本日は対バンライブ回前の息抜きという事で、海鈴メインの幕間をお送りします。
それでは、本編をどうぞ。
「さて…対バンライブまでもう少しですね」
パスパレとの対バンライブまであと1週間に差し掛かった今日この頃…私はAve Mujicaとは違う他のバンドのサポートが終わったので、そう呟きながらバス停でバスが来るのを待っていました。
しかし武道館でのライブ…対バンにはなりますがそれは私や他のバンドをやる人達にとっては嬉しい限りです。武道館はバンドマンにとっては所謂憧れの地でもあります。
だからAve Mujicaに入って間もないのに武道館でライブが出来ると聞いた時は思わず嬉しさが極まってガッツポーズを取りそうになりましたね。
そこからは対バンライブの打ち合わせを終えた後に新曲を作るとの事だけど、完成したのはその日から1週間以内に出来上がりました。豊川さんや三角さんが言った通り、1週間で完成させるとは……。2人のスカウトに乗って正解でしたね。
「ねぇそこのお嬢さ〜ん。ちょっと俺らと遊ばな〜い?」
……
やむを得ません。此処は穏便に……
「いえ、結構です。これから用事があるので」
「そんな事言わずにさ〜どうせお家に帰るだけでしょ?」
丁寧に断ろうとしたけど、逆効果でした……。それに漬け込むかのようにチャラ男の内1人が私の肩に手を掛けてきました。しかし……
ちょうどそこにパトカーのサイレンがこの
「アニキ、警察っスよ!」
「チッ、仕方ねぇ……撤収するぞ」
このチャラ男達は補導歴があるのか、サイレンの音を聞くと顔色を変えてすぐさま退散してしまいました。
しかし助かりました……都合よくパトカーが通ってくれて良かったです。
「いやぁ、アイツら馬鹿だね。こんな子供騙しの罠に引っかかるなんて」
と、そこに1人の男子が私に声を掛けてきました。彼の手にはスマホが握られていたのですが、そこから先程と同じパトカーのサイレン音が鳴っていました。どうやら彼のおかげですね……。
その彼というのは…髪の色がアッシュグレーの髪の長さも私と同じくらいで、右目が前髪隠れていました。羽丘学園の制服を身に纏っていますがその上から黒のジレベストを羽織った(暑くないのでしょうか……?)、スラックスとネクタイの色からしておそらく歳上の男子生徒です。
「貴方のおかげで助かりました。ありがとうございます」
「いやいや、このくらい問題無いよ。それに、俺も此処にくるバスに乗って帰るから」
何はともあれ、助けていただいた事には変わりありません。そう思い男子生徒にお礼を言いましたが、シレッと返すと同時に同じバスに乗るようです。それは何という偶然……
そうしてる間にも、私が乗るバスが到着しました。
その後はこの男子生徒と一緒にバスに乗って帰る事となりました。
「そういえばまだ名前を聞いていませんでしたね。では自己紹介から……私は
バスに乗った私達は空いている座席に座って、これも何かの縁という事で軽く自己紹介をしました。でも私の方から持ち掛けてきたので、私こら先にしましたが。
「俺か?俺は
これが男子生徒…
「なるほどMorfonicaですか……それは興味深いです」
お互いが自己紹介をし終えた後は、他の乗客の迷惑にならないよう雑談に花を咲かせていました。
この時、京介さんは1年前から活動を開始したMorfonicaというバンドのマネージャーで、自分の通ってる羽丘学園では生徒会長を務めている事が分かりました。
そんな京介さんは、来週RiNGで行なわれるPoppin'Partyとの合同ライブの打ち合わせをしていたという事でバスに乗るまではRiNGにいたようです。そして打ち合わせが終わって付近のバス停に着くと、私がチャラ男達にナンパされてた…という事です。
しかしMorfonicaは彼以外は月ノ森の女子で構成されている……とても興味深いです。そうすればチケットの取り置きを頼んでみようと声を掛けようとしました…
……と、タイミング悪く自宅最寄りのバス停に到着してしまいました。これは仕方ありません……あとでMorfonicaで調べてライブに行くとしましょう。
「……それでは、私は此処で。このお礼はまたお会いしましたらお返します」
そう言って京介さんに一度頭を下げてバスを降りました────。
「……やれやれ」
海鈴がバスから降りたのを確認した俺は一息ついた。全く……またナンパされてる少女を助ける事になろうとはな……去年のましろを思い出すよ。
しかし海鈴(本人から「名前で呼んでもらっても構いません」と言われたので、名前呼びにした)は何処かレイや瑠唯に似てるな……さっき聞いた話ではバンドのサポートを30も掛け持ち(その内稼働してるのは10)してる上に、常に敬語ときたもんだ。多分あの2人を2で割ればあんな感じだと思うな。
その時、バスが次通るバス停のアナウンスが流れた。次に止まるバス停は降りる所では無い事を確認した俺は、まだ時間もあるため合同ライブに向けてスケジュール管理をするため鞄からタブレットを取り出した。
「なんだ?」
その時、先程まで海鈴が座っていた席にふと目を向けると、そこには何かが落ちていた。それを拾い何かと思いながら中身を確認すると、それは生徒手帳であった。
そういえば、俺がさっき「ちなみに字はどう書くの?」って尋ねたら、海鈴が鞄から生徒手帳を取り出して「こう書きます」と言って名前の記入されてあるページを見せてもらったな。
おそらく生徒手帳を見せた後に仕舞う際にウッカリ鞄から抜け落ちたのか……仕方ない、此処は俺にも責任があるので届けるとしよう。
でも今からバスを降りて海鈴を追いかけるにも彼女が降りたのは5分も前だから時間もそれなりにかかるうえに、花咲川に届けようにも此処からだと少し距離があるのとおそらく完全下校時刻を向かえるから今日は無理だから明日に届けるとしよう。
そしてバスは
翌日、放課後。
学校が終わると俺は花咲川に向かっていた。目的地は無論、昨日拾った海鈴の生徒手帳を届けるためだ。
でも届け終えたら生徒会の仕事を終わらせるためにまた羽丘に戻るのだが…まぁ幸い、生徒会の仕事もここ最近そんなに忙しくないし、学校につぐみとロックがいるから、俺が戻る時にはある程度までは終わっているはずだ。
ちなみにつぐみには昨日のうちに放課後に花咲川に訪れるって電話で一報入れたぞ。つぐみの方も「大丈夫だよ」と了承してくれたからな。
……なんて考えているうちに、目的地である花咲川は目と鼻の先にあった。その花咲川の校門前には2人の女子生徒がいた。1人は目的の人物である海鈴であるが、もう1人は黒髪セミロングの、前髪をヘアピンで留めてる、特徴が
「待たせてすまない、美咲」
「全然待ってないよ、京介さん」
美咲と呼ばれた女子…
ちなみに美咲は今年度、花咲川の生徒会長に就任したようで、つぐみに連絡を入れる前に彼女に明日訪れると一報を入れたのだ。その際、「あー、大丈夫だよー」と二つ返事で返ってきたのはまぁ…面識がある上にそれなりに親しい関係だからという事で。
「はい海鈴。君の生徒手帳」
「ありがとうございます、京介さん」
美咲との挨拶を終えると、鞄から海鈴の生徒手帳を取り出してそれを彼女に差し出した。海鈴も俺から手帳を受け取ると中身を確認した後は今度はしっかりと鞄に仕舞う。
「それじゃあ俺は羽丘に戻るとするよ。此処に長居したら
「うん、分かってるよ。それじゃあね」
さて……本来の目的も果たしたし此処でお
美咲も、俺の言った事をすぐに理解してくれたようで、軽く手を振って見送ろうとした。
「待ってください京介さん。まだお礼をしていませんが……」
「お礼?あー気にすんな。俺だってお礼が目当てでやったわけじゃあないからな」
踵を返そうとしたその時、海鈴に呼び止められた。海鈴からのお礼か……でもそれ目当てで助けたわけじゃないのは事実だしな。しかし海鈴もそう簡単に引き下がる気はなさそうだ。さて、どうしたものか……あっ、そうだ。
「それなら……時間があったらライブに来てくれないか?と言っても、昨日言った合同ライブじゃなくて、今週末にMorfonicaのワンマンライブが行なわれるから」
そう言って俺は制服の上着の内ポケットからワンマンライブのチケットを取り出して海鈴に差し出した。ライブに来てくれるだけでも此方としてはありがたいからな。でも海鈴が受け取ってくれるかどうか……
「……分かりました。当日は予定は入ってないので問題なくライブに行けそうです」
それに対して海鈴は俺の意見を汲んでくれたようで、俺が差し出したチケットを受け取ってくれた。
「ありがとう。それじゃあ俺はこの辺で」
今度こそ俺は踵を返す。忙しくはないとはいえまだ仕事が残ってるから仕方ない。そう思いながら羽丘に向かうのだった────。
「……彼、意外と魅力的な人ですね奥沢先輩」
京介さんを見送った私の口から出たのは、その一言目でした。
「うん、確かに魅力的だね。良くも悪くもだけど」
私の一言を聞いた奥沢先輩は、何処か複雑そうにしていました。でも何故良くも悪くもなんでしょうか……?
「彼、それなりに異性にモテるよ。今現在で少なくとも3人は京介さんに惚れてる人いるから」
なんとそれはまた……もう既に彼に狙いを定めている人もいるんですね。
「ちなみに京介さんにアプローチをかけるなら早めにする事をオススメするよ」
するとそこに追い討ちをかけるように奥沢先輩が助言をしてきました。というよりその助言は的外れなのでは……?
「……助言ありがとうございます。それでは私はこれで失礼します」
「またねー」
奥沢先輩の言葉に完全に理解できなかったけど、何故か私の心の中に響いたようで、先輩の頭の片隅に入れておいてその場を後にしました────。
そして数日後、Morfonicaのワンマンライブ当日。
ワンマンライブが行なわれるRiNGに到着しましたが、ライブに訪れた観客は各々がペンライトを持っていたり、ライブが始まるのを待ち侘びていたり……と、反応が違ってた。
かく言う私もまだかと待ち侘びている立場です。あの後、今日のワンマンライブ主催の『Morfonica』について調べたのですが、京介さんの言う通り月ノ森女子学園の生徒達が演奏するバンドだというのが判明しました。
しかしバンドにヴァイオリンですか……なかなか斬新なアイデアですね。これはライブが楽しみになってきました。
そう考えている最中にライブ開始を告げるブザーがライブ会場に鳴り響きました。
ステージの幕が上がると、そこには5人の…年齢も1つ上だろう少女達がいました。ライブ衣装も月ノ森の生徒らしい品性なものに身を包んでいた。
その後はギター担当の
そして桐ヶ谷さんのトークが終わると、演奏に入るためか全員の雰囲気が一瞬で変わりました。スイッチの切り替えが早いところはいい所ですね。
「それではお聞きください……『寄る辺のSunny,Sunny』
ボーカル担当の
対バンライブまであと1週間後か……なんかあっという間って感じだけど、此処から調整していかないと。そう思いながら僕は対バンライブまでのスケジュールを確認をしつつ練習中のメンバーの演奏を聴いているのだった。
「海鈴さん、今日はなんか凄い調子よさそうですね……」
しかし、1人だけ際立っている人がいた。海鈴さんだ。彼女だけ何処か晴れやかな気分でベースを弾いてる、そんな感じであった。
「八幡さん、なんだか凄く調子がいいですわね。もしかして何かいい事ありまして?」
「いい事…あえて言えば昨日とあるバンドのライブを観に行った事、ですね」
なるほど……だから調子がよかったのか。大方、そのライブの事を思い出しながらベースを弾いていたのか。今の海鈴さんを見ればそれがよく伝わるよ。
まぁ何はともあれ、対バンライブには支障は無いみたいだね。そう感じつつ、僕は全員の練習を聴きながらスケジュールを確認するのだった────。
まずは最新話の読了とお気に入り登録をしてくれた皆様、ありがとうございます。こんな拙作にお付き合いいただいた事に感謝感激です。
次回は待ちに待ったAve MujicaとPastel*Palettesの対バンライブ回となります。話としては2話構成でお送りしますので、更新をお待ち下さいますようよろしくお願いします。
それでは、また次回。
※このお話の投稿日である4月7日は、今回のメインキャラを務めました、Ave Mujicaのベーシスト…ティモリスこと
獅音の女装回を……
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書いて下さい!
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書かなくていいです