今回からMyGO!!!!!編ではなく、予定を前倒ししてAve Mujica編をお送りします。MyGO!!!!!の話は今回は前半でダイジェストをお送りする事になりますが、暫くしたら回想などの形で話の詳細を掲載しようと思います。
ちなみに最新話の時系列はアニメ『It's MyGO!!!!!』の11話の序盤辺りから始まります。
それでは、どうぞ。
※後書きにお知らせがありますので、最後まで読んで下さると幸いです。
Ave Mujica編 第1話
「………」
夏真っ只中の昼休み、僕は屋上で1人寂しくお昼を食べていた。普段は3年の先輩が此処を使ってたからあまり来なかったけど、今日に限って居ないから使わせてもらってる。
しかし、普段から使ってるようなので毎日此処に来るのは無理そうだ。明日は何処で食べよう……教室には燈さんや愛音さんもいるし……。
えっ、何故そうなったのかだって?それは順に追って話すと……
まず祥子ちゃんと再会した暫く経ったある日、僕らの学校はゴールデンウィークで連休になったけど、その時期としては珍しい入学生…編入生の
羽丘でガールズバンドが流行ってるからか、愛音さんもやり始めるらしく、偶然僕に声を掛けてきた。で……僕は楽器は弾かない主旨の話をすると、マネージャーとして採用されたのだった。
次に愛音さんは、ライブハウスにある募集のポスターとサイトを見たけど、お眼鏡にかなうのが無かったらしいが、燈さんに目をつけて、彼女を僕との親睦を深めるのを兼ねたカラオケに誘ったのだ。
その最中に燈さんは何か思い出したのか逃げるように走って去ってそれを僕らで追いかけると、椎名さん…
事情を知ってるそよさんに詳しい事を聞いたら、燈さんとそよさんと椎名さんとあと2人で1年前バンドを組んで解散したという話を聞かされたのだった。僕らは理解したけど、その際愛音さんがそよさんをスカウトすると即OKを出してくれたのだった。
そして愛音さんや僕立ち合いのもと、燈さんとそよさん、椎名さんは仲直りして無事バンドを組む事になった。
その後は愛音さんと…そこに僕もオマケ感覚で加わり、バンドが結成された。しかしその束の間、最初のバンド練が始まった日に突然白髪のショートカットで右目が金色の左目が青色のオッドアイの少女…楽奈さん…
そこから間もなくしてバンドが仮結成して間もなくしてライブのピンチヒッターを頼まれる事となったけど、そこから初ライブまでの道のりが大変だった。
例えば……愛音さんは真面目に練習しなかったり…はまだ可愛い方かな。問題は楽奈さんであった。彼女は元から猫のように気まぐれでマイペースな性格をしており、『野良猫』なんて呼ばれてる。
その名の通り、練習のある日でも来ないなんてザラだし、来ても遅刻するしスマホに連絡しても出ない……そう振り回されて椎名さんもそれに合わせるように楽譜も弄るもんだからたまったものじゃないね。
……そんな感じで日は過ぎて、ライブ当日を迎える事となった。
リハーサルでも楽奈さんは勝手に弾き始めたりどっかに行ったりと相変わらずで、結局そのままの状態でライブを迎える事になった。僕もその光景を舞台裏から見届けた。
しかしどういう風の吹き回しか、楽器の演奏は練習以上によかった。でも肝心の燈さんは序盤から声が出ていなかった。本人は出してるつもりだけど声が全然聞こえていなかったが……サビに入るあたりに漸く声が出るようになった。
舞台裏から観客席を覗き込むと、先程まで閑散としてた観客も他のバンドと比べると少ないけど、それなりに集まってきたのだった。
そして曲が終わると、突然燈さんがMCを入れ始める。最初は戸惑いはしたが、楽奈さんはそれに合わせるようにギターを即席で弾き始めた。そこから暫くすると燈さんのMCが終わる。が、楽奈さんは此処で何故か予定にはない『春日影』を弾き始めるのであった。他のメンバーも戸惑いを隠さなかったが、全員即興で弾き始めるのであった。その時気づかなかった、そよさんの表情が曇っていた事に……。
『春日影』を弾き終えてステージから舞台裏に戻ってきた楽奈さんとそよさん以外は大いに喜んでいた。しかしその直後、そよさんが今までに見た事ない、鬼のような形相で『春日影』をやった事に言及してきた。それもあってか、その翌日からはそよさんは練習に来なくなった。
その後は楽奈さんが燈さんに対して『つまらねー女の子』と言って去っていったり、椎名さんが友達らしき人をメンバーとして迎え入れたり…まあその人は何かを察したのか身を引いたけど……。
で、その時椎名さんはそよさんに会った事、その時何があったか全てを話してくれた。何でも新しいバンドをやるつもりはなく前のバンド…
バンドの発起人である愛音さんも燈さんと椎名さんを繋ぎ止めるために利用していたようで、用済みになったら楽奈さん共々追い出す手筈だそうだ。それを聞いた愛音さんも立ち去った。
僕?僕も当初は追い出す予定だったらしい。が、考えを変えたようだ。何故なら僕と祥子が幼馴染であると知ったからだ。ちなみにその時は僕ではなく愛音さんの口からその事実を告げられたんだけどね……。
もちろん元バンドメンバーである燈さんも驚きを隠さなかったが、椎名さんからは何故言わなかったのか咎められた。まあ誰も聞いてこなかったし、言おうとしても言いそびれて言うタイミングが全然無かったんだけどね。
で、その事情を知って暫くすると突然そよさんに内密に自宅に招待されて祥子ちゃんをバンドに戻ってくれないか説得をお願いされた程だ。で、僕はその答えには『NO』と突き返した。いやだってねぇ……。僕はCRYCHICとは無関係だし、つい最近知った人間が下手に首突っ込んだら逆に溝が深まるだけだからね……。
……で、話が逸れたから戻すと、その場には泣き崩れた燈さん、黙って見ている椎名さんと僕しか残らなかった。この出来事を機にバンドは事実上の解散となった。
そこから暫くは全員がバラバラとなったまま季節が夏に突入した。バンドを組む前からの日常に戻りつつあるこの頃、僕は祥子ちゃんとの時間を取り戻しつつあった。
普段は校内だけであるが、放課後や休日でも一緒にいる事が多くなった。祥子ちゃん曰く『今までは予定があった』ようで、中々時間が取れなかったのだ。まあそこは豊川家の令嬢として色々忙しいだろうからね。
しかしそんなある日、燈さんに突然呼び出されてライブのスケジュールを組んでほしいと頼まれたのだ。他のメンバーもいるかと思ったけど、どうやらソロでやるみたいだ。うん、大丈夫……?でも結構頼み込まれたので仕方なく僕は燈さんに頼まれてRiNGで空いている時間全てにライブを入れたのだった。
そして最初のライブ当日、なのだが……燈さんがやったのはバンドでやるようなライブじゃなくて、ただの詩の朗読会であった。滑るどころか下手すればRiNGに出禁されるんじゃないかと不安になり始めた。
しかし、途中楽奈さんが乱入してきてギターを弾き始めたのだ。すると、燈さんの詩と楽奈さんのギターの演奏、あとは照明の演出が良かったようで、観客達も燈さん…それと楽奈さんのライブに惹きつけられライブは成功に終わった。
そこから燈さんの
あとは…そこから何故か椎名さんもドラムに加わって一種のセッションに近い
椎名さんも加わった
そして次のライブ当日……だけど僕は知らなかった。その日はこのバンドにとって…後になって知るが運命づけられる事になるとは思いもしなかった。
ライブを始めた最初より、お客さんも集まっていた。しかもその時と違うのは、途中から参戦した椎名さん、今回このライブに始めて来た愛音さんもステージの上に立っていたのだ。これだけ見ればバンドメンバーも揃いつつあったが、その場にはそよさんがいなかった。
ライブを始める前に燈さんが何かに気づいたのかステージから飛び降りて人混みを掻き分けるように進んでいくとそこにはそよさんがいた。
燈さんはそよさんの手を引っ張り、愛音さんもそれを手助けするように、そよさんの手を引っ張ってステージの上に無理矢理立たせたのだ。そよさんが使うベースも楽奈さんがいつの間にか用意していたのでそれを無理矢理彼女に持たせたのだ。
そして、全員がステージに立ったところで燈さんがマイクを握りしめて
しかし、歌っている時は燈さんは観客に背を向けていたのだ。この行為はステージに立つ者にとってはタブー……かと思いきやどうやらその考えは違っていたようだ。何故なら、その
すると燈さんの
「この曲、名前をつけるなら『
僕もこの光景を見ていた時は、そう呟いて全員と合流するまで涙を流していた────。
という事がつい先日起こった事で、何故僕が距離を置く事になったのかは…その後に起こった出来事が原因です。それについては…また今度お話します。今はまだ話したくないんです、はい……。
で、今僕は屋上で寂しくぼっち飯をしているわけです……。
「あら獅音、こんな所にいましたの?随分と探しましたわ」
……と、僕が考え事をしている最中にそこに僕の幼馴染…祥子ちゃんが声をかけてきた。どうやら僕に用事があって尋ねて来たらしく、
しかし、そんな場違いであるかのように誰かの腹の音が屋上で鳴り響いた。ちなみに僕ではない、何故なら先日の事を思い出してたら食欲が一気に失せたのだ。では一体誰なのか…いや、もう検討はついてるんだけどね。
「……すみません、ダイエット中でしてよ」
腹の音の発生元であろう祥子ちゃんが目を逸らしながら顔を赤く染めていた。何か…ごめんね。しかしそう思いながらも僕は(食べかけだけど)弁当箱を祥子ちゃんに無意識に差し出した。
「……食べない?」
「えっ、しかし……」
「僕なら大丈夫だよ、今食欲が無いから。それに祥子ちゃん朝から何も食べてないでしょ?」
僕がそう指摘すると祥子ちゃんは顔をほんのりと赤く染めた。僕がこういうのはなんだけど、図星なんだね……。
「無理なダイエットは逆に身体を壊すよ?だから食べていいよ」
「……いただきます」
心が折れたのか、僕の説得に応じてくれて祥子ちゃんは弁当箱と箸を受け取って弁当を食べ始めた。暫く食べ続けていると、祥子ちゃんの眼から涙が溢れていた。
「どうしたの⁉︎」
「いえ、美味しくてつい涙が……」
「(なるほど……涙が出るまで無理をしてたんだ……)」
僕は思わず驚いたけど、祥子ちゃんの理由を聞くと納得した。確かにお腹が空くと美味しさがより感じるのは聞いた事あるけど、それを目の当たりにするのは少ないから今までは実感が湧かなかったけど、今の祥子ちゃんを見ていたらそれがよく分かってくるよ。
「ご馳走様でした」
「お粗末様」
その数分後、祥子ちゃんは弁当を完食した。その時両手に手を合わせて行儀よくご馳走様をしているため、作法が行き届いているのがよく分かった。
「あの、獅音……明日から私の分も作ってきて貰えないでしょうか……?」
「えっ……?」
僕が祥子ちゃんの食べ終えた弁当箱を片付けていると、不意に祥子ちゃんから突然な申し出をされた。しかもその時祥子ちゃんは顔を少し赤く染めてモジモジとしていた。
「(……まあ無理にまた食事を抜いたら身体を壊すだろうし此処は素直に聞き入れた方がいいかな)分かったよ。明日から作ってくるよ」
「ありがとうございます」
無理なダイエットは身体を壊しかねないからね……まあこの際考えても仕方ないから2人分作るのは問題ないかな。
「それで獅音、貴方何か悩み事があるようですわね?」
しかし、その時不意に祥子ちゃんからそんな事を尋ねられた。祥子ちゃん、鋭いね……。
「……分かったよ。君に隠し事は出来そうにないよ」
此処でよく隠し事をしても仕方ないので、何があったか僕は今まで起きた事を祥子ちゃんに説明した。
「なるほど…概ね事情は理解出来ました」
僕の事情を聞いた祥子ちゃんは納得してくれた。そして何かを考え出した。
「(それなら絶好のチャンス……)でしたら獅音、私の…正確にはこれから結成するバンドに入りませんか?」
「……へ?」
そして考え出した結果は真剣な表情になってバンドのお誘いを……へっ?僕は思わず間の抜けた声が出た。
「祥子ちゃん。確か前にバンド組んでた…あっ、ゴメン!これは禁句だったかな?」
「気遣いは結構。過ぎた事です」
僕がCRYCHICの事を言及しようとしたけど、祥子ちゃんの思い出したくない事だったのを思い出してすぐに謝る。しかし祥子ちゃんは言及されて怒ると思ったが、いつもと同じ姿勢を崩さないでいた。
そんな真剣な祥子ちゃんを見ていると断るわけにもいかないと感じたのか、僕は彼女の手を不意に握った。
「……分かった。入るよ」
「本当ですか⁉︎」
「もちろん。君の頼みだ、断るわけにはいかないよ」
この時何故かほっとけないと感じたのか、僕は祥子ちゃんの誘いに乗る事にした。でも祥子ちゃんは僕が入ってくれるとは思ってなかったようで少し驚いていたけど。
「貴方が入ってくれるだけで私は嬉しいですわ。だから獅音……」
祥子ちゃんは一度咳払いしてから僕の両手を握り返した。
「残りの人生、私にくれませんか?」
そう尋ねられたのだ。祥子ちゃんには何か事情があってCRYCHICをやめて、今新たにバンドを立ち上げる……その真意は分からないが、『残りの人生』を要求してくるようなただならぬことというのは分かる。……これは覚悟を決めよう。
「もちろん君にあげるよ。どうせ僕には行き場なんて何処にも無かったんだ。なら君にあげても何も問題無い。そしてその行き先が地獄だろうと辺獄だろうが…僕は君についていくよ」
覚悟を決めた僕は、祥子ちゃんにあげる事を告げる。その時何処に行こうとも彼女に着いて行く…そう約束したのだった。
「……ありがとうございますわ」
「でも祥子ちゃん、メンバーは?僕と祥子ちゃんしかいないみたいけど、今から僕も楽器の練習するの?」
ふと気になったけど、メンバーはどうする気なんだろ?僕含めても2人…バンドなんて幾らなんでも出来やしないよ。僕も楽器経験なんて未経験だし……。
「その点は心配ありません。まずは貴方はマネージャー及び私の補佐をお願いします」
「僕はあくまでも裏方、か……なら他のメンバーはもう目星はついてるの?」
「ある程度は決めてますわ」
僕の立ち位置はある程度分かったけど、楽器の演奏者がいないんじゃあ……って、もう決めてるんだ。誰なんだろ……?
「まずはボーカル&ギターに
「その初華って、子供の頃に君が話してくれた『ういか』って子?」
「そう、その初華で間違いありません。初華の方は既に事務所には交渉済みで、sumimiと両立するなら、という条件で了承してくれました」
なるほど……でもそうなれば『ういか』さんも忙しくなりそうだ。アイドルと他バンドの兼任なんて……ん、待てよ?
「もしかして……バンドは事務所に所属する事になるの?」
「はい。ちなみにsumimiと同じ事務所になります」
Oh……規模が大きくなりそうだ。だからさっきの言葉が出て来たのか……そうなれば身を引き締めていかないと。
「あとベースにはプロと比べても遜色ない方を迎え入れてますわ」
「ボーカルとベースは決まってる…あと、祥子ちゃんはもしかして……」
「はい。私はキーボード担当ですわ」
確かに。祥子ちゃんが担当するならキーボードだね。ピアノの腕前はとても上手だし。残りはギターとドラムになるのか。
「残りのパート…ドラムはまだ探している最中です。ギターはもう既に決めてますが、最後に交渉する事にしますわ」
「もう?誰なの?」
ギターも目星をつけているのね。そうなれば揃うのもそう時間はかからない筈だ。でもそれはドラムさえ決まればの話だけど。
「
「『むつみ』……確か君と幼馴染だったね」
「はい」
『むつみ』という名前にも心当たりがある。確か
確か睦さんもかつてCRYCHICのメンバーの1人でギター担当だと言うのは燈さん達から聞いてたからギターをやってるのは知ってる。
「とりあえずメンバーは大方決めてるから問題ないわけだね」
「はい。それと貴方はまず初華達と顔合わせをして下さい。私が後で初華に話はつけておきますので、貴方に今チャットで集合日時と場所を送りますのでそこに行って下さい」
そう言うと祥子ちゃんはスマホを操作した。その直後に僕のスマホから着信が来て、祥子ちゃんとのチャット画面には先程彼女が言ってた集合場所と日時が書かれていた。
その後は僕達のスケジュールを確認しながらメジャーライブまでの日程を打ち合わせをした。しかし暫くすると昼休みの終わりを告げる予鈴が鳴ったので、この話は放課後にする事となった。
「……とりあえず現メンバーとの顔合わせに集中しないと」
そう呟くと先程送られてきた祥子ちゃんからのチャットを見ながら予定を組み上げるのであった────。
まずは最新話の読了とお気に入り登録をしてくれた皆様、ありがとうございます。こんな拙作にお付き合いいただいた事に感謝感激です。
今回は獅音がAve Mujicaに入る話をお送りしました。次話で現時点で参加を表明してるメンバー…初華と、もう1人(まぁお察しですが、あの子です)と顔合わせを予定しております。
それと、前書きでお伝えした通り、お知らせが2つほどあります。
まず一つは、2月14日に
もう一つは、私と常日頃から関わりのある作家さん──『咲野 皐月』さんが今年より始まる新規作品に獅音くんも登場致します。その作品の投稿予定はまだ未定ですが、分かり次第この小説の最新話にURLを追記しますので、其方も併せて読んで下さると嬉しいです。
それでは、また次回。
獅音の女装回を……
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書いて下さい!
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書かなくていいです