明日のパンツと少しの小銭で異世界を生きれるか 作:単眼駄猪介
タグに不定期更新を付けるのを忘れていたけど既にもう入らなそうなので初投稿です。()
感想もらって気分に乗らないと飽きて書かなくなる上にそれをセーブしたりして割と投稿が不安定なんだからまず最初にそれだろ………
でもまあ、それはさておき感想を下さった方々、ありがとナス!
おかげでなんとか続いています。
追記10/26 スペースデッドではなくデッドスペースでした。ファンの皆様、大変申し訳ありません。
その後、植物を焼き払ったりオイル臭い沼を飛び越えたり、アレーティアに血を吸わせてあげて体力を回復させてあげたりして遂に最下層に到達した一行。
怪人(手だけ)、魔物、人間、吸血鬼と多種多様な二人と二h……ゴホン、三人と一匹。
もし、教会の人間が知れば即座に卒倒し、目覚めれば「悪・即・斬!」と叫ぶだろう。
閑話休題。
とにかく最下層である100階に到達できた映司達は互いの健闘を称え、そして最後の戦いを生き残ろうと共に決意を改めて決めていた。
「映司……頑張る」
「キュッ!」
「俺はサポートに回らせてもらうからな」
「分かってるよ、アンク。よし、皆、勝つぞ!」
アンクは相変わらず偉そうにいるが、なんだかんだ彼らに絆されている。
まだその自覚はないがようやく手だけの状態から戻れると内心少し安堵している感情は、一ヶ月近く常に共にいた映司にはなんとなく理解できていた。
ほんの少し先の未来の話とは言え、お互いを相棒と呼び合う二人にはこの時に妙な信頼があったと言えるだろう。
さて、映司一行はオルクス大迷宮の最後のボス、ヒュドラを相手することになるのだが映司はちょっとだけ思った。
「……この体験を話してみたら父さんはそんなゲームを作りそうだなぁ」
彼の中では既に色褪せた、自分を理解してくれる家族を思い起こした。
それもほんの少しの間だけで、魔法陣から出現したヒュドラはカラフルな頭を其々の動きを見逃すまいと瞳孔を見開いて映司達を睨み見ていた。
「色が首ごとにあるって事は何か役割分担されてるな……ティア!赤いのに軽く攻撃してみて!」
サブカルである漫画やアニメ、ゲームを経験している映司からして首の色というのに意図を感じさせるその構図には確認せざるを得ない。
冷静に分析し、アレーティアに指示を飛ばす。
ちなみに愛称呼びは勿論、彼女からの提案で「ちゃん」付けも彼女の無言の圧によって敗北を喫した映司が呼び捨てで呼んでいる。
ハッキリ言おう、映司はアレーティアの尻に敷かれかけている。
まあそんな言い方をすればアレーティアは映司に異性としても好意を抱いていると言えてしまうがその通りである。
吸血鬼の女王様は映司に惚れたのである。
とはいえ、それを自覚しているかと問われれば半分は否である。
なんとなく感じつつもそれがただの好意だと思っているタイプである。
それはさておき、映司の言う通りに魔法を扱えるのなら誰でも使えるファイアーボールで赤い頭を攻撃すると青い頭が身代わりとなる。
となると映司の中にある色ごとの印象からヒュドラの割り振りを見抜いた。
「頭は攻撃、青は防御、白は多分回復、他にも色々あるけど……多頭系なら再生能力はあるはず。皆、全部の頭を一気に潰さないと終わらないよ!」
「ん、わかった」
「キュキュ!」
アレーティアとホッパーは了承の意を示す。
そんな映司の的確な指示にオルクス大迷宮の製作に一つ噛んでいるアンクは「ほう……」と感心する。
「映司、その知識は王国の図書館で得たのか?」
そう問うと映司は手短に答える。
「いや!俺の世界の知識!」
その知識が娯楽であるゲームや漫画からのものだと知る由もないアンクは、異世界ってのはすげぇな等と思いつつ現在、タトバコンボのオーズにどんなメダルを組み合わせヒュドラに対抗するか思慮を張り巡らせていた。
「ん?青は魔法?じゃあ威力を見抜いた…?となると黄色が防御!皆、なるべく積極的に破壊しよう!紫は毒だね!気を付けて!」
途中からの加入とは言え、その間の階層ごとのボスをそれぞれのコンビネーションで倒してきた彼らは培ってきた連携の集大成をまさに今、最大限に活かしている。
リーダーかつオールラウンダーの映司、遊撃かつ回避盾のホッパー、火力を担うアレーティア。
アンク?おまけである()
防御力の面を無視すれば安定したチームであろう。
「メダジャリバーの使い時は考えとけよ!」
アンクはそう警告するが戦闘中の映司達に聞こえるはずもなく、映司はメダジャリバーにセルメダルを入れる。
「一気に首を切り落とす!」
【トリプル!スキャニングチャージ!!】
ホッパーがヒュドラの首を上手くこんがらるように駆け巡り、ヒュドラは自分達で自分の首を締めてしまう。
「ナイス!ホッパー!」
どうやら兎ごときに言い様にされてプライドを傷付けられたらしいヒュドラは息を荒くしている。
故に、意識から外れた映司とアレーティアの必殺の一撃をもろにくらい、首は斬り飛ばされた上に焼かれる。
無論、体の方もまた柔らかい傷口が焼け焦げて止血させられてしまう。
「おわっ……たのか?」
割と呆気なく倒せたことに思わずそう呟いてしまう映司であったが、そんなフラグを建てればしっかり回収される。
「映司!」
「え?」
少し気が抜けている映司に、アンクが注意を呼びかけた。
言われて見れば映司の前には黒い首が映司の瞳を覗き込むように見ていた。
そして次の瞬間、映司は全身の力が抜けたかのように倒れ込んだ。
「「映司!?」」
アンクとアレーティアが驚く中、ホッパーは怒りを力に音速の壁を破り最後の頭を蹴り潰す。
だがそれでも腹が立つのか、グチャグチャになるまで蹴り続けた。
自分の不甲斐なさ故だろうか、いつもはピンと立っている耳が垂れている。
そして、肝心の映司だが昏倒していた。
先程、黒い首が発動した魔法にアンクは心当たりがあった。
「アイツ……精神系に作用する魔法を使ったようだな」
「分かるの?」
「俺は魔法で作られた存在だぞ。分からないですむのはウヴァだけで十分だ」
「ウヴァ…?」
さりげなく仲間をディスりながらアンクは変身が解除されてしまった映司の頬を軽く引っ叩く。
だがうなされるように身を捩るだけで、映司が起きる様子がない。
「チッ……確かアレはトラウマを強制的にもう一度体験させる幻覚を与える魔法だったようなはずだ……その場合、コイツは一体どんなトラウマを持ってやがる……」
魔法に関しては確証性はないようだが、とにかくそういうものであるとアンクは理解し、既に開いているゴールであるオルクスの屋敷に映司を連れて行くぞと二人に言ってまずは安全を確保するのだった。
(<::V::>)
ヒュドラとの戦いから半日もしなかっただろうか。
昏睡状態であった映司が意識を取り戻し、アレーティア達は喜んだ。
心配をかけたようで、映司は二人(一人と一匹だが)に謝るがアンクは映司に回復を祝うことなくただ問いかける。
「お前、過去に一体何があった」
喜んでいる所に水を差されてアレーティアは厳しい視線をアンクに送るが、本人は気にせず映司の答えを待っていた。
「……分かったよアンク。丁度いい機会だとは思うし」
そう言って映司はホッパーが気を利かせたらしく、持ってきたコップの水を飲んで喉を潤してから話し出す。
異世界に召喚されるより1年ほど前だろうか。
映司もその記憶を思い出したくない故にその時期の記憶はかなり曖昧である。
家族と海外旅行に行って紛争に巻き込まれ、そして映司達はテロリストの人質になった。
だが、彼にとってどの記憶で一番辛いのかと問われればそこの部分だ。
娯楽とばかりに拷問にあった事か?
いや、軽くどつかれたり銃で脅されることはあれど殴られたことはない。
リーダーは比較的知識がある方だったのだろう。
では民衆が撃ち殺されるところを見たからか?
否、そこまでグロデスクなものに耐性がないわけじゃない。
映司とてゾンビゲームやグロデスク過ぎて日本では販売禁止となった【デッドスペース】をプレイしてある程度得ている。
じゃあなんなのかとなるだろう。
映司には旅行の体験プログラムで出会った少女がいた。
自分よりも歳下で、まだ育ち盛りだろう小さな女の子。
彼女の拙いながらも家族のために家事を手伝おうと水を運んで落としかけたのが出会いだった。
映司が落としかけたペットボトルを支えてあげると、彼女は嬉しそうに感謝の言葉を述べるが映司には理解できない。
無論、映司も英語等の外国語は多少は齧っている。
しかしそれも学校で学ぶ範囲のものであり、彼女の言語も英語ではないため、翻訳がなければ分かるはずもない。
だが、人というのは不思議である。
言語や文化、思考も違うのにニュアンスや指を差す事などでコミュニケーションが取れるのだ。
身振り手振りで会話するのは疲れたが、疲労感よりも達成感や喜びが勝った。
ほんの数日関わっただけの女の子。
だけど、どちらも既に親しい友人という意識でいた。
では、そんな彼女が死んだからか?
答えは是。
彼女はあの日、テロリスト達の人質作戦によって尊い命を失った一人なのだ。
助けなければと思って差し伸ばした手は、彼女の手を取ることなく爆発と共に消し炭になってしまったのだ。
それからだろうか、食欲・性欲・睡眠欲の3大欲求はともかく、それ以外の欲が無くなったのは。
だがテロリスト達が敗北して帰国しても映司には辛い現実が待ち受けていた。
テロリストによって精神的に追い込まれた父と母が夫婦喧嘩を始めたのだ。
旅行前は皆でふざけ合うほど仲が良かったのに、今では息子の映司を放置して別居するほど仲が拗れてしまった。
そんな二人に親戚達はというとこれまた救いのないものだった。
やれ、父親だけ死ねばよかっただの、映司を育てる金なんてない等とほざく者。
傍観者で特に咎めるわけでもなく助けるわけでもない人達。
自分の知る血縁者達はこんなにも血のない人達だったのかと、映司は絶望した。
だが、助かったこの命をただ生きるだけに使う気にも酷いことを言う親戚達の世話にもなれる気もない。
学生の身分ながら日本を放浪した。壊れた当初は感じる心さえも分からなかったが、放浪先で人の優しさに触れてメンタルは回復していった。
そしていつしか、こう思うようになった。
この命は助けを求める人達のために使おうと。
亡き祖父の遺言と明日のパンツを胸に、この人生を生きようと決めたのだ。
辛い過去をアレーティア達に話した映司。
その顔は少し陰りは見えるものの、元気そのものである。
「ううっ……映司……!」
共感してくれた為か、アレーティアは泣きながらその小さな体で映司を抱き締めて慰めた。
絵面だけなら完全に性犯罪者判定されるだろう姿だなぁ、などと映司は思いつつ彼女の言葉に「ありがとう」と感謝する。
薄暗い空間で親族に裏切られたと思い込み三百年以上も一人で居続けたのだ。
そんな彼女だからこそ、彼の体験を理解できたのかもしれない。
だがそんなことはアンクには関係なく、ただ納得するのみ。
「………ふん、欲望のない人間なんぞグリードの俺からすればサンドバックにしかならねぇな」
「それで人が助かるなら喜んでなるよ」
さりげない言葉。
ただの比喩だろうとアンクとアレーティアは思う中、ホッパーだけは野生の直感から嫌なものを感じたのだった。
(OwO)
近未来的なデザインの室内で、一人の青年はその手に1枚のチケットを観察していた。
チケットに描かれているのはオーズで、青年は懐かしむような後悔しているような表情でそれを見ていた。
だが、その時間も終わりを迎える。
また騒がしい奴等がこの部屋に入ってくるのだから。
「新たな欲望の王、君はエヒトを倒せる存在に成りうるなら………」
to be continued……
流石にそろそろ脱出まで駆け足にならないと飽きられそうなので一気に進めました。
次回でオスカー宅から色々略奪して脱出という形で迷宮編は終わりますねぇ。
そういえば少し前にメダルについての質問があったのでここでも答えさせてもらうと、各カテゴリのコアメダルを3枚をエヒトに奪われています。
そして未来のコアメダルや爬虫類は現段階では彼らは持っていません。
爬虫類系はとある場所で手に入るようにする予定です、お楽しみに!
ちなみにオーズが分かる人は分かるし、大体マナーの良い人達がハーメルンを利用していると思うけど念の為……
本作はガザ地区の空爆とは一切関係のないフィクションのSSです。
宗教的観念などをもって書いてなどいませんし、実在の人物や団体とは一切関係ありません。
完全に興味本位なんですが読者の皆様はこの世界にいたら面白くなりそう、嬉しいという作品がありましたら投票お願いします!
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