今回は少し趣向を凝らして(季節的にも)少し早い水着回をお送りします。予定では3話構成となっております。
それでは、どうぞ。
「うぅっ……あっつーーーーーい!!!!!!」
「愛音、やかましい!」
日中の最高気温が30℃を超える日が何日も続き、街往く人たち各々が連日の暑さに阿鼻叫喚の悲鳴を挙げているこの頃……
最近は
そんな中でついさっき喧しい程の大声を挙げた人物──ロンドンから2ヶ月ほど前に帰国したばかりの帰国子女であり、ピンクの髪を腰まで降ろした八重歯が特徴の少女……
「どうしたの、愛音ちゃん。そんなに大きな声を出して」
「ねぇねぇそよりん、ここ最近の暑さは異常じゃない!? ただでさえ先月はジメジメとした梅雨だったし、それが終わったら今度は猛暑日続出って意味わかんないんだけど!」
「それは仕方ないよ。私たちが人為的にどうにかできる訳でも無いしね〜」
愛音の悲痛な叫びは、黄土色の髪をロングにしていて、如何にも興味無さそうな雰囲気で壁際に佇む少女……
それを見た灰色の髪をショートカットにした少女……
「……本当に大丈夫なんですかね、この5人」
「大丈夫でしょ。普段はあんな感じだったとしても、やる時はやるメンツだと……思いたかったね」
「なんか、僕……今から心配になって来ました」
「奇遇だね、僕もだ」
……ほんと、獅音の言う通りだよ……なんで結成して間も無くでこうなるのさ……。いや確かに、結成前は割と一言では片付けられない程大変な事があったし、それを乗り越えて漸く一つに纏まったんだから、多少なりとも期待したくなるのは常だと思うんだよ。
ただなぁ……これ、どう諌めよう……。
「……っ、そうだ! 今度の休み使ってさ、みんなで何処か遊びに行こうよ! こんな状況下で何もしないよりはマシ」
「勝手にすれば。私は行かない」
「愛音ちゃん一人で行けば? 私もパスかな」
「りっきーにそよりん酷いっ! ね、ともりんはどう!?」
「え、えっと……私は……」
「は? 私たちが無理だからって燈を誘おうって? ダメに決まってるでしょ」
苦し紛れに愛音が言い放った提案も、先の二人には当然と言うべきか通らず……藁にも縋る思いで声をかけた燈ですら、立希からの痛恨の一撃に拠り、意味が無い物となってしまった。ただその傍らで楽奈はと言うと、我関せずを貫いていた……いやいや、本当に温度差ありすぎだね君たちっ!?
「そうだ! ねーねー、さっきーにれおぽん! 何処かお出かけしたいと思わないっ!?」
「んー、予定が入って無ければ良いんだけど……」
「ほんとっ!?」
「うーん……何処で予定入るかわかんないし、今の所は前向きな答えが出来ないかな、ごめん」
「そんなぁぁぁぁぁぁっ!」
僕が先程の疑問にそう答えると、数秒前までキラキラとしていた瞳は何処へやら。まるで念願の玩具を取り上げられた子供の様に、駄々を捏ね始めていた。その後の獅音にも聞いたらしいのだが……結果は、もうお察しと言う他無い。
「ふんっ、もう良い! こうなったらさっきーやれおぽんは強制連行して、今度の休みの日に連れ回してやる!」
「愛音ちゃん、それは無いんじゃない? 獅音くんは兎も角として、颯樹さんはお仕事もあるんだから……無理に連れ回したりすれば、それこそ本人にとって良くない事に」
「じゃあそよりんも来る?」
「あのね愛音ちゃん、私が言いたい事わかってる?」
……全く以てそよの言う通りだよ……なんでこうも聞かん坊のわからず屋がピンク髪は多いのか……って、え? 何か愛音がゴソゴソし始めたんだけど何やってんの。
「ねーねー、そよりん。私は何も別に変な事は考えてないんだけどな〜」
「何、どう言う事? あとその呼び方本当にやめて」
「そよりんは気になってるんでしょ、さっきーの事」
「いい加減にしないと怒るよ?」
「もう怒ってるよ」
うん、こんな事聞いてる時点でそよの機嫌が悪くなってるのは分かるよね愛音。て言うか、今更気づくんかい。
「で? 愛音ちゃんは私にどうして欲しい訳?」
「んー、そよりんって私服では肩を少し出したりとかはするけれど、基本的にそこまで露出度は高くないよね〜」
「それが?」
「こんな暑い日が続くとさ、開放的な気分に…」
そこまで言葉が聞こえた後、刹那の勢いで聴いてて清々しいくらいの音が木霊した。……大方何を言いたいかは想像が着いたけれど、流石にそれは思ってても言わぬが花と言う物では無いのかな。
その後は何だかんだ纏まって練習はしていたが、先の一件がかなり尾を引いたらしく、終了後はそそくさとその場を後にする者が多かったと追記しておこう。
「……何故こうなった」
「私は行かないって言ったのに……」
「酷いよ、颯樹くんにそよちゃん! 折角のお出かけなんだから楽しもうよ〜!」
「あの、なんで僕まで……」
冒頭のやり取りがあった数日後……僕たちは愛音から事前に待ち合わせ場所として指定された、駅前広場の方に来ていた。何でも今回は公共交通機関を使ってその場所まで向かおうと言う魂胆らしく、車を出すと言ったその直後に制止がかけられたのだ。
本人がその気ならばまだ良いのだが……うん、これは流石にツッコませてもらおう。
「何故彩が居る。お前、確か……他のメンバーと一緒に
「うんっ、そのつもりだったんだけど……
「……それでここに来たんですか」
「と言うより、サラッと上司の方を渾名呼びしてるのはスルーなんですね」
「彩の憧れだからね、プライベートの時はまだ良いかな」
……まあ、本人がこう言う事だし、今日は大目に見ても問題無さそうかな(後で何人かがこの話を聞けば、割と卒倒する案件間違い無しだけど)。
先の話でも軽く触れた通り……パスパレは現在、日本全国のアイドルが一挙に集結し、数多居る中からその頂点を目指す大型イベントに参加している。現在は一回戦辺りらしく、本人たちも勝ち上がる為に必死になっているのだとか。
ただ、過度に熱を入れ過ぎてもコンディションを崩せば元も子も無いので、適度に休養日やお仕事を組み込む等でバランスを取りながら、日々を過ごしているみたいだ。
本当は僕もこの案件に参加する手筈だったのだが、新任で着任した
『盛谷は二年に渡ってパスパレの舵を取り続けて来た……それ故に丸山たちがお前に寄せる期待は高いと思うよ。でも、いつまでもそれに甘えてばかりも居られない。お前がこれまで頑張って来た分も背負って、私がみんなを頂点まで連れて行く。色々思う所はあるかもしれないが、大船に乗ったつもりで任せて欲しい』
……と、言う事で。
ナオさん(役職も含めて呼ぶと人物説明にならない危険性がある為、この場では名前で呼ぼう)は元々
「でも、千聖ちゃんは勿論の事……みんなもそろそろ颯樹くんに会いたがってるよ? プロデューサーが言った事は正しいんだけれど、私も含めて颯樹くんが暫く来なくなると寂しくなっちゃうから……」
「……わかった。それなら、明日以降の何処かでプロデューサーと話をしつつ、近況を見に行こうかな。勿論、ダラケてたりしたらトレーニングメニュー2倍だけどね」
「うっ……が、頑張るねっ!」
「その意気だ」
そうして彩との会話を終えた僕だったが、ふと周りを見渡してみると
「遅いですね……」
「自分から誘っておいて、何たる始末だよ……こうなったら直接出向く
「みんな、お待たせ〜! いやー、着替えや持って行く物とかを纏めてたら時間かかっちゃって〜」……来たか」
約束の時間に指定された9時より20分ほど遅れる形で、今回のお出かけを言い出した張本人の愛音が現着した。夏の時期にはうってつけな動き回る為の服装で、肩から提げているバッグには貴重品や行く先で必要な物が諸々入っているのだろう。
……と、ここまでは普通ならの話だ。
今回は遅刻して来た事と……この出来事の言い出しっぺな事も相俟って、お咎め無しでは済ませられない事案だ。
「さ、颯樹くん……か、顔が、怖いよ…っ!?」
「そっか。彩にはそう見えちゃうのか……。これでも
「? さっきー、どうしたのー?」
「……颯樹くんったら、また私の知らない所で、他のオンナを引っ掛けちゃって……。もういっその事監禁しちゃおうかな……」
……なんか僕の横でとんでもない事をボソリと言ってる人が居るけど、今回はそれについてはガン無視で行こう。
「さ、さっきー……こ、これはその……っ!」
「ほほう? 言い出しっぺで尚且つ遅刻して置きながら、見苦しい言い訳するんだ……?」
「愛音ちゃん、今回ばっかりは覚悟してね。先輩に対してその口の利き方も含めて、確りお説教してあげるから」
「彩さん、怖いなら颯樹さんの後ろに隠れてて良いので、少し我慢して貰っても大丈夫ですか?」
「う、うんっ(え、えへへ……颯樹くんと一緒…♪)!」
不機嫌かと思ったら何やら上機嫌になった彩を他所に、僕たち三人は愛音に対してガチトーンでお説教を始めた。その最中に彼女から正座を崩して良いか泣きながら言われたが、僕はそれを笑顔で一蹴して続行する事にした。
あー、マジで今後愛音から誘いがかかった時はアンテナ張っとこっと。そうしないと今回みたいに遅刻されて時間を食いすぎる羽目になりかねないからね。
まずは感想、お気に入り登録をしてくれた方、こんな拙作を応援いただきありがとうございます!こんな拙作読んでくれるだけでもありがたいです。
でもこれサブタイ詐欺にならないかな……?でもMyGO!!!!!メンバー2人いるから問題無いよねっ!(開き直り)
次回は今回のお話の続きを予定しております。前書きにもお伝えした通り、3話構成を予定してます。
それでは、また次回。
獅音の女装回を……
-
書いて下さい!
-
書かなくていいです