ゴブリンスレイヤーRTA 魔術投手チャート   作:片腕のシオマネキ

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(今年に入ってから、このシリーズは)初投稿です。

久しぶりすぎて書き方を忘れました(痴呆)


パート4 裏 前編

魔術投手はしつらえのよい部屋で目が覚めた。

自分の装備を準備しながら自分の寝ていた隣のベッドを見てみると珍しく本を枕元におかずに寝ている女魔術師が目にはいる。魔術投手としてはこのまま彼女の寝顔を眺めていてもよいが頭の中の声*1と窓から差し込んでくる朝日はそろそろ起こさなければ朝の依頼の張り出しに間に合わないと告げてくる。

 

「おはよう。起きて」

 

彼女を揺り起こそうとするが安宿よりも質の良い寝具の魔力によっていつもより抵抗が強い。

 

「ふむ、しょうがないな。」

 

何かを思いついた魔術投手は一度装備しかけていた装備品を外して彼女のベッドにもぐりこむ。ただ揺り起こしただけでは目が覚めなかったが流石にセミダブルのベッドにもう一人侵入することで寝床の主は目が覚める。

 

「アンタ…何してんのよ…」

 

「起きるまでどこまで出来るかなって思ってね。意外と早く起きて残念だ」

 

魔術投手はそう嘯きつつ、抜け目なく掛け布団を足元に畳んで布団から女魔術師を引き剝がすことも忘れない。

ベッドから退散した魔術投手は先ほど外した装備を再度装備すると早々に客室を出て食堂に向かう。

 

 

 

 

食堂には昨日救出した貴族令嬢一党が勢揃いしており、ちょうど朝食を食べ終えたところであった。今日は昨日のこともあってか依頼を受けない予定なのか皆、冒険にいくような格好ではない。魔術投手が食堂に姿を表すとまず圃人野伏が反応する。

 

「あ、魔術投手さんおはよう。ちょうどいい所にきてくれた。ね、頭目」

 

「ああ、ちょうど話していたところだったんだけど、うちの一党にはいらない?」

 

そう言って貴族令嬢は手を差し出してくる。悪い話じゃないとおもうよと続けるが魔術投手は首を横に振る

「すまないけど今は遠慮しておくよ。今は色んな所に名前を売りたい時期だから、しばらくは女魔術師意外と固定は組まずにやっていく予定なんだ」

 

「むむ…そうか、それならしょうがないか…。まぁ臨時で組むかもしれないし恩人には変わりないから暫くは引き続き家に泊まってくれてかまわないよ」

 

「あーあ、残念。魔術投手さんがうちに入ってくれたら前衛が楽になるのになぁ」

 

前衛の負担が大きい貴族令嬢一党が残念がっていると、準備を終えた女魔術師がおりてくる。依頼の張り出しが始まる時間はすぐそこまで来ていたため二人は足早にギルドへ向かうのであった。

 

 

 

 

ギルドにつくと朝の依頼の張り出しはもう終わってしまっており、受付には今日の依頼を受注する冒険者の列ができていた。クエストボードに残った依頼も前から見かけていた臭い、汚い、辛いの3Kの揃った依頼か難易度と報酬の見合っていない依頼などの塩漬けの依頼しか残っていなかった

 

「ふむ、しょうがない。今日はギルドで代筆の仕事でもしようか。」

 

「そうね、人面獅子(マンティコア)の発見報告のある街道での護衛任務やいるかどうか眉唾な下水の沼竜(ワニ)探索なんて割に合わないしね」

 

そう言って二人は依頼を片手に並ぶ冒険者の列に並ぼうとすると横のカウンターから顔を

だした監査官から声がかけられる。

 

「君たち急ぎの用事とかある?ないなら今日中にでも二人とも昇級の試験が受けられるよ」

 

「自分で言うのもアレだけど、そんなに早く昇級ってできるものなの?」

 

「きみたち二人とも都の学院を出てるみたいだからね、最初からある程度は信用が担保されてるのが大きいね」

 

そう言って監査官は魔術投手に手紙を手渡す。ギルドの印の封蠟がしてあり、宛先には水の街と記されている。どうやら魔術投手の昇級試験はこれを届けて、返信をもってくることらしい。距離を除けば子供のお使いのような内容に女魔術師は意図を量りかねていたが当の魔術投手は手紙を受け取ると説明もそこそこに駆け出していってしまった。

 

「魔術投手ちゃん、能力は申し分ないし人格も問題ないけど半分とはいえ森人にしては妙に生き急いでるよね。学園のころからなの?」

 

「昔からそれなりに即断即決だったけど、本人曰く“天啓(ハンドアウト)を授けてくれる声が拙速を尊んでる”らしくて最近は特にね」

 

「そういえば本人も試験の時に言ってたわね。あ、あなたの試験は明日ね。」

女魔術師は変な外なる神に引っかかってしまった幼馴染を呆れたような視線で見送りつつ自分の試験に意識を向けるのであった

 

 

 

 

 

「それでは昇級試験の審査をはじめますね」

 

受付嬢がそう言って昇級試験が始まる。女魔術師は学院の口頭試問の時を思い出して少し緊張していると、となりに座る監査官からは「緊張しなくていいよ~」と気の抜けるような声がかけられる。

そうは言っても立会人として最近師事し始めた魔女がいるとなれば魔法を使うわけでなくても余計緊張してしまうのは道理であった。

 

「こう言ってはなんですが、殆ど昇級は確定しているんですよ」

 

「ある種の通過儀礼みたいなもんだからね~」

 

受付嬢さんの言葉を補足するように監督官さんが少しおどけたように続けるとその場が少し明るくなる。

少し緩んでしまった雰囲気を引き締めるように受付嬢さんが咳払いをして、昇級審査が始まったのであった

 

 

 

 

女魔術師の昇級試験は恙なく終わった。

ギルドに併設されている酒場のテーブルで女魔術師は真新しい黒曜の認識票を眺めながらため息を付いていた

 

「なにか  気になる こと でも あるの …?」

 

「魔女さん…」

 

話しかけてきたのは最近、師事し始めた魔女であった。いつも一緒にいる槍使いとは別行動をしているのか彼女一人だけだ

 

<点火>

 

彼女は女魔術師の向かいに座ると煙管を取り出して真言を唱えて火をつける。一見、術の無駄遣いに見える行為ではあるが、一語のみの真言の行使という学院でもあまり知られていない技術は彼女の見識の深さを感じさせる

 

「…お陰様で黒曜等級に昇級したんです」

 

「見てたわ 昇級 おめでとう。でも その割に 浮かない顔 ね。」

 

「…正直、学院出の肩書や仲間のアイツが凄かっただけで、自分の力だけで昇格した気がしないんです。当の本人は同じ日に冒険者になったのに…」

 

「貴女 は 十分優秀 よ。」

 

女魔術師の言葉に客観的な意見を述べる魔女であったが、それでも女魔術師の顔は晴れない。客観的にみても日に三回の呪文の行使や数日の学習で呪文を習得できる学習能力などは十分上澄みの魔術師である。

そんな魔女の考えが顔に出ていたのか女魔術師は更に続ける

 

「学園にいたころから周りにはそう言ってもらえてましたし、自分から見ても魔術師としての才能は負けてないって思ってます。…でも、それだけじゃ冒険者としては意味ないんです。私が納得出来ないんです。それに…親友としてライバルとして、同格でありたいんです。」

 

それは、彼女の意地であった。しかし彼女の勝気さやプライドから来るものだけでなく、確かに魔術投手への思いが感じられるものであった

 

 

「そう。 あの子(魔術投手)に ご一緒 するのは 骨が折れる わよ?」

 

「望むところです!そのために魔女さんに新しい呪文を教えてもらったんですから!」

 

「ふふ 早速 使いどころ ね」

 

魔女が何かに気が付いたように受付の方を指し示す。

女魔術師が受付の方をみるとクエストが終わったらしい槍使いと魔術投手がいた。どうやら二人して受付嬢を口説いているらしく、受付嬢が冷たくあしらっているようだった

 

「他所様への 迷惑 は 止めなきゃね」

 

「ですね」

 

 

その後、迷惑冒険者二人がそれぞれ、後ろから沈黙(サイレンス)停滞(スロウ)をかけられて回収されていったのは言うまでもないことであった

 

 

 

 

 

次の日、女魔術師はギルドの机で先ほど処理し終わった書類のチェックを終えて、一つ伸びをした。

 

「うーん、やっと終わったー。さっきの鉱人の冒険者の訛り方は凄かったわね。ホントにこの街で暮らしてるのかしら。」

 

四方世界の識字率はお世辞にも高いとは言えず、辺境には少ないが蜥蜴人や鉱人などは共通語(コイネー)以外にお国言葉が混じるため、ギルドでの代筆は意外にも頭を使う。

ちょうど同じ様に書類作成の終わった魔術投手も隣の机から少し疲れたような声で女魔術師を眺めなながら応じる。*2

 

鉱人(ドワーフ)同士のコミュニティで暮らしてるんじゃないかい?学園でもあっただろ、只人(ヒューム)以外の学生同士が固まってるの」

 

「あー…あったわね。アンタが森人(エルフ)の女の子たちに話しかけ(口説い)たけど、森人語訛りが強すぎてお互い話が通じてなかったヤツ」

 

「ああ、あれがきっかけで共通語以外を学んだ件だね。お陰で森人語から獣人語まで一通りは行けるようになったさ」

 

2人が学生時代の思い出話に花を咲かせていると、噂をすれば影と言わんばかりに受付の方から森人語が聞こえてきた

 

 

「だから!オルクボルグよ!」

 

 

「おや、受付の方が騒がしいね。受付嬢さんのためにひと肌脱ぐとしよう。うまくいけば口説け...信頼度があがるかもしれないし」

 

なにかトラブルの匂いを感じ取った魔術投手は下心を隠そうともせずに受付の方へ向かっていった。

 

 

 

 

 

受付では森人と鉱人、蜥蜴人(リザードマン)という不思議な取り合わせの一党がなにか騒いでいるようだった

 

「だから!オルクボルグよ!この冒険者ギルドにいると聞いたのだけど!」

 

樫の木(オーク)の…?」

 

「いやいや、長耳よここは”只人(のっぽ)”の領域じゃ、長耳語が伝わるまい。かみきり丸といえば伝わるじゃろう」

 

「そういう人はちょっと…」

 

受付で騒ぐのは長い笹葉耳、上森人の野伏(妖精弓手)と恰幅のいい白髪の鉱人(鉱人道士)と落ち着いた雰囲気で後ろに立っているのは辺境の街では珍しい蜥蜴人の竜司祭(蜥蜴僧侶)の三人組であった

周りの冒険者や職員は遠巻きに眺めはするものの誰も口を出そうとはしない。それはその筈。彼らの首には銀色の認識票が光っており、余程の阿呆か空気の読めない者以外は近寄ろうともしないであろう。

 

「オルクボルグにかみきり丸か。ということは小鬼退治の依頼かな?」

 

そんな所に声をかけてきた者へ一行が向き直ると、そこに顔ろ声の中性的な少し短い笹耳の冒険者がいた。今日は休みなのか格好は冒険者らしくないこざっぱりした普段着であったが、首に下げた鋼鉄の認識票が最近駆け出しを抜けたくらいの冒険者であると示していた。

 

「魔術投手さん、ご存知なんですか?」

 

「ああ、森人語と鉱人語の言い方の違いで、どちらも剣の名前だね。それも伝説の剣で、小鬼(ゴブリン)が近づくと白く光って教えてくれるってシロモノさ。共通語で小鬼殺しって意味だから…小鬼退治の依頼をゴブリンスレイヤーさんにしに来たって感じかな?」

 

「ああ、ゴブリンスレイヤーさんでしたらまだお戻り出ないですね」

 

「じゃあ、どこか応接室にお通ししておくべきかな?応対は僕と女魔術師でしておくよ。受付嬢さんは忙しくなりそうだし」

 

そう言って魔術投手は後ろの方を指さすと、そこにはトラブルが終わったとみると同時に再度並び始めた冒険者たちの列が出来上がりつつあったのだった。

 

 

 

 

 

「そういえば、貴方森人…かと思ったけどあんまりそんな匂いがしないわね?鉱人語も分かるのもだけど何者?」

 

一行が応接室に通され、女魔術師によって出されたお茶を優雅にすすりながら妖精弓手が尋ねる。

魔術投手はそれに対して耳にかかっていた髪をかきあげて、短い笹耳を見せながら応じる

 

「ああ、申し遅れたね。僕は魔術投手。街生まれ、学院育ちの魔法使い(スペルキャスター)半森人(ハーフ)さ。得意技は投擲と都の学院仕込みの異種族コミニケーションだ。よろしく。」

 

「なるほどな。道理でそこの長耳とは落ち着きが違うわい」

 

「なんですって!?」

 

おどけるように鉱人道士が頷くと妖精弓手が憤慨する。そのまま二種族間によくある言い合いになりそうになったが、蜥蜴僧侶が諌める前に魔術投手がそれを止めるように本題を切り出す

 

「で、依頼内容はゴブリンスレイヤーさんに小鬼退治の依頼で良かったのかな?巣穴の場所や規模とか上位種、被害の有無なんかは?」

 

「というかなんでアンタが仕切ってんのよ?」

 

先ほどから気になっていた部外者が仕切り始めたことに苦言を呈する妖精弓手であったが、魔術投手は首元の認識票をピラピラさせながら気にせず続ける。

 

「見ての通り、駆け出しの冒険者ではあるんだけど、今はギルド職員としてお仕事中だからね。依頼者からの聞き取りは必要だ。

しかも件のゴブリンスレイヤーさんはこう…合理的(無愛想)なお方でね。要点を纏めておかないと話がこじれる(タイムが伸びる)話がこじれる可能性が高いのさ」

 

「…分かったわ。場所は私の故郷の里の近く。古代の遺跡に陣取っているわ。地図はあるけど数や上位種については大規模としか言いようがないわ。本当はウチの軍隊を出したいのだけれど…」

 

「ちと政のことがあって軍は動かせんのじゃ。それでわしらが使いっぱしりに雇われたわけじゃ」

「それで、そこの妖精弓手殿の提案で件の小鬼殺し殿に白羽の矢が立ったわけですな」

 

「なるほど。それで?」

 

三人の話を聞きながら手早く依頼用紙(クエストシート)に筆を走らせていく魔術投手だったが、妖精弓手のふと、思い出したような質問で手が止まる。

 

「そう言えば、マグカピットって冒険者知らないかしら?オルクボルグと一緒に吟遊詩人から聞いたのだけれど。」

 

「マグカピット?魔法(マグカ)を投げる(ピット)者ね…。心当たりがないね。どんな冒険者なんだい?」

 

妖精弓手曰く、マグカピットは大楯を持ち、近づけば倍力の怪力無双で敵をなぎ倒し、剛腕からの投石は鎧兜ですら貫通させ、おまけにこれを行うのが魔法使いであると言った眉唾なものであった。

 

常人ならば、吟遊詩人の脚色が多分に入りすぎた物語だと断じて、一笑に付すところだが、妖精弓手は相当に世間知らずであるらしい。

詳細を聞いて何かを察した魔術投手や後ろで聞いていた二人もどうしたものかと苦笑いややれやれといった表情を浮かべていた時、唐突に扉が開かれる

 

「俺に客だと聞いた。ゴブリンか?」

 

 

妖精弓手はいきなり現れたみすぼらしい冒険者に眉をひそめたが、状況と首元の銀の認識票によって件の(ゴブリンスレイヤー)オルクボルグだと気が付く。

 

「都のほうで混沌「ゴブリンスレイヤーさん、小鬼退治の依頼だよ。森人領の近くの遺跡に大規模。その他は不明らしい。詳細はこの依頼書に書いてあるから後は受付嬢さんに持っていくだけだよ」

 

「そうか、請けよう。」

 

「ちょっと!まだ、私が話してたでしょう!それになんで自分がとか、事の背景とか少しは気にならないわけ!?」

 

「興味がない。俺はゴブリンを殺すだけだ」

 

「なっ…!」

 

魔術投手からの忠告を忘れていたのか、長い前置きから話そうとしていた妖精弓手はかぶせられたことにムッとなったが、その後のゴブリンスレイヤーの態度によって、あっけにとられる。

そんな妖精弓手を無視して、応接室から出ていこうとするゴブリンスレイヤーに魔術投手はまったをかける

 

「ちょっと待って、ゴブリンスレイヤーさん。今回の冒険、御指名のようだし、女魔術師と僕もご一緒してもいいかい?大規模のようだし人手が多いに越したことはないだろう?」

 

「ああ、構わん」

 

「指名?確かにオルクボルグには頼んだけど…?」

 

二人の会話に不思議そうに妖精弓手が首をかしげるが、後ろから呆れたように鉱人道士が助け舟をだす

 

「お前さん…気づいてなかったのか…コイツが件のマグカピットじゃあないのか?」

 

「ご明察!やっぱり気が付いてたかい?」

 

「まぁな。お前さんと娘っこの話してる感じと、腰の投石紐や触媒袋の感じ、学院出ってとこからして魔術師じゃろうが、手の具合、細身とはいえらや蜥蜴人くらいには力があるような出で立ちからすると純粋な後衛ってわけじゃないじゃろう。ワシの見立てじゃと恐らく前衛もできる魔術戦士ってとこじゃろう」

 

「おお!流石銀等級。で、どうする?依頼主様?鎧兜は流石に無理だけどきっと役にたってみせるよ!」

 

「…解ったわよ。でも、足を引っ張ったら承知しないからね!」

 

銀等級相手でも物怖じせずに煽る魔術投手に妖精弓手も舐められるわけにはいかないと売り言葉に買い言葉で即決したのであった

 

*1
(タイム短縮の為にさっさと起こしましょうねー)

*2
(フム...腋もいいな…)





今年は前半は呪術RTAを、後半はゴブスレTRPGを始めとする色んなTRPGなんかをやってたらこのシリーズを書く暇がありませんでした。

カシオミニをかけたので決して失踪はしません

多分来年は早いうちから続きます
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