転生したら禪院直哉だったので日ノ元軍司を目指したい。 作:遊び人の旅行記
本誌知らんかったら恋しそうやったわ。
呪霊や呪詛師による被害が年々上昇しているのはこの界隈でながくやっている連中なら薄々感じていたことだ。
御家の術師連中も最近その割りを食って何人か逝っちまったらしい。
それこそ殉職なんざこの業界では珍しい話じゃねぇが最近ではあきらかにその数が増えた。
その理由は恐らく、、、
【甚爾 視点】
親戚のガキが急に吹っ掛けてきた模擬試合。
もとよりこちらの都合になど興味もなかったのだろうが、断る間もなく仕掛けてきた目前の〝術師〟の動きに意表を突かれた。
『投射呪法』その術式をよく知っているだけに年端も行かぬ子どもがその真価を発揮したことに思わず目を見開く。
直線的な動きではなくまず距離をとり加速を繰り返しその速度を更に上げていく直哉に内心舌打ちをする。
初速で潰しておくべきだったか、、、。
所詮は身の程を知らないガキのお遊びと侮っていたが既にこれ程の速度。
俺なら追って捉えられんこともないが態々そんな面倒に付き合う理由もねぇ
まともに相手にしようにも怪我でもさせれば後が面倒だ、適当に攻撃を捌きながら折を見てとんずらをこくとしよう。
屋敷の庭周辺を縦横無尽に動き回るガキの視線を切り建物や柱を抜けて姿を隠す、呪力のない俺を呪力感知で捉えることは出来ないうえ俺の身体速度に奴の五感ではついてこれないだろう。
後は直線で逃げるだけ、、、。
チッ、、回り込まれた?
投射呪法は予め作った動きをなぞり加速するだけの術式、その間の思考速度や五感も加速されるとして後追いでどうこうなるもんじゃねぇ、最悪自身がフリーズする。
俺の動きを予測して逃げ道を塞ぐ動きを予め作っていた?
だとしたらどんな戦闘センスしてんだよこのガキ、
こいつを振り切るのも面倒だな、といって単純速度で追いつくのも難しい。
仕掛けてきたところをカウンターで獲る。
認めてやるよ、お前は持っている側の人間だ。
呪術師として将来は大成するんだろう。
この世界は才能が八割。
相伝の術式、それを若くして使い熟す呪術センス。
まさに神童、俺みたいな猿と違いさぞや御家に期待されていることだろう。
だが、五条 悟と同じ時代に生まれた時点でお前もそこ止まりの存在。
真っ当な呪術師の域をでない。
有象無象の一人に過ぎない術師がどうして俺に勝てるよ。
これは俺からお前への最初で最後の洗礼だ。
「死んでも祟るなよ、、、ボンクラ小僧。」
来る、
周辺の建物は既にもとの形の忘れ空気が弾ける音のみを残し互いの姿が眩む
違和感。
視線が交わる。
直哉には自身への有効打がない。
唯一並びうる速度でのみなんとか勝負の形を保っている。
違和感。
膨らむそれの正体に気づかないふりをした。
もとよりこれは甚爾からしたら試合ですらない、自分より少し劣る者との鬼ごっこ。
瞬間的に自分より速くなることはあっても、その牙が自身にとどくことはない。
それは互いに分かっている。
この時点で直哉が負けを認めればすむ話
その後に甚爾が直哉の強さを認めてやればすむ話
そうすればこの話はおしまい。
形だけ上っ面だけの試合は終わり、互いの尊厳を傷つけることもなく済ませられる。
まるで傷を舐め合うかのような決着。
互いの目を見ればわかるのだ。
そんなもんに興味はないことを。
そんなもんに価値がないことを。
そんな平和なだけのくだらない決着は赦さないことを。
違和感の正体、
それは呪力も術式も、およそ生物が持つ業の全てから解き放たれた筈の己が肉体にまだ僅かに残ってしまっているもの。
このガキが自身に勝負を挑んできた理由が今の甚爾には理解できた気がした。
こいつは今、その違和感の正体を掴もうとしているのだ。
それは、この呪い溢れる世界で自己を保つ為に最も重要なものであり、
俺が捨てようとして捨てきれずにいるものであり、
目前の若き呪術師が今から俺を倒し手にいれようとしているものである。
即ち〝強さ〟への〝自負〟
このクソったれな世界で唯一己自身を形造るものの為に
〝自己〟を〝肯定〟する為に
世界を自分の望む形に創り変えるように
〝他者〟を〝否定〟する為に
世界を自分の望む色で塗り潰すように
ただ、〝呪い〟あうのだ。
◆
【直毘人 視点】
「で、どうだったうちのバカ息子は?」
半壊した屋敷のそとへ誰憚ることなく悠々と出てきた鬼人に向けて禪院家当主は声をかけた。
「どうもこうもねぇよ、自分の跡継ぎの手綱くらいちゃんと握っとけ。」
直哉の誕生日の前日、高専から回された任務で兄弟の一人が死んでからか?
直哉はいつも以上に不機嫌だった。
普段は【炳】も【躯倶留隊】も関係なく無愛想ながらも平等に接し、伴に鍛錬に励んでいたのにかかわらず。
その日はそいつ等どころか側付きの女どもからすら離れ一人自室に篭り呪術の指南書を読み漁っていた。
誕生日当日である今日もにこりともせず他家のおべっかを躱し早々に会合を終わらし席を立っていった。
血を分けた兄とはいえ術式も持たぬ下奴を気にするとはみみっちい奴よ。
「ククッあいつに当主は任せられんよ、其もあいつの感性は呪術師に向いていない。」
「問題なのは強さだ、五条 悟に並びうると思うか。」
「五条 悟を知るお前に聞いているのだ。」
この穀潰しが五条家の屋敷に侵入したのは既に察しがついている。
「まぁ無理だろうな。逆になんで並べると思った?耄碌して親バカにでもなったか?ただまぁ……」
わかりきっていた答えの続きを待つ。
「五条 悟が生まれて世界の均衡が変わった」
これからの若い術師はそれに引き摺られるように強くなっていくだろう。
「その均衡についていけるだけの潜在能力は感じたかもな」
天与呪縛により授けられた鋼の肉体、その鉄拳には鋭い裂傷が残されていた。
「投射呪法と落花の情の併用?通常の順転とは別に呪力操作のシステム構築を同時に行うなんて芸当なんであんなガキが出来んだよ。」
落花の情は俺が暇潰しがてらに直哉に教えた御三家秘伝の領域対策、触れたものを自動で弾く呪力操作のプログラミングだ。
それを術式の運用とともに行なったのであればどちらの出力も低下することは避けられん、それでこいつの拳に傷をつけるだけの呪力出力が直哉にあるのか、いや違うな。
「恐らくは切り替えたんだろう、術式の順転を捨てカウンターに併せて一点読みで部位を絞り呪力を回したのだ。あいつならそれぐらいはやる。」
我が息子ながらあの年で呪力の運用効率には舌をまく、秘伝の技術も一度みせただけで自分のものにして見せた程だ。
「何にせよ、まだ御三家の勢力争いはわからんぞ。無下限と六眼の抱き合わせとはいえそいつが領域や反転術式を習得できるとは限らん。」
直哉ならその前に自身が到達できなかった呪術の境地、領域の習得すらできるかもしれない。
「それに、こちらは今回の一件で穀潰しを一人追い出せたからな(笑)」
バカ息子にも今日の無様な結果はいい薬になったろう。
「ふざけんな、ガキの癇癪に付き合わされてこっちはいい迷惑だよ。」
「ただまぁこの気色悪ぃ実家を出ていく切っ掛けができたのは感謝しとくぜ。」
心なしか、穀潰しの顔から憑き物が落ちた様に思えた。
◆
いやー負けた負けた、ほんま敵わんなぁー甚爾君。
普通子どもの顔潰れるほど殴る?
諸に原作直哉みたいな負け方してもうたがな。
ちなみに右頬の骨砕けて目も片方潰れました、君どうすんの?(自問自答)
まぁ正直、ルールも決めんでいきなり勝負挑んだ挙句には屋敷壊しまくったのに殺さんように手加減までしてくれたんやから文句なんか言えるわけあらへんねんけどな。(これ全部甚爾君のせいにしました。)
今更ながら後悔しとるわぁ、なんかむさいおっさんばぁお見舞いに来るし、甚壱君とか甚爾君の実の兄とかあって代わりに頭下げにきたけどこっちから一方的に仕掛けたもんやから申し訳ないわぁ(思ってへんけど)
まぁでも甚爾君が無事に御家出奔(特級呪具蒐集旅行)してくれたお陰で原作どおりいきそうやね。
天逆鉾は勿論、釈魂刀や万里の鎖にそれを納める武器庫呪霊は必須やろうし、過去編までの短いスパンで恵君も拵えるんやからこれからは忙しくなるで!(甚爾君だけ)
後は過去編のどさくさに紛れてオギャっとる武器庫呪霊を見つけて夏油君より先に回収すれば俺のパワーアップは完了って訳(横領)。
えぇなに? 游雲?
あんなもん好んで使うんお猿さんくらいやろ?(ヘイトスピーチ)
そん為にもまずは基礎の呪力操作と体を鍛えつつ基礎的な結界術とかにも手ぇ伸ばして行こうかな。
領域対策にシン陰とかに入門したいけど御三家の立場上難しいもんなんやろか?
反転術式?あかんあかんってあんなもん生まれてこの方ずっと練習しとるけど出来る気シィひんねん。
そもそもなんやねん?
マイナスとマイナスを掛け合わせてプラスって?
ガソリンとガソリン掛け合わせてもオリーブオイルにはならへんやろ?!
とりま高専入学(できるか不明)までそんな感じで修行続けるねんけど今回の一件で俺が記念すべき隻眼キャラデビューしたしぃ(喜)
これで雑魚キャラ扱いされることはまずないやろ(眼帯への謎の信頼)
待っとけや俺の青い春(強化イベント)!
五条 悟が覚醒する裏で俺は労せず強化パーツ回収するで!
裏梅の声良き。