ゴブリンスレイヤーRTA 魔術投手チャート 作:片腕のシオマネキ
小説パートはマジで難しかったです。どうやったら文章力って上がるんですかね...
春は始まりの季節だ。寒く長い冬が去って雪が解けると街道に人の往来が戻る。
それに伴って、どこからか新たに冒険者が夢を抱いてこの辺境の冒険者ギルドにも多く訪れ、ギルドは急に忙しくなる。ただでさえ温かくなると冬で飢えた野盗や獣の被害が多くなり、街には変質者などが出始める。
通常業務である冒険者への依頼の斡旋業務やクエスト終了後のインタビュー、昇級試験などにこれらが加わると、ピーク時にはギルドの受付は嵐のような忙しさに見舞われる。しかしこのような状況でも受付に列を作りすぎなくなってきたことに受付嬢は時間の流れと自身の成長を感じた。そうした朝のピークが過ぎて一息つく余裕ができる頃、新たな冒険者が登録にやってきた。
「こんにちは。お姉さん。冒険者登録はここで合ってるかい?」
そう言って受付に現れた新人冒険者は只人の男性より頭一つ高い長身を真新しい狩人の外套に身を包んで立っていた。顔は体格に見合わず中性的な美形であり、耳を見てみれば少し丸いが笹耳であったため森人と予想できて納得する。
「はい。こちらで合っています。文字はお書きになれますか?」
「ああ。こう見えても都の学院の出だから大抵の種族の文字は書けるよ。まぁ流石に混沌の者の文字は書けないけどね」
新人冒険者は意外にも学のある人間だったようで冗談を言いながらもきれいな字でサラサラと冒険記録用紙に必要事項を記入していく。書きながら話すにはどうやら人間の町で生まれた
「よし。書けたから不備がないか確認してもらってもいいかい?」
「はい大丈夫ですね。お名前は魔術投手さんですか。え! 女性? あ……失礼いたしました」
提出された用紙を確認していくと彼は、いや彼女は女性だったらしい。つい出てしまった驚きに謝罪するが特に気にした様子もなく冗談めかして
「ありがとう。よく間違われるから気にしないでくれ。見ての通り上背もあるし、顔立ちも髪型も女性らしくないからね。それとも見た目通りの男前じゃなくて残念だったかい?」
とやはり中性的で男とも女ともとれるような声で応じる。
アハハ……と愛想笑いと共に白磁の認識票を登録料と引き換えに手渡す。
「登録は以上になります。こちらが認識票となりますのでなくさないようにお願いします。今後のご予定はありますか?」
「そうだね。特にないけど新人だからどこか一党に入って冒険をうけたいかな。せっかくの初仕事で失敗なんて御免だからね」
「わかりました。また何かわからないことがあったらお聞きください」
ありがとうね~と礼を言って認識票を受け取った彼女は掲示板の前で張り出された依頼を見に行った。しばらくゆっくりと掲示板を眺めている様子を観察していたが次の新人登録者らしき少女が現れたので観察を止めて業務に戻った。
「こんにちは、冒険者登録ですか?」
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「やぁ。君も新人冒険者かい? 何かすることは決まったかい?」
女神官が冒険者登録を終えて、掲示板を見ながらこれから何をしようかと考えていると背の高い美丈夫が話しかけてきた。最初、これが噂に聞く軟派かと身構えたが、よくよく見ると彼も新人冒険者らしく、一党のお誘いのようであった。
「はい。今日登録したばかりなんです。何をするかはまだきめてないですね」
「そうかい。僕もなんだ。初めてだから誰かと組んで仕事を受けようと思うんだけど、ピンと来る人がいなくてね。よければ一緒にどうだい?」
「は.はい」
もともと今後の予定がないことと中性的な容姿も相まってつい疑わずに了承してしまう。神殿から出てきて間もなく、同い年位の男性との交流経験もない女神官では仕方のないことではあるが地母神も結構心配になるチョロさである。
「ありがとう。助かるよ。ああ、自己紹介がまだだったね。僕の名前は魔術投手だ、遠距離攻撃を得意としているよ。きみは?」
「私は女神官です。私は地母神様から奇跡を賜っています。」
軽くお互いの自己紹介を終わらせて、どのクエストにいくか相談していたところ、後ろから声をかけられた。
「君たちも新人冒険者か? まだ何にするか決まってないんだったら、こっちの
振り返ってみるとそう言って話しかけてきた剣士やその後ろの女武闘家と女魔術師も自分達と同じ白磁の認識票を首から下げていた。装備が真新しく、使用感がないことから自分たちと同じような新米冒険者であることが分かった。魔術投手も振り返りながら
「ああ。今から決めるところだったから彼女が良ければ……」
と了承しかけていたところで後ろの女魔術師と目があって
「「あっ!」」
驚いた声が重なった。
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女魔術師視点
女魔術師は都の学院をトップの成績で卒業した才媛である。在学時にもたぐいまれな才能をもった天才とほめそやされていたが、あまり喜べなかった。なぜなら自分と学生寮の同室であった魔術投手が自分と双璧をなす天才と称されていたからである。同室のあいつはしょっちゅう学園の女の子に粉をかけていたり、自分が部屋で勉強している時も筋トレをしながら「君も一緒に体を鍛えないかい? 術者でも筋肉は必要だよ」などと言ってきたり、魔術師のくせに「時代は投擲だよ」と言って投擲の練習をしているなど少々ふざけた人物であった。それなのに呪文は回数こそ自分より少ないが、二種類のそれも片方は学園卒の魔術師でも難しいとされる魔術を行使できるのだ。自分が非凡だとは思わないが上には上の才能があるのだと思い知った。冒険者になったのも自分の才能がどこまで通用するか知るためであるが、無意識に学園に残った同室から離れることも目標であった。
そんなことがあり、半ば逃げるようにやってきた辺境の街で当人に出会ったので驚きもひとしおである。
「あんた。なんでこんなところにいるのよ。学園で研究を続けるんじゃなかったの?」
「ああ。研究職は蹴った。天啓が降りてきたのさ! 僕の目的を達成するには冒険者になるべきだってね」
いつものような調子でふざけたことを言ってくる。こいつのペースに乗ってはいけないのについ、いつもの何時ものようになっていく。しかし、確かにこいつならそんな理由でせっかくのチャンスを捨ててもおかしくはないと妙に納得してしまう。周りにも浅からぬ関係であることが伝わったのかどのような間柄かを問われる。
「二人は知り合いなのか? もしかして元カレとか?」
「やめて。そんなんじゃないわ。腐れ縁よ。学園で同室だったの。それよりも大丈夫? こいつはこんな成りしてるけど女だし、後衛職よ。しかも女の敵のスケコマシでもある」
「「「え!?」」」
今度は他の面々の驚きの声が重なる番だった。
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女魔術師が学園での諸々の話を終えた後はどうしようかという空気になった。後衛が多く流石に新米でもバランスが悪い編成だとわかるためであった。しかし、攫われた村娘がいることや一党の頭目である剣士や女武闘家の「小鬼なんかに負けるわけがない」という意見により、このメンバーでゴブリン退治に赴くことになった。当然、受付嬢さんからは苦言を呈されたがそこは魔術投手が華麗に言いくるめ、ゴブリンに関する情報まで聞いてきたのだ。
そのまま一党は街をでて、報告のあったゴブリンの巣穴へと歩く。冒険の多くの時間はこうした移動であるが経験も体力もすくない後衛組が少々疲れ始めたころ、ようやく目的地の洞窟が見えてくる。
「はぁ.はぁ.少し疲れたわね」
「疲れてるところ悪いけどあそこが目的地だよ」
そういって指差した入口には見張りらしきゴブリンが2体やる気なさげに立っており、如何にも不意打ちが可能そうであった。早速剣士が勇んで早速突入しようとするとそれを手で制して大人しくさせる。一党が立っているところから巣穴の入り口までは20mほどあり、近接では不意打ちが成立しないのだ。
「一応野伏でもあるから初撃は頂いてもいいかい? 増援を呼ばれてもいやだしね」
「いいけど、弓矢とかじゃないとここから攻撃は届かないし、しかも一体しか倒せないんじゃないか?」
剣士のもっともな疑問に得意そうに魔術投手はチッチッチッチと指を振ってから『同一』『影』『存在』と真言を唱える。局所的に世界の理が改変された結果、魔術投手がもう一人現れ、驚く一党をよそに魔術投手は二人とも持っていた投石紐に石をかけて自分同士で話し合いをしながら石を回し始めた。
「僕は右を狙う。一撃で決めるよ」
「もちろんさ。なら僕は左を狙うかな」
そう言って少しの集中のあと、全く同じフォームとタイミングで放たれた弾は拾った石故のばらつきによってか本体の投げた方のみ、小鬼の脳漿をぶちまけた。無論分身の放った弾も小鬼の顔面に命中し、小鬼を昏倒させたが、死には導けなかった。驚嘆する一党をよそに仕留めきれなかった分身は悔しがっていた。
分身が倒した小鬼に留めを刺しつつ、装備を漁っている横で他の面々は入口の奇妙なオブジェについて注目していた。頭はともかく知識は深いであろう魔術投手も解っていなかった物について皆で首をかしげていると既に女魔術師は答えを導き出していた。
「なんだろうかこれは? 何か機能があるようには見えないが……小鬼達の趣味かな?」
「そんなわけ無いでしょう。小鬼呪術師がいる証拠よ。学園の授業で習ったでしょう?」
「知らないね。多分その時は分身に任せて女の子と出かけてたね」
女魔術師があきれたような目で魔術投手を見るとアッハッハッハと笑って誤魔化し、一党の空気が緩む。しかしそんな緊張のとれた空気もいざ巣穴である洞窟の奥から吹いてくる汚物と獣の臭いが混じった饐えた臭いの風に吹き飛ばされて皆の表情が少しこわばる。そんな一党の空気を察してか分身の方が術の行使を申し出る。
「術は品切れだけど用心のために限界突破して戦力を増やしておくよ」
そう言って『生成』『従僕』『小鬼』と唱えると手の中の黄色っぽい小鬼の歯はみるみるうちに2体のゴブリンとなった。
「この小鬼達に先頭と殿をさせよう」
少し疲れた顔を強壮の水薬で元に戻している分身を真ん中に一列の隊列を組み、一党は洞窟の中へと向かった。
少しすすむと数体の小鬼達が現れる。交代の時間に戻って来ない見張りの小鬼の存在と真新しい金物の匂いを嗅ぎ付けてか最初から臨戦態勢で一党の前に現れる。よくよく注意してみれば先頭には仲間がおり、その後ろには雌はたくさん、雄は弱そうなのが一体であると分かった小鬼達はニヤニヤと自分が手に入れるであろう戦利品のことを思い浮かべながら一斉にとびかかる。しかし一体は武闘家の蹴りで壁に激突させられ、一体は分身の力強い石での殴りで頭を割られ、残った小鬼も先頭のゴブリンを肉盾にしようと位置どったが、その仲間からいきなり振り返って手の石で頭を殴られればなすすべもなく戦闘不能となり、意識は暗転していくのであった。
洞窟にはいって初めての小鬼との先頭の後、少しすすむとまたしてもトーテムが置いてあった。一見、入口においてあるものと同じであるため、皆が無視して進もうとしていたところ魔術投手はトーテムの陰から何かの物音がしたのを聞き漏らさなかった。さらに耳を澄ませてみるとそこの壁だけ薄く、中からは微かにだが獣の息遣いが聞こえてきた。
「ちょっとまってくれ。何かいるみたいだ」
そう言って持っていた松明を勢いよく突き刺さすと簡単に壁が崩れ、そこには顔を焼かれた小鬼とそれを蹴とばす小鬼が2匹残っていた。奇襲がばれた小鬼はすぐさま襲い掛かってくる。しかし一党も警告によって身構えていたため、すぐさま前衛と交代しようとしたが振り返っても前衛はいなかった。女神官は焦って後ずさったが魔術投手は落ち着いていた。
「え? 前衛はどこにいってしまったんですか?」
「僕たちを置いて行ってしまったみたいだ。こうなったらこっちだけでやるしかない」
そういうと魔術投手は持っていた松明をフルスイングしてもう一体の小鬼を壁の染みにした。しかし、もう一体には手が回らず、召喚した小鬼も横を抜けられてしまった。もう一体は松明を振りぬいたあとの無防備な魔術投手にとびかかったが、その試みは魔術投手の後ろから飛んできた【火矢】によって失敗に終わった。
「ナイスカバー!」
「お安い御用よ。それにしても前衛は後ろを気にしなさいよね」
「まぁまぁ、そんなに遠くには行ってないでしょうからすぐ追いつけますよ」
そんな風に女神官が女魔術師をいさめた。この辺りで術が切れたのか召喚した小鬼は元の乱杭歯に戻ってしまう。魔術投手はいくらかは近接ができるとはいえ、先ほどのように奇襲されることを避けるため、後衛達は横穴に気を付けて慎重に前にむかうことにした。
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分身視点
後ろ突き放してずんずん進む前衛に対し、分身は彼らを落ち着かせようとしていた。
「後衛を突き放してしまってるよ。あまり離れると僕の本体がいるとはいえ、彼女たちがあぶない」
「大丈夫だろ。早く終わらせてしまおう」
しかし、剣士は聞く耳を持たずどんどん前に進んでしまう。「小鬼なんか」という慢心や村で小鬼を追い払った経験、そしてこの冒険の順調さと少しの緊張で彼の視野は著しく狭まってしまっている。加えて、普段は剣士のストッパーとなる女武闘家も同じような考えであるため、分身の説得は梨の礫であった。
そんな状態であるから起こるべくして致命的なミスは起こる。これまでより多く来た小鬼を一網打尽にしようと小鬼の集団に対して剣を振り回すことを選択してしまったのだ。
「危ない! 狭いんだから振り回さないでよ!」
女武闘家がそういって注意するが視野狭窄に陥った剣士には伝わらず、遂には洞窟の壁に剣をぶつけて落としてしまう。すぐさま拾おうとするが、弱った者を狙うことにおいては一級品の小鬼がそれを許すはずもなく、ナイフが足に刺され、動きが鈍くなったところをすぐさま囲まれて粗雑な武器たちで滅多打ちにされてしまう。
「今助けるよ!」
「離れろ! 小鬼め!」
2人がなんとか群がる小鬼を蹴散らすが助けた時には剣士はボロボロの瀕死状態になっていた。しかも、外傷だけでなく、最初に刺されたであろう部分からは腐臭がしており、彼が毒に侵されていることもわかった。分身がすぐに治療を行おうとするも、タイミング悪く、上位種である田舎者が現れてしまう。術を使って剣士を逃がしたいが隙がない。最悪分身の自分はどうなってもいいので女武闘家に剣士君と下がるように指示をするが
「幼馴染があんなにやられたのに黙って下がれないわ。あんな奴ぶっ飛ばしてやる!」
頭に血が上っているのか話を聞いてくれない。仕方ないので、懐から催涙弾を取り出して田舎者の顔にとって置きを投げつける。奴がひるんだ隙に今日二回目の限界突破を行う。
「追加で術を使って剣士君を逃がす。少しの間、時間を稼いでくれ」
『生成』『小鬼』『従僕』そう真言を唱えると落ちていた小鬼の歯からは二体のゴブリンが生成される。同時にとてつもない疲労感が身を襲うがなんとか気力を振り絞って、生成したゴブリンに指示を出す。「彼を連れて逃げろ。ある程度逃げたらこれを飲ませろ」という命令をして剣士君と解毒薬を託す。若干引きずりながらではあるが運ばれていく剣士を見届け、すぐに女武闘家の援護にもどる。
「時間稼ぎ感謝するよ。剣士君は逃がしたからいつでもひけるよ。というか疲労がやばいから正直言ってさっさと逃げたい」
「なら休んでて。こいつは私が倒す」
やはり頭に血が上っている女武闘家は引く気がない。しかしそういって繰り出した蹴りは出目が悪かったのか田舎者に足を掴まれてしまう。
「なっ? 放して!」
「危ない!」
そのまま田舎者の攻撃のターンになろうかという場面で田舎者の顔には剛速の石が投げ込まれる。急所への攻撃に大柄な田舎者もたまらず女武闘家を放してたたらを踏む。そうして出来た隙にまた女武闘家が蹴りを叩き込む。幾度かこのような攻防が繰り返されたが、回数を重ねると必然的に致命的失敗は訪れる。掴まれたあとの援護射撃が大きく逸れ、そのまま女武闘家は壁にたたきつけられて気絶しまう。加えて、周りにはいつの間にか増援の小鬼が来ており、このままでは女武闘家が襲われてしまう。
「参ったな。こうなったら死ぬこと覚悟で抱えて逃げるしかないかないけど、いけるかな……」
分身が覚悟決めようとしていると後ろから聞きなれた真言こえの後に【火矢】が飛んできて、田舎者の肩に刺さる。どうやらこちらの増援も間に合ったようだ。本体と女魔術師の後ろには女神官に肩を貸されながら歩く剣士の姿もあった。
「本体の僕! 女武道家ちゃん抱えて逃げろ。殿は任せてくれ」
「了解した。女魔術師も剣士君に肩を貸してあげてくれ。女武闘家ちゃんは僕が運ぶ」
合流した後衛組に女武闘家を託して小鬼達に向き直る。目一杯、死ぬ気で時間を稼いでみんなを逃がさなくては。そう思って手始めに近くにいた小鬼に殴り掛かった。
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巣穴を大急ぎで戻る。行きはそう長くなかったように感じたが負傷者を抱えているせいかやけに出口までが長く感じた。特に魔術投手は半分程過ぎたあたりで分身がやられたことを感じ取ったせいか残りの道はより長く感じた。這う這うの体で入口にたどり着けば薄汚れた動く鎧のような人物が立っていた。安っぽい皮鎧角の折れた兜というみすぼらしいその見た目には見合わず、首元には在野最高位である銀等級の認識票が光っていた。
「全員生存か。上々だ」
「あなたは何者? 救援であれば嬉しいんだけど」
そう尋ねれば彼はこう答える。
ゴブリンスレイヤーは追撃に来た小鬼を流れるような動作で片づけたあと、様々な質問をして来た。何匹殺したか、負傷に対してどういう対処をしたか、上位種の小鬼はいたかなどと淡々と質問し終え答えを聞くと、
「負傷したやつは休んでいろ。余裕があるものがいればついてこい」
と言い、術の残っている女神官と自分から名乗りを挙げた魔術投手がゴブリンスレイヤーについていくこととなり、負傷した前衛とその護衛のために女魔術師は巣穴の前で待機することになった。
ゴブリンスレイヤーは小鬼のテリトリーに入っても実に合理的に小鬼を駆除していった。剣を投げて殺し、武器を奪って殺し、女神官の術を使って上位種を罠に嵌めて殺していった。自らついてきた魔術投手も後ろからの投石による援護と小鬼が死んだふりをしていないかの確認を行なうなど自分の仕事をこなしていた。確認のために少し遅れていた魔術投手が焼け焦げた
「先輩。こいつの死体を漁ってもいいかい? 術の資源を取りたくてね」
「好きにしろ」
一言断って持ち物や歯を漁っているとゴブリンスレイヤーは奥の人骨出来た玉座を蹴り壊して奥の木の板を剝がす。中には小鬼の幼体がぎっしりと詰まっており、命乞いなのかか細い声を発していた。
「子供も……殺すんですか……?」
「君の優しさは素敵だけど、何処かの誰かがそうなる前に殺しておいた方がいいと思う」
女神官の問いかけにそう言って魔術投手は汚濁に濡れた女性をさす。
ゴブリンスレイヤーと魔術投手は獲物を振りおろし続ける音と小鬼の悲鳴が響き渡る中、女神官は主神への祝詞を唱えながら目を瞑ることしか出来なかった。
しばらくして小鬼を殺し終えた魔術投手の目も疲労のせいか出発前に比べて酷く濁っており、女神官はそれが捕虜の女性と重なって見えた。
捕虜の女性たちを神殿に送った後、救出に来てくれたゴブリンスレイヤーと共にギルドへむかう。帰り道は疲労のせいか、手放しで成功とは言えない初冒険のせいか誰も口を開かなかった
本当はすぐに失踪する予定でしたが特大のガバが見つかったので続きます