明日のパンツと少しの小銭で異世界を生きれるか   作:単眼駄猪介

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前回の3つの出来事。

1、ウヴァさんはこれからもイジられる!
2、火野映司の辛い過去!
3、迷宮攻略完了ッ!

そして応援ありがとうございます!




脱出とアイテムとチケット

 

 

映司が目覚めてほんの数分後、映司はアレーティアが拙くも調理したシチューとパンを頬張っていた。

 

「どう…?」

 

初めての調理だったが味見はホッパー、指示はアンクがやってくらたおかげでなんとか映司の腹に収められるものを作れたのだ。

グリードは味覚などの感覚が鈍く、食事も必要ない体のためホッパーが味見役になったのだが最初は食べたものを吐き出すくらいには美味しくできなかった模様。

 

「うん、美味しい!ありがとうティア」

 

「えへへ……」

 

努力が報われた事に嬉しくなるアレーティア。

腹が満たされれば後は何をするか。

 

「久しぶりだな……」

 

と、漏らすのはアンク。

良くも悪くも、ここには思い出があるのだろう。

 

「おい、そこの魔法陣に乗れ」

 

そう言われて何もないカーペットをよく見てみると、確かにうっすらと魔法陣の線が見えた。

 

「何があるの?」

 

「見てからのお楽しみだ」

 

映司の問いにアンクはそう答えて何やら探し始める。

何も答えてくれなさそうな雰囲気のアンクにアレーティアとホッパーを見るが、彼女達も見てくるのでとりあえず彼の言う通りにしようと魔法陣の中に入る。

 

「こんにちは、僕はオスカー・オルクス。この迷宮を作った解放者……いや、君達からすれば反逆者か。あ、これは記録映像だから質問は許して欲しい」

 

眼鏡をかけた黒髪の青年。

彼こそがオスカー・オルクスその人であった。

 

彼が語った事は簡単に述べると、他にも解放者がいてそれぞれの場所に神代魔法と呼ばれるこの世界の魔法で最上級の魔法を会得する事ができるとのこと。

そしてここ、オルクス大迷宮には生成魔法という錬成の上位互換魔法が会得できるという。

オルクス大迷宮のコンセプトは【力】。

つまりは腕っぷしで、迷宮にいる多種多様な魔物達を倒せるかという試練であった。

それをクリアした二人と一匹に【生成魔法】が与えられた。

 

「頭が……痛い……」

 

「ん……」

 

「キュエッ!?」

 

無理矢理捩じ込むような形なのか、酷い頭痛が3人を襲う。

だがそれも一瞬なのが救いだろう。

 

「これが……生成魔法…」

 

「……適正、ないかな…」

 

「キュウ……」

 

映司は初めて魔法というものがどんなものか実感し、アレーティアはあまり自分に向かない魔法だとちょっと落胆し、ホッパーは痛みの原因である絨毯を苛立たしげに蹴っていた。

だが一旦はオルクスのホログラムが消えていたのに、また映し出される。

 

「この映像が流れているということは君は運良くオーズになれた者なんだろう。アンク、君もいるんだろうね」

 

「………」

 

「王の事については君達が眠りについた後も独自で調べてみるよ。それを伝えられたら一番だけど僕が生きている間にそれができるかどうかは……正直言って分からないかな。でも、君は新しいオーズと共にエヒトを倒して欲しい。オーズになるなら、その責務があるのだから」

 

「…………」

 

終始、アンクは沈黙を貫いていたが最後にオルクスはとあるものを引出しから顕にする。

 

「追伸、もしかしたらミレディとは別の方法で君達と再会できるかもしれない。このチケットを常に所持しておいて欲しい」

 

それを最後に出てきたそのチケットはオーズが写真のように描かれていた。

映司はそのチケットを不思議に思いながらも内ポケットにしまい込む。

 

「ようやく見つけた!」

 

そう言うとアンクは先程から見ていた本棚の中にある本の一つを引っ張る。

するとスパイ映画のように本棚が横に動き始めて通路が現れたではないか。

 

「ふふふ……セルメダルの音だぁ…!!」

 

そう言って通路の奥に飛び込む。

が、すぐに何やら落ち込んだ様子でアンクが戻ってきた。

 

「あんの眼鏡ぇぇぇぇ!!!」

 

怒り狂うアンクに、気になった映司は通路の奥にあるだろうセルメダルの山を見た。

確かに山だ。

映司が丁度良く腰を掛けられそうなくらいの高さのセルメダルの山が。

 

「なにが個別用だ!人型になれねぇなら意味ねぇわ!」

 

「ふふ……小動物みたいで可愛いから良いんじゃない?」

 

「ふざけてんのか!?」

 

アレーティアがからかうとアンクがさらにブチ切れる。

ご丁寧に魔力防壁で狙ったグリードと術者であるオルクス以外は入れないという厳重警備である。

 

「まあまあ、アンクの仲間だしここはね?」

 

「俺のヤミーのセルメダルはどれだけあると思ってる?もう二桁だぞ!に・け・た!」

 

気の毒とは思うが映司としてアンク以外のグリード達がどんなのか気になるわけで、恐らくこうなるであろうことを予測してたらしいオルクスがしっかりと復活の方法を書いた羊皮紙を貼り付けられていた壁から剥がす。

 

「ふぅーん……」

 

人格を形成する頭部にあたるコアメダルとあれば同系色のコアメダルと一緒にセルメダルの山に置けば容易に復活するらしい。

もし、セルメダルが百円玉やこの世界の金貨などであれば実に欲望に忠実なグリードらしい復活方法であるだろう。

 

「とりあえず2枚投入で……」

 

「あっ、おい!」

 

それぞれ青、黄、緑、白とメダルをセルメダルの山に投げ入れる。

ちなみにこの時、ゴリラメダルとサイメダルを投げるとき霊長類ではなく重量系のメダルであることに驚いた。

 

「おおー」

 

光と共に少しずつセルメダルの山が消え、一つの形になっていく。

新たな仲間の復活であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まずいち早く復活したのは緑。

掛札には【ウヴァ】と表記されており、復活した彼は笑いながら魔法防壁から出てくる。

 

「フハハハ!久しぶりのシャバだぜぇ!………あ?」

 

その姿は彼が理想とした人型ではなくクワガタ。

つまりは夏の山にそこらにいるだろうクワガタと遜色ないクワガタである。

まあ区別化するためか、背中には緑色の線の装飾が施されているが。

 

「なんじゃこりゃあぁぁ!?」

 

ウヴァの悲鳴が聞こえるがそれは置いておこう。

次は青。

水棲類のコアメダルで、名前は【メズール】。

気のせいか、他のセルメダルの山より大きめでアレーティアとアンクは「女贔屓するのかぁ」とアンクは非難、アレーティアはちょっとオルクスの性癖が気になった。

それはそうとメズールは実に可愛らしい幼女として復活した。

 

「あら?オルクスの坊やは少々ケチってくれたみたいねぇ」

 

一桁少女にしか見えない可愛らしい幼女であるが、彼女の抱える欲望は母性愛などの愛に関する部分。

実に女性らしさを如実に強調するような欲望である。

 

「メズール、おはよう」

 

次は白。

重量系のグリードである彼の名はガメル。

彼の欲望は食欲を主とするが、彼の性格が純粋(と低知能)故にグリード達からは一番欲望に忠実なグリードでもある。

だが悲しいかな、グリードは人間よりもとても感覚が鈍く、不味い美味しいも分からない。

そんな彼はメズールを慕う弟系キャラである(別世界では兄貴分になってたりする)。

なので彼の逆鱗に触れなければ他のグリード達よりも扱いやすい為か、彼は小さな男の子になった。

ショタコンは歓喜するだろう。

 

「ふあ……寝ている間に愉快なことになってるみたいだねぇ、アンク?」

 

そう言ってからかうのはカザリ。

黄色のコアメダル、猫類系のグリードでアンクからは臆病者と呼ばれる。

まあ支配欲が強く、策略を使う慎重派なグリードなのだが猫らしく飄々としているので他のグリード達からもあまりいい感情は持たれていない模様。

 

「るっせぇ!オメーだって可愛い子猫じゃねぇか!」

 

「え?」

 

アンクに指摘されて自分をよく見れば確かに見た目は完全に子猫で、メズールやガメルのように人型ですらないのだ。

まだ不気味さのあるアンクの方がまだ怪人と呼べるくらいである。

カザリはしばらく絶句して、そして彼らしくなく「シャアァァァ!!」と猫らしい威嚇を既にいないオルクスに向けて咆哮するのだった。

 

尚、その後アレーティアに撫でられて上下関係を決められてしまったカザリはグリード達から哀れの目を向けた。

 

「ニャアァァァ!!??」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(φ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、グリード達の復活が終わり、あとは脱出に向けて準備を進めるだけとなるが映司達が準備をしている間にグリード達は新たなオーズ、火野映司の評価をアンクから聞いていた。

 

「それでどう?あのエイジって奴は」

 

「私達の敵はエヒトよ。あの坊やが神殺しを果たせるとはあまり思えないわ」

 

「エージ、俺は好き」

 

「強いのか?アイツ?」

 

「ゴタゴタというな!」

 

あっちこっちから質問が飛んできてアンクはメズールらの質問を止めさせる。

 

「少なくとも戦闘力に関してはオーズ頼りではあるが強い。まあ、まだ成長途中って奴だな」

 

「じゃあ僕達については?」

 

カザリの質問。

それに周囲の雰囲気が少し寒くなる。

映司のグリードへの印象次第でこれからのエヒトとの戦いに影響が出るからだ。

 

「安心しろ、アイツはお人好し過ぎて俺を助けようとする奴だ。まあ、アイツにも譲れないものはあるが……」

 

「ふぅん」

 

「彼に子供はいるのかしら?」

 

「知るか!本人に聞け!」

 

「エージ、遊んでくれる?」

 

「アイツなら喜んで相手してくれるだろうよ。だが手加減はしておけ?」

 

グリード達が数百年ぶりの和気藹々(?)とした会話をしている中、映司とアレーティアはオルクスの遺産に驚いていた。

 

「おぉー!」

 

「まさかセルメダルで動く自動販売機……いやバイク?を見ることになるとは……」

 

普段は自動販売機(売る中身は【カンドロイド】という缶からモチーフとなる動物に変形する物だが)で、1枚のセルメダルを動力に長時間稼働可能という化け物バイクなのだが、実は古代オーズから託されたアイテムであったりする。

まあオルクスが遺した収納ボックスになるアイテムや、恐らくオーズのバイク【ライドベンダー】をコピー、もしくは改良しようとしたのだろうそのバイクの骨組みがあったりしたので全てが古代オーズのものではない。

どのみち錬成の魔法も使えない映司には彼の遺作を完成させることもコピーすることすらできないのが悲しみだが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紆余曲折あり、お互いに準備を終えて後は脱出するだけとなった。

 

「それにしてもクソメガネ、いないね」

 

カザリが脱出間際にそんな事を言う。

 

「確かに一人でここにいたにしても遺体がないのはおかしいわね。彼なら椅子に座ってそうなものなのだけれど」

 

「オスカー、一人、可哀想…」

 

メズールは確かに、と彼の言葉に納得しガメルは哀れみを向ける。

 

「じゃあアイツはここのどこかで野垂れ死んでるんじゃねぇのか?」

 

と、ウヴァは映司の背中に張り付いて彼らの疑問の答えを提示する。

だがそれはアンクが否定する。

 

「アイツがそんな先を考えねぇ事をするか?」

 

「あー……」

 

「しないわね……」

 

一体彼に何があったのか。

彼のその後が気にかかるまま、彼らはオルクス大迷宮から脱出するのだった。

 

 

 

 

 

 





読了ありがとうございます!

アンク達が人型になれる日は遠いようだ……誰からなるかなぁ……とか言いつつ実はもうすぐなるかもしれないとは口を裂けても言えない()

良かったら感想よろしくお願いします。

完全に興味本位なんですが読者の皆様はこの世界にいたら面白くなりそう、嬉しいという作品がありましたら投票お願いします!

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