明日のパンツと少しの小銭で異世界を生きれるか   作:単眼駄猪介

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ちょっとだけ映司が曇ったり、シリアス入ります。(予告)

そして今更ですが誤字報告してくれた方々、ありがとナス!
ミスを減らせるよう努力しなければ……

本編に関してちょっと言及するとちょっと序盤にオーズ原作の個人的な解釈が入ってます。
力の繋がり的な奴ですからあり得る話かなぁ…なんて思って入れてみました。
これからもそういうのがあって賛否両論あるでしょうが、本作を楽しんでいただければ幸いです。





古代王と再会とニシシッシル

 

 

 

 

 

(ここは……)

 

映司は夢を見ていた。

誰かの視点なんだろうか、自分のすぐ前に体格の良い青年がベランダの手摺に腰掛けていた。

顔はぼやけていてはっきり見えないが雰囲気や面影はコーガミを想起させる。

 

「なあ、アンク。人間ってのはよくも飽きもしないで飯を食っていられるよな」

 

そう言う彼にどこからかアンクの声がする。

 

「俺達は人間と違って感覚はほぼねぇ。そんな話を振られても何も返せねぇぞ。そこにいるガメルは特にな」

 

「そうか……いや、そうだったな。だからこそ、ガメルの欲望は純粋で美しい。純粋故に、ガメルの欲望を満たしてあげたくなる」

 

そう言うと自身が作り上げた王国を見渡す。

欲深い王は国を一望できるように城の頂上に広めの展望台を作っていたが故に、その光景は圧巻。

計画的に建てられた人工物と自然からもたらされる川と湖は忘れ去られた王国の空気を常に清浄し、町中に入り乱れる水路は飲水や遊び場としての用途に合わせている。

 

「おれの欲望、王様、満たしてくれる?」

 

「ああ、ガメル。君は美味しいものをたくさん食べたいんだよね。その欲望、実に純粋で素晴らしい!だからこそ、今は忍耐の時」

 

「にんたい…?」

 

「君達の為に身体を作っているんだ。味や匂いが分かるようにね。ガメル、力が及ばない私を許してくれ」

 

「んー…?まあ、ガメル、王様応援してる!」

 

よくわからないようだがガメルは応援してその場を去った。

残ったのはアンクと王と呼ばれる男。

その男が古代王だと察した映司だが、身動きできない。

戸惑う映司を余所に、王がアンクに語りかける。

 

「感覚が鈍い、か。実に嘆かわしい事だ。欲望を叶える為の力でそれを感じ取る事さえできないのは」

 

「俺達を作っておいて失敗作呼ばわりか?」

 

「そんな意図は一切ない。私の身で欲望を満たすという事が実感してもらえれば良かったというだけだ」

 

「……所詮、俺達は化け物の力を手に入れた怪人だ。欲望はセルメダルで十分満たせる」

 

「それでは駄目なんだ、アンク。この世の美味、美景、達成感、恋……生まれた命にはそれらを貪欲に享受する価値があるんだ。私は君達を生み出した以上、いつかそれを実現しなければならない」

 

「壮大なお節介だな」

 

王の主張に映司をすり抜けるように前に出たアンクは苦笑いするが、王は至って真面目に言っていた。

 

「そうさ、お節介さ。だから、私が寿命で果てた時でも欲望を満たせてほしいんだ。未来で私が知る事もないだろう美味を味わい、見たこともない景色を見てきてくれ。友よ」

 

そこで映司の視界は歪み始め、白い光に包まれる。

その際、アンクのボソッとした声が聞こえた気がした。

 

お前と一緒に食えたら良かった、と。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(圭)ネクロモーフタオサナイト…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「う…うん?」

 

光で視界が真っ白の中、シアの声が耳朶を打つ。

 

「映司さんが起きましたですぅ!」

 

喜び故に抱き締めるシアを宥めながら、映司はあの声の意味を考えていた。

何故、あんな哀愁ある、アンクが見せない感情を前面に押し出したような言葉が聞こえたのか。

ふと思い出したのはアンクがアイスに夢中になった時に流した涙。

あの時はアンクらしくないな、なんて皆がからかう中、俺は呑気に平和だな、なんて事を思ってたがそれはとんでもない間違いだったのではないか?

そう考えて、映司は自己嫌悪する。

過去の自分を殴り殺したいくらいに後悔した。

だが、すぐに映司は現実に引き戻される。

 

「おい、映司。亜種じゃなくて統一色のコンボを使ったらしいな」

 

「え、あ、うん……」

 

問い掛けてきたのは件のアンク。

気まずく感じるがアンクはそんな事を知る由もない。

映司の顔を軽くビンタする。

 

「いだっ!?」

 

「俺に何も聞かずにコンボは使うなと言っただろう!?」

 

「いや、それは理不尽!?」

 

アンクはアイス食べてた上に同色系統のコンボに関しては一切何も言っていないのだ。

 

「お前の使ったサゴーゾコンボだけじゃなく、ああいうコンボは全てお前の体力や気力を大きく削ぐ。これからは無闇に使うなよ?」

 

やっぱりアンクはアンクだから問題ないのでは、なんて映司は先程までの考えを改めていつも通りの振る舞いになる。

 

「だからそれを先に言ってよ、アンク!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はっ……理由は知らんが、子供がいっちょ前に気遣うんじゃねぇよ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ウルの町、そこは温かい気候で農作物を育てるには適地であり、住民はそれでそれなりに恵まれた生活をしていた。

そんなウルの町には有名な料理があり、ニシシッシルという日本でいうカレーと呼ばれるものの類似品が人気である。

故郷の味の米やカレーそのものを思い出させる為か、勇者達が好んで食べるという噂が王国中に広まっていたりするが、それを映司達が知るはずもなく、地元料理を楽しむために店にやってきた映司達。

 

「映司さん!ニシシッシル、早く食べましょうよ!」

 

「ニシシッシル……美味そう……」

 

「ガメル、我慢しろよ?暴れるなよ?」

 

シアは映司の腕を掴むアレーティアに対抗するかのように胸を押し当てながらニシシッシルを待ちきれないほど楽しみにしている。

ガメルはその容姿に見合わず涎を垂らしており、ガメルが我慢できず暴れないか不安になるウヴァという構図ができていた。

しかし、映司は先に店にいた人物達に気付いた。

それと同時にシア達の声があったのもあって映司一行の方を気にしていた勇者一行も、その声の主が誰なのか、気付いてしまった。

 

「映司……君?」

 

「……先生?」

 

最初にその名を呼んだのは教師であった畑山愛子。

愛ちゃん先生などと生徒達から慕われている、小柄な女性。

彼女との再会はどちらにとっても唐突だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まず、愛子が取った行動はハグ。

絶対逃さないとその小さい体からは想像できないくらい強い力で、映司を抱き締めていた。

 

「愛子……先生」

 

「良かった……生きていてくれて良かった…!」

 

抱き締められる映司はされるがままだが、彼の腕に抱き着く二人には不審人物にしか見えない。

 

「なんなんですか、この人」

 

「映司の、なに?」

 

辛辣な反応に先程までの感動も冷めて泣き目になる愛子。

 

「貴方達こそ、映司君のなんですか!?」

 

愛子の怒りの追求に二人はさも当然のように答えた。

 

「映司の恋人」

 

「私は映司さんの恋人ですぅ」

 

それに驚いたのは映司と愛子。

だが、愛子には驚き以上に倫理観故に映司に怒りを向けていた。

 

「え、映司君……!」

 

「待って下さい、先生!俺は何もしてないです!?」

 

「なにかしたからお二人がいるんでしょう〜!?」

 

誤解だ!と映司は愛子に弁解するが彼女には既に聞く耳はない。

 

「ちょっとお話しましょうか、映司君……」

 

「ま、待って!アーッ!!」

 

店の外に連れ出されていく映司を余所に、グリード達はニシシッシルを食べながら普段振り回されているが故に誰も助け舟を出すことはなかった。

尚、アイスで甘党になってしまったアンクはニシシッシルを苦手な食べ物に分類してしまうのだが、まあそれはまた別である。

 

 

 

さて、説教で萎びれた映司が冷めたニシシッシルを食べている中、アレーティアとアンクがこれまでの冒険を愛子とクラスメイト達に話した。

無論、愛子側もこれまでの経緯を話し、お互いに情報を共有した。

まず、映司が落ちた後の勇者達の動向は不快と不穏さに塗れていた。なんなら今ここにいる勇者達も不安要素でしかない。

教会はあっさりと映司を死亡認定し、天之河が株を上げるという謎の展開と共に映司の転落を目撃したクラスメイト達は精神的に余裕のない状態となり、それから復帰すれば今度は迷宮攻略か愛子の護衛で分裂し、現状纏まりのない状態になっている事が分かった。

同時にアンクとアレーティアは勇者達の戦闘力は攻略組を除けばちょっと強い程度の強さしかないと、教会の騎士達がいる事もあって容易に推測できた。

ちなみに騎士達は王都に帰還したら映司の生存を伝えようとしているが、カザリが支配の魔法でいい具合に記憶を改竄したので問題はない。

 

「つまりは雑魚が雑魚を守るためになんか群れてるだけの意気地なしか」

 

護衛組をそう評価したアンク。

それにクラスメイト達が反論するのはごく当然だろうが、彼らは自分達が常識の範囲の強さでしかない事を思い知ることになる。

 

「意気地なしなのは認めるわ。でも、愛ちゃんを守るくらいはできるわよ!」

 

そう発言するのは園部優花。

彼女の後ろにそうだそうだと頷く自称【愛ちゃん親衛隊】達。

そんな彼らにアンクは軽く笑い飛ばして自身の右腕を見せつける。

異形の腕に思わず慄く園部達にアンクは呆れつつ、彼女達にこう言う。

 

「この俺の腕に傷を付けれたら認めてやっても良い。だができなければ今日の夢は地獄を見るが、どうだ?」

 

「……やってやるわ」

 

アンクの挑発に乗った親衛隊。

無論、怪人の腕なぞそこらの武器で傷をつけれる筈がなく、腕が疲れるだけであった。

 

「な、なんで……」

 

戸惑う彼らにアンクは嘲笑しつつその理由を彼らに教える。

 

「お前達は全てが根本的に弱い。だから俺に傷も痛みも与えられない。お前達はちょっと強いだけの雑魚だ」

 

映司はちょっと言い過ぎなのでは、と思ったがカザリが「言われて当たり前だよね〜」と呟いていたので映司は複雑な心境ではあるが黙ることにした。

だが、クラスメイト達から離れたアンクに「今日の夢は地獄」がどんな意味なのか気になったので聞いたのだが、アンクはこういった。

 

「なに、ちょっとオルクスの化け物共と戦わせるだけだ」

 

と、にこやかに言った。

次の日、悪夢にうなされたクラスメイト達が絶叫と共に跳ね起きた事は、ウルの町の語り草になっていたりする。

 

「ほとんどの人達、目を充血させたり過呼吸になってるんたけど……一体なにと戦わせたんだ…?」

 

「少なくとも映司、お前が蹴散らしてきた魔物であることには変わりはないぞ」

 

答えじゃないじゃん……なんて思いつつ、本来の目的を果たすために映司は朝に弱いアレーティアとシアを呼び起こしに行くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【それから数時間後】

 

 

 

 

 

「私達も行きます!」

 

「ごめん、アンク。断りきれなかったよ……」

 

映司達が早朝にいそいそと準備をしていたところを愛子に目撃された映司は、愛子の同行の願いを断りきれず連れてきてしまったのだった。

悪夢を魅せられて尚、立ち上がり愛子に付いてきたクラスメイト達もおまけでやって来たので彼らのことを多少は見直しつつ、厄介事を連れて来る映司にアンクは溜息を思わず吐くのだった。

 

 

 

 

 

 

 





ちなみに忘れ去られた王国のイメージとしては原神のフォンテーヌをイメージして頂けると。
フリ虐とかなんだのと言われてるけど、個人的にはヌヴィレットの中の人と性能でゲロビの極みですね。

イデオンの「弦が飛ぶ」を聴きながら書いてるとよく進むの、やはりドラクエの作曲者だからかな……

ちなみに幕門で補完するとか言っときながら結局、本編で補完してしまったから、詫び投稿しなきゃ……

ちなみに愛ちゃんは映司とはくっつかないです。
既に相手は決めてるのでどうか愛ちゃんファンの方は、ドンナーを撃たないでください。

読了、感謝ッ!!

 ー追記ー
ちなみに映司は彼らの夢を見てはいるけど覚えてるとは限らないし、覚えていても確証はないので特にそれに関しては発言はしないです。

興味本位……とは言い難いけどアンケート第二弾!帰還後に一波乱起きるならどれが良いでしょうか?お好きなものをどうぞ!確実性はないのは許して()

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