明日のパンツと少しの小銭で異世界を生きれるか 作:単眼駄猪介
待たせたな!オーズに変身だ!
そして感想くれた兄貴達に感謝ぁ!
安眠が捗ります。
驚異の6300文字!
変身の為だけにこんなに長くなっちまったが、後悔はしていない。
オルクス大迷宮は未だ前人未踏の魔物の巣窟である。
未だ人類はこの迷宮の最深部に到達することができていない。
恐らく百階層あると言われるオルクス大迷宮で、異世界から召喚されし勇者達が今ここに攻略を始める一歩を踏もうとしていた。
「これがダンジョンかぁ…!」
そんな感想を言ったのは誰だろうか。
オルクス大迷宮の中は洞窟にしてはとても明るく、そして静かであった。
「なんだか……寂しいところだな……」
映司はそう思ったが、すぐにそんな事も言っていられなくなる。
魔物が定期的に現れるこの迷宮では、少し進むだけでも魔物とエンカウントするのだ。
無論、勇者達の体力を考えてメルド達も避けれる戦闘は避けてはいるが……
「せいはぁっ!!」
他の生徒達は早めに疲労するのに対し、映司は放浪してた故にか体力だけは天之河を凌駕していた。
現に、いつものパフォーマンスで現れた魔物を業者のロングソードで倒していた。
「やっぱり映司はすげぇなぁ。剣の腕だけで魔物を倒してやがる」
戦闘職でもないのにこの強さ、天職が戦闘系なら勇者である天之河にも匹敵するだろうに……そう惜しむが仕方がない。
そもそもメルドとしては映司を戦闘に投入するのに賛成ではなかった。
戦闘職ではない彼の適性は後方勤務。
確かに彼には格闘センスに光るものがあるが、結局無職という中途半端な職は戦闘に圧倒的に向かない。
それを理解できない貴族と教会の人間達は、神の威光の自分の利権の為に彼を戦闘に投入することにメルドは怒り半分、申し訳無さ半分であった。
「よし、次は少し手強いぞ!」
下の階層に潜り続けてどれくらいだろうか。
そこかしこに岩が転がっている空間で、メルドはそう言う。
「ここには既に魔物がいる。探してみろ」
そう言われて敵の気配を探る……が、しかしそれよりも先に魔物が我慢ならなかったようだ。
「きゃぁっ!?」
女子の一人が岩に擬態していたゴリラのような魔物に襲われるも、坂上がパンチで跳ね返す。
これにより、他の擬態していた魔物たちも擬態を解く。
「なんか……興奮してない?」
映司は彼らの鼻息の荒さに、思わず引くが彼らはそんな事は関係なしにこちらに突っ込んでくる。
それも様々で、四肢で獣のように駆けるもの、二脚で地ならししながら走るもの、転がってくるものと多様である。
なんなら某怪盗三世のダイブをする奴もいて、映司は遠い目をしながら「バリエーション豊富だなぁ」と呟くが、それをされる白崎達は気持ち悪さ故に悲鳴を挙げる。
「キャァァァァ!?」
「香織ッ!?」
白崎の悲鳴に天之河は驚く。
だが彼女を救うのは彼女に恋心を持つ天之河ではなく、天之河にとって怠惰の象徴である火野映司であった。
「白崎ちゃんっ!」
魔法があれば魔法で魔物の軌道をそらしたりできたのだろう。
だが、映司には訓練しても魔法が使えることはなく、魔法の類はアイテム頼りである。
「映司君!?」
その為、映司は無理をして剣で魔物を弾き返した。
「ぐっ……!」
結果、腕の骨にヒビが入った。
折れなかっただけマシだが、それでも映司の苦悶の声が漏れ出ている。
「映司君!今、治療するね!」
慌てて映司の治療を始める白崎に、それを余所見していた天之河は無意識に力が入る。
思考も短絡的になり、必然として現時点の最大火力を叩き込むことになる。
無論、洞窟という密室でそんなものを使えば下手すれば崩壊を招く。
確かに魔物達を一掃できたが、代わりに来るのは叱責である。
「馬鹿者!ここでそんなものを撃つな!」
メルドの叱責に気を落ち込ませる天之河に、中村恵理が彼を慰める。
一方で、映司は白崎の手厚い治療にあっという間に怪我を完治させていた。
「大丈夫?映司君……」
「……うん、大丈夫みたいだ。ありがとう白崎ちゃん。すごいや!」
怪我をした右腕でしっかりとサムズアップする映司に、白崎はホッとした顔になった。
「………ケッ」
一旦、勇者達の体勢を立て直した頃。
檜山はあるものを見つけた。
「なんだあれ?すっげえ光ってんな」
「ほう……」
檜山の指差した方向は天之河の必殺技で吹き飛んだ瓦礫の向こう。
綺麗な光を放つ鉱石がメルドの目にも入ると、その正体を告げた。
「あれはグランツ鉱石だな。装飾類としてよく使われる鉱石だな」
「綺麗……」
説明するメルドであるが、檜山は白崎の言葉しか聞いていなかった。
白崎は綺麗であると同時に、映司に取ってきてもらえたら……なんていう妄想もあった。
しかし、そんな妄想が別の形で実現しそして悪夢になるなど予想外どころか発狂物だろう。
「へへ……取りに行ってくるぜ!」
「なっ、馬鹿者!トラップの確認をしてから……!」
自身の欲に駆られた檜山にメルドの声が届くはずがなく、そして最悪なことに部下の兵士がトラップを察知できるアイテムで見つけてしまった。
「団長ッ!トラップがあります!」
「チィッ!」
既に檜山は鉱石に取り付いており、トラップの発動は不可避。
檜山が触れる直前、メルドは反射的に叫んだ。
「全員、身構えろ!」
そう言われてすぐにできるほど、勇者達は熟練ではない。
檜山は触れて初めて自分がやらかしたことに気付き、映司はトラップの発動時の浮遊感に異世界召喚されたときの感覚を思い出す。
しかしそれも一瞬。
光と共に彼らはその階層から姿を消した。
ドサッ、と尻に衝撃が走る。
「うおっ!?」
各々の悲鳴が漏れ聞こえる中、映司はすかさず体勢を立て直す。
映司の直感が危険を知らせていたのもあるが、映司の過去の体験からある雰囲気を感じることができるようになっていた事もあって、彼は戦闘態勢を取れていたのだ。
「あの時の気配……」
思い出すのも苦痛なあの過去を、もう一度体験させられているような死の気配に映司は冷や汗を流す。
「まずい!ここは…!」
メルドもすぐに体勢を立て直し、地形から場所を把握する。
だが同時にメルドは不味い、と慌て始める。
「総員、ただちに階段に行け!ここは……」
獲物の出現に魔法陣から現れるのは動く人骨に武器を持たせたスケルトンソルジャー達。
そして、最奥にはこの石橋の主が目覚めようとしていた。
「メルドさん!アイツは……!?」
天之河はその存在に気付き、メルドも確認した。
だからこそ、メルドは尚更ここから撤退する事を重視した。
「あれはベヒモスだ!今のお前たちでは抑え込む事もできん!撤退だ!」
「いや!やれます!俺達は勇者なんだ!」
「馬鹿者!戦力差を考えろ!!」
二人がそう揉めている間に、半ば不意打ちされたクラスメイト達は圧倒的な数に腰を抜かしたり戦意喪失するものが大半である。
「あっ……」
その内の一人である園部は、振り下ろそうとしてくるスケルトンのロングソードに目が行くも、身体が竦んで動くことがてきない。
走馬灯が彼女に打開策を見つけさせようとするが、結局の所は体が動けなければ意味はない。
「…………」
死者に口なし、という言葉があるが静かな殺意が彼女に向けられていた。
「危ない!」
そこに、救世主が現れた。
背後から呆気なく切り捨てられたスケルトンの代わりに現れたのは火野映司であった。
「ふぅ……大丈夫?園部ちゃん?」
園部の安否を確認する映司に、園部は呆然とする。
だが、映司なりに彼女が無事であることを確認するとすぐに剣を構えなおして次の救出対象に向かう。
しかし、その際に彼が漏らした言葉は次に映司に会うまで彼女の脳に焼き付くものだった。
「あちこち行ったけど、楽して助かる命はないな……」
一方、勇者達は無謀な挑戦をしようとメルドと口論となっていた。
坂上は小難しい事を考えるのを極端に拒否するのでそれを不思議に思わず、八重樫は天之河の無意識下における所有物故に彼女の主張は届かず、白崎は主張さえもせずただ流されるだけ。
状況ははっきり言って最悪だ。
しかし、そんな中でベヒモスが空気が読んでくれるはずがない。
「ブオォォォォァッ!!」
「団長!防御魔法が耐えきれません!!」
得意技とも言える突進に一回目は耐え切れた防御魔法だが、しかし次の攻撃で破壊されそうだ。
「団長ぉぉぉ!」
「全員退避!」
メルドの指示で兵士達は退避し、天之河達は風圧で軽く飛ばされる。
しかし、天之河は出番が来たとばかりに笑みを浮かべて剣を構える。
「龍太郎、やるぞ!」
「おう!」
「ああもう……仕方ないわね…!」
龍太郎はやる気満々で、八重樫はしょうがなそうに曲刀を構える。
そんな彼らにメルドは一瞬、勇者に向ける目ではないものを向けた。
こいつら、頭は大丈夫なのか?と。
「皆!階段に逃げるんだ!メルドさん!貴方も早く!」
そんな時に映司が全員に撤退を呼び掛けながらやって来た。
「エイジ!他の奴らは!?」
「殆どの人は階段に!後は貴方達だけです!」
映司は現状報告するが、メルドの顔は明るくはない。
「天之河達がベヒモスに向かってしまった、エイジ止めてくれ…!」
そう言われて映司は戦闘で煙が舞うベヒモスと天之河達を見る。
どうみても苦戦しているのに余裕そうに戦う天之河と、既にベヒモスに吹き飛ばされて気絶している所を白崎に治療を受けている。
そして戦闘を行っている天之河と八重樫とは言うと……
「ぐはっ!?」
「きゃっ…!?」
調子に乗ってベヒモスの角を受け止めようとして失敗する天之河が吹き飛ばされ、ソレに巻き込まれた八重樫もまた一瞬だけ意識を飛ばす。
「だから無茶だと言ったのに……!」
メルドはそう独りごちるが、これでようやく撤退できるとも思っていた。
「メルドさん!今のうちに天之河君達を!俺ができるだけ時間を稼ぎます!」
だがしかし、誰かがここで食い止めなければこのまま逃げても追いつかれて殺される。
それが明白だからこそ、映司は殿を務めると叫んだ。
それにメルドは感謝しつつ、天之河と坂上を俵持ちで運ぶ。
白崎は不安そうに映司を見るが、映司は目の前の敵に集中していて彼女らを気にする余裕はない。
「さて……【模倣】ッ!」
本来は魔法や天職由縁の技能を一時的にコピーすることで力とする能力だが、本来のものより若干劣化する為、無職は中途半端な能力であるという評価である。
しかし、魔物の能力が模倣できないわけではない。
無論、誰もやったことのないので何が起きるかは分からない。
だが打開策はそれしかなかった。
「グルルルルル……」
ベヒモスの技能をコピーした為か、ベヒモスの角を連想させる角が映司の頭部に生え、髪の毛が伸びる。
驚きの変化にベヒモスも驚くが、しかし目の前の存在が敵でおることには変わらない。
お互いに角を向け、そして衝突した。
「うおっ!?」
「きゃっ!?」
衝撃波が階段にまで届き、戦闘の余波で足場が悪い橋を走るメルド達もよろける。
だがしかし、映司は赤熱化した角でベヒモスを抑え込んでいた。
がしかし、体格差は明確に両者のパワーバランスの差を開かせていた。
メルド達が辿り着いた頃には映司は吹き飛ばされ、模倣は解除されてしまう。
それに崩壊を始めている石橋。
ベヒモスがこちらに来ないよう、兵士の一人が魔法で足止めすることを提案。
それにクラスメイト達は自然と魔法の詠唱を始めて、映司が退避するのを待つ状態となった。
「映司!」
メルドがそう叫ぶと、映司は階段に向けて走る。
あと少し、あと少しで………一人を除いて皆がその時を待ち望んでいた。
「撃てぇっ!」
「………」
「あっ……」
一発の炎の塊が映司を直撃した。
衝撃によって後ろに吹き飛ばされ、必然的に崩壊に巻き込まれた。
ベヒモスは既に奈落に落ちていき、映司も後を追うように落ちていく。
それを見ることしかできない白崎は、悲鳴に近い叫び声をあげた。
「映司君ッッッ!?」
最後に映司が視界に捉えていたのは、手を伸ばす白崎とニヤついている二人のクラスメイトだった。
(OwO)
ドシャッ、という音と衝撃と共に映司は目を覚ました。
途中で水に揉みくちゃにされて気絶していたらしい。
滝のように流れる水源を見つつ、映司は自分がどこに来たのか周囲を確認する。
「なんだ……これ……?」
何かで表すなら学校の教室だろうか。
教室ほどの広さの部屋であるが、その壁の装飾は異様としか言いようがなかった。
「Oが三つあってその下に何か絵があるな……」
劣化した為か、その絵はよく見えないがフォルムからして人型だろう。
もしかしたらこれから戦うかもしれない魔人族なのだろうか?
そう思うがそのシルエットの周囲には異形の怪人がソレを敬うように描かれており、そして別の絵には教会で見た神にまるで逆らうように剣や拳を向けていた。
その周囲には奇妙な物もあったが……
「もしかして俺ってとんでもない所に来たんじゃ……?」
地球のもので例えるならピラミッドやエジプトの王達の墓だろう。
そんな歴史的に重要そうな遺跡に映司はいると思うと、映司は嬉しさ半分、悔しさ半分だった。
孤立している状況でなければゆっくりと見たかったのだが、そうもいかないようで……
「きゅう……」
「えっ!?ウサギ!?」
足を怪我したのか足を引きずるウサギの魔物が出口らしい通路から現れる。
助けを求めるようにこちらを見るウサギモドキに、映司は通路の奥を見る。
「ヴォォォォ!!」
「………これはマズイかも」
能天気に言う彼だがそうでもないと向こう側とこちらを塞ぐ壁を破壊しようとする熊のような魔物のプレッシャーにメンタルが押し潰されかねないのだ。
思わず後ずさりする映司だったが、運悪く石ころを踏んでしまい後ろにコケる。
コケた先には恐らく誰かの墓だろう棺の上だった。
「うわぁぁ……罰当たりな事しちゃった……」
目の前の恐怖よりも亡者への失礼に罪悪感を抱く映司だが、遂にウサギを狙うハンターの姿が顕になる。
やはりというか、手からしてそれっぽかったが熊であった。
しかし、手を振るうとその先に爪痕が残されており、下手に近づけば死ぬことは明白であった。
「は、ははは………短かったな、俺の人生……」
死の気配がベヒモス以上なのを察した映司に、打開策はなく死を受け入れるだけになる。
「ごめんな、ウサギ君。助けを求めてたのに……俺の手じゃ届かないみたいだ………」
脳裏によぎるあの光景は今でも時折悪夢として彼を蝕む。
そんな彼らの諦観ムードに一筋の光がやって来た。
「おい、お前」
「え?」
突然、呼びかけられて映司は呆ける。
だがすぐに周囲を見渡す。
結果、何やら奇妙な手を見つけた。
「……鎧?」
「誰が鎧だ」
「うわ、喋った……」
初対面の相手に中々失礼な物言いだが、何も知らない映司なのだから致し方ない。
気にせず手の魔物モドキは問いかけた。
「お前、生き延びたいか?」
「うんまあ……明日のパンツ返してもらう約束があるし」
「あしっ……いやいい」
とんでもない単語が飛び出て、魔物モドキが驚くが今はそんな時ではない。
魔物は映司に問いかける。
「なら、話は簡単だ。そこにあるベルトをお前が付けろ」
そう言って浮かび上がり、指差す赤い手の魔物。
そこを見れば確かにベルトが存在する。
奇妙なことに、三つのメダルを入れられそうなところがあるが。
とりあえず丁寧に棺からベルトを取り出して自分の腰に付ける。
「うおっ……まるで変身ヒーローみたいだ…」
幼い頃に見た変身ヒーローのようにベルトに巻いたそれに、魔物は右腰にあるアイテム【オースキャナー】を取って映司に持たせる。
「それで……どうするの?」
「このメダルを入れて、そのオースキャナーでスキャンしろ。そうすれば生き残る力が手に入る」
熊の魔物は既に近付いてきている。
言われた通りにやるしかないと、映司は放り出された三つのメダルをベルトに装填し、オースキャナーを起動させる。
何が起きるのかは想像がつかないが、しかしやらなければ助けたいウサギも白崎との約束も果たせなくなる。
映司は変身した。
タカ! トラ! バッタ!
ここに、新たなオーズが生まれた。
「………変な歌」
「歌は気にするなッ!」
その行先は少々不安であるが。
ちなみにオーズの間に運良く辿り着けてないと映司は模倣で魔物達の真似をして原作劇中で見せたグリード態のような怪人になります(無情)
人外に片足突っ込んでるんで純粋な正面戦闘は魔王ハジメよりも上、変身するライダーはオーズではなくバースになりますね。
とはいえ、IF展開やると本編もIFも共倒れしそうなので書くなら完結後かつ兄貴達の感想次第ですねぇ。
ちなみに色付き演出は初回変身のみです。
脳のキャパが予算ガタガタキリバになるから許して……ユルシテ………
できることならなんでもしますから!
完全に興味本位なんですが読者の皆様はこの世界にいたら面白くなりそう、嬉しいという作品がありましたら投票お願いします!
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