今回は前回お伝えしました睦回をお送りします。しかし今回は間を空けずに投稿できた……次もこのくらい空けずに頑張りたいと思います。
それでは、本編をどうぞ。
※今回は軽いアンケートを取ります。詳しい内容は末尾に掲載しますので、最後まで読んで投票してくれたら幸いです。
初華さん達と顔合わせをした翌日、僕はとある駅前まで来ている。今日は最後のメンバー候補である睦さんをスカウトするわけだけど、今祥子ちゃんはいないのだ。何でも予定があるとの事で、此処に午後4時に待ち合わせているのだ。
「お待たせしました、獅音」
駅前で暫く待っていると、誰かから後ろから声を掛けられた。一緒誰かと思ったけど、誰かすぐに分かっているためすぐに後ろを振り向いた。そこには夏の日差し対策として日傘を差した祥子ちゃんがいた。
「僕も今来たところだよ」
「そうですか……来て早々悪いのですが、早く行きましてよ?」
「うん。分かった」
合流した僕たちは祥子ちゃん案内の元、すぐさま睦さんの家に向かうのだった。
「そういえば祥子ちゃんは何してたの?少し遅かったけど……」
「アルバイトですわ」
睦さんの家に向かうその道中、僕は祥子ちゃんにふと気になってた事を尋ねた。すると祥子ちゃんはバイトって答えてくれた……って、バイト⁉︎
「何故バイトなんか……?」
「社会勉強の一環です。いずれ私達は社会に出ます…それならいち早く社会の情勢を勉強しても損ではなくってよ?」
なるほど、社会勉強ねぇ……。ただ習い事するだけでなく社会の情勢を前
昨日も迎えを呼ばずに電車で帰ってたから、今の時点で自立心が相当あるな。僕も見習わないと……。
この話は区切ってその後は他愛も無い世間話をしながら目的地に向かった。その間電車や徒歩で移動する事約数十分、僕たちは目的地である睦さんの家に到着した。
家の外見は流石芸能人一家といったところか、見ただけでも広いのは充分に理解できるよ。それと幼少期によく訪れていた豊川邸や
しかしあの時が懐かしく感じるな……。祥子ちゃんと一緒に遊んだ事、あの時が1番楽しいと思うほどに……。だから祥子ちゃんと再会した時はほんとに嬉しかった、思わず涙が出そうになる程に……。
でもそれと反比例するように思い出したくもない事も思い出してくる。今でもその名を聞きたくない程に……。あんな血も涙も無い連中と一緒に暮らしてた事自体が一生の恥だと今ならわかる。
そう思うと怒りを感じたからか、無意識に右手に力が入っていたのか拳を握っていた。しかし、隣にいた祥子ちゃんが僕の方を見ずに右手を握ってきた。
「大丈夫…
どうやら祥子ちゃんは僕の思っている事を汲み取ったようで大丈夫だと諭してきた。僕も祥子ちゃんが諭した事で内に秘めていた怒りは収まった。
それを確認した祥子ちゃんは一度軽く頷いてインターホンを押して、その後は数十秒間睦さん家の関係者らしき人と話をしていた。
そして暫くすると扉が開かれて中から家政婦さんらしき人が来た。その後は家政婦さんに案内されると、リビングに着いた。そしてリビングのソファには僕たちよりも先に、薄い黄緑色の髪を伸ばした、一見無気力そうな表情を伺わせる女の子が座っていた。
「お待たせしましてよ、
「大丈夫だよ、
女の子…
「そして君が獅音だね?」
「そうだよ。そういう君は睦さんであってるよね?」
「うん。初めまして、これからもよろしく」
「こちらこそ初めまして。僕からもよろしくお願いします」
祥子ちゃんの方を見た後に次は僕の方を見て、軽く会釈をしたので僕も会釈し返す。そういえばお互い会うのは今日が初めてだったな……でも祥子ちゃんが話すからその存在は知ってるけどね。
「……獅音、その話は後にして下さい。今回の目的はそれではなくてよ?」
それを見兼ねた祥子ちゃんは一度咳払いして僕に注意してきた。そうだった、今回は睦さんとお喋りするために来たんじゃあなかった……。
その後一度席についた僕たちは家政婦さんから出された紅茶を飲んだ。
「既にほかのメンバーはそろいましてよ。残るは貴女だけ」
紅茶を一口啜り終えた祥子ちゃんは早速睦さんに今回の本題であるスカウト話を持ち掛けた。確かにそれが目的だけど、いくら何でも早すぎない……?でも睦さんなら話に乗ってくれるとは思うけどそう簡単に応じてくれるわけ……
「入る」
……入ってくれたよ、うん。確かに祥子ちゃんの言う通りになったんだけど、これは予想外だよ。少しは検討するものじゃあないの?僕と同じ事を考えていたからか、祥子ちゃんも驚きを隠しきれてないようで唖然としていた。
「いいのですか?もう後戻りはできませんわよ」
すると祥子ちゃんは正気に戻って睦さんに本当にいいのか確認してきた。祥子ちゃんから尋ねた事だけど、睦さんの答えは即決だから流石にマズイと感じたようだ。
「うん。祥が…壊れそうだから」
すると睦さんがボソッとそんな事を言った…って、えっ?祥子ちゃんが…壊れそう……?睦さんは何を言い出すんだ?
「いいご身分ですわね」
「ハッ…ごめん」
しかし僕が睦さんの一言に唖然としている最中、祥子ちゃんは睦さんを睨みながらそう言ってきた。しかもその時の祥子ちゃんの目は癪に触れられたようで怒りに満ちていた。睦さんも自分の言った事を思い出し、すぐに祥子ちゃんに謝った。
「心配は結構。弱い私は…もう死にました」
すると祥子ちゃんは静かに立ち上がって、睦さんを見下ろしながらそう言い放った。その一言はまるで今までの自分と決別する、そういう感じであった。
そしてそれと同時に祥子ちゃんのポシェットからスマホのアラーム音らしきものが聞こえた。祥子ちゃんはスマホを取り出して確認した。
「……すみません、これから用事があるので此処で今日はもうお
祥子ちゃんが用事でもう帰るそうだ。おそらく習い事だろうから遅刻するにはいかないのかな?しかしバイトといい、祥子ちゃんは此処最近結構多忙だね。それらを踏まえると相当厳格に教育してるようだ。
「あのー祥子ちゃん、ちょっといいかな?」
「どうしまして?」
「僕は少し此処に残るよ。せっかく睦さんと会えたから積もる話でもしようと思ってね。それにバンドメンバーの交流も今後にとって必要不可欠になると思うから……いいでしょ?」
そう、このタイミングを
「……それもですわね。分かりました、貴方のお好きになさい。それと……」
すると祥子ちゃんが承諾してくれた。それと同時に彼女はポシェットから一通の白い封筒を取り出して僕に差し出す。
「これは……?」
「とある人物に送る招待状ですわ。これを帰り道の際に郵便局かポストに投函して貰えませんか?」
招待状か……誰に送るんだろう?祥子ちゃんから受け取った封筒を受け取ると、誰に送るのか宛先を確認した。『盛谷 颯樹』様…住所は僕の自宅から離れているな……。
あとは名前の読みからして女性っぽいけど、漢字からすればおそらく男性だろう。まあ名前で性別を判断は出来ないからそれはライブ当日になれば分かることか。
「分かった。帰りにちゃんと出しておくよ」
「ありがとうございます。それでは先に私は失礼しますね」
そういうと、先程の家政婦さんがリビングに入ってきて、祥子ちゃんを連れてリビングを出る。
「ごめんね、時間を取らせちゃって」
「大丈夫。それに私に話があるって顔してた」
祥子ちゃんが帰ってから数分間、お互いが黙って紅茶を飲んでいた。そして帰るのを確認した僕たちは早速睦さんに頭を下げた。今回睦さんとする話は祥子ちゃん抜きじゃないと出来ないからね……。
「実は…「さっきの祥の事でしょ?」…うん、そうだよ」
そして早速本題に入ろうとする。しかし、睦さんは僕の考えを見透かされていたようで、今気になる話を口に出した。
「ごめんね。話の腰を折っちゃって……」
「大丈夫だよ。気にしてないから」
そう言って僕は一度咳払いして話をするために整える。そして……
「さっきの祥子ちゃん……『いいご身分ですわね』や『弱い私は死にました』って、どういう事かな?」
先程の祥子ちゃんとのやりとり…彼女は確かにそんな事を口に出していた。何かに対して怒りを抱いている様子で、あんな祥子ちゃんを見た事無かったからね。しかし、睦さんは先程とは違って黙ったまま俯いてしまった。
「睦さ…「ごめんね」…へっ?」
すると睦さんの一言目が謝罪の言葉だった。これなら僕も思わず目が点になってしまった。
「実は祥からこの事は口止めされてるの。だから私からは何も言えない」
睦さんでも喋れない事……どうやらただならぬ事情がありそうだ。
「それならCRYCHICもそれが原因で……?」
「……うん。だから祥はCRYCHICを抜けるって言い出した」
そうなんだ……しかしどんな事情なんだろう……?おそらく家庭の事情なのは概ね理解はしてるけど……「でも」…ん、なんだ?このまま言葉を繋げてきたぞ……?
「……これだけは言っておく。
僕だけに……?海鈴さんやにゃむさんならともかく初華さんに話さないつもりなんだ……。
「……分かった。祥子ちゃんが何か言うまで僕は待ってるよ」
僕がそう言うと、睦さんはクスリと笑った。先程まで無気力そうな表情とギャップも相待って可愛いと思うのは内緒だけどね。
「……何か可笑しかった?」
「祥が言った通り。『獅音は素直で従順で、優しい子』だっていつも祥から聞いてたから」
祥子ちゃん、そんな事を睦さんに話してたんだ……。やめて、何か恥ずかしくなってくるから……。僕はそう思い、両手で顔を覆ってしまった。
「確かに可愛い。確か9歳の時、祥は獅音をお人形のように着せ替えてみようかなって思ってた程だよ?」
「そんな事まで考えてたの……。なら昨日のアレはマジだったんだ……」
きっと今の僕の顔は耳まで真っ赤になってるだろう……そう感じるのだった。
その後は何とか落ち着きを取り戻し、睦さんと連絡先を交換してから、彼女の家を後にするのだった────。
睦さん
その後は夕飯を食べて、風呂に入って、明日学校に行く準備をしていると時刻は11時を過ぎていた。準備を終えて、歯を磨いた後はベッドの上に寝転がった。
「とりあえずバンドメンバーは揃ったか……」
そう呟くと同時に1stライブまで日にちまであと何日か考え始めた。確か日数まで長くもなく短くもなくだけど、全員諸事情があるからメンバー全員集まっての練習も限られるから考えものだよ……。
……と、そんな事考えても仕方ないか。今日はもう寝よう……。そう思い電気を消そうとしたその時……
僕のスマホから突然通知音が鳴った。誰かと思いスマホを見た……
「……祥子ちゃん?」
スマホの画面の表示を見ると、祥子ちゃんから通知であった。その内容は『獅音』『少しお時間いただけますか?』と書いてあった。
「珍しいな……こんな時間に何の用だろ?」
しかしそんな祥子ちゃんからのチャットが来たのだ。何か僕と話したい事があるのかな?そう思い僕は『大丈夫だよ』『何か用かな?』と送信した。
そこから1分もしないうちに祥子ちゃんから返信が来た。その内容は『睦とはお話し出来ましたか?』といった事である。
……まあ、そうなるよね。僕はそのまま『もちろん』『それなりにお話できたよ』と返信した。
その後間もなくして、『そう……』と返信が来た。聞きたいのはそれだけだったのか……。そのメッセージを見た僕は再度電気を消そうとしたその時スマホからまた通知音が聞こえた。
その一言でピシャリと凍りついたような感じがした。おそらく睦さんとのやりとりを僕は間近で見ていたわけだから、僕が腑に落ちないだろうと感じたようだ。
さてどうするか……此処は嘘をついても次は睦さんに聞いてくる…あるいはもう既に睦さんから聞いている可能性もある。だから僕に直接聞いて確証を得ようとしたんだろう。
……仕方ないか。
……と返信した。仮に此処で誤魔化してもバレる可能性が高いし、後で追及されると考えた結果だ。その一言の後に『ごめんね』『睦さんに変な事聞いちゃって……』と返信する。
その後は既読はついたのだが、暫くは何も応答無しの状態が続いた。しかし、更に暫く待つとまた通知音が鳴ったのだ。
そこには…『私が直接話すから、睦には黙って貰ってましたの。ごめんなさい……。でも、貴方には何故そうなったのか、詳しい事情を話します……が、それを言うにはもう暫く待って貰えないでしょうか?今は1stライブに集中したいのです。だから、ひとまずライブが終わるまで待って貰えないでしょうか?その時にいずれお話しします』……と書かれていたのだ。
確かに……1stライブも控えているわけだから、ライブに集中したいのも無理は無いか。なら……
『大丈夫、待つよ。何処で話すかは君の判断に任せるよ』
…と返信した。無理に今話すより、余裕がある時じゃないと話す方も聞く方も大変だからね。返信すると、1分もしないうちに『分かりました』『ありがとうございます』…と返信が来たのだ。
その後は『お時間取らせていただきありがとうございます』『それでは、おやすみなさい。獅音』…と続けざまに返信が来たのであった。それに対し僕も、『おやすみ、祥子ちゃん』と返信した後はスマホを枕元に静かにおいて電気を消してベッドの中に入るのであった。
「(祥子ちゃんにも事情があるのか……彼女に何があったかは知らないけど、どんな事を聞かされても僕は驚かないよ。何故なら君に着いていくし、君を拒んだりしない……そう決心したからね)」
そう決意を改めると同時に僕はいつのまにか睡魔に負けてそのまま眠りにつくのであった────。
まずは最新話の読了とお気に入り登録をしてくれた皆様、ありがとうございます。こんな拙作にお付き合いいただいた事に感謝感激です。
今回の話で睦が登場した事で、Ave Mujica全員登場する事が出来ました。ちなみに次回の話は1stライブになりますので、当然メンバー全員また出ます。なのでお楽しみに下さい。
あと、次回は私と常日頃から関わりのある作者さん…『咲野 皐月』様からのオリキャラを登場予定です。そのお方とは事前に話を済ませており、その方の今現在執筆している作品にも獅音も登場しています。ちなみに、話の展開も此方と少しだけ違う部分もありますので、ご理解の程よろしくお願いします。
それでは、また次回。
前書きにもお伝えしました通り、アンケートを開催します。期間は投稿日の今日から3月14日の23:59までと頂きます。参加してくれると嬉しいです。
獅音の女装回を……
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書いて下さい!
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書かなくていいです