今回は前回の続きとなります。
それでは、本編をどうぞ。
「一生…バンドしてくれる?」……なんて果てしなく呪いに近い言葉なんだ。シチュエーション的にもバンドの勧誘とかにも聞こえないし意味が分からなく感じてしまう。だけど、高松さんからしたら本気であるのは窺えるのは分かる。
「えっ…えっ?一生?」
でも千早さんは高松さんの一言に引き気味ながらも若干困惑していた。確かに高松さんのその一言は重く感じるのも無理は無い。
そんな千早さんの反応に対して高松さんは逃げ去るようにカラオケボックスを出ていった。僕たち…というより千早さんが先導して高松さんを追いかけた。ちなみに余談だけど、ちゃんと料金は払ったのであしからず。
高松さんを追いかけることおよそ数分後、幸い高松さんは運動面が著しく低かったので、僕たちはものの数分で追いつく事が出来た。ちなみに僕たちが今いる場所は最近出来たばかりのライブハウス…RiNGの前であった。
「ハァハァハァ…ごめん。笑ったりして」
高松さんに追いついた矢先、千早さんは悪気があったようで真っ先に謝った。
「ううん。変なこと言ったのは私だから。バンド…誘ってくれてありがとう。でも…ごめんなさい」
「燈ちゃん…」
高松さんも自分の非を認めたようで許してくれたが、肝心のバンドのお誘いは断ったようだ。
「燈!」
そこに、僕たちとさほど年齢が変わらない少女が割り込むように入ってきた。バイトだろうか、RiNGのロゴが入った制服に身を包んでいた。それ以外にも黒い髪を千早さんのように背中あたりまで伸ばしていて、左目に泣きほくろが特徴であった。
そんな少女は高松さんを庇うように割り込んできたけど…この人と高松さんは知り合いだろうか……?
「誰?何の用?」
「あっ…何って…燈ちゃんの知り合い?」
「私が聞いてんだけど!」
この2人、会話が噛み合ってない……。いや、千早さんは答えているけど、曖昧な返事だから少女の方は苛立ちを感じたようだ。
「あっ…待って!」
「燈!ちょ…燈!」
しかしそれをチャンスと言わんばかりに高松さんは逃げ出してしまった。その際に千早さんは追いかけようとした少女の腕を掴んだ。
「お前たち、なに?」
そんなに睨むほどですか…あとこれ『お前ら』って言ってるけど、僕もカウントするんですが?一応、巻き込まれた側なんですけど……。
「だから友達だって」
「友達⁉︎」
「友達です!文句あるんですか?」
「燈のこと追いかけてたよね?」
「逃げるから追いかけただけ。私はバンド誘っただけだし」
あのー…会話のキャッチボールどころかドッチボールになってるのは気のせいかな?しかし千早さんが最後に言った一言を聞いて少女の方は更に目つきを鋭くさせた。
「はぁ?お前たち…燈をバンドに誘ったの?」
「ンッ…そうだけど?あのさ。人のことお前たちって…「最悪!」はぁ⁉︎ 絡んできたのそっちでしょう!」
少女の一言で千早さんの方は完全に頭に来たのか噛みついてきた。というかお互い完全に一触即発状態なんですけどっ⁉︎お互い無言で睨み合ってるし‼︎
「大丈夫?どうしたの?」
と、そこに月ノ森の制服に身を包んだ、ベージュ色の髪を腰まで伸ばした長髪で軽くウェーブがかってる水色の瞳のタレ目の少女であった。誰だか知らないけど、この雰囲気最悪な状況で声を掛けてくれた事に感謝します!
「あっ…何でもないです。それじゃっ!」
これを好機と捉えたのか、そう言って千早さんは僕の手を引いてこの場から立ち去った。この付近、暫く立ち入らない方がいいんじゃないかな……?
「おはよう獅音くん」
「おはようございます、千早さん」
翌日、いつも通り学校に来て教科書を読んで授業の予習復習をしていると千早さんに挨拶を掛けられたので、挨拶で返した。その後彼女はクラスメイトに挨拶をしている最中、高松さんを見ると気まずくなっていた。
でもその後聞いた話によると、ペンギン(詳しくはヒゲペンギンらしいけど…ペンギンはあまり詳しくないからどれも一緒に見える。ライオンならすぐに分かるけど)の絆創膏を貰って手打ちになったようだ。
そして時間は過ぎ、放課後。帰ろうとした矢先、千早さんにとっ捕まって一緒に帰る事となった。まあ須賀くんやまいさん達もいるから逃げる事は容易ではなかったけど。
「そういえばさ。RiNG行った?」
「確か渋谷にあるんでしたっけ?」
「そうそう!行った事あるの?」
「いや、まだありませんね」
帰り道に全員でRiNGに行く事になっているようで、須賀くん達はスタジオを借りてバンドの練習、千早さん(と僕)はバンドメンバーが募集されてないかチェックするためだ。でも僕と千早さんは昨日の一件で気まずくそうにしながらもRiNGに行く事となってしまうのであった。
ちなみに…今日も祥子ちゃんの所に行こうとしたけど祥子ちゃんの方は今日は予定があるようで、仕方なく千早さん達に同行する事になったのは言うまでもない。
そしてRiNGに着くや否やまいさん達とは別行動を取る事になったんだけど、その間僕たちはRiNG内になる掲示板でバンド募集のポスターを眺めていた。
「ンン…ギタボもボーカルも募集ないじゃん。帰ろう……あっ」
「うん?」
しかし千早さんのお眼鏡に合う募集がなかったようだ。まあ仕方ないと思うよ。条件なんて合うのを早々に見つけるのは容易じゃないから。そしてRiNGから立ち去ろうとしたその時、昨日の月ノ森の少女とバッタリ出会ったのだ。
「あの…昨日はありがとうございました。声をかけていただいて」
「あっ…ああ~!」
「出会い頭にいきなりワーワー言われて困ってたんです」
あんな風に絡まれたら……ねぇ?いい気分にはなれないよ。
「そうだったの、でもあの子も多分悪気はなくて」
少女の一言を聞いた瞬間、僕と千早さんはその場でピシャリと固まってしまった。えっ?知り合い?彼女とあの人、知り合いなの?
「えっ?(しまった!まさかの知り合いじゃん‼︎)」
僕と同じ事を考えていたのか、千早さんは顔を真っ青にしていた。
「あ~…なんか…お友達さんのこと悪く言っちゃって…」
千早さんは昨日の人と彼女が知り合いとわかると気まずそうにしていた。
「大丈夫だよ。いきなりあの口調で言われたら、びっくりしちゃって当然だよね」
「いやぁそうなんです」
知り合いというだけあって、彼女は千早さんが彼女の知り合いにひどく当たっても全く動じてなかった。
「フフッ…バンドメンバーを探してるの?」
「へっ?」
「掲示板見てなかった?」
どうやら彼女には千早さんの考えがお見通しのようだ。まあ遠目からバンドメンバー募集の掲示板を見てたら普通はそう考えるよ。
「あ~そうなんですけど。こういうとこ初めて来たから、よく分からなくて…」
「そっか。私も詳しいわけじゃなくて。一緒にスタッフさんに聞いてみる?」
「あっそこまでは…」
これ以上彼女のお世話になるわけにはいかないようで千早さんは遠回しに断ろうとするも、途中何か気づいたのか彼女をマジマジと見ていた。
「あの…月ノ森の方ですよね?あのお嬢さま学校の」
「えっ?えぇ…」
「すごい!政治家とか芸能人の子しか入れないとか聞いたことあるんですけど」
それはただの噂話では?外部から入学する人だっているはずでしょ……
「フフッ…すごいお家の子もいるけど、私は中学からだし普通かな」
「あと、月ノ森って本当にごきげんようって言うんですか?」
今時『ごきげんよう』って。そんなわけ…
「ああ~…言うかな」
「言うんだ」
……あった。これも昔からの名残なのかな……。
「私も初めて聞いたときはびっくりしたけど。幼稚舎から通ってる子たちが言うから、なんとなくマネしてる感じで」
「ウワサは本当だったんですね。あっ…じゃ全員車でお迎えされてるってウワサは…」
どんな噂…というより情報源なんですか。絶対ネットとかで拾ってきたでしょ、それ。
「そういう人はほとんどいないかな」
「そうなんですね。じゃ…」
「フフッ…さっきから学校のことばっかりだね」
ホントに。さっきまでバンドの話なのにいつのまにか学校の話になってるから。一応話の主旨を戻した方がいいでしょう。
「あっ…すみません、つい…それじゃ…うん?」
千早さんが言い切る前に少女が何処かの方角を指差した。えっ、もしかして場所変えて話聞くっていうの?
「立ったままも何だし、お茶にしましょうか」
そして縁あってか、千早さんと彼女と僕の3人はRiNGに併設されているカフェテリアでティータイムをする事となった。ちなみに彼女は
ちなみに僕は話の邪魔にならないように帰ろうとしたが、千早さんに無理やり止められて話に参加せざるを得ない状況になった。
それでオーダーを入れようと店員を呼んだのですが…
「…………」
ホールに入ったのがまさかの昨日の人だったっ⁉︎オーダー聞く時メッチャ僕たち…というより僕を睨みつけてるんですけど‼︎
「アールグレイのホットで」
「私も同じので」
「僕はブレンドコーヒーで。ミルクと砂糖もセットでお願いします」
「チッ」
いや接客態度!何注文取ってる時に舌打ちしてるんですかこの人っ⁉︎
「悪気はないから許してあげてね?それで話の本題に入ると…愛音ちゃんと獅音くんはメンバー探してるんだったっけ?」
メンバー探しは概ね合ってます。だけど、貴女まで僕をカウントしないで欲しいんだけどなぁ……。一応巻き込まれた側なんで。
「はい!でも掲示板見たんですけど希望の募集が全然なくて…」
「そっか…SNSとかは?募集出てることあるよ」
そうなんだ。それは初めて知ったな…それにこの手の話、長崎さんは詳しいな。
「フッ…前、やってたから」
えっ、そうなの?なんか意外。月ノ森の生徒がバンドなんて……。しかしそう考えてると店内にギターを弾く音が響いた。音のする方へ視線を向けると、1人の少女がギターを弾いていた。
その少女は見た目は僕たちと同じ…あるいは歳下で、特徴で目立っているのは白髪のショートヘアにオッドアイであった。
「彼女、
此処でギターを弾くなんて意外だな……。ちなみに、
その後は数分くらいギターをかき鳴らしていたけど、満足したようでギターを仕舞った後は、所持品であろう小さなカートに載せた後はカフェテリアを後にするのであった。
「凄かったね」
「えぇ。素人目線ではありますけど、あの子のギターの腕前は相当なものかと」
上手く言葉に出来ないが、楽奈って子の技術は上手いのはなんとなくだけど理解はできる。
しかしこの時ちょうどオーダーした飲み物が来たんだけど…長崎さんには丁寧に出すのに対して僕たちは雑に置いてきた上に去る時僕たちを見下すように睨みつけてきたんですけどっ⁉︎
「態度わる〜っ……」
「どうしてけんかしてるの?」
「実は……」
喧嘩というわけじゃないんだけどなぁ……昨日何があったか長崎さんに説明した。
「……というわけなんです。しかも燈をバンドに誘ったのかとか言っていきなり噛みついてきたんですよ」
溜まったもんじゃないよ、ホント……。会いたくないと思ってた矢先24時間経たないうちにまた会ったんだから……。
「燈って…高松燈ちゃん?」
「えっ?あっ…はい。同じクラスで…もしかして…お知り合いですか?」
しかし突然長崎さんが急にそんな事を聞き出してきた。しかも『燈ちゃん』…?長崎さんと高松さんは知り合いなのかな?あとは何故か長崎さんの声のトーンが変わったように見えた。
「お友達なの」
友達、なんだ……。高松さんの交友関係は全然知らなかったから月ノ森の生徒と友達なのはなんか意外だ。
「あのー…高松さんとは何つながりなんですか?」
「燈ちゃんと一緒にバンドやるの?」
えっ、なんか話が噛み合ってないんですけど……。しかも質問してるのは僕なのに質問で返された。これを何処ぞの手フェチの○人鬼が聞いてたら怒りそうなんですけど……。
「千早さんが誘ったようですが、高松さん本人には断られました」
「そう…」
「そよさん、バンドやってたって本当ですか?」
「ベースだよ」
あの千早さん。急に割り込んできて話を変えないで貰えるかな……って長崎さんは普通に受け答えしてるし。
「あの、そよさん。一緒にやりませんか?」
今度は急に勧誘って……いくらバンドの経験があるからってそれは流石に早計すぎだって……。そんな突然な勧誘で長崎さんがOKを出すわけ…
「いいよ〜」
……出してくれたよ。どんな心境でOKしたんだ、この人?千早さんも目が点になってるし。
「えっ?マジですか?」
「でもサポートとかからかな」
「それで全然!やった!そよさんラブ!」
よかったですね千早さん。ようやくメンバーを1人見つけられて。これで僕もお役御免になれそうだ。ってもう連絡先交換しあってるし。
「君は交換しないの?」
長崎さんがスマホを差し出しながらそう言ってきた。あっ、そうだった。多分長崎さんは勘違いしてるのか。
「残念ながら僕は「獅音くんはマネージャーなんですよ!」ちょっ⁉︎」
何言い出すんですかこの人はっ⁉︎しかもマネージャー⁉︎初めて聞いたんですけどっ⁉︎
「(あの千早さん!僕はいつからマネージャーになったんですか⁉︎)」
「(えー、だって獅音くん寂しそうだったからお誘いしたんだけど)」
僕は一旦千早さんを連れてコソコソと話をした。てか貴女一度も僕を誘ってなかったでしょ!しかも「誘った」って単語使うなら、昨日カラオケに誘ったの間違いでしょうが‼︎
「(でも何処かからお誘いが来てもいいように「バンド入ってます」って体にして隠れ蓑にするのはいいんじゃない?それだと勧誘が来てもちゃんと理由があるから次から来なくなるよ?)」
……確かに千早さんの言う通りか。現に須賀くんから30回くらい勧誘されているから、それ対策としてバンドに加入してるっていう大義明分だ成り立つからキッチリお断りできる。それに…望みは薄いけど、
仕方ない、ここは覚悟を決めるか……。
「もう話は終わったの?」
「はい。一応僕もメンバーです。
千早さんとは話を終えた僕は一応だけど、バンドのマネージャーとして参加する事となった。その後は長崎さんとは連絡先を交換する事となった。
「そっか…でも燈ちゃんは断ったんだ?繊細な子だからな」
……長崎さん、最後の方は小声で言ってるけど流石にこの距離なら聞き取れますよ?でも千早さんはバンドメンバーがやっと揃って嬉しいのか聞いてないようだけど。
しかし長崎さんの言う通り、確かに一理あるかも。高松さんはクラスではマスコット的立ち位置だけどそう見えても違和感がないから……。
そして今回はとりあえず顔合わせって形で今日の集まりはひとまず一区切りとなった。メンバー集めの一件もあるけど、そこは詳しくは明日に持ち越すとの事で、ティータイムを終えた後は流れ解散をするのであった。
「しかしバンドのメンバーに加わる事になろうとは……」
集まりが終わった後は家に帰った僕だが、その後は夕飯やお風呂を済ませた後は特にやる事は特に何も無くベッドに寝転がって今日何があったかを思い出していた。バンドをやるなんて全く考えてなかったのと、やるつもりも微塵に思ってなかったから心境が複雑だよ……。
「……祥子ちゃんに一報入れた方がいいよね」
スマホを持つとそんな事を呟いた。まあ報連相は大事だからね。そう考えた僕は祥子ちゃんに今日何があったか簡潔に纏めてチャットを送った。そして暫くすると返信が来た。
「……『私は誘わないでくださいね?それをお守りするならそれ以上は何も言うつもりはありません』か。まあ祥子ちゃんは家の事情もあるから仕方ないか。それなら…」
『分かった。祥子ちゃんの自由だからそれは尊重するよ。これ以上は
……と一文をチャットで送った。すると、すぐさま返信が来た。なになに…『分かりましたわ。おやすみなさい、獅音』か。『おやすみ、祥子ちゃん』と一文送ってからは電気を消して布団の中に入った。
しかしこの時僕はまだ思わなかった。僕の入るバンドが、予想を超えるほど複雑で、殺伐とした雰囲気である事に────。
まずは読んでくださった方、お気に入り登録をしてくれた方、こんな拙作を応援いただきありがとうございます!こんな拙作読んでくれるだけでもありがたいです。
今回でやっとMyGO!!!!!メンバー全員出せたけど、やべ……そよりんしかまともに出番無い(りっきーは名前表記無いし楽奈に至ってはセリフが無い……)。
まあこれから出番…見せ場はあるので今暫くお待ち下さい。そして次回の投稿日は翌日で、話は今回の続きになりますので楽しみに待ってくだされば幸いです。
それでは、また次回。
獅音の女装回を……
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書いて下さい!
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書かなくていいです