仮面ライダーモルテ 特別版   作:紅坂 絡

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これは、本編より少し前の物語。とある男の視点から当時の死神達を追憶していこう。


Beforeモルテ
♯0悪夢


 人間の悪意から生まれる悪霊。これは、悪霊を狩るとある死神の物語。決して目を離すことのないように、お願いします。私ですか?まぁ、しがない物語の書き手だと思ってください。では、始まりますよ。

 

♧♧♧

 

 深夜の東京、池袋。ショッピングモールの屋上から俺はとある路地にいる影に狙いを定めていた。ふと、影が動き出す。俺は弦を引き絞り、矢先を影に向ける。影から何かが飛び出た瞬間、俺は矢を放った。その何かは俺の矢を喰らった瞬間、断末魔を上げて消滅した。俺のケータイがなる。

『任務ご苦労。相変わらずの命中度だな。真琴』

「ありがとうございます」

俺は変身を解く。弓を背負うと、ショッピングモールから出るのだった。

 

♧♧♧

 

 E.Kの東京本部。俺、楠神真琴(くすがみまこと)は殲滅の報告を済ませた後、訓練室で仮想敵相手に弓を振り回していた。俺の得物である『グリムアロー』は近距離遠距離両用の武器だ。俺は弓を土台に飛び上がって敵の挟み撃ちをかわすと、滞空したまま敵を弓で撃った。着地と同時に訓練終了のサイレンが鳴る。仮想空間が解除されると、俺はそのまま床に座り込む。もう1人訓練してた青年が、俺の隣に腰掛けた。

「お疲れ真琴。任務終わりだってのに頑張るな〜」

「それはお互い様だろ?依澄」

コイツは守条依澄。俺と同い年の死神だ。青の髪に赤のメッシュを入れてるコイツは死神の中でもかなり強い。俺も何度も手合わせしたが大体勝つのはアイツだ。

「あ、そういやお前に話してなかったな」

「ん?なんのことだ?」

俺が聞くと同時に訓練室に誰かが入ってくる。ソイツは小柄な少年だった。大体小学生くらいだろう。

「おいおいふざけてんのか依澄。ココはガキの遊び場じゃないぞ」

「誰がガキだコラ」

その少年は殺気を放って俺を睨みつける。俺は思わず後退りした。依澄は少年の頭を軽く叩くと言う。

「コイツは咲良。殺気さえなければ素直な奴なんだけどな」

「訓練してく。今日も晩飯いらないから」

咲良という少年はそのままシュミレーターを起動させた。俺と依澄は訓練室を出るのだった。

 

♧♧♧

 

 咲良が訓練してる様子を依澄と見る。咲良は中学生になったばかりだと聞いたけど、咲良の戦いぶりを見ると思ってた印象と違う。この戦い方は、、、

「防がずに避けるか捌く。まるでお前の戦い方だな」

「だろ?何がすごいかって言うとさ、俺、アイツに戦闘の仕方教えてないんだよ」

「何!?」

ソレは驚いた。つまりアイツは依澄が戦っているのを目で見て覚えたというのか。更に自分なりのアレンジも加えて。もしかしたら俺、いやどの死神でも咲良には敵わないかもしれない。

「降霊は?」

「まだだ。ってか入って2ヶ月で降霊は無理。俺が降霊するのにどれくらいかかったか知ってるだろ?」

降霊。ソレは死神になるために必要な儀式のような物だ。素質を経た人間がグリムバックルを腰に装着することで相棒となる死神を降霊し、契約して変身できるようになる。降霊するには身体面、精神面共に強い人間じゃないとできない。俺は4年。依澄は5年かかった。あの少年の降霊にはどれくらいかかるだろう。

「ま、焦らずに着実にいこうぜって言ってんだけどな、、、」

依澄はため息をつくと、シュミレーターの電源を切る。急に止められた咲良は怒って依澄に詰め寄る。

「なんで止めたんだよ依澄!?」

「メシ行こうぜ!3人で!」

「いらないって言ったろ」

「いーからいーから」

依澄は咲良を訓練室から引っ張り出した。咲良はずっと不貞腐れていたが、最後は渋々従ったのだった。

 

♧♧♧

 

 次の日、俺は学校で授業を聞いている間にも携帯で悪霊について調べる。最近は都市伝説として悪霊が取り上げられていることが多い。今のところ大きなニュースもしくはネット記事の一面を飾るようなことは起こってない。基本、悪霊のことは秘密だからね。

「、、、ということでして、楠神」

「?はい」

「この問題を答えろ」

俺は席から立ち上がって黒板に回答を書く。答えはもちろん正解。こんな所で躓いてる場合じゃないからな。学生死神は勉強できないと活動できないのだ。俺は自分の席に戻ってぼんやりと授業の続きを聞くのだった。

 

♧♧♧

 

 今日も仕事だ。深夜の葛飾区での悪霊反応を受けたとして俺が駆り出された。葛飾にも担当してる死神がいたはずなんだがな。

「全く、、、池袋を依澄に任せてもらえたからいいが、次は容認しないぞ」

愚痴をこぼしながら葛飾の街を回っていると、とある人影を見つけた。最近依澄と一緒にいる子供。まさかあれって、

「おい、咲良」

「あ、楠神さん」

咲良が俺に近づく。咲良の手には鞘に納められているナイフが。コイツまさか、、、

「実戦で試す。訓練だけじゃ強くなった気にならない」

やっぱり。でもコイツは依澄の戦いに同行してた筈だ。咲良は何も言わずに路地を進んでいく。俺は咲良の後をついていきながら、なんでこのような事を実行したのか聞くことにした。

「なんでこんな事を?」

「だから言っただろ。実戦で自分の力を試す」

「降霊できてないのにか?生身で悪霊と戦うのは自殺行為だぞ」

俺がそう言うと、咲良は関係ないと言い、首に下げている羽のネックレスを握り締めている。

「死んだとしても、なおちゃんに会えるから」

咲良はネックレスを離すとそのまま歩き続ける。アイツの心の傷は癒えることはないんだろうか。

 

♧♧♧

 

 路地裏まで咲良について行ったが悪霊はいなかった。俺は自分のスマホで悪霊のサーチを行った。悪霊の反応は丁度今いる場所にあった!

「まさか、わかっていたのか?」

「なんとなく。嫌な気配がする所を辿っただけ」

咲良は淡々と告げ、ナイフを鞘から抜いた。俺はベルトを装着し、弓を構える。

『おや?貴様、死神か?』

「あぁ。こっちのガキはおまk、、、」

俺が言いかけた時、咲良は悪霊に斬りかかった。悪霊はそれをギリギリでかわすと同時に咲良はナイフを逆手に持ち替えて追撃する。悪霊はかわそうとするがナイフの刃が掠ったみたいだ。

「チッ。もう少し踏み込めば!」

咲良は攻撃の手を止めなかった。この調子ならほんの一瞬だけなら任せても大丈夫だろう。俺はホルスターからカードを取り出し、ベルトに挿入した。

『バタフライ』

背後に黒装束で蝶のドクロの死神が現れる。

『ARE YOU READY?』

「変身」

『グリムアップ』

死神が装甲に変わり俺に纏わりつく。

『バタフライグリム』

俺の死神としての姿、サリエルに変身し、弦を弾く。

「一瞬だ。全てはそれで決する」

弦を弾き、矢が悪霊に命中する。悪霊が咲良から離れたのを確認し、俺はカードをベルトから抜き、弓に挿入し、弦を引き絞る。

『バタフライ』

矢にエネルギーが迸る。

『バタフライグリムシュート』

俺は弦を弾き、矢が悪霊に命中する。悪霊は断末魔を上げる間もなく爆散した。

「やっと終わった、、、」

 

♧♧♧

 

 変身を解除した俺は咲良の元へ向かう。咲良はナイフを鞘にしまうと、壁を拳で殴る。

「悔しいか?」

「、、、あぁ」

咲良はそう呟く。実戦で結果を残せなかったことがあんなにも悔しいのだろう。俺は咲良の頭を軽く撫でる。自販機を見つけたので、俺はオロナミンCを2つ買い、咲良にひとつ渡す。

「お前は何もできなかった訳じゃない。むしろ入って2ヶ月であそこまで立ち回れるのは異常だ。誇っていい」

「誇れないよ。僕はまだ、、、」

咲良はそのまま立ち去った。俺は彼の長くて短い影を追いかけるのだった。

 

♧♧♧

 

 あれから数ヶ月の時が過ぎ、現在12月だ。俺は依澄に連れられて池袋を歩いていた。正確にいえば渋谷と原宿もだが。俺は依澄に尋ねる。

「なんで俺がお前とオシャレな街に行かなきゃいけないんだ?」

「決まってんだろ!咲良の誕プレと神奈へのクリプリだよ」

神奈というのは2年前にできたといっていた依澄の彼女だろう。

「自分で選べばいいだろう」

「選べないからお前を呼んだんだろ?」

情けない奴だ。俺は池袋のショッピングモールに入る。色んな店を周り、神奈さんへのプレゼントは選ぶことはできた。だが、思ったよりも難航してたのは、

「咲良、何をあげたら喜ぶんだろ、、、」

「ずっといたのはお前だろ?」

色んな店を見ても咲良が喜びそうなものは見つからなかった。疲れたのでフードコートで休憩することにする。

「そういや俺、あいつのことなんも知らねーや。海まで行ったのにな」

「長くいるからってなんでもわかるっていうのは違うだろ」

「そうだけどよ〜」

依澄は不貞腐れたようにコーラを飲む。俺もさっき買ったポテトを一口。

「お揃いコーデっていうのはどうだ?例えばお前のコートと同じのをあげるとかな」

ふと思いついたアイデアを依澄に言うと、依澄は目を輝かせた。

「それアリだな!よし、かえったら神谷本部長を説得しなきゃな!」

ポテトを食べ終え、俺たちはフードコートを離れるのだった。

 

♧♧♧

 

 悲劇が起きたのは数日後のことだった。その日の俺は東京を離れていたので事件のことを知った俺はバイクで東京本部に戻った。本部内には複数の悪霊が蠢いており、ほぼ壊滅状態だった。

「そこを、、、どけ!」

『バタフライグリム』

俺は変身して悪霊を弓で蹴散らす。近くの悪霊は斬り伏せ、遠くの悪霊は弓で撃ち落とす。俺の動きを止められる奴はどこにもいない。

『サリエル!我同胞の敵!』

「ごたくはいいから退け」

『バタフライグリムブレイク』

俺は攻撃してきた悪霊目掛けて回し蹴り。悪霊は断末魔を上げて爆散する。

「はぁ、、、はぁ、、、はぁ、、、」

疲労感を感じた俺は悪霊の気配を感じなくなったのを確認して変身を解除した。そのまま休むことなく歩き続ける。そしてある光景を目にし、足を止めた。そこにいたのは、

「ウサギの、、、死神?」

初めて見たウサギの死神が悪霊を倒した瞬間だった。ふと、死神の変身が解除された。その死神の正体は、俺のよく知る人物だった。

「咲良!?」

咲良は気絶した。俺は咲良に駆け寄ろうとするが、嫌な気配を察知し、バックステップでかわすが、回避が間に合わず、右目に攻撃を喰らった。

「グッ、、、」

『おやおや惜しかったですね、、、流石実力者なだけありますね』

そこにいたのは炎に包まれた悪霊。炎のせいか、正体がわからない。

『ですが、これで守条依澄も死にました。計画は順調です。では、これで』

悪霊は炎と共に消えた。俺は咲良に駆け寄ると、近くに依澄が横たわっていた。脈を確認する。依澄はとっくに事切れていた。俺は地面を殴る。

「、、、クソォォォォオオオオオオオオォォォオオオオオオ!!」

夜空に俺の慟哭がこだました。

 

♧♧♧

 

 翌日、俺たちは本部跡地の会議室に呼ばれた。昨日の事件『東京乱無(とうきょうらんぶ)』は本部、また俺たち死神側に大きな損害を与えた。死者の中には実力者、新人関係なく様々な死神が。その中には、

「依澄、、、」

俺の親友の名前を見つけた。周囲を見回すと、涙ぐむ若年の死神、片腕をなくしたベテランの死神、両腕にギプスが巻かれている実力者、冴島灰馬さん。その中でも異質だったのは、神谷本部長に宣誓している少年だ。

「僕は亡き総監に誓います!死んだ死神の分まで僕が悪霊を殲滅し、人々に平和をもたらすことを!」

咲良。アイツは正式に死神になった。コードは依澄と同じR。咲良は宣誓をした後、周りは唖然としていた。今日はアイツが組織に入って1年。1年で降霊した脅威の天才として彼は一目置かれるようになった。

「本日付で総監となった神谷玄徳である。私は本部を新たに陽炎街に設置する。この旧本部は捨てることにする事を伝える。また、コードR、守条咲良については南沢支部にて力を蓄えることとする」

咲良は敬礼した。

「新たな一歩だ!悪霊が蔓延る限り死神に休息の朝日はない!」

生き残った全ての本部の死神は敬礼するのだった。

 

♧♧♧

〜3年後〜

 俺は神谷総監と御堂本部長に呼ばれて総監室に来ていた。2人はとあるリストを読んでおり、近くにいた少女から同じモノを受け取った。

「ありがとう、南條」

彼女は南條美澄。依澄の妹だ。俺は資料を確認すると、資料のとあるページに目を止めた。

「コイツは、、、」

「南沢支部の問題児だ。サボりは勿論、命令無視には参ったモノだ」

「そこで、彼を本部の死神として人格矯正を施すことにした。そこの南條くんをお目付け役にしてな」

そっか。元気にしているようだ。2人の話を聞きながら、これから再開するのを心待ちににする。これから先、新たな陰謀に巻き込まれるのを、俺はまだ知らない。

【死神コードR:守条咲良 モルテ】

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