ゴブリンスレイヤーRTA 魔術投手チャート   作:片腕のシオマネキ

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(久しぶりにマイページをみたらバーに色がついてて、嬉しさのあまり小躍りしたので)初投稿です。

仲間内でのセッションのためにクトゥルフのシナリオ書いたり、カタンをしたり、推しのファンアートを描いていたらこんなに遅れてしまいました。

失踪はしません。(鋼の意思)


パート3 裏

 小鬼退治を終えてギルドに戻ってくる。いくらゴブリンスレイヤーが加減をしているとはいえ、慣れない鎖帷子を着ていた体力のない女神官や朝に一度依頼を受けていた魔術投手は今日1日、銀等級に着いていくだけでヘロヘロとなっていた。

 受付で報告し、報酬を分配したあとは解散、という流れにはならず、魔術投手とゴブリンスレイヤーは先ほどの小鬼退治のことについて話し始めた。

 

「今日のクエストでは狼に乗って放浪している小鬼が居たけれどあれはなんだったんだい?」

 

「あれはゴブリンライダーだな。狼を手なずけて騎乗している。狼を養うため、基本的には少数のみで放浪しているか、餌に余裕のある巣穴に見張り番として一、二匹いる程度だ。機動力が高いから開けたところで複数を相手にすると苦戦する。今日のように森のなかで事前に縄でのトラップを仕掛けておくべきだ」

 

「あ、あぁ。覚えておくよ」

 

 ゴブリンスレイヤーに何気なく小鬼のことについて質問をすると普段とは変わって饒舌になって話はじめた。思っていた答えの倍量の返答が帰って来て学園にいた自分の好きな分野には饒舌になる変人を思い出す。

 このままだと小鬼のことについていくらでも喋りそうなことと受付嬢さんの魔術投手への視線が怖くなってきたので話を切り上げて女神官の方へ話題を振る。

 

「今日のクエストではしっかりと活躍できてたね」

 

「ありがとうございます。でも【聖光(ホーリーライト)】の目眩ましは味方にも影響がありますし、【少癒(ヒール)】は使う機会がなかったのでそんなに活躍できませんでした」

 

「いやいや。あそこで上位種の足止めがあったから僕も投石が当たったんだ。それに後ろに回復が控えているだけでもいくらか戦いやすくなるのさ。君が活躍してなかったら術者なのに術切れだった僕のほうが役立たずさ」

 

 女神官と話し始めると今度は魔術投手が饒舌になる番だった。女神官も褒められてまんざらではなさそうである。本当にチョロイン

 

「君は祈禱の回数は三回まであって充分だからあとは術の種類が増えるといいね。そうしたら回数をもっと有効に使える。それに彼について行くなら思いつかないような奇跡の使い方もするかもね。逆に僕は術の種類はともかく回数が課題さ」

 女神官をただほめそやすだけではなく、途中からは今後の課題を分析する。急に真面目にしっかりとした意見が出てきたため女神官はつい(軟派な感じだけど一応考えは真面目なんですね)と少し失礼なことを考えてしまう。

 

 一通り反省会がすむと魔術投手は宿に戻る。宿の裏手で今日のクエストで汚れてしまった装備品を外して、清めてから宿の部屋の中に入る。

 先に帰っていた女魔術師はもう夕飯も済ませたようで魔導書らしきものを読んでいる。

 

「ただいま。それは何の魔導書なんだい」

 

「お帰りなさい。これは魔女さんから借りたの。流石に【火矢(ファイアボルト)】だけじゃキツイことが分かったもの」

 

 本から目を放さずにそう言う彼女。そんな親友を邪魔してはいけないと魔術師は会話もそこそこに床に着く。今日の依頼の疲れもあってか意識はすぐにどこかへ旅立っていった。

 

 

 

 次の日の朝、魔術師は早朝から目が覚める。しっかりと休んだためか昨日の疲労もすっかり残っていない。しばらく朝の支度をしていても起きてこない同室を揺り起こす。

 女魔術師は昨日おそらく夜更かししていたのであろうか容易には起きない。

 

「昨晩は魔女さんから借りた魔導書を呼んでたから……寝不足なの……あと五分……」

 

「そんなこと言ってると依頼の張り出しに間に合わないよ。それとも目覚めのキスが必要かい?」

 

 依頼の張り出しに反応したのか親友なら本当に目覚めのキスをやりかねないからか女魔術師はノロノロとベッドから這い出して、朝の準備を始める。その間に魔術投手は下の食堂からパンと牛乳を運んできて部屋での朝食となる。二人の朝食は食べながら自然な流れで今日のクエストの打ち合わせとなった。

 

「今日は一緒に黒曜等級で受けられるような依頼を受けようとおもうんだけど一緒にどうかな?」

 

「下水や小鬼退治で汚れまくるよりはマシだし、それでいきましょう」

 

 今日の方針も決まったところで朝食を食べ終わり、宿を出てギルドへむかう。少し早めに出たつもりであったがギルドの中には冒険者たちがそこそこ集まっており、意外と時間がたってしまっていたようだった。

 魔術投手たちがギルドにはいると丁度クエストボードへの依頼の張り出しが始まる。やれ実入りのいい依頼はないか、竜殺しの依頼はないか、などとクエストボードの周りがにわかに騒がしくなっていくなか、魔術投手は人ごみに入っていき、一つの紙をもってでてくる。

 

「薬草採取の依頼。ちょっと遠いけどあんまり汚れない依頼だしこれにしよう、それに脳内の神もそうしろと言っているからね」

 

「依頼はそれでいいけど、その外なる神からの神託は本当に大丈夫なんでしょうね……」

 

 女魔術師は親友が変な宗教にはまってしまったような不安感を覚えつつ依頼の詳細を確認する。確かに少し遠いが目当ての薬草については二人とも学院にいた時の授業で学んでいるため知識もあるため採集もある程度簡単だろう。

 二人は依頼をもって受付へと行くのだった。

 

 

 

 

「頼んでいた盾の修理は終わったかい?」

 

 そう尋ねてきたのは森人にしては珍しい長身である程度ガッチリした体格の冒険者だった。よく見てみると先日、錆びた大楯を引きずりながら修理に出しに来た魔術師の嬢ちゃんもいる。首から下がっている認識票をみると森人のほうは黒曜、魔術師のほうは白磁とまだまだ駆け出しのようで思い出してみると最近防具や水薬を買いに来るような冒険者だとわかった。

 

「ああ。あのタワーシールドか、ちょっとまってろ」

 

 丁稚の青年に大楯をもってこさせている間に目の前の森人を観察する。弓矢を持っていないことからすると森人にしては珍しく野伏や軽量戦士ではなく、大楯をもって重戦士としてこいつが前衛を張っているのだろうがにしては防具が狩人の外套のみと軽装すぎる。

 

「あんちゃん。戦士なら外套だけじゃなく鎧もどうだ? 皮鎧だけでもあるとないのじゃちがうぞ」

 

 親方はそう言って防具コーナーを指差すが森人の方は勧められたしっかりとした鎧ではなく、後衛職が装備するような鎖帷子をカウンターに持って来る。確かに鎧ではあるが前衛を張るにはこれだけでは心もとない。

 

「ありがたいけれど、生憎本職は魔法使い(スペルキャスター)なんだ。まあ専らやることは投石なんだけどね」

 

 じゃあなんで大楯と短槍をもっているか、結局冒険では何をしているかに疑問をもったがその思考は丁稚が大楯をもってきたことで中断され、鎖帷子の代金と合わせて修理代金を払うと二人は急ぎ足でさっさと出て行ってしまう。これでは人間観察のしようもない。やはり冒険者にはあのゴブリン、ゴブリンうるさい変なのを筆頭に変人しかいないのか。そんなことを思いながら諦めたようにため息をついてから次の仕事に取り掛かる

 

 

 

 工房を後にした二人はすぐに目的地に向かうのではなく、辺境の街の外れにある馬借に立ち寄っていた。

 

「馬借にきたってことは馬でも借りるの? それとも買うの?」

 

「そうだね、馬を……と言いたいところだけど買うのはロバのほうさ」

 

 そう言うと目利きが終わったようで馬借の主人と何か交渉している。しばらくして交渉がおわって代金をわたすと主人が手綱を握って一頭のロバをつれてくる。馬よりは一回りか二回り小さいが普通のロバよりは大きく中途半端な感じである。

 

「こいつは馬の血が混じっているのかロバにしては足が早い奴だ。反面、ロバにしては扱いにくくて困ってたんだ。ありがたいからサービスで鞍もつけとくが返品は受け付けないぜ」

 

「大丈夫さ。馬やロバの扱いは女の子を乗せるために学園で猛特訓したからね」

 

 そんなことを言って主人と女魔術師に呆れた目で見られながら魔術投手はロバの手綱を握る。目つきの悪いロバは魔術投手をにらんだが魔術投手もにらみ返す。ややあってロバは首を下げて新しい主人を認めたようだった。

「この子の名前はロシナンテにしよう。何かの物語で騎士が乗ってた気がするからね」

 そう言って付けられた名前は駄馬を意味していたことを彼女は知らなかった。

 

 馬借を後にした二人はロバに乗って目的地を目指す。ロバにしては早い速度で街道をかけながら手綱を握る魔術投手にしがみつき、女魔術師は質問する。

「この子、そんなに気性が荒くないのになんで扱いにくかったのかしら」

「ああ、あの馬借には女性の客なんかは来なかったみたいだからね。このロバは男を乗せたくないみたいなんだ」

 女魔術師は気難しいロバを乗りこなす魔術投手に感動した気持ちを返してほしいと思った

 

 

 目的地である薬草の群生地の森に付いた二人は薬草の採集を始めるが周辺には草木が生い茂っており、普通にやっては日が暮れてしまいそうな様子であった。加えて周辺では規模が大きそうな小鬼の巣の情報があり、おちおちやっていられない。

「だからこそ分身の出番だね」

 魔術投手は【同一(イーデム)】【(ウンブラ)】【存在(ザイン)】と唱えていつものように分身を生み出そうとするが、足元の影は少し揺らめいただけで実体を取らずに霧散して元の足元に戻ってしまう。

「何がだからこそなのよ……しかも失敗してるし」

 ツッコミを意に介さず、再度真言を唱えると今度こそ分身がこの世に実体をとる。

 続けて分身が本体の雑嚢をまさぐって小鬼の歯を取り出すと魔術によって小鬼たちを生み出して指示をとばす。

「小鬼くん達、ここら辺の草を刈り取って持って来てくれ」

 命令を受けると小鬼達は腰蓑に刺さっていた粗雑な短刀を用いて周りの草たちを刈り取っていく。あっという間に明らかに雑草だとわかるものからあまり素手で触ることが憚られそうな毒草まで混合された草の山が魔術投手達の前に積みあがっていく。

「ちょっととりすぎたかな? まぁ、誤差だよ誤差」

 

「いや、多すぎ。というか小鬼達にもう持ってこさせないように止めなさいよ。あいつらまだ刈ってるわよ」

 

 小鬼たちが張り切って刈り取った草を運んできて一党の前の草の山はさらに大きくなる。流石にこれ以上は全てを選別するために日が暮れてしまいかねないので分身が小鬼たちを消滅させて供給をとめる。

 

 三人が黙々と選別を続けて規定数が集まり、追加報酬を狙うために追加で選別を続けていたとき、遠くで何か雑多な金属が落ちるような音が聞こえた。その後、あたりがにわかに騒がしくなり始める。

 思わず三人は立ち上がって辺りの様子を確認するが遠くで何かが起こっているようだった。

 女魔術師が安全をとって撤退するかを提案しようとしたとき、親友は真逆の案を提案する。

 

「音の方向へいってみよう。今さっき天啓が来たんだ」

 

「でも無駄にリスクを負うのはどうなのよ」

 

「なんでも誰かが致命的失敗をしたみたいでね。助けてあげないとだから手を貸してくれ」「どうしても反対だと思うなら君一人でロバを使って撤退してくれても構わない」

 

 本体と分身がきっぱりと判断を伝えると同時に女魔術師の考えを尊重するような意見も述べる。

(こいつだけでいかせるときっと無茶をするわよね。しかも帰っていいって言ってても顔は助けてほしい表情じゃない)

 しかし、相手をよく知った親友は相手の機微が読み取れてしまう。

 

「いいわよ、私も行くわ。頭目の判断に従う。それに無茶しすぎてまた倒れられても困るしね」

 

 女魔術師がそういって了承すると一党はすぐさま持ってきていた装備を整えて音の方向へとむかう。ちなみに女魔術師の判断した理由の一つに馬やロバに一人では乗れないため一人では帰れないことも理由であったことはご愛嬌である。

 

 音がしたほうに向かってみるとそこには古い山砦があった。古い森人の砦であるようで大樹を利用して作られている。長い年月で枯れて、朽ちかけてしまっているがよくよく探してみればしっかりと入り口やそこを見張るための見張り台などがある。一党が少し離れた茂みから入り口周辺をみると見張り台には見張り番とおぼしきゴブリンが気だるそうに座っていた。

 

「また、ゴブリンじゃない……」

 

「まぁ悪魔や竜なんかじゃなくてよかったじゃないか」

 

 いつものように魔術投手の狙撃によって見張りを無力化したのち砦内に入ろうとしたとき、これまでおおむね順調であったゆりもどしが来たのか入り口付近で外から来た数匹のゴブリンと不意遭遇してしまう。

 

「!!!!」

 

 お互いがお互いを認識していなかったためにその場の全員が敵味方問わずしばし固まってしまう。

 その中でいち早く動揺から立ち直ったのは分身であった。分身は咄嗟にロバに乗り込んで手綱をとって砦の入り口へと走り出す。不幸にもその直線上に居たゴブリンは突っ込んでくる相手に対応する暇もなく、ロバに蹴り飛ばされて戦闘から離脱した。

 そのまま砦の中へ走り去っていった分身を一瞥もせずに本体が残っているゴブリンの片方へ短槍をつき出す。魔術投手の筋力から放たれた短槍の一撃は狙われたゴブリンの胴体を容易に貫通させゴブリンを絶命に至らせる。

 

 たちまち仲間が倒されてしまったゴブリンは通常であれば逃げただろうが目の前には豊満な体をした雌が存在している。それが自分のものになると皮算用をしたゴブリンは目の前の魔術投手へと粗末な石斧を振りかざす。しかしその攻撃は急所にはあたらずさして疼痛を与えることもなく、女魔術師の援護により二撃目を放つ前にゴブリンは燃え尽きた。

 

「トーテムもあるしこの様子だと誰かがゴブリンの作ったトラップに引っ掛かったみたいね」

 

「それならコレみたいに外に出てる見回りの奴ら来る前に急いで救出してしまおう」

 

 魔術投手が倒したゴブリンから粗末な武器を漁っている途中、上位種の存在を女魔術師が確認したあと、二人は分身を追いかけて山砦に入っていくのであった。

 

 

 圃人野伏は迫り来るゴブリンに弓を射ながら自責の念に駆られていた。

 義憤に駆られ、ゴブリンに拐われた村娘を助けるためにしっかりと準備をした。ある程度熟練した冒険者の一党であり、油断せずにゴブリンの寝ている昼間に巣に忍び込んだ。

 しかし現実はどうだ。数多くの罠が仕掛けられているものを一つづ突破していくのに時間と体力をかけて、最後の最後に村娘の死体に仕掛けられたブービートラップに気づくことができなかった。

 その結果がこの状況だ。今は円陣を組んでなんとか持ちこたえているが襲ってくるゴブリンは止めどなく、はっきり言ってジリ貧だ。

 そのうちこのどうしようもない均衡は崩れさる。一党の頭目である貴族令嬢がゴブリンからの投石を頭に食らって倒れてしまう。前衛が居なくなった一党ではゴブリンの波を耐えきることは到底不可能であり、彼女たちはたちまちゴブリンに組伏せられてしまう。

 装備や衣服を剥かれ、丸裸にされてしまい、もともと薄かった逆転の目も潰えてしまった。

(イヤイヤイヤイヤ!! そんな、こんなところで……)

 圃人野伏は罠に使われた村娘の亡骸を見ながらこの後の展開を想像し、顔を歪ませて絶望していた。他の二人も同じことを考えたのか組伏せられながら怯えきった声やか細い祈りの声をあげていた。

 

 しかし彼女たちに予想した展開は訪れなかった。

 ゴブリンにも彼女たちにも予想外の闖入者が現れたためである。

 

「動ける者は僕の近くに!!」

 

 ロバに乗った魔術投手は気を失った貴族令嬢の元に駆けつけ、近くのゴブリンを散らしながら圃人野伏たちに号令をかける。

 突然のことであったが救出に来た者の声はよく通り、押さえつけていたゴブリンが浮き足だったところだったため拘束を抜けて集まることができた。

 

「本体! 頼んだ!」

 

「了解。【魔術(マグナ)】【結束(ノドゥス)】【生成(ファキオ)】」

 

 部屋の外に向かって叫ぶと他にも仲間がいたのか真言が唱えられ、ゴブリンと自分たちとを隔てるように力場が生成される。窒息を防ぐため上にゴブリンたちの攻撃は通らない小さな空気穴があけてあり、窒息の心配もない

 

 目の前に装備を剥かれた弱った獲物がいる関係か術を解くために術者を倒すという定石を知らないのか後ろからの魔術投手や女魔術師による攻撃を無視してゴブリンたちは粗末な武器で力場を殴り続ける。

 しかし不可視の力場はゴブリン達の貧弱な攻撃ではびくともせず、最前列にいたゴブリンが気づいたころには仲間(ゴブリン)はほとんど残っておらず大半が頭に赤い花を咲かせていた。

 

 広間にいたゴブリンたちを全滅させたところで魔術投手は力場を解く。窮地を脱して余裕ができたのか圃人野伏たちはゴブリンによって自分達の色々丸出しになっている格好に思い至ると魔術投手に背を向ける。

 

「あの……戦士? さん。助けてくれたのはありがたいんですけど。少し向こうを向いていただいても……」

 

「ああ、これは失敬。見とれていたよ。これを着るといい」

 

 魔術投手は自分の着ていた外套とその下の服を脱ぐと彼女たちに差し出す。分身も差し出そうとするが分身の身につけていた方は手がはなれたそばから消えていってしまうためしょうがなく親友を頼ることにする。

 

「枚数がたりないから君のローブも貸してあげてくれないか」

 

「了解。後、あいつはああ見えても魔術師だし、女よ。まぁ安全かは置いといて…

 

 女魔術師は着ていたローブを森人魔術師に貸しながら魔術投手についての勘違いを訂正しにかかるが本当のことを言うと面倒くさくなりそうことを察して語尾は小さく呟いた。

 

 見える敵を全滅させたとはいえ敵地のど真ん中であることには変わらないため魔術投手一向は気絶した貴族令嬢を抱えて山砦から出る。

 すこし離れたところで貴族令嬢一党の手当てをしていると気絶していた貴族令嬢が目を覚ます。

 

「う~ん……はっ! ここは?」

 

 目を覚ました貴族令嬢は跳ね起きると辺りを見回す。やがて周りの様子と同じ一党のメンバーからの説明によって自分達の状況を理解し、魔術投手達に礼を述べる。

 

「危ないところを助けてくれたようで本当にありがとう」

 

「いやいや。天啓があってそれに従っただけだよ。それはそうと頭のケガは大丈夫かい? 痕になっていたり、気分が悪くなっていないかい?」

 

「ええ。少しコブになっているが特に気分は問題ない。本当になんとお礼したらいいか」

 

 貴族令嬢には魔術投手が女であると起きた時に説明したはずであるが伝わっていないのか王子様を見るような視線を魔術投手に贈る。

 当の本人もそういった女性からの態度には慣れた様子であしらっていけば話の流れは今回の件についてのお礼の話になっていった。

「私に出来る事なら何でも言ってくれ。飛び出したとはいえ貴族の出だから遠慮なく」

「いやいや。タイミングが良かっただけだしね」

 貴族令嬢は何としてでもなにかお礼をしようと食い下がってくるがこういう手合いからの贈り物に何か経験があるのか魔術投手も受け取ろうとしない。

 やや考えてから魔術投手はお礼の落としどころを先達からの情報という体にしようと貴族令嬢に尋ねる。

「じゃあ、お礼として宿を紹介して欲しいね。僕たちは女二人だから安心できてなるべく安値の宿が知りたいんだ」

 

「宿か。うん。だったら……」

 

 そう言って貴族令嬢は自身の一党に向き直ってなにか相談を始める。空き部屋がどうこうだとか漏れ出ていたが特に大きな反対などはなかったようでこれに了承を示す。

「それじゃあ、ギルドに戻ってクエストの報告をしないとだね」

 話のまとまった一向は意気揚々とギルドに向かうが、魔術投手達は紹介される宿が貴族令嬢一党の持つ、一軒家だとはつゆとも考えていなかった。

 




評価ありがとうございます。

あいてた期間で色々アイデアが沸いたので多分続きます
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