キタカミの里。
パルデア地方から遠く離れた東に位置し、年に一度行われるオモテ祭りや悪い鬼から里を救ったともっこさまの昔話が伝わる僻地。
端的に言ってしまえば田舎だ。なんもねえ。とはいえ都会出身の俺からしてみれば田舎には田舎の良さがあるってもんだ。
「キィ〜!なんで勝てないのよ!」
それでもって、このいかにも三下が言いそうなセリフを吐いてるのはゼイユ。たった今ポケモンバトルでボコボコにしたところだ。
このキタカミの里出身の少女で、ちょっと口は悪いけど…まあ、いいやつだ。少なくともよそものだった俺がこの地に馴染めたのは彼女の影響が大きい。と言ってもバトルで負かしただけだが。
「でもセンスあるよ、ゼイユ。あと数年も経てばいい勝負になるかも」
「なんで上から目線なのよ、2個も年下のくせに!ムカつく!」
「ははは…」
「渇いた笑いすんな!」
バトルの強さに年齢は関係ないだろうに。もし年長者のほうが強かったら、パルデア地方のチャンピオンはジジババだらけだ。
仮にもチャンピオンを目指す俺としては、キタカミの里では強い方とはいえ負けるわけにはいかない。
あ、そうだ。
「俺、来年からオレンジアカデミーに行くことにしたから。ゼイユはどうする?」
「…は?なにそれ、聞いてないんだけど」
「今言ったからな」
オレンジアカデミーはパルデア地方で最も古い歴史を持つ学校だ。チャンピオンを目指す身としては是非ともそこで学びたいと思っていた。
せっかく馴染んでいたキタカミの里を離れるのは少し名残惜しいが、やっぱり俺は夢を追いかけたい。
「どうするって言われてもすぐには決められないわよ。そろそろ学校には通おうと思ってたけど、ブルーベリー学園にしようかって話だったし」
「ブルーベリー学園か。あそこも強いトレーナーが多いとは聞くけどな」
「てかなんでオレンジアカデミー?遠いじゃない」
「ブルーベリー学園も別に近くはないだろ」
ま、キタカミの里には隙を見て帰ってくる予定だし同じ学校に通う必要はないけどな、と言うとゼイユは何を考えているのか黙り始めた。
「…あたしもオレンジアカデミーにする」
「いや、家族と相談して決めろよ…」
「うっさい!行くって言ったら行くの!」
こうなったときのゼイユは頑なだ。きっと家族も説得することだろう。スグリのことは気がかりだが、なんだかんだ彼も強い子だ。きっと大丈夫だろう。
色々思うところはあるが、もしゼイユとオレンジアカデミーで過ごすとなると…きっと楽しいことになる。そんな予感がする。
「そういうことなら、これからもよろしくな。ゼイユ」
「…よろしく」
〜数年後〜
「それでは、宝探し開始!……いってらっしゃい!」
俺たちにとって、かけがえのない宝探しが始まる。
ゼイユ可愛すぎてわろた