迷子になるか、仮面を着けるか   作:なかムー

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 皆さまお待たせしました。3日連続で投稿出来ました!

 今回は副将戦をお送りしたいと思います。

 それでは、本編をどうぞ。


Ave Mujica編 特別回其の⑤ 万化と秤、想いの天秤は

 「丸山先輩。貴女方がお情けで手に入れた残り二戦……完膚無きまで叩き潰します」

 「何処までも自分勝手。そう言うの、私……大ッ嫌い!私たちが勝って、Ave Mujicaに再戦する!その為に…貴女を倒す!」

 

 初華に挑発されるも、彩は気にせず倒すと宣言した。それを証拠に彼女の瞳には炎が映っていた。その後はコイントスで初華が先攻となったが、その際彼女はまた挑発して彩の感情が爆発寸前であった。

 

 「「スタンドアップ・ヴァンガード!」」

 

 「《ゲヴェーアル・ドラゴン》

 「《ワンダーラベンダー ユルシュール》!

 

 「私のターン。ドロー、手札を1枚捨てて《ラケーテンヴェルフ・ドラゴン》にライド。エネルギージェネレーターをセット、ターンエンド」

 

 「私のターン。ドロー、手札を1枚捨てて《ライヴリィネイビィ ティファイン》にライド。ユルシュールのスキルで1枚ドロー、エネルギージェネレーターをセットして、3枚エネルギーチャージ。《笑顔の絶えない日々 アルビナ》をコール。ティファインでヴァンガードに攻撃!」

 「《バーニングフレイル・ドラゴン》でガード」

 「ドライブチェック《シニカルコンポーザー ラウム》。アルビナで攻撃!」

 「ノーガード。チェック《ドラグリッター アーディル》」(ダメージ0→1)

 「ターンエンド」

 

 「私のターン。ドロー、手札を1枚捨てて《ガトリングカノーネ・ドラゴン》にライド。ライドされた時、ソウルから《ラケーテンヴェルフ・ドラゴン》をコールし、ソウルチャージ。《炎麗の舞姫 ジャスティーナ》をコール。スキル発動。手札を1枚コストに破棄して、デッキから【レガリスピース】以外のオーダーカードを1枚選んで破棄。その後残りをシャッフル。その後、破棄したオーダーカードをドロップから使用可能にします」

 「ど、ドロップからオーダーを!?」

 「《諸悪を誅する烈火の咆哮(ブレイジング・ウォークライ)》をプレイ。山札の上から7枚を見て、その中にある《爆走竜 ガリミムスパート》をソウルに入れます。ラケーテンヴェルフでヴァンガードに攻撃」

 「(クリティカル前提で考えるなら、私が全てノーガードで通すとダメージ3……そんな一気に序盤から受けられないっ)《青髪の異才 リシウス》でガード!」

 「ジャスティーナのブースト、ガトリングカノーネでヴァンガードに攻撃」

 「ノーガード」

 「ドライブチェック《焔の巫女 ローナ》。ゲット・ヒールトリガー」

 「(しまった、クリティカルじゃないっ!)」

 「お目当てのクリティカルじゃなくて残念でした。パワーはヴァンガードに、1点回復」(ダメージ1→0)

 「ダメージチェック《華燭絢爛(グレイテスト・スタァ) エステランザ》……っ!?ゲット・オーバー、トリガー……。このカードを除外して、デッキから1枚ドロー」

 「ターンエンド。まさか初手ダメージでオーバートリガーとは。意外に丸山先輩って、持ってないんですね」

 

 まさか序盤からデッキに1枚しか入れられないオーバートリガーをピンポイントで引き当てた事に対して挑発しながら愛想笑いを浮かべた。

 

 「隙あらば揚げ足を取ってくるね……私のターン!ドロー、3枚エネルギーチャージ!手札を1枚捨てて《コンフィデントアクア ミュゼット》にライド。ティファインのスキル。山札の上から1枚を見て、それがグレード2以下のノーマルユニットならコールする。《エスペシャル・デイズ ファウスティーナ》をコール!《シニカルコンポーザー ラウム》をコール!ラウムのブースト、ミュゼットで攻撃!」

 「ノーガード」

 「ドライブチェック《澄み渡る雪夜 ベレトア》。ゲット・ドロートリガー!1枚ドローして、ファウスティーナのパワー+10000!」

 「ダメージチェック《パンツァーシュレッグ・ドラゴン》」(ダメージ0→1)

 「アルビナのブースト、ファウスティーナで攻撃!」

 「ノーガード。ダメージチェック《ドラグリッター シャルフーブ》」(ダメージ1→2)

 「ターンエンド」

 

 「ねえ、私たちから颯樹くんを奪ってどうするつもりなの? 初華ちゃんたちに何か利点はあるの?」

 

 ターンが終わると同時に彩は何故彼女達…厳密には初華に颯樹を引き抜い(うばっ)たのか尋ねるも、初華は呆れながらため息をついた。

 

 「利点……それが無いと先輩を誘っちゃいけないんですか? 随分自己評価が高いんですね」

 「颯樹くんが居てくれたら確かに心強いけど、死んだとまで言わせたうえで私たちから遠ざけるなんて、何か良くない事を企んでるに違い無い……手遅れになる前に早く「そういうの、聞き飽きました」!?」

 「ただこれでわかったのは、貴女方の覚悟は中途半端だと言う事。ならば、私自ら貴女に引導を渡します」

 

 彩の言い分を最後まで聞かずに途中で一蹴すると、中途半端と指摘すると同時に先程の彩の勝利宣言にも匹敵…いや、それ以上の勝利宣言を行なった。

 

 「私のターン。ドロー、3枚エネルギーチャージ。手札を1枚捨てて……我が信念、理想の航路を選び取る。《秤の宿命者 アルグリーヴラ》に、ライド」

 「(こ、これが……秤の宿命者…!?すごく、苦しい…!)」

 「ガトリングカノーネのスキル発動。山札の上3枚から《ドラグリッター アーディル》を手札に加える。その後、手札に加えたカードが【過充填(オーバーチャージ)】を持つなら、1枚ソウルチャージ。オーダーカード《世界に秤の均衡を》をプレイ。1枚カウンターブラストをコストに払い、ドロップから【過充填】を持つユニットを2体…《パンツァーシュレッグ・ドラゴン》《ドラグリッター シャルフーブ》をコール。《ドラグリッター アーディル》をコール。……仕事の時間だ、我が精鋭たち。アルグリーヴラのスキル発動!2枚ソウルブラストをコストに、ラケーテンヴェルフ、アーディル、パンツァーシュレッグのパワー+5000。更にラケーテンヴェルフとアーディルの【過充填】スキル。「アルグリーヴラ」のスキルに拠り選ばれたターン中、それぞれパワー+10000」

 

 「【過充填】…それが、アルグリーヴラの力…」

 

 「個々が己の役目を果たす。一騎当千の我が軍の力、受けてみよ!ジャスティーナのブースト、アルグリーヴラでヴァンガードに攻撃!」

 「ノーガード!」

 「ツインドライブ。1st《ツインバックラー・ドラゴン》。2nd《コンダクトスパーク・ドラゴン》。ゲット・クリティカルトリガー。パンツァーシュレッグのパワー+10000、アルグリーヴラのクリティカル+1」

 「ダメージチェック。《イノセントオレンジ アニエス》《万化の運命者 クリスレイン》」(ダメージ0→2)

 「アーディルのブースト、パンツァーシュレッグでヴァンガードに攻撃。スキル発動。3枚エネルギーブラストする事で、パワー+15000」

 「ご、合計66000!?の、ノーガード!ダメージチェック《朗らかな陽の下で(チアフル・サンシャイン) ウォリス》。ゲット・クリティカルトリガー!ミュゼットにパワー+10000!」(ダメージ2→3)

 「パンツァーシュレッグはエネルギーブラストを払った代償として、バトル終了後に退却。その後1枚ドロー。ラケーテンヴェルフのブースト、シャルフーブでヴァンガードに攻撃」

 「タンムーズでガード、ファウスティーナでインターセプト!」

 「ターンエンド」

 

 「うっわぁ……初華ちゃん、容赦なーい…」

 「まさに力こそ正義と言わんばかりの攻め様ですね…」

 「ですが、アヤさんなら勝てます!ウイカさんを無事に倒してくれます!」

 「そうよね。その通りだわ(……なに、この異様な胸のざわつき……まだ何か、隠してる…)」

 

 初華の使うアルグリーヴラに対してパスパレメンバーの反応は様々であったが、千聖は途中で何か違和感に気づくも、胸のざわつきが強いおかげかそれがなんなのか全部は気づけなかった。

 

 「行くよっ、私のターン!スタンド、&、ドロー!3枚エネルギーチャージ!手札を1枚破棄して…輝け、千変する反照の万華鏡!《万化の運命者 クリスレイン》にライド!

 

 「(彩ちゃんのクリスレイン……すごくキレイ…)」

 「(思った通りね。私の見立ては間違ってなかったわ)」

 

 しかしクリスレインにライドした彩を見た千聖は安堵の表情を浮かべると同時に先程の違和感は気のせいと割り切る事にした。

 

 「《万化の運命者 クリスレイン》……外見だけ見れば、如何にもって立ち姿ですね」

 「貴女に勝って……私は、変わる!ミュゼットのスキル!山札の上から1枚を見て…グレード3以下のノーマルユニットならコールする。《イノセントオレンジ アニエス》をコール!スキル発動!カウンターブラスト1とエネルギーブラスト3をコストに払い、山札の上5枚から《ラヴィング・ピンク フランセット》をコール!《モデレートミント ロシェル》をコール!クリスレインのスキル!1枚カウンターブラストして、私の場にあるユニットの種類数に応じて様々な効果が発揮!」

 

 「ひとつ、1枚ドローして3枚エネルギーチャージ」

 「ふたつ、アニエスのパワー+15000」

 「みっつ、クリスレインのクリティカル+1」

 

 指を1本ずつ上げて彩はクリスレインの行なうスキルについて説明する彩である。ちなみにクリスレインのスキルは【ディヴァインスキル】を除けばこれだけであるが、その分スキルが3つ増えるのは中々良心的であった。

 

 「これで準備完了……行くよっ!ロシェルのブースト、アニエスでヴァンガードに攻撃!スキル発動!相手のヴァンガードがグレード3以上の時、私の場にユニットが4種類以上あるなら、バトル中……自身のパワー+10000!」(パワー43000)

 「ラケーテンヴェルフ、パラマでガード。スキルでシールド+5000」

 「ラウムのブースト、クリスレインでヴァンガードに攻撃!ラウムのスキル!エネルギーブラスト3する事で、このバトル中に守護者以外でガードする時、相手は異なるグレード3種類以上を使ってガードしないといけない!ロシェルのスキル!エネルギーブラスト3を払い、自身をソウルに入れて…1枚ドローした後、アニエスをスタンド!さあ、この攻撃はどうするの」(パワー28000/☆2)

 「計算通りです。手札を1枚破棄して、《ツインバックラー・ドラゴン》で完全ガード」

 「ツインドライブ!ファーストチェック《暖かいうちに召し上がれ ウォルミア》。セカンドチェック《朗らかな陽の下で ウォリス》。ゲット・クリティカルトリガー!効果は全てフランセットに!アニエスで、ヴァンガードに攻撃!パワー+10000!」(パワー35000)

 「ノーガード。ダメージチェック《秤の宿命者 アルグリーヴラ》」(ダメージ2→3)

 「アルビナのブースト、フランセットでヴァンガードに攻撃!スキル発動!私の場に別名のユニットが3枚以上あるので、パワー+5000!」(パワー38000/☆2)

 「ノーガード。ダメージチェック《世界に秤の均衡を》《ドラグリッター アーディル》」(ダメージ3→5)

「……ターンエンド」

 

 しかし彩のアタックは一歩届かず、初華によって防ぎ切られてしまうのであった。彩はこれ以上何もできないのでターンを初華に明け渡した。

 

 「何処まで行っても、貴女方は中途半端。そんな状態で私たちに勝とうなど、烏滸がましいですよ」

 「でも、私たちはそれでも諦めずに「……私とまなちゃんは、先輩に抱いて貰いましたよ。貴女が欲しくて欲しくて堪らないのは、先輩の温もりじゃないんですか。なんと利己的で独善的な願い……人間臭くて、実に良い。でも、愚かです」」

 

 初華がパスパレに下した判断は最初から変わっておらず、冷たい目で彩を見ていた。彩も反論するも、途中で遮られると同時に初華の口から(彩達にとっては)爆弾発言を投下するのであった。しかし初華はそんな事を気にせずにウットリとしながらその時の事を何処か誇らしげに語った。

 

 「くっ、黙っていれば余計な事を……!」

 

 その爆弾発言に対し彩は完全に頭に血がのぼったようで、歯を食いしばりながら拳を握り始めた。

 

 「私のターン。スタンド&ドロー。3枚エネルギーチャージ。ペルソナライド、アルグリーヴラ。前列全てにパワー+10000、1枚ドロー。アルグリーヴラのスキル。ソウルブラスト2をコストに、ラケーテンヴェルフ、ジャスティーナ、アーディルのパワー+5000。更に1枚ドローして、自身にパワー+10000。《ドラグリッター シャルフーブ》をコール」

 「(攻撃が、来る…!全て防いで次に繋ぐ!)」

 「秤の宿命が、千変万化の齎す運命を終わらせる……」

 

 「あの言い方は……まさか!」

 「来るわよ、彩ちゃん!備えなさいッ!」

 

 初華が何か言い始めたと同時に麻弥と千聖は気づいたようで、彩に注意喚起を行なった。

 

 「えっ?えっ……まさか、ここで!?」

 

 千聖の注意を受け取った彩だが、未だに信じられないようであたふたし始めた。

 

秤、執行。

【ディヴァインスキル】、発動。

 

 「シャルフーブ2体のパワー+5000、そして……相手に1ダメージを与える!受けよ、業を滅する一撃を。宿命転換……ブリッツ・キャノンッ!!!!」

 

 アルグリーヴラの両方に装備されている砲台がクリスレイン目掛けてレーザーが発射された。

 

 「き、きゃあああっ!!!くっ……だ、ダメージチェック《珠玉の一曲 エドウィージュ》。ゲット・クリティカルトリガー!クリスレインのパワーを+10000」(ダメージ3→4)

 

 このダメージチェックでトリガーを引き当てるも、何故かカードが燃えて、そのカードは炎の弾丸となって、クリスレイン目掛けて襲いかかった。

 

 「無駄ですよ。アルグリーヴラのスキルに拠って発動するトリガーのパワーは、-10000」

 「そ、そんな……差し引き0!?」

 「これが、秤の【ディヴァインスキル】。でも、本当の地獄はここからですよ。まずはシャルフーブでヴァンガードにアタック」(パワー30000)

 「ノーガード!ダメージチェック《ラヴィング・ピンク フランセット》、ノートリガー」(ダメージ4→5)

 「もう一体のシャルフーブでヴァンガードにアタック」(パワー30000)

 「ウォリスとベレトアとアルビナでガード!」

 「ではアルグリーヴラ、ジャスティーナのブーストを受けてヴァンガードにアタック。そしてアタック時シャルフーブのスキル、エネルギーブラスト3して自身のパワー+10000してスタンド。それを2体分します」(パワー41000)

 「手札1枚破棄してウォルミナで完全ガード!」

 「ツインドライブ。ファーストチェック《猛炎の守護僧 モンジュ》、ノートリガー。セカンドチェック《再起の竜神王 ドラグヴェーダ》。ゲット、オーバートリガー」

 「このタイミングで……!」

 「このカードを除外して1枚ドロー、パワーをヴァンガードに。追加効果発揮、アルグリーヴラをスタンド。再度アルグリーヴラでヴァンガードにアタック」(パワー100033000)

 

 彩は2回目のアルグリーヴラのアタックした時に手札を見た。しかし今のアタックを防ぐ手立てが無い状態で、しかも残り2回分のアタックも捌くのは非常に難しい。

 

 「ノー…ガード……」

 「ツインドライブ。ファーストチェック《焔の巫女 パラマ》。ゲット、フロントトリガー。前列ユニットのパワー+10000。セカンドチェック《バーニングフレイル・ドラゴン》。ゲット、クリティカルトリガー。クリティカルをヴァンガード、パワーを右のシャルフーブに。千変万化も、ここでお(しま)いですね」

 

 アルグリーヴラの解き放たれたレーザーはパワーも相まってか雨のようにクリスレインに降り注いだ。クリスレインはこれに対しなす(すべ)なく受ける他なかった。

 

 「ダメージチェック。1点目《トーカティヴ・アワー タンムーズ》。ゲット、ヒールトリガー。パワーをヴァンガード、ダメージ1回復。2点目《万花の運命者 クリスレイン》。ノー…トリガー……」

 

 そして無情にも2ダメージ目はヒールトリガーは出ずに、この時点で副将戦は初華に軍配が上がるのであった。

 


 

 「みんな、ごめん……」

 

 副将戦が終わって他のメンバーのもとに戻った彩の目には涙を浮かべていた。

 

 「彩ちゃん……大丈夫よ。彩ちゃんだけじゃない、負けていった他のみんなのためにも、私が今までの無念を晴らしてくるわ……!」

 「千聖ちゃん……」

 

 彩のみならず全員の無念を晴らすために千聖は決意に溢れた表情で勝利すると意気込んだ。彩は千聖のその言葉を聞いて涙を流した。彩だけではない、日菜や麻弥、イヴも千聖の言葉に感動したようで彩と同じく涙を流した。

 

 「白鷺の言う通りだ。今回の一件は誰かが白星を上げれば私達の勝ちだ。だから丸山が気を病む事じゃない」

 「「プロデューサー!」」

 「遅れてすまない。会議が思った以上に長引いてしまった」

 

 そこにプロデューサーのナオが話に入ってきた。ちなみにナオは先程まで事務所で緊急の会議があったため、終わった後は早足で会場に駆けつけて今し方到着したのだ。

 

 今の時点でナオは現状を把握していないため、麻弥は簡潔に纏めて何があったのか彼女に報告した。

 

 「……そうか。そうなってしまったなら仕方ない。白鷺、君が最後の要だ。気張っていけとは言わない…ベストを尽くせ、いいな?」

 「分かりました。では行ってきます」

 

 ナオに激励の言葉をもらった千聖はステージの中央に向かって行った。千聖が行ったちょうどその時、祥子が千聖と入れ替わるようにパスパレ側にやってきた。

 

 「君は確か…豊川か。何か用か?」

 「プロデューサーとお話があってお伺いしたのですが、よろしいでしょうか?お時間はそんなには取りません」

 「……分かった。聞くだけ聞こう」

 

 彩達に止めるよう促させるも、大人としての余裕と一喝で黙らせてから、祥子と、彼女の後ろに控えていた獅音と一度会場外に出て人気(ひとけ)の無い休憩スペースに連れて行った。

 

 「それで君達は私に話があるようだが、何の用だ?」

 

 ナオは自動販売機で缶コーヒーを人数分購入してそのうちの2本を祥子と獅音に手渡した。その後は自分の缶コーヒーのプルトップを開けて一口含んだ。

 

 「大した話ではありません。このチーム戦で貴女方が白星を一つでも上げる事が出来れば私達Ave Mujicaと再戦の対バンライブのお約束の事で話があるのです」

 「その話か。君達がここに来たという事は、もしかしてメールでは話せない事があるからわざわざ口頭で伝えに来たのか?」

 「はい、その通りですわ」

 

 どうやら今回の一件で話があるようで、わざわざ補足事項のために自分に話をしにきた祥子に対しナオは呆れるもその堂々とした振る舞いは誉めざるを得なかった。

 

 「それで、話というのは?」

 「私達と再戦が決まった際は、其方で請け負うお仕事の7割を『私達』で山分け…という事です」

 

 ナオはその一言で絶句した。まさか対バンライブを行なう際にそんな取引を持ちかけられたからだ。

 

 しかし今回の場合はAve Mujicaの方に理がある。確かに前回の対バンライブ後にAve Mujicaに仕事のオファーが入っているのは小耳に挟んだ事がある。その中で再戦を行なうわけだから当然Ave Mujicaもスケジュールを合わさなくてはならない。それならそれ相応の対価を払わなければ話にすらならないのはナオも熟知している。

 

 「一つ聞きたい。もし此方が負けて再戦は保留になるが、今後再戦が行われた際にはその条件は呑まないといけないのか?」

 「はい。その通りです」

 「……分かった。この事は後ほど私の方からメンバーに伝えておく」

 

 この条件を呑まないと対バンライブを取り繕ってくれないのは理解しているので、ナオはそれに了承するしかなかった。

 

 「ご懸命な判断、ありがとうございます♪それでは大将戦が始まるので此処でお(いとま)させて貰います。行きましてよ、獅音」

 

 そう言って祥子は獅音を引き連れてその場を後にした。

 

 「全く、なんて(したた)かで抜け目ない()だ……」

 

 ナオはそう呟くと缶コーヒーを一気に飲み干して空になった缶をゴミ箱に捨てた後は会場に戻るのであった。ちょうどその時、運命の大将戦が始まるのであった────。




 まずは読んでくださった方、お気に入り登録をしてくれた方、こんな拙作を応援いただきありがとうございます!こんな拙作読んでくれるだけでもありがたいです。

 次回は大将戦をお送りします。最後までご視聴お願いします。

 それでは、また次回。

獅音の女装回を……

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