陰の復讐者は空を駆ける 作:アルファ好こ好こ侍
オリ主をどうやってシドが攻略するのか。それともシドをオリ主が攻略するのか。
影実って基本的な戦い方って魔力体に流して剣を魔力で強化して物理で殴るのが基本だからオリ主ってかなりというか五条せんせの設定入ってる時点で別格だよなって思う日々。こんなん原作勢の方々に殺されてまう………っ。
━━━━━何とか集合時間には間に合いましたね。
緊張と身内にバレそうになった焦りからだいぶ気疲れしたアイリスだったが、集合場所である中央の噴水広場に集合時間よりも早く到着する事が出来た。
腕時計で確認するとまだ10分程時間に余裕があった。
アイリスは噴水近くの椅子に腰かけると、身嗜みが乱れていないか手鏡を使って確認。髪はボサボサじゃないだろうか、顔はしっかりメイクされているだろうか、服装は乱れてないだろうか。
一人暮らしになれたとはいえ、やはり指摘されて直せるのならどれだけ良かったことか。自分ではどうしてもバッチリだと思っていても、見えないとこで綻びがあるのは気がつけない。王宮暮しの時は女中が全てこなしてくていたので、改めてその有難みを知ることが出来た。
普段結ばない髪を三つ編みで束てみた。髪を結ぶのは久しぶりだが大丈夫だろうか。少し暑いからと少しつばの大きい黒い帽子を被り、ノースリーブの白い少し遊びのある服とフリルのついた薄ピンクのスカート。少しでも背の高い
今日こそはと、堕としてみせると強く豪語するアイリス。
異性なのだから、当然アイリスの事を女性と見るはず。アイリスの頭の中では、自分の美しい姿にキョドり、緊張でガチガチになる男が恥ずかしがりながらアイリスの事を褒めるという見ていて胃もたれする様な妄想が繰り広げられていた。
アイリスは待ちどうしくて仕方がない。いっそアイリスが迎えに行こうとすら思っている。いやしかし、自分が早く来すぎたのが悪い。ここは大人しく待っていた方がいい。
自分の気持ちに百面相をするアイリスは、今自身がどのような目で通行人から見られているかなんて露知らず。奇怪なものを見る目で通り過ぎる民衆に気付かず、アイリスはこの胸のもどかしさをどうするべきか悩みに悩んでいた。
「━━━━━あれ?結構早いね。関心関心」
聞き慣れたテノールボイス。アイリスは思わず立ち上がって声がした方を振り向く。
白髪で目隠し、肌の露出が少ない黒い服と、大体いつも同じ格好をしているこの男、
「まあ、定型文だけど。待った?」
「いいえ、私も今来た所です」
「もうちょいギリギリでも良かったんよ?」
「……いえ、
これはアイリスの本心なのだが、もしギリギリもしくは遅刻した場合、ほぼ間違いなく男の煽りが飛び交うので、アイリスはこの男と会う際は少し早めに集合場所に到着するようにしている。もしそうなれば、デート所の気分じゃなくなるかもしれない。拳を飛ばしてしまいそう。
「ん〜、関心関心。そういう心がけは素敵よ〜?」
「……どうも、ありがとうございます」
「じゃあいきましょいきましょ。びっくりしたよー?アイリスからランチのお誘いなんて」
「偶には先生と2人で食事でもとは思っていまして。ただ言い出せなかっただけと言いますか……」
「と言いつつ場所は俺に決めさせるってどうよ?提案者なら候補の1つや2つぐらい出しとくべきでしょ?」
「……うぅぅぅ、私こう言うのには疎くって……」
「いやガチ泣きしないでくんない?」
歩き出す2人。自分の情けなさに涙するアイリスに、ライズは面倒と内心毒づいた。
外食をするのは今まで何度もあった。しかし店選びというのは、アイリスの立場上する機会がなかった。友人と呼べる者も居なかったので、何が有名だとか何が人気なのかとか、華ある可憐な乙女達同士で飛び交うお店の名前の数々は、アイリスの耳に入る事すら無かったのである。ワーカホリックの末路がこれとは笑い話にもならない。
「……まぁアイリスはあんまし期待してなかったし。
「……先生の行きつけですか。それは嬉しいのですが……、私が食べ慣れてると言うのは?」
「いや、君王族じゃん。ならお高ーいお店もいっぱい行ってるでしょ」
「……うぅぅ、いやそこまでは……」
ライズの発言が一言一言アイリス心に突き刺さる。ライズの言葉は全て、アイリスが
まぁライズも友人が居ないことは知っている為、わざと煽っているのだが。普段なら気付くはずのアイリスも、ライズの言葉に含まれる自分とは真反対の理想的な存在に胸打たれ苦しんでいるため相当な傷の負いかたである。
ともあれと、アイリスは隣で歩く長身のライズをチラリと一瞥する。
美しい。アイリスはその一言でライズを語る。
きめ細かい白髪、シミ一つない白い肌。ガタイの大きいという訳では無いが、それでも逞しいと感じる身体付き。ファッションセンスはどうであれ、なんだかこう
こうも美意識高い存在がいると、流石のアイリスも気後れしてしまう。本人に自覚は無い、というか寧ろ自慢気に胸張れるメンタルの持ち主であるライズには、何を考えても無駄だとは思うのだが、隣で歩く身としては羞恥心に擽られると言うか。
隣で歩くのが自分で申し訳ないと考えてしまう。
「何してんの?」
「……え?」
少しだけ距離を取ったアイリスに、ライズは不思議そうに声をかけた。
考え事をしていたアイリスは、一瞬反応が遅れる。
「どした?そんな距離とって」
「…あ、いえ……その……」
自己嫌悪に陥ってそれから解放されたくて下がりましたなんて言えない。アイリスは少し言葉を詰まらせる。
「なんでもいいけどさ。あんまり気にすんなよ」
「……え」
「誰も気にしないって。寧ろ周りの目は気にすんな。俺がちゃんと隣に居てやるから」
「……あっ」
ギュッと右手を握られたアイリスは、そっと抱き寄せられる。
2人は恋人という訳では無い。教え子と教師。アイリスが学園を卒業してからもそれは変わらなかった。アイリスはその関係を変えたいと思ってはいたが、ライズにとってアイリスは一生徒でしか無かった為、関係が変わることは無かった。
抱き寄せられたアイリスは思う。変わりたいと。
見上げればライズの顔が視界全部に写り込み、その距離感にドキドキと高鳴る胸の鼓動が熱くて仕方がなかった。
なんだかとても心地良いと、アイリスは頬を赤く染めてその余韻に浸る。なんだかとても甘く熱い。初心なアイリスが求める恋愛像のテンプレート。
アイリスはニヤける顔を抑えきれなかった。
「………な、なんという事………」
そしてその背後。露天に売られていた帽子と眼鏡を装着して物陰に潜むアレクシアとシドが、日中の人混みのど真ん中で繰り広げられるラブロマンスに釘付けになっていた(シドは半分寝ている)。
アレクシアはその光景に度肝を抜かれており、『うちの姉、あんなにも乙女だったかしら???』と理解するのに相当の時間を有した。
姉妹として、姉の恋事情を盛大に
この距離であるから、あの2人には感づかれまいとタカをくくっているアレクシアだが、ライズはしっかりと尾行されている事に気が付いている。指摘しないのは、見られたからどうなのと言う話なので放置。大人の余裕である。
「………ちょっと、シドくん?しっかりしてよね。こんな面白ゲフンゲフン、大変な事が起きてるんだから、貴方もしっかり見張りなさい?」
「……えー。見張る必要あるの?」
「当たり前でしょ?お姉様が先生に何されるか……、想像しただけで面白ゲフンゲフン、気になるでしょ?」
「……素直に面白いって言えばいいのに」
「あっ、移動した。私達も行くわよ」
「ぐぇーっ、なんで首元掴むの〜?」
服の襟を掴まれながらズルズルと引きずられるシド。怪しい格好をした人達が怪しい行動をしている。通行人達からの注目が集まって尾行のための変装が馬鹿らしく思えるのは、アレクシアには全く持って伝わらないものであった。
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「……ふむ、成程ね」
「あの、先生?此方は如何ですか?」
「……ん〜ちょーと違うのよね。装飾品はシンプルで尚且つ目立ちたがり屋見たいな奴がいいんだよ。それはシンプルだけど目立ちたがりじゃなくて構ってちゃんだな。この宝石の周りの感じ見て?ツルツルじゃなくてゴツゴツしてる。これじゃ宝石よりもこのゴツゴツが目立っちゃうね。趣旨が違う違う」
「な、成程……。勉強になります……」
アレクシアとシドがアイリス達を尾行し始めて数時間。甘いスイーツが有名なオシャレな店でランチを済ましたライズとアイリスはそのまま行動を続け、王国最大級の施設を誇るミツゴシ商会に足を運んでいた。
現在、ライズの要望でネックレスを品定めしている。
ミツゴシ商会は階層が上がる事に商品のグレードが上がっていく。
1階は庶民でも買える安くて美味しい生鮮市場や
2階、3階は本屋や家具、工具と趣味で扱われる様な小物から大物まで揃えられている。それより上は貴族や祝い品として買われるであろうブランド品が多く揃えられている。
ライズ達はその中でも最上階。ミツゴシ商会所属の職人が全て手作業で作りあげた超高級品が並ぶ階層。貴族でも一瞬考えるような値段で揃えられたそれ等を、ライズはあまり気にせず品定めしている。アイリスは値段にドン引きしていた。
「……ん〜かなり品揃えは良くなってるけど、どうも俺の中でしっくりこないなぁ〜」
「……先生は一体誰目線で語られてるのですか?」
「え、俺目線だけど?」
唯我独尊。聞いておいてなんだが、アイリスはそういえばそうだったと後悔した。そりゃそうだと、誰かの意見を参考に考えるなんて事をこの男がするはずないと、分かっていた筈なのにアイリスは聞いてしまった。
「その口ぶりだと、先生はこの階層での買い物がおありで?」
「まぁね。親しい子達のプレゼントとかに選んでるんだ〜。ほら俺、ナイスガイだから女の子から引く手数多なんだよね。いや〜困っちゃうなぁ、俺のお財布事情も考えて欲しいもんだ〜」
「………ヘェ、ソウナンデスネ……」
と言いつつ、ガクンとへこたれるアイリス。性格は兎も角、それ以外で補われているような存在であるライズは、学園内外で女性人気が高い。街を歩けば声を掛けられ、仕事中でも女子生徒達が挙って集られる。
仕方がない。とアイリスは納得しようと思うのだが、如何せん恋心というものは払拭出来ない仕様となっている。アイリスがライズに惚れた理由は自分よりも強かったからという単純でなんともバトルジャンキーな考え方なのだが、惚れた事には変わらない。才能ウーマンなアイリスは、そんな集る女性に対し『私より弱い奴が集まるな』等と内心毒づく程には最近の情緒が不安なのである。
今も、アイリスは他の女性の話題が出た為、内心かなりイライラが積もっているだろう。
「あ、因みにアイリスが今身に着けてるそのネックレスもここで買ったものだからね」
「………ふぇ」
「特に意識してなかったけど似合ってんじゃん。さっすが俺」
「……ひゅっ」
二連撃。下げて上げてくるのは温度差で感覚バグりそう、アイリス談。
いつもの如く自分最高と宣うライズの言葉を、今回は聞き逃すアイリス。前者のインパクトで完全にショートしてしまった。仕方がないと言えばそうなのだが、耐性がクソ雑魚なアイリスも大概である。
アイリスの中では絶賛妄想が広がり中。長い時間をかけてアイリスに合いそうな物を探すライズ。あれでもないこれでも無いと悩み悩んでやっと見つけたしっくりくるネックレス。
終いに、『彼奴、喜んでくれるかな……?』等と不安げに、そして少し嬉しそうに口ずさむライズの姿が。普段見せない少し照れた様な表情で、アイリスの喜ぶ姿を頭の中に浮かべている、そんなシーン。
アイリスは噴いた。自身の愛欲が押えきれずその象徴として鼻血がドバッと噴き出した。その量はまさに滝の如く、しかし表情はなんとも言い難い恍惚な表情。その余りにも悲惨なギャップに思わずライズも何してんのお前とツッコミを入れる程。
ハッと我に返ったアイリスは、鼻元をハンカチで吹き吹きしなにか期待してますと言わんばかりの目線を向けた。その前に床を掃除しなくては。
「せ、先生!!先生にとって私は……、私は……っ」
「え、何?」
「せ、先生は私の事をどう思いでっ!?」
「ただの元生徒だけど?」
アイリスは一瞬にして砕け散った。そりゃそうだ、ともならなかった。
上げて落とすとは、最早何も語れまい。アイリスが勝手に期待して勝手に沈没しただけである。ライズはあくまでも普通に切り替えした所からも頷ける。
アイリスの願いは、望み薄。
「………ま、こうやって2人で出掛けてる時点で察しろよって話なんだけどね」
消沈するアイリス。故にアイリスの耳にその呟きは届かなかった。
うぅぅと唸り声を上げてしょげているアイリスに、面白い奴とでもいいたげな表情でライズはアイリスを見ている。
そしてそれを遠巻きで眺めるアレクシアとシド。特にアレクシアはあの甘ったるい2人の雰囲気に胃もたれしていた。姉であるアイリスとて1人の女性。異性といい感じになって女になっていくなんて当たり前だと感じてはいたが、いざそれを見るとどうにも現実的にその光景を見る事が出来ないでいた。
シドは面倒くさそうにしている。
「……くっ、飛んだり跳ねたり落ち込んだり明るくなったり……、忙しいわねお姉様は……」
百面相ならぬ百体相。あの動きぶりからして、かなり感情の起伏が激しいのではないだろうか。1秒に2回はアクションが起こっている。ある意味才能だ。
「……もう、ここじゃあ話聞づらいわね。もっと近付くわよ」
「え〜、絶対見つかっちゃうって」
「貴方も気になるでしょ?アイリス姉様のあの動きを。一体何話してるのか気にならない?」
「え、うん。これっぽっちもないよ」
「人の心とか無いの?……呆れた、つまらない男ね」
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ライズとアイリスはそれから色々と店を廻り、そのままアレクシアが面白いと思う事も無く終わってしまった。
あの2人(アイリスには)色々とあったようだが、アレクシアとシドからすれば傍観者でしか無く、そこまで面白いものでは無かった。そんな成果に、アレクシアは心底ガックリしながら帰路についている。
言ってはなんだが、一日を無駄に浪費してしまったと言わざるを得ない。
まぁ、これはライズが尾行に気付いて特に何もアクションを起こさない様になったからという裏事情があるのだが、アレクシアがそれを知る事は無いだろう。
「……はぁ、つまんない一日だったわ……」
アレクシアはそう毒づく。無理もないと言えばそうだが、勝手に面白いと思ってホイホイ尾行したアレクシアの自業自得ではある。他人のデート程面白くないものは無いと、アレクシアは今日学んだのであった。
「……なんか、面白いと思ったんだけどなぁ……」
「……そんなに何か面白い事を探してるの?」
珍しくシドがアレクシアの言葉に反応した。
「そんなに、ってわけじゃないけど。やっぱり何か刺激的なものも感じたいじゃない?日常に変化をつけるとか」
「……変化。例えばどんな?」
「……そうね、まぁ無難に言うなら異性と付き合って見たり、ペットを飼ったりとか。……ある意味、私の中で貴方は結構新鮮な存在だったのよ?」
「……ん〜」
今は全く興味が無いが、とアレクシアは心の中で付け足す。
今ではシドはアレクシアにとってつまらない男という認識。シド自身何も行動が無いため、言われて当然と言えばそうなのだが、アレクシアはそういう無関心な態度にもかなりシドに対する興味の喪失感が拍車をかけていた。
「……ねぇ、あの時私に告白した理由って何?」
「……好きな人に告白するのが理由じゃ駄目なの?」
「貴方私の事全然好きじゃないでしょ」
「………」
シドの表情は変わらない。しかし、アレクシアはシドの変化に気が付いた。遂にバレたな、と。
「……なんの事か分からないな」
「惚けても無駄よ。大方、友達との罰ゲームか何かで告白しろって決まってたんでしょ?」
「いやいや、そんな酷いことはしないよ。だって君は一国のお姫様なんだから」
「隠さなくていいわよ。どうせ
シドは黙り込んだ。その沈黙が言葉の真意を現していた。
アレクシアは心底どうでも良さそうな顔でその結果を見詰め、ため息混じりの息を一拍。
「……じゃあね、私がどうして貴方の告白を受けたと思う?」
「……さっきのアレじゃないの?日常の変化見たいな話」
「それもある。でも、根本的にちゃんとした理由があるの」
アレクシアがシドの告白を受けた理由。それは、アレクシアの婚約者候補である、
姉のアイリスもそうだが、アレクシアも王女である。故に、将来の伴侶たる婚約者の候補が存在するわけで。アイリスはライズという他に代用が無いであろう圧倒的な頭角の候補がいる為(本人は否定的)婚約者候補は比較的静かなのだが、アレクシアは違う。
特に今名を挙げたゼノン・グリフィは、28歳という若さで国の剣術指南役であり、学園の王都ブシン流の顧問を担当している。将来は間違いなく
それ故に、アレクシアの知らない所で話は進み、今やゼノン・グリフィはアレクシアの婚約者候補筆頭となっているようだ。既に婚約者としての立ち位置も確立しつつあるらしい。
そんなこんなで、アレクシアはゼノン・グリフィの関心が薄まるよう交際を始めて話を白紙にしようとしたようだ。
「貴方を選んだ、と言うよりも、
「……あ〜、僕が男爵家出身なら、先生の煽りにもなると?」
「そう。男爵家ならいやでも離したがらないし、あの男にも変な女と思われて丁度いいでしょ」
「いやまあそれは君がいいならいいけど。で、3つ目は?」
「……貴方、お金に困ってるでしょ?」
ビクゥっとシドは硬直する。その姿にアレクシアはニンマリと笑みを浮かべ、待ってましたと言わんばかりに今までにない最高に嬉しそうな顔でシドを見つめる。
アレクシアはポケットに手を突っ込むと、徐に何かを取りだして地面に放った。シドにはそれが
チャリンチャリンと甲高い音を跳ねると同時に数箇所から響かせ、浮遊力を失った
「━━━━━これ、拾いなさい?」
赤い瞳がポーカーフェイスなシドを写す。アレクシアはそう促すが、シドは動くことはない。
地面に蒔かれたのは数十枚の
「……どうしてお金に困ってるって思ったの?」
「学生皆そうでしょ?特に平民上がりや男爵家辺りはお小遣いも少ないでしょ?学園生が稼げる事なんて殆ど無い。貴方も稼いでいる1人には見えないし」
「……僕がお金で靡くような男だとでも?」
「そう見えるからばらまいてあげたんだけど?」
シドは息を吐いてキメ顔で言葉を返す。
「━━━━━その通りだっ」
目にも止まらぬ早さでシドは地面に這い蹲ると、アレクシアがばらまいた
この金貨を拾った時点で、シドは間違いなくアレクシアの言いなりにならなければならないという最大のトラップを自分で踏み抜いていく様は、アレクシアにとってとても愉快なものだったようだ。
シドが最後に、アレクシアの足元に落ちている
「ね、分かるわよね?」
「……な、何がでしょうか」
「金貨を拾ったんだから、分かるわよね?」
「……き、金貨はお返しします」
「要らないわよ地面に落ちたお金なんて。貴方にあげるわ」
「え」
シドは人生で初めて冷や汗をかいたかもしれないと後日語る。シドの目の前にいた筈の少女は、間違いなく
「勿論、金貨をあげるんだから、その分貴方にやって欲しい事があるの」
断ったらどうなるか、わかるな?
まるでそれは、無言の圧力。シドは退路を既に立たれており、アレクシアの言葉に頷く他なかった。
「も、勿論ですとも」
シドは満面な笑みを
「ふふ、宜しくね、ポチ?」
アレクシアはポンポンとシドの頭を叩くように撫でると、そのままスタスタとその場を去っていった。
最後に、面白いものが見つかったなどというニュアンスの言葉がシドの耳に届いたが、シドはそんな言葉を気にすること無く、アレクシアが踏んずけていた金貨を綺麗に拭いてポケットの中にしまう。
「……思いがけない収入だ。やったぜ」
ポチ爆誕!!