転生したら禪院直哉だったので日ノ元軍司を目指したい。 作:遊び人の旅行記
【夏油傑 視点】
「、専………時間、稼ぎ…ぉ…………運ぶゥ………に…」
私が使役する芋虫呪霊に運ばれるている直哉が侵入者の足止めを提案しているが、その毒が回りきった身体で動くのは危険だ……緩和する為に常に反転術式を回しているようだが、それも延命処置にしかならない、直哉の呪力が切れたら終わりだ。
できれば早く硝子に診せたいところだが、流石の硝子でも直ぐに毒の特定をするのは難しいだろう。
護衛対象の理子ちゃんを優先するなら、反転術式に集中して基礎的な呪力操作もままならない直哉を置いて先に進んだ方が安全だ“薨星宮”へ続く扉に直哉の残穢を残す事になりかねない。
それに、どのみち直哉と黒井さんは天元様から護衛の指名を受けていない、同行できるのは“薨星宮 参道”までだろう。
万全の状態ではないとはいえ、あの悟が此処まで通すとは思えないが、その悟に近い実力を持つ直哉が警戒している侵入者の件も考慮に入れなければならない。
それに、理子ちゃんが天元様との同化を拒んでくれた場合には、侵入者と同時に天元様を敵に回すことになる可能性だって在るだろう……。
決断を迫られる……「これは、折衷案になるんだが…私に一つ策がある、聞いてくれるかい?」
◆
【伏黒甚爾 視点】
“薨星宮 本殿”の周囲には大量の呪霊が所狭しと彷徨いていた、呪力のない俺を目掛けて群がってきたがどれも低級の雑魚ばかりだ、呪霊操術のガキが侵入者対策に展開したんだろうが態々それ等を祓って俺が居る位置を報せる必要はない……見つけた。
「なんで…お前がここにいる?」
そう俺に問いかけるのは夏油傑、”星漿体”天内理子の護衛に付いている呪霊操術を持っている術師だ…だが、肝心の星奬体が何処にも見当たらない。
「なんで星漿体のガキが此処に居ねぇんだ?」
人間が残す痕跡は残穢だけじゃねぇ、天与呪縛のフィジカルギフテッドによって俺の五感は底上げされている、呪術師の連中が目を凝らさなければ見えない残穢は勿論の事、そいつらでも気づかないような臭跡や足跡といったものまでをも、俺は辿ることができる。
此処“本殿”の付近に来て、急にそれが途絶えている。
まさか、この場で天元と同化したってのか?
いや、…それなら天元の痕跡が残っている筈だ、幾ら結界術に長けている天元といえど、全く残穢やそれ以外の痕跡を残さずに移動させる事ができるとは考え難い…それは無いだろう。
だが少なくとも、天内理子が一度この場に訪れているのは確実だ。
それなのに、天元の住まう大樹へと向かった痕跡がねぇ………この違和感はなんだ?
天元が『天逆鉾』の術式効果を警戒していて、同化を後回しにしてでも俺の排除を優先しているのか?
だとしたらありがたい話だな、完全に同化しきる前ならば逆鉾で同化を打ち消せる可能性はあったが。
今回の件で依頼主にあたる盤星教、そいつ等が崇めている天元を傷つける、最悪の場合は殺しちまう可能性がある手段だけはとりたくなかったからな、俺に金が入らないのならば、そもそも天内理子を殺る意味がない。
違和感………まさか、な
「なぁ……ひょっとしてお前等、星漿体を同化させる気がないのか?」
ドゥㇽㇽㇽㇽㇽルルルルル!! ドゴォン!!!
巨大な呪霊が参道を破壊する。
まさか…既に薨星宮の“外”に逃がしたのか?
可能性は“有る”天内理子の痕跡は途中から夏油傑の呪霊に本人を呑み込ませて運べば残らない、呪霊の残穢も大量に展開されていた低級の群れで隠されていた。
何より、今の俺は右目が潰されて死角が出来ている、途中で見逃しちまった可能性はゼロじゃない!
「「またぁっまたアシタ、あしあしタマタ、アシタ」バタバタバタ………バタッ!!「トトトトトトトトトッ………ガリッ…ガリッ…ザザッ」ギギギチチチ「やややややややああだぁああああああよよよ」「ちゅーシヨ?」おおぉぉ…ぉオ!「ごチあチっ…ちち」………ォぉぉぉ「ぐだざザザぁァぁあああああああィッいい」ぉぉお!「ギャぎ…!ギギギィッあ」おォ「なになになにしてるなになにしてるなにしてるなななななななな…に」ぉぉ!!「これれれイあイまずくゥららららィッいい?」」
同時に、大量の呪霊が其奴、夏油傑の周囲から溢れ出した。
「質問に答えるのはお前だ……何故、お前が!ここにいる!!」
何故…って、あぁそういう……意味か
「五条悟は俺が殺した、禪院直哉も…多分、死んでると思うぜ。」
「そうかッ…ならば、死ね!!」
呪霊が一斉に襲い掛かる……こいつは無視でいいだろう。
呪霊操術の使い手を殺した場合、取り込まれていた呪霊がどうなるかは分からないしな。
それに今は星漿体が優先だ、参道は潰されちまったが俺の足なら問題なく抜けられるだろう。
こいつの時間稼ぎに付き合ってやる暇はねぇ……筈だ。
違和感
薨星宮“本殿”に通じるまでの“扉”はたった一つだけだ、直哉と俺が居た“参道”を必ず通らなければならない…なのに、俺がそれを途中で見逃したのか?
五条悟を殺せた事で心の内に無意識に芽生えちまった“自尊心”が邪魔をした結果が、先程の禪院直哉による足止めにらしくもなく付き合い、反撃をくらった失敗であるように………
禪院直哉に苦戦してしまった事で、無意識に自分の探知能力を疑っているんじゃないのか?
天内理子はまだ、“本殿の内に居る”呪霊は囮だろ。
“間違いない”
「……おや?…逃げるのはやめたのかい?」
この前髪野郎…俺を騙す為に演技してやがったな…
「あぁ、そうだな、お前を殺してからゆっくりと探すことにしたよ。」
“鬼ごっこ”と“隠れんぼ”両方やるのは面倒だ。
「やってみろよ、“非術師”」
先ずは、この“術師を殺す”星漿体はその後だ。
偶には主人公ださない話があってもいいよね!!