迷子になるか、仮面を着けるか   作:なかムー

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 皆さまお待たせしました。

 今回はMyGO!!!!!編のメインヒロイン、高松燈ちゃんの生誕記念回をお送りします。それと、後書きに少しだけオマケを掲載しますので、最後までご視聴よろしくお願いします。

 それでは、本編をどうぞ。

※【WARNING(警告)
 今回の話の都合上、りっきーこと立希が著しくキャラ崩壊しています。りっきー推しの人は不快な気持ちにならないますようよろしくお願いします。


高松燈生誕記念回2024 (まよ)い獅子と天然な不思議ちゃん

 「みんな。今日は集まってくれてありがとう」

 

 冬に近づくに連れて寒さを肌で感じる今日この頃、RiNGのカフェテリアの一角にてMyGO!!!!!のメンバーが会議をするように全員が向かいあって座っていた。全員といっても、獅音と燈は不在であるが。

 

 立希(たき)が招集をかけたようで、何やら真剣な表情であった。しかしいつもと違う事といえば、サングラスをかけて何処ぞの司令官…ゲンドウポーズをしていた事くらいである。

 

 「りっきーが私たちを呼ぶなんて珍しいねー」

 「りっきー、抹茶パフェ食べたい」

 「帰っていいかな?」

 

 呼び出しを受けた愛音、楽奈、そよはそれぞれの反応であった。しかし楽奈は興味無さそうに立希にパフェをせがんだり、そよは気だるげに紅茶を飲んでいたが。

 

 「そうだな。じゃ、本題に入る。実は一つ報告したい事がある……」

 

 一度仕切り直して立希は咳払いをしてまた先程と同じく真剣な表情に戻った。

 

 「…………今週末、ヤツが動く」

 「「!」」

 「それ以前に『ヤツ』って誰?」

 

 立希の報告を受けた愛音と楽奈は大きく目を見開くも、そよは冷めた目で立希を見ながら『ヤツ』の存在を尋ねた。

 

 「……それ、本当?」

 「間違いない。私直々に(さぐ)りを入れて掴んだ情報だ。ヤツはつい最近までナリを潜めていたようだが、とうとう対象と接触(コンタクト)を図った。つい前までは後手に回っていたが、今回はそうはいかない。だから私はヤツを潰す。それだけだ」

 「「りっきー……」」

 「ねぇ、だから『ヤツ』って誰?その『ヤツ』が誰なのか一番気になるんだけど」

 

 立希が直に入れた探りの過程をこの場にいる全員に話した。愛音も楽奈もしみじみとしながら聞くも、そよは依然として変わっていなかった。

 

 「もちろんりっきーはやるの?」

 「やる。それがマイゴのためだ。それじゃ決行日は今週の土曜日。詳細は前日までに連絡する。みんなはその間準備を怠るな。……話は以上だ、解散」

 

 立希は全員に伝えたい事を伝えると、鞄を持ってカフェテリアを後にした。

 

 「何これ…。話が全然理解出来ないんだけど……」

 

 1人置いてけぼりをくらったそよはため息をついて紅茶を一口含んだ。

 

 「ねぇ、そよりん…」

 「そよ…」

 「そよりんはやめてって言ってるでしょ…で、何?」

 「「『ヤツ』って誰?」」

 「私さっきから『ヤツ』について聞かなかった⁉︎」

 

 立希が帰ったそのタイミングで愛音と楽奈はそよに『ヤツ』について尋ねるも、怒られると同時に先程自分が尋ねた事を指摘するのであった。

 


 

 そして週末。渋谷の忠犬ポチ公前。このポチ公は実際にいた犬がモデルで1世紀も昔に作られた銅像だが、戦時中に金属回収により一度供出されたが再び此処に置かれ、現代でも待ち合わせ場所として名が知られているのだ。

 

 そんなポチ公銅像だが本日は休日という事もあってか、近くの駅で人の出入りが激しいと同時に待ち合わせ場所として決められていたからか人が多く集まっていた。そんな中、燈はポチ公銅像の前で誰かを待っていた。

 

 今の燈は普段着ている私服ではなく、トップスやアウターも年相応におめかししており、普段はほぼやらない化粧も施していた。ちなみに、化粧に関しては愛音のオススメの動画配信者にゃむち(一部ではにゃむ太郎と呼ばれているが)の動画を参考に自分でメイクをしたのであった。

 

 燈はまだかまだかと言わんばかりに時計やスマホを交互に見ながら誰かが来るのを待っていた。しかしその時、燈と同じく私服に身を包んだ獅音がやって来た。

 

 「お待たせ、燈さん。少し遅かった?」

 「大丈夫、だよ…れおくん。全然、待ってないよ。私も今、来たところ…」

 

 どうやら集合に遅れたようで、少しだけ息を切らしていた。曰く『乗ってた電車が遅延した』との事だ。だけど燈はそんな事気にしていないようで寧ろ来てくれて嬉しそうに見えた。

 

 しかし、そんな2人をポチ公銅像から少し離れた物陰で監視する集団がいた。

 

 「あのクソライオン、5分も燈を待たせやがって……」

 

 こめかみに青筋を立たせた立希が苛つきを見せながら2人…というより獅音を睨んでいた。しかもこの時立希は黒で統一されたスーツに身を包んで、サングラスをかけて口にココアシガレットを咥えていたのだ。

 

 「どーしてくれるんだ。燈の貴重な5分、お前みたいなヤツ…ゴミのために無駄になっちまったじゃないか。だから燈の5分を無駄にしたその罪、お前の片眼で償ってもらう。オイ愛音、あのゴミライオンの眼球を抉るから数分アイツを抑えてくれ」

 

 何処からか取り出したアーミーナイフを構えながら後ろに控えていた愛音に指示を出した。

 

 「ちょっと待ちなさい立希ちゃん!指定された時間に来たと思ったら燈ちゃんと獅音くんのデートの邪魔をしなくちゃいけないの⁉︎」

 

 しかし愛音と同じく後ろで控えていたそよに待ったをかけられた。しかも内容は場所くらいしか聞かされていないようで、詳細までは聞かされていなかったようだ。

 

 「デートじゃねーよ!あんなクズライオン、燈の彼氏だなんてお姉ちゃん認めてねーから!」

 「いつから立希ちゃんは燈ちゃんのお姉ちゃんになったの⁉︎そんなお姉ちゃん、私認めないからね!」

 「そよりん!私もそよりんがみんなのママなんて私認めないから!」

 「愛音ちゃんは黙ってて!」

 

 そよの待ったに立希は怒鳴りながら否定するも、彼女もそれに負けじと怒鳴りながらツッコミを入れた。しかし途中で愛音が全く関係の無いことで首を突っ込むもすぐに一蹴された。

 

 「ホント信じられない、こっちはせっかくの休日を潰してまで来たのにその内容がデートの邪魔なんて完全に時間の無駄じゃない。立希ちゃん、私は帰るから」

 

 これ以上付き合う義理すら感じられなくなったそよはそのまま踵を返した。

 

 「待てそよ。誰がいつそんな事頼んだ?私は燈の隣にいる目障りなカスライオンをこの世から駆除したいだけだ」

 「もっとできるわけないでしょっ⁉︎」

 

 なんと立希が計画していたのは、デートの邪魔ではなく獅音の駆除のようだ。しかし獅音は人間だが、立希の発言から察するに、彼女にとってはその辺の雑草か虫としか見ていないと捉えられる。

 

 「よく考えろ。雑草以下のライオンが燈を幸せにできると思うか?もちろん私だって燈が笑顔になれればそれでいいさ。例え燈が害虫以下のライオンを選んだなら認めなくちゃならない。だから私は悩んで悩んで悩んで悩んで悩んだ結果…あの害獣を駆除する結論に至ったんだ……」

 「一体どんだけ悩み方すれば駆除なんて結論に至るの⁉︎あとさっきから獅音くんの名前言う時色々ランクダウンしてない⁉︎最終的にはライオンから害獣になってるし!」

 「あんなゴミクズ、害獣がお似合いだ!」

 「立希ちゃんの方が害獣と思われても文句を言えない立場なんだけどっ⁉︎」

 

 燈の事を考えた故の結果からか、立希の思考は色々と危ない方向に走り出していた。しかも完全にバグによって思考が支配されているからか、そよはもう手遅れだと感じ始めた。

 

 「そよ、早くやる事やらないと日が暮れる」

 「楽奈ちゃん、貴女は何やってるの?」

 

 そんな2人をお構いなしに、いつのまにか立希と同じ黒のスーツに身を包んでサングラスかけた楽奈がハンドガン(エアガン)を手に取っていた。しかもハンドガンの照準は獅音の頭に向けていた。

 

 「楽奈?違う。私、ラーナ13(サーティーン)

 「何その13(サーティーン)って?」

 「今年りっきーに抹茶パフェを奢って貰った回数」

 「絶対13回以上奢って貰ってるよねっ⁉︎」

 

 なんとこういった話に興味すら示さない楽奈も立希と同じ立場になっていたのだ。しかも彼女の荷物なのか、スタンガンやスナイパーライフルまで常備していた。

 

 「……なんで楽奈ちゃんは立希ちゃんに協力するの?」

 「獅音をしとめたらりっきーが抹茶パフェ奢ってくれるって…」

 「完全に物で釣られてるじゃない!」

 「うるせぇ!利用できるものは利用する!それが人間ってもんだろ!」

 

 物で釣った楽奈をそよは指摘するも立希は完全に開き直っていた。しかもその目からは(サングラス越しではあるが)本気が窺えるのであった。

 

 「むっ!あの2人が動き出した!こんな所で時間を無駄にするわけにはいかない!行くぞ野良猫!」

 「アイアイサー」

 

 獅音と燈が動くところを目の当たりにした立希は楽奈を連れて2人に気づかれないように、後を追いかけ始めた。

 

 「ちょっと2人とも!全く…愛音ちゃん、あの2人を止めに行く…」

 

 2人に制止をするも全く応じなかった。そこでそよは愛音に一緒に止めに入るよう頼むも、途中で言葉が止まった。何故なら愛音も黒のスーツに身を包んでサングラスを掛けて、スタンガンの機能が搭載している警棒を構えていたのだ。

 

 「愛音?誰それ?私はアノン13(サーティーン)

 「愛音ちゃん、もしかして……」

 「面白そうだから私も行ってきま〜す」

 「オイィィィィィィィィィィィィィィィ⁉︎ちょっと待ってぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ‼︎」

 

 好奇心に煽られた愛音は立希達に続いた。そよは慌てて立希達の後を追いかけるのであった。

 


 

 電車に乗ること約数十分。2人が訪れたのは水族館で、関東でも有名な施設で、バラエティでも取り上げられるほどである。到着すると、獅音は2人分のチケットを購入すると水族館の中へ入って行った。

 

 「すごい、広い…!」

 「関東でも有名なところだからね」

 

 そう言って獅音は燈の手を引いて色々な展示コーナーを回って行った。淡水魚、深海魚…と挙げていけばキリがないが。

 

 「わぁっ…!」

 「ホントにペンギンが好きなんだね…」

 

 燈が一番楽しみにしていたペンギンのコーナーであった。そこにはペンギンが水槽内を優雅に泳いでいたところであった。

 

 「今展示されているマゼランペンギン、結構大きい!隣にいるヒゲペンギンもなかなか……!あとはフンボルトペンギンも可愛い…!」

 「結構喋るね…やっぱりペンギンって好き?」

 「うん、大好き…!れおくんは好きなの?」

 「僕は好きか嫌いかって言われてもな…普段は行かないから。どちらかというと動物園には行くかな」

 「そう、なんだ…でも、今の時間…は?」

 「好きだよ、とても」

 

 曖昧な答えに一度暗くさせるも、後から言った獅音の一言で燈の笑顔が明るくなった。

 

 「そうだ、イルカショー…見に行こう…!」

 「確かにここの目玉だからね…でもショーの時間を確認してからにしようか」

 「うん!」

 

 そう言って2人はイルカショーが行われる場所まで足を運んだ。入口前にショーが行われる時間が記されている張り紙があったので確認すると、ショーまでまだ時間があるので、時間まで館内を散策する事となった。

 

 「フワフワしてる…」

 「クラゲだからね。でも結構綺麗なのは分かるよ」

 

 海の魚コーナーを回って、その次に2人はクラゲのコーナーを見て回っていた。そこには数種類のクラゲが水槽内を漂っていて、水槽の照明が上手い具合に照らされているのもあってか、鑑賞客の心を掴んでいるのであった。

 

 「見て颯樹くん!クラゲがこんなにたくさんいる!」

 「落ち着いて花音…」

 

 「此処の水族館の演出、それなりに見応えがありますね」

 「評価するとこそこなのね…」

 

 2人がクラゲ鑑賞をしている最中、このタイミングで2組のカップルと鉢合わせした。それについては全然問題は見受けられないが、問題なのは相手とカップルの組み合わせであった。

 

 一組目は颯樹と、水色の髪をサイドテールにしている少女…松原(まつばら) 花音(かのん)で、もう一組は京介と黒髪をショートカットにしている長身の女性…八潮(やしお) 瑠唯(るい)であったのだ。

 

 まさか知り合いとこんなタイミングで鉢合わせするとは思っていなかったようで、獅音は内心驚くほかなかった。

 

 「あっ。颯樹さんに京介先輩…」

 「獅音か。どうも」

 「よっ、少年。デートか?」

 「デート、ってわけじゃ…それと少年って呼ぶのをやめて貰えませんか?」

 

 「ご機嫌よう、松原さんと高松さん」

 「こんにちは、瑠唯ちゃんに燈ちゃん」

 「こんにちは…」

 

 しかしエンカウントしたため、流石に無視するわけにはいかなかったので、全員は挨拶を交わした。その時、男性陣と女性陣と綺麗に分かれたのであった。

 

 「先輩達はデートなんですか?」

 「そうだね。花音が行きたいって要望があったから」

 「こっちも瑠唯の誕生日記念って事でデートしてた」

 

 この2人も、経緯は違うがデートのために水族館に訪れたようだ。2人の反応に花音と瑠唯は静かに微笑んでいた。

 

 「マジか。あの2人も此処に来てたのか…」

 

 一方、その光景を遠くから監視していた立希は苦虫をを噛み潰したような表情をしたのだ。

 

 「さっきーときょーたんじゃん。りっきー、あの2人苦手なの?」

 「苦手だよ。颯樹さんは初めて会った時から特に…だけど実を言うと、京介とかいうあのふざけた愚か者はいつか制裁したいのは本音だ」

 「なんで?」

 「蘭さんに『人間つけた赤メッシュ』とかふざけたニックネームで呼んでるから」

 

 立希はAfterglowに憧れを抱いており、そのボーカルを務める蘭に対する京介の反応が気に入らなかったのか、彼には私怨を抱いているようだ。立希の手に握っているナイフを持つ手に力が入っていた。

 

 「でもこんなチャンスはそうそう無いからちょうどいいか。カスライオンを仕留めた後に制裁するとしよう」

 「それは無理だよ。だって颯樹さんがいるから、獅音くんに手を掛ける前に絶対阻止されるから。それに八潮先輩の存在もあるから制裁しようとすると逆に立希ちゃんが処刑台に立たされるから」

 

 これを好機と捉えたのか、立希は本来のターゲットの獅音と纏めて仕留める事が出来ると目を光らせながら考えるも、そよにやめるよう忠告を受けるのであった。

 

 「何やら話し込んでるな…」

 「あっ、どうやらあの3組動こうとしてるよ」

 「どうやらイルカショーの時間だから、一緒に見に行くんじゃないの?」

 「よしっ、私達も行くぞ」

 

 デートしてる3組が全員共に行動している事を受けて、立希達もコッソリと尾行した。その後はイルカショーの会場に着くと、彼らとは少し離れた座席に座ってショーが始まるのを待ってた。

 

 途中、颯樹が一度席を外す事があったが、何事かと思いきや、暫くすると何かを手に持って帰ってきた。彼の手には合羽やポンチョが握られており、どうやらイルカショーの際に起こる水飛沫で濡れないようにするための対策で館内の店で購入したもののようだ。そして購入してきたそれを人数分買ってきたのか、全員に手渡していた。

 

 そこから間もなくして全員が合羽やポンチョを羽織り終えた。ちなみに、獅音と燈はペンギンをモチーフにしたポンチョ、颯樹と花音はクラゲをモチーフにしたポンチョ、京介と瑠唯は透明のビニール合羽であった。

 

 彼らが防水の準備を終えると、ステージの裏からダイビングスーツに身を包んだトレーナーがアザラシと共に出てきた。その時アザラシは頭でボールを回しながら器用に歩いていた。

 

 立て続けにアザラシとトレーナーのドッチボールにも見える芸を始めた。アザラシの方はというと、跳ねながら尾ビレでボールを蹴って…人間でいうところのオーバーヘッドキックをバッチリ決めていた。

 

 アザラシのショーが終わると次にペンギンが複数ステージに出てきて、サーカスで見かけるような曲芸をして会場を大いに賑わせた。そして最後にステージの目玉であるイルカがステージの裏側から出てきてトレーナーの手に持っているリングをくぐったり、アザラシと同じく頭や尾ビレでボールを弾き飛ばしたり勢いよくジャンプするのであった。

 

 そしてイルカと共にアザラシとペンギンもステージに集まって最後に観客達に一礼してショーに幕を閉じるのであった。

 

 「凄かったねー」

 「ホントに。でもビショビショだよ…これなら売店で合羽とか買ってくればよかったな…」

 「お前ら、本来の目的を忘れてるぞ。早く行くぞ」

 

 イルカがジャンプした際の着水で起きた水飛沫のお陰か、そよ達はびしょ濡れになっていた。しかし立希はそんな事はお構いなしに尾行を継続するのであった。そして獅音達を尾行するために、2人が会場を出たのを確認していたため全員は一度会場を出た。

 

 「そこ、何やっているのかな?」

 

 しかし会場を出た直後、不意に立希達に声を掛ける者がいた。しかもその声の人物は彼女達全員聞いた事のある声の持ち主であった。嫌な予感を察知した立希達はおそるおそる声のした方向に首を向けた。そこには、壁に寄りかかって腕を組んでいる颯樹がいた。

 

 「や、やぁさっきー!偶然だね…」

 「偶然じゃないだろ。その服を見れば偶然を装ってるのはすぐ分かるぞ」

 

 颯樹と目が合った愛音は平静を保ちつつ偶然を装うも、颯樹にすぐさま一蹴された。

 

 「…颯樹さん、いつから気づいたのですか?」

 「さっき売店で買い物しに行った時に偶然目にした。大方獅音と燈のデートの尾行、といったところか」

 

 颯樹の推測通りであるためか、立希達はピシャリと固まった。しかも黒服三馬鹿の顔には冷や汗が流れ始めた。

 

 「とりあえず、そよ以外は説教といこうか。ちなみに逃亡を図ったら…どうなるか分かってるよな?」

 

 脅迫とも取れる忠告を交えた説教宣言を入れた颯樹はそよに「燈達はペンギンのコーナーでペンギンと触れ合っているからひとまず合流してきな」と一言添えて立希達を一目のつかない所まで連行していった。

 

 呆然とするそよであったが、颯樹の一言を思い出すと、ペンギンコーナーに向かって、ペンギンと触れ合ってる燈達と合流して一緒にペンギン達との触れ合いを楽しむのであった。

 

 ちなみに余談だが、黒服三馬鹿は颯樹のお説教を受けた後日、色々とトチりをやらかした彩と共に1ヶ月マネージャー業(パシリ)をやる羽目になったのは、また別の話である……。

 


 

 「今日は、色々あったね…」

 「ホントに。まさかみんなも来てたとはね……」

 

 僕らは水族館で共に行動した後、途中で合流したそよさんも含めて全員(立希さん達以外)でお昼ご飯を食べた。その後は本来の目的はデートのため、全員別れて各々の向かうのだった。

 

 そして数時間経って、僕と燈さんは途中公園に立ち寄って散歩した後は近くにあった喫茶店でお茶をする事となった。

 

 「でも立希ちゃんたちも、一緒にくればよかったのに…」

 

 それは無理な話だと思うよ?それに、もし一緒に行ってたら愛音さんがSNS云々で色々五月蝿いし、途中で楽奈さんが飽きて何処か行っちゃうだろうし、立希さんは燈さん燈さん五月蝿くなるだろうし。

 

 そんな光景を思い浮かんだ僕は一度ため息をついてコーヒーを一口飲んだ。

 

 「ねぇ、れおくん…」

 「ん?」

 「今度は、みんなで行こう?」

 

 ……燈さんにそう誘われたら僕は少し笑みを浮かべて無言で頷いた。

 

 「それなら動物園もセットでいいよね?」

 「! ……うんっ!」

 

 僕の提案に燈さんは目を輝かせて首を縦に頷いた。その後は会計を済ませて、時間を確認すると帰宅するにはちょうどいい時間帯になったので、近くの駅で電車に乗った後は、数回乗り換えた後に燈さんを自宅付近まで送っていって、僕も家に帰る事となった。

 

 「あっ…」

 「…獅音」

 

 しかしその際、途中祥子ちゃんと偶然鉢合わせしたのだ。しかも僕も祥子ちゃんも進行方向は同じだからか、一緒の電車に乗った。隣同士で座るも、今日までバンドの事で色々とあったから気まずい雰囲気であるためか、終始無言であった。

 

 暫くすると電車はとある駅に止まり、祥子ちゃんは此処で降りるようで無言で立ち上がった。

 

 「……ごめんなさい」

 

 そして降りる際、僕にしか聞こえないようにそう耳打ちをした。祥子ちゃんに何かしてやりたいけど、この1年で何が起きたのか僕には分からないからな……正直言うとお手上げだよ。

 

 「…………」

 

 こうなったら、僕も時期を見て色々と探りを入れてみるかな。そうすれば何か分かるかもしれないし、何故CRYCHICを脱退・解散する事となったのかその手がかりが見つかるかもしれないし。

 

 電車が自宅の最寄駅に到着したので電車を降りながら、僕はそう決意するのであった。




 まずは最新話の読了とお気に入り登録をしてくれた皆様、ありがとうございます。こんな拙作にお付き合いいただいた事に感謝します!

 今回、『咲野 皐月』様のオリキャラ、『盛谷 颯樹』くんにも登場して貰いました。皐月様、ありがとうございますm(_ _)m

 次回の投稿日は未定ですが、Ave Mujicaのアニメまであと1ヶ月半近くなので、投稿予定ではAve Mujica編の再開を予定しております。その間は他の小説と短編を投稿しますのでご理解のほど、よろしくお願いします。

 それでは、また次回。




 ※今回、載せたかったものがたくさんありましたが、色々な都合上没となった小話を掲載します。それでは、どうぞ。(載せる都合上、台本形式となってますので、ご理解のほどよろしくお願いします)



【序盤の立希達のやりとりで…】

 オブリビオニス「そこ。少し場所を詰めて貰えませんか?」(ライブ衣装に身を包んでスナイパーライフルを手に持っている)
 そよ「祥ちゃん、何やってるの?」
 オブリビオニス「『祥ちゃん』?知りませんわ、そんな名前。私は忘却を恐れる勿れでお馴染みのオブリビオニスですわ」(スナイパーライフルの照準を燈の頭に目掛けている)
 そよ「いや絶対祥ちゃんだよね⁉︎あと後ろの人達は誰⁉︎」

 そよの指差す方には同じくAve Mujicaのメンバーがスナイパーライフルを手に持ってた。

 ドロリス「我、悲しみを恐る勿れ。ドロリス」
 モーティス「我、死を恐れる勿れ。モーティス」
 ティモリス「我、恐れることを恐れる勿れ。ティモリス」
 アモーリス「我、愛を恐れる勿れ。アモーリス」

 全員が燈の頭に照準を合わせながらスナイパーライフルを構える。

 Ave Mujica全員『我ら!スナイパー集団、Ave Mujica‼︎』
 そよ「ちょっとぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!Ave Mujica絶対そんな集団じゃないでしょ!あとそれ絶対世界観壊れてるよねっ⁉︎」

 その後、この一件が颯樹にバレて数時間お説教を喰らうのはまた別の話である……。

【存在しない一幕】

 立希「あンのクソライオン!あいつの顔面で"碧天伴走"を叩いてやろうか⁉︎」

 立希の目の先には、カフェでお茶をしている獅音と燈の姿があった。しかもお互いがお互い頼んだものを食べさせあっている…所謂『はい、アーン』状態であった。

 それに怒りを燃やしているのか、立希は手に持っているアーミーナイフを握る手が強くなってた。

 「たーきー?何やってるのかな?」
 立希「何って、あのクソライオンを…⁉︎」

 不意に立希の背後から、彼女に声をかける人物がいた。立希は苛つきながら後ろを振り返ると、腕を組んで仁王立ちしてる颯樹と、その後ろには花音が控えていた。

 颯樹「ほう、そんなおイタをするのか。それは感心しないな」
 花音「じゃあ私はオシオキとして立希ちゃんのお尻で"えがお・シング・あ・ソング"を叩こうかな?」

 颯樹と花音はニッコリと笑いながら立希に威圧をしていた。しかも花音に至っては両手にドラムスティックを何処からか取り出して素振りしていた。

 その光景を見た立希達以外の3人は無言でアイコンタクトを取り始めた。そしてこう思ったのだ、『このままだと自分達も巻き込まれる』と。

 3人は何が言いたいか理解できたようで無言で軽く頷いた。

 3人『……どうぞどうぞりっきー/立希ちゃんを連れて行っちゃったください』
 立希「お前らぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ⁉︎」

 今回の首謀者的立ち位置の立希を生贄にするのであった。確かに今回の一件は、立希主導で行われたので全責任を取らせるのは概ね間違い無い。

 そうして立希は颯樹と花音に強制的に連行されていった。後日、パスパレのマネージャー業を1ヶ月務めるのはまた別の話である……

獅音の女装回を……

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