両親は共に大きな金を手にできる職についていた。

父親はゲーム関連の中小企業の社長、母親は人気漫画家で一人息子の映司はサブカルチャーに触れる機会が多かった。

そのおかげで彼は立派なオタクになったが、漫画やプログラミングの技術を習得するという中学生にしてはオタクの極にいた映司。

しかし、一つの不幸から彼ら火野家の絆はズタズタにされる。

その不幸とは内紛に巻き込まれた事。

現地の民族の暮らしを体験していた矢先の事もあり、当然火野家に抵抗する術はなかった。

まあ、例えボディガードを雇っていたとしても無駄だっただろうが。

大企業と比べれば小さいとはいえ、会社の社長ということもあって人質にされた火野家を使ってテロリストは日本政府と彼の会社に身代金を要求。

これに対し、日本政府は公安とツテを総動員で火野家救出に動き、なんとか救出される。

だが彼らに刻まれたトラウマは深かった。

それを起因に夫婦喧嘩はエスカレートし、遂にはお互いに息子の映司を放置して別居するという親としての責任の放棄にまで発展してしまった。

故郷に帰っても仲の良かった両親の醜い罵り合いを見た映司に更に追い打ちをかけるようにマスコミは火野家に押し掛けた。

これも夫婦喧嘩の一因ではあったが、世間がこの事を忘れるには時間を要したことは言うまでもないだろう。

 

 

高校に上がったのは良いものの、エイジの出席数は高校側の温情もあって退学ギリギリであった。

では学校に行かない日は何をしているかというと、最初は家に塞ぎ込んだり現実逃避にゲームにめり込んでいた。

そして次第に家から出て放浪するようになった。

今は亡き祖父の遺言を胸に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どこかの通学路で、一人学生服を着た少年が学校のバッグと一緒に派手なパンツを棒に引っさげて歩いていた。

 

「久しぶりの登校だなぁ」

 

そう呑気にボヤくのは火野映司、前述した人物である。

クラスメイトとの関わり合いはそう多くなく、絆を深める体育祭等の行事にも顔を出すことはなかった。

その為、映司の友人はほんの数人。

友人以外は映司の行動や態度からクラスメイトの大半は映司の事を究極のお人好しとして認識している。

まあ、良くも悪くも目立つ彼だったがとにかくポジティブ、気楽でいようとする彼の性格には一人の少女と少年を除いて見習うくらいには彼の事を認めていた。

 

 

さて、場面は変わって学校の教室に遅刻せずついた映司。

余談だが遅刻する時はしており、これまた退学ギリギリである。

 

「おはようございまぁす」

 

眠気を誘うような声で挨拶すると周囲のクラスメイト達も「おはよう」と返す。

あまり使われない映司の席にバッグを下ろし、教科書などを取り出す。

今日は小悪党(友人からはそう比喩されている)の絡みはないなと、映司は特に気にした様子もなく確認する。

クラスのマドンナに気にかけられているという理由でちょっかいをかける主犯格の檜山という男に、映司は「青春してるなぁ」と無関係そうに思っているがその元凶たる映司は彼からの行為を特に気にしてはいない。

むしろ、焼きそばパンを買うことを頼まれたら喜んで自腹で支払う映司に檜山が気持ち悪いと自分からあまり関わらないようにしている。

それでも、自分の事を忘れさせない為か、自分が映司よりも上位者であるという変なプライドから映司の欠席明けには必ず何か仕掛けるのだが………

それとは別に映司の意識外から彼に近づく一人の女子生徒。

 

「おはよう、映司君!」

 

「おはよう白崎ちゃん」

 

綺麗に整えられた黒髪の美少女、白崎香織が映司に挨拶をする。

彼女が前述したクラスのマドンナである。

そして彼女達の友人、天之河と八重樫、坂上も連れられるように割り込んで映司の下に訪れる。

 

「よう、映司。空手部にはまだ入らねぇか?」

 

「ごめん、俺は格闘技とかよく知らないし、今から入っても……ね?」

 

まずは筋肉男とも揶揄される坂上龍太郎。

映司の格闘センスに空手部に勧誘している男だが、今日もまた誘いを断われ「ウーム」と唸る。

映司に対してはヘラヘラとしている以外は好印象を持っている。

 

「火野、いつまでも特例だからと学校をサボるのはそろそろいい加減にやめれないか?クラスメイトへの影響ももう少し考えてくれ」

 

「ごめんね、天之河君。気を付けるよ」

 

次は天之河光輝。

キラキライケメンと言われれば納得するルックスと高い運動神経と頭の良さから女子からモテている、言わば一般男子から嫉妬の的の存在だ。

 

「ごめんね、火野君。3人とも悪気はないの。諦めが悪いと言うか……」

 

「大丈夫だよ、八重樫ちゃん。そんなに謝らなくても良いから。俺は気にしてないよ」

 

最後に八重樫雫。

香織とは長い友人である彼女は大和撫子を体現するかのような美少女である。

語尾に「ござる」でも付ければキャラ付けは完璧なのかもしれない。

そんなオタク感性に映司は違う違うとその思考を振りほどいた所で授業開始のチャイムが鳴る。

まだ何か言いたげな天之河を彼の席に押し戻す八重樫を見送りつつ、こちらにチラチラと視線を送る友人と遅刻してきた小悪党の檜山に少し居心地の悪さを感じつつ、映司は授業を真面目に受け始めるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時間を昼に進めよう。

授業が一旦終わり、昼食の時間となり生徒達は賑やかになる。

それぞれ自分が属するグループの友人と弁当箱を並べたり、既に食事を始めている男子達の中、映司は自分が昼食を持ってきていない事に気付く。

 

「あっ………」

 

やらかした、と映司は自分の財布の中身を確認する。

 

「の、野口さんが1枚に百円が3枚……」

 

日本各地を放浪するためにバイトは必須、なのだが映司はよく人助けに自分の金も躊躇なく使うので慢性的な金欠であった。

栄養ゼリーとパンでなんとか凌ぐかと映司は考え込んでいると、一人の少女が近付いてくる。

 

「映司君、お昼一緒に食べない?」

 

そう問いかけて来た彼女に映司は遠慮気味に答える。

 

「ごめんね、白崎ちゃん。昼飯持ってきてないから買いに行かないと」

 

そう言って映司は席から立ち上がった……その瞬間であった。

 

「何の光!?」

 

「うわっ!?」

 

教室の床が大きく光っていた。

突然の異常事態に逃げようとする者、驚愕のあまり身体が硬直していた者に別れ、教室に偶然残っていた一人の女性教師が「逃げて!」の声も虚しく、誰一人例外なく光に飲まれて消え去った。

 

 

 

 

 

 

後日、誘拐事件として世間に大々的に報道されるが一切進展はなく、世間からはすぐに忘れ去られ、しばらくの間オカルト現象としてその手の類が好きな者達が騒ぎ立てた事は蛇足というものだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、光に飲まれた肝心の者達はというと………

 

「いってて…」

 

映司は咄嗟に掴んでいた明日のパンツを抱えていた為、思いっきり尻餅をついていた。

それは一部のクラスメイトも同じようで、尻を擦る男子や女子がちらほらいる。

 

「初めまして、勇者達よ。私はイシュタル。勇者達よ、どうか我々に力をお貸しして頂きたい…!」

 

見知らぬ場所に放り出された少年少女達に現れた一人の老人。

勇者と呼ばれた彼らは戸惑いつつも、彼の話に耳を傾ける。

具体的には数で魔人族を抑え込んでいたが、魔人族も数を揃えられて窮地なので魔人族を倒してくれという内容。

そんな主観的なイシュタルの主張に、正義感の強い天之河は彼の言葉を信じてしまった。

見知らぬ世界に呼び出されて勇者と言われて完全に浮足立っているクラスメイトをよそに、映司はあまりにも綺麗すぎる壁画に一抹の不安を覚えていた。

 

「なんか……嫌な予感がするなぁ……」

 

その間に生徒達が帰らせろ、と大騒ぎするがイシュタルから魔人族を倒すまでは元の世界に帰ることはできないだろうという、希望的観測を口にして生徒達は天之河の説得……否、煽動もあり、教師の畑山愛子の静止の声は誰にも届いてなかった。

誰も、これから進もうとする先が戦争というものである事なんか理解しようともしていないのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

異世界から来訪した勇者が参戦する。

そうと決まればと教会から出てエレベーターのようなもので下山し始める一行。

本当に魔法で動いている光景には、映司も驚愕する。

同時に異世界に来たという現実を、各々が感じ取っていた。

 

「おい、映司……大丈夫か?」

 

ここまで誰とも話していなかった気の弱そうな少年、清水幸利が映司に話しかける。

彼に問いかけに映司はというとニコニコと返事をする。

 

「俺は大丈夫。むしろ清水君こそ大丈夫?高い所だと高山病とかあるから気を付けないと」

 

「あ、ああ、僕は大丈夫だよ。さっきから映司がどこか上の空だったからさ……」

 

「あー……ごめん、ちょっと考え事してたんだ。俺は元気だから大丈夫だよ」

 

「それなら良いんけど……」

 

どこか納得の行かない様子の清水であったが、立派な王城に入っていくクラスメイト達に置いていかれまいとすぐに意識を切り替えるのだった。

 

 

その後は……まあ、顔合わせと歓迎ということでパーティが開かれることになるのだが、映司は食事を食べるだけ食べて貴族や王族との顔合わせも程々に滑り込むようにベットに入って眠りにつくのだった。

つまりは特筆することはない、ということである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日、勇者とはいえ戦闘未経験の者達ばかりだ。

映司達は勇者専用に設けられた食堂で、各々に1枚の金属製のプレートを渡される。

王国の騎士団長であるメルド・ロギンスがそれの説明をする。

 

「ソイツはステータスプレートと言ってな。血を垂らして登録した奴の大体の能力を数値化してくれる代物だ。理屈とか仕組みは俺には専門外だから聞くなよ?」

 

事前に自然体で構わないという彼の態度に、他のクラスメイト達も雰囲気が柔らかになったからか、子供らしく自分にどんな力が与えられているのかとはしゃぎはじめる。

勇者というならば、自分にも何かあるのだろうと映司も少し楽しみになる。

針を刺した痛みに我慢しつつ、映司は指に滲んで出ている血をプレートに擦り付ける。

すると先程まで空欄だった場所に数字が刻み込まれ、文字が刷り込まれる。

 

「……あっれぇ?」

 

結果として、映司は困惑した。

先程のメルドの説明では天職と呼ばれるものがあり、天職持ちは数が少ないとのこと。

戦うために呼ばれた勇者ならば、戦闘職が当たり前……の筈なのだが、映司は違った。

 

「天職が【無職】って……ええ……」

 

身体能力の数値も平均的で、技能も言語理解と模倣だけ。

周囲は何やら大層な名前なのに、自分だけ無職。

映司の脳裏には一文無しの宿無しのイメージが浮かんでいた。

そんな彼を観察していた檜山はいやらしい笑みと共に彼のステータスプレートを奪い取る。

 

「んー?どうした火野ぉ?ちょっと見せろよ」

 

「あっ」

 

メルドなら何か知っているかもしれない。

そう思って聞きに行こうとして奪い取られる映司は、唖然とする。

 

「ぷっ!見ろよ皆!火野の天職、無職だってさぁ!」

 

そう言いながら大袈裟に大笑いする檜山に釣られるように笑い始める小悪党達。

流石に他のクラスメイト達も【無職】のインパクトが強くて笑ってしまうが、映司の格闘センスを知る坂上は笑うことはなく、ただ何故なのかと疑問に思った。

かつてその気に入らないヘラヘラとした面にパンチをくらわそうとして片手で軽くいなされた事のある坂上だからこそ、天職が無職であることに違和感を覚えた。(殴ったのは機嫌が悪かったのもあるが)

しかし、だからといって無職であることを変えられるなんて事はできない。

坂上は笑わずただ檜山にガンを飛ばすだけであった。

無論、威嚇された檜山は「ギョヒェッ!?」と奇妙な笑い声を最後に舌を噛んだのか、椅子に座り込んで悶絶していた。

一方でクラスメイトに玩具のように回されていた映司のステータスプレートは、メルドが回収して確認することでその流れを止めた。

 

「無職か………」

 

先程、勇者だと判明した天之河への喜びのテンションが急激に下がるのが明らかに分かる。

しかし、その顔は難しい顔でなんというべきか……という風に悩んでいた。

少しして彼は語る。

 

「無職は…まあなんにでもなれるが中途半端。器用貧乏って奴だな。ステータスも平均的だし、これからの伸び次第だな。まあ頑張れ、エイジ」

 

「…はい、ありがとうございます」

 

丁寧に返されたステータスプレートに感謝する映司。

無職かぁ、と映司は心当たりのある記憶に苦笑する。

これまで何度も放浪先でバイトをしては人助けをしたり、観光地に行ったりとやっていることが高校生のそれではなく無職やフリーターのそれなのだ。

もしかしたらそういうのが天職になるのだろうか、と映司は考察する。

メルドの口調からして外れに当たる様な天職なのだろうと映司は「運がないなぁ」と独りごちていると、教師の畑山がやって来た。

 

「先生も戦闘職じゃないし、外れみたいですし、元気だしてください!ね?」

 

といって彼女の差し出したステータスプレートの天職の枠には生産系の強力な天職ではないか。

メルドが大慌てになる中、これで完全に自分だけがハズレ者だと確認できた映司は「どうしよう……」と、悩むのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





実はスパロボ書いてるんですけど風邪でダウンしてネタも湧かずやる気も出ずで仮面ライダー書いてた。
知ってる方は石をお投げください。許し亭。

続くかは気分と読んでくれた兄貴達の感想次第です。


完全に興味本位なんですが読者の皆様はこの世界にいたら面白くなりそう、嬉しいという作品がありましたら投票お願いします!

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