ひとまずメンバー全員登場した後は1stライブに入りますので今暫くお待ち下さい。
それでは、本編をどうぞ!
祥子ちゃんがこれから立ち上げるバンドに加入して早数日、僕はまだ祥子ちゃん他のメンバーと面識が無いため、休日である今日を使って顔合わせをする事となったのだ。
それで今は祥子ちゃんが指定した場所…ライブハウスCiRCLEの前で待ち合わせているわけだけど……今日の流れとしては加入しているメンバー2人と合流してCiRCLEでバンド練をするのが主な内容なのだ。
ちなみに祥子ちゃんは不在だ。何故なら以前言ってたドラム担当を探していたのだが、昨日漸く目星がついたようで今その人と交渉するために会いにいってるわけだ。
「しかし初華さんか……」
ホントにどんな人なんだろう……僕はCiRCLEの前の壁に寄りかかってスマホを弄りながらそう考えた。今日僕が顔合わせするのは2人であるが、そのうちの1人が初華さんである事は明らかである。
昔祥子ちゃんから話は聞かされたからある程度は知ってる。けど、実際会うのは『初めまして』の人だから何とも言えないよ……。その上彼女は芸能人だから無性に緊張してくる……。
多分気まずくはなるだろうな……でも此処に祥子ちゃんがいたらまだ話は変わるだろうけど。
「あのー……」
……と、そんな事を考えると誰かが僕に声を掛けてきた。おそらく待ち合わせていた初華さんかもう1人…確かベース担当の子の可能性が高いけどもしかしたら全く別の人物の場合もあり得る。ひとまずスマホを仕舞って声のする方を向いた。
「君が雨宮 獅音くん、でいいんだよね……?」
声のした方を振り向くと同時に僕の視界に入ったのは、1人の女の子だ。その女の子は金髪ショートヘアの、白のTシャツにベージュのチノパンという至ってラフな服装であった。
それと同時にギターのケースを持っていて、黒いキャップにレンズが丸型のサングラスを掛けているが、その女の子は誰だか大方察しはついている。
「もしかして……君が
「そうだよ。初めまして、獅音くん」
金髪の女の子…
「大丈夫だよ、人が少ないからあまり騒ぎにならないから」
「あのー、僕何も言ってないんですけど……」
すると僕の考えを見透かしたのか大丈夫だと断言してきた…って、まだ何も言ってないんだけど⁉︎
「顔に出てたよ?」
顔に出てた⁉︎それ本当……?そこまで分かりやすかったとは……僕も気づかなかったよ。
「もしかして緊張してる?大丈夫だよ、私たち同い年だから気軽にしても」
初華さんは問題無いと言わんばかりにニッコリと笑いながら僕を諭してきた。
その後は僕の手を引いて、CiRCLEと併設してるカフェテリアでもう1人を待ちながらティータイムをする事となった。
「それであの時さきちゃんがね…」
「なるほど……確かに祥子ちゃんもそう言ってたよ」
その後はカフェテリアでお互いの自己紹介を済ませた後はコーヒーを飲みながら世間話をしていた。主な内容は祥子ちゃん関連だけど、以前祥子ちゃんが言っていた事を当時の初華さん視点で話を聞くと新鮮味を感じて、2人が幼少期に何をして遊んでいた事とかがより詳しい内容で話すから仲の良さが改めて認識できたよ。
しかしその時初華さんの方からスマホの着信音が聞こえた。初華さんはスマホを取り出して誰かと確認した後に電話に出た。
「もしもし……うん、今CiRCLEのカフェテリア。獅音くんもいるからね…分かった、じゃあまた後で」
初華さんは手短に自分の場所を伝えてスマホを切った。どうやら話の内容からしてどうやらもう1人のベース担当のようだ。しかしどんな人物なんだろう?
この辺は祥子ちゃんも詳しくは教えてくれなかったし、『初華が教えてくれます。強いて言うなら、初華とその人は同じ学校のクラスメイトである事です』らしいが……
「三角さんお待たせしました。それと以前話にあった人はあなたのようで…おや?」
「貴女は……」
初華さんが電話を終えて1分もしないうちに待ち人が来た。しかしその人は僕も一度だけ会った事のある人であった。
黒い髪をセミロングにして、髪の先端が外ハネの少女であった。他に特徴を挙げるとすれば、革ジャンに赤の臍出しのインナーに革のミニスカートにブーツといった、如何にもパンクロックな服装で、片手にベースのケースを持っていた。
「確か椎名さんのお友達の方ですよね?」
「そういえば貴方とはこれで2度目になりますね……それでは改めて自己紹介を。私は
「雨宮 獅音です。よろしくお願いします、八幡さん」
待ち人…
その際に彼女は自己紹介したんだけど…バンドのサポートを30も掛け持ちしているというのが本人の口から出た時は驚きを隠せなかった。(ちなみに実質的に動いているのは10だと言ってたけどそれでも充分多いよ……)
「此方こそ。それと…私は『海鈴』で構いません。此方は『獅音さん』って呼ばせてもらいますね。其方の方が響きもいいので」
真面目そうに見えるけど意外とフレンドリーな所もあるんだ……。って、えっ?そんな理由で名前呼びするの……?まあ椎名さんは『立希さん』って呼んでたし、おそらく呼びやすい方を選んだんだろう……。
海鈴さんと合流した僕たちは、予定より早く到着したのでスタジオを使う時間にまだ余裕があったので、彼女も交えて3人で世間話で盛り上がるのだった────。
海鈴さんも交えた世間話をして数十分…スタジオを使うための予約していた時刻に近づいてきたので、カフェテリアを後にしてCiRCLEまで赴いた。その後は受付を済ませてバンド練習をする事となった。
2人とも各々の楽器の用意をしていたが、僕は特に何もする事が無くそのままスタジオにある1つの椅子に座って2人の準備が終わるのを眺めていた。
無理も無い。僕は祥子ちゃんや初華さん達と違って楽器のパートが無いから出来る事なんてたかが知れてるからね……。
「そうだ。獅音くん、今私たちが今自分のパートの部分を弾くから感想を言って欲しいんだけどいいかな?」
するとそれを見兼ねた初華さんがそんな提案をしてきた。
「えっ、でも僕は素人だよ?それでもいいの?」
「大丈夫だよ。それに素人なら経験者より純粋な感想が聞けるからね」
なるほど……初華さんの指摘はもっともだ。確かに玄人にクドクド言われて練習時間が減るより、素人の感想を聞いてダメな部分を即座に修正も見込めるからそれの方がいいかもしれないね。
それならばと思い、初華さんの提案を『いいよ』と言って了承した。僕からの了承を得た2人はお互い見て軽く頷いてまず最初に初華さん、海鈴さん、そして最後に2人同時で楽器を弾き始めた。
「……どうでしょうか?」
楽器を弾き終えた海鈴さんがタオルで汗を拭いながら僕に感想を求めてきた。
「うーん、まだサビとかがまだ分からないけど……初華さんはもう少し気持ち強めでもいいかも。海鈴さんはもう少しトーンを抑え気味でも充分だと思うよ」
とりあえず僕が2人の担当部分を聴いて思ったのはそのくらいかな?でも素人意見だから2人の参考になるか分からないけどね……。
「なるほど……分かりました、参考になります」
「うん、分かったよ。次は気持ち強めでやってみるよ」
しかし、2人は僕の感想を素直に受け入れてくれたようで納得してくれた。海鈴さんは鞄からペンと付箋と他に束になってる紙を取り出して僕に差し出してきた。
「これ、1stライブで披露する曲です。貴方も必要になると思い用意されたものです」
どうやら僕に渡されたのはライブに披露する曲の譜面のようで、僕にも目を通しておけって事か。その譜面を見ると各々の楽器のパートの他に歌詞も書いてあるから素人の僕でも分かりやすいよ。あれ?でも……
「でもこれ、最初に出した方がよかったのでは……?」
「まずは獅音さんの純粋な評価を聞きたかったので、敢えてそうしませんでした。その事についてはすみませんでした」
なるほど……まずはお試し感覚でどんなものか体験して貰ってから本格的な内容に入るつもりだったのか。それなら仕方ないけど、少し悪趣味な気もするけど……。
でもそんな事考えても仕方ない。こうなったらまずは僕が出来る事をやってから段々と慣れて行くようにするか。
そう決心した僕は、2人の練習に付き合いながら歌詞や譜面を見ていた。そしてボーカルも兼任してる初華さんに曲に合わせて歌ってくれるよう頼んで間違いがないかとことんチェックも行なった。そういった作業をスタジオの使用できる時間いっぱいまで行なうのだった────。
「……此処か」
CiRCLEでバンド練を始めて数時間後、僕はとあるホテルの前に来ていた。本来ならもう少し練習をする手筈だったんだけど…初華さんはsumimiでの仕事、海鈴さんは他のバンドのサポートが入っていて今回はお昼前にお開きとなった。
CiRCLEを後にした僕だが、ちょうどその時祥子ちゃんから着信が来た。その内容は…祥子ちゃんが今日交渉したドラム担当が決まったので、急遽僕と顔合わせする事になったのだ。そこで待ち合わせの場所に指定してきたのが、此処のホテルにあるカフェであるのだ。
今一度場所を確認して間違いが無いか確認を終えると、僕はホテルの中に入ってカフェに向かった。そしてカフェに入って祥子ちゃんが何処にいるか確認すると、彼女が僕の方を見て小さく手を振って笑みを浮かべていた。
僕も軽く手を振って、祥子ちゃんのいる席に到着すると近くにいた店員にコーヒーを注文してそのまま彼女の隣に座った。
「おや?君がさきこの言ってたボーイフレンドかなー?」
そんな時、僕たちの向かい側にいる誰かに声を掛けられた。その人は薄い紫色の短く切り揃えた髪に、見た目も20歳前後の女性であった。その女性は初華さんとは違うタイプのサングラスと帽子をしていて、表情が読み取りにくかった。
「そういう貴女は…祥子ちゃんにスカウト話を持ちかけられた人ですか?」
「ピンポーン、そうだよ〜。そういえば自己紹介がまだだったね……
女性…
「……もしかして『にゃむち』さんですか?」
「おっ!そうだよー。君もにゃむちのファンかなー?」
「いえ。正確には僕の知り合いがファンです」
そう。あれは先月くらい愛音さんからにゃむちさんの動画を見せられたんだ。でもその時見た動画はちゃんと素顔は出てたけどね。
「ありゃー、君は違うかー……。こうなったら今度は男子受けする動画でも上げてみるかな?」
なんか残念がってる……もしかしてこの人愛音さんとは違う意味で厄介なタイプかな?初めて会う人にそんな事言うのは失礼だけど、僕の直感がそう告げているんだけど……。
「…………」
「あのー、何で僕を見つめているんですか?」
しかしにゃむさんは切り替えが早いタイプなのか、今度は僕の事を無言で見つめて来た。なんか悪寒がするんだけど……。
「君…よく見ると可愛いねぇ」
「!」
にゃむさんが妖艶な笑みを浮かべながらそんな事を唐突に言った。突然何を言い出すんだこの人⁉︎初対面の人間に普通そんな事言う?
「祐天寺さん。獅音にちょっかいをかけないでくださいますか?」
その時祥子ちゃんがニッコリと笑みをにゃむさんに浮かべていた……って怖っ⁉︎目が笑ってないししかも黒いオーラを纏っているようにも見えたし……。
「へー……君、
「あっ、そういえば自己紹介してませんでしたね……雨宮 獅音っていいます。『獅』子の『音』って書いて『れおん』って呼びます」
「ふーん……」
此処に来てにゃむさんに自己紹介をしてなかった事を思い出し、簡単な自己紹介をした。僕の自己紹介を聞いたにゃむさんは何処ぞの司令官のように両肘を机の上に立て、両手を口元で組んで僕の方を見ていた。しかもサングラスをしているからか、その表情を読み取るのは極めて困難である。
「そうだれおこ!今度、あたしの動画に出ない?」
えっ、何言い出すのこの人……ってれおこってなんですか⁉︎
「あのー、れおこって……?」
「名前の最後に『こ』がつくと可愛いでしょ?さきこのように!」
「それ以前に僕男なんですけど……」
これじゃ愛音さんと話してるようだ……。愛音さんも椎名さんの事を『りっきー』って呼ぶけど、もしかしてにゃむさんの影響で変なニックネームをつけてるのかな……?僕は普通に『獅音くん』って呼ばれてたけけど、あの調子だと変なニックネームをつけられそうでイヤだな……。
「祐天寺さん、何私の許可なく
もちろん祥子ちゃんも聞き逃す事はしなかった。しかも右手に持ってるティーカップを今でも握力で壊さんと言わんばかりに力が入っていた。
「違うよさきこー、勧誘だよ?それにれおこを出せばいい動画が撮れて再生数も鰻登りかなって思っただけ」
「……それは貴女の都合でしょ」
その反応を見たにゃむさんはカラカラと笑いながら僕に危害は加えないと言っているけど、少しは反省……してって言っても無駄か。自分のスタンスを崩さない気マンマンだから。祥子ちゃんも何か言おうとしたけど、にゃむさんの反応を見て途中で言うのをやめて呆れながらため息をついた。
「(それにー……れおこの女装動画を考えてたんだけど、さきこには特等席で見物させようとしたんだけど残念だなー。それに、れおこ素材がいいから女装だってバレないってー)」
「……!」
そしてにゃむさんはニヤリと笑って祥子ちゃんに何か耳打ちをした。内容までは聞こえなかったので分からなかったけど、絶対ロクでもない事間違いないよ……。でも当の祥子ちゃんは何か考え事をしているのか、頭を抱えだし始めた。
「それじゃああたしはそろそろお
そう言ってにゃむさんは財布から5000円札を取り出して『これで好きな物頼んでいいよ。お姉さんの奢り♪』って言って僕に渡した後はさりげなく僕と連絡先を交換した。その後、『この分もあたしの奢り♪』と言って僕たちの伝票を持って会計を済ませてカフェを後にしたのだった。
「……獅音、貴方女装に「興味無いからね。それとこれでギター以外のメンバーが全員揃ったようだけど?」…そうですわね。それでは翌日、睦をスカウトしに行きます。貴方も同行して下さい」
正気に戻った祥子ちゃんが何かとんでもない事を言いそうになったので、無理矢理話題転換をした。そうでもしないと色々とマズイからね……。
祥子ちゃんは名残推しそうにしていたけど、話題が話題なので前
「『僕も』って事はスカウトと同時に睦さんと顔合わせするの?」
「はい。大丈夫、睦ならおそらくOKしてくれますわ」
凄い自信……と思ったが、よくよく考えたら祥子ちゃんと睦さんは幼馴染だったね。それならお互いの腹の内はある程度なら予測できるか。
そう思いながらも、睦さんのスカウトが終わった後から1stライブまでのスケジュールの打ち合わせをした後、僕たちはカフェを後にして帰路に向かうのだった。
その時祥子ちゃんを家まで送ろうとしたけど、『結構です。1人で帰れます』と言われたのでやむなく1人で帰る事となった。
裕福な家庭なのに迎えとか呼ばないあたり、早いうちから自力する事を心掛けているな……僕も見習わなくちゃいけないな。そう考えながら電車に乗って帰るのだった────。
まずは最新話の読了とお気に入り登録をしてくれた皆様、ありがとうございます。こんな拙作にお付き合いいただいた事に感謝感激です。
次回の更新もAve Mujica編最新話を予定しております。今回、Ave Mujicaメンバーの初華、海鈴、にゃむが登場したので次回は睦のスカウト回に入ってから1stライブの話を予定しております。
それでは、また次回!
獅音の女装回を……
-
書いて下さい!
-
書かなくていいです