いかなる理由があろうとも、星歌はぼっちちゃん一途なんだ。
悔しいだろうが仕方ないんだ。
「うぐ……えぐ……ずぴ……」
「ほら、いい加減落ち着けよ。飲み物取って来るから、ソファーに座っとけ」
「……はい……ずずっ……」
優しくPAの背中を摩る星歌。星歌はPAの肩を抱えて、自室からリビングへ。
「ほら、これ飲めよ」
星歌は可愛いクマの絵が描かれたマグカップを差し出す。彼女のお気に入りだ。中身は先ほどレンジで温めたホットミルク。自分用にはウサギさんのマグカップ。こっちは砂糖多め。
「ずず……。おいしいです」
「ん」
暫く泣きじゃくっていたPAも、流石に落ち着いたようだ。
「………ごめんなさい。恥ずかしい所、お見せしてしまいました」
「いいよ。でもさ、なんで私に拘るんだよ? お前はそういう相手なんかいくらでも見つかるだろ?」
「……」
数秒の沈黙の後、PAが口を開く。
「貴方は私のヒーローですから。憧れの人に抱かれたいって思うことは、そんなにいけないことですか?」
「何のことだよ? 私がヒーローだなんて」
星歌はあまり覚えていないようだ。PAは目を輝かせながら続ける。
「覚えてませんか? 昔新宿で、私が自棄を起こしてビルから飛び降りようとしてた時に、貴方が助けてくれたんですよ。あの時は家にも居場所が無くて、友達も居ない、おまけに留年決まった勢いで高校中退して、どうしようも無くなってあんなことして……。そんな私を赤の他人だった貴方は、必死になって止めてくれましたよね? 思いっきり張っ倒してくれましたけど……」
「……非常時とはいえ、あの時は悪かったよ」
「それはいいんです。後で抱きしめてもらえましたし」
「そんなことしたっけ?」
「しました! しましたとも!!」
珍しく声を荒げるPA。泥酔した廣井が大事なPA卓にゲロをブチまけた時以来だ。あの時は奇跡的に機材は無事で弁償沙汰は免れた。なお廣井は星歌に『伊地知式キャメルクラッチ』で制裁された模様。危うく麺類になりかけたというのは廣井の談。
「ごめん。あんま覚えてないわ」
「むう……。まあいいですけど。その後、随分してから星歌さんがライブハウスを始めるって聞いた時は、私も驚きました。朝起きれない私が生きるために身に着けた技術が貴方との縁を再び結ぶとは思いませんでしたよ。それに、一目私を観た貴方の驚く顔が忘れられません」
「ああ、私も驚いた。いろんな意味で」
星歌からしても忘れられるものではない。危うく投身自殺寸前の、儚げな女子高生がピアスバチバチ、スプタンキメてる地雷女に変身しているとは夢にも思っていなかった。もっとも、もう二度と会うことはないと思っていた彼女との再会は素直に嬉しかったが。好みの姿じゃなくなったとしても、元気で生きていてくれたことは星歌にとって、何よりも喜ばしいことだった。
「あーあ。星歌さんの『初めて』貰い損ねちゃいました」
心底残念そうにするPA。一方の星歌はげんなり。
「私の『初めて』はぼっちちゃんに捧げると決めてるんだよ! お前はどうせ経験豊富だろうし、無理に私とヤらなくてもいいだろ?」
「……私も『初めて』ですよ?」
頬を紅く染めながらPAが答える。
「嘘だ!!」
星歌、深夜にもかかわらず絶叫。
「嘘ではありませんよ。純潔は貴方に捧げると決めていましたから。まあ、言い寄ってくる殿方はたくさん居ましたが全て断ってきました。男なんて汚らわしいだけですし。やはり女性は女性と愛し合うのが一番ですよね。貴方もそうは思いませんか?」
やけに冷静なPA。さっきまで大泣きしていたとは思えない。
「じゃあ私にシてきたことは何!?」
「実は、耳年増なんですよね。ほとんどネットの知識です♪ でもテクの練習はたくさんしましたよ? 星歌さんに悦んでもらうために。あ、『例の膜』については、おもちゃの加減を間違えて、うっかり破いてしまいましたが。ご覧になられますか?」
そう言うと、ゆっくりスカートをたくし上げようとするPA。スケスケのブラとパンティは、星歌の部屋に放置したままだ。
「見せんでいい!」
大慌てで止める星歌。正直もう勘弁してほしいといった面持ちだ。
――私はロリコンじゃない! ぼちコンだ!
※ぼちコン すなわちぼっちちゃんコンプレックス!
赤復帰ヤッター! ありがとうございます!
これからも健全なR15ソフトお色気路線を邁進します。
感想、お気に入り、高評価いただけると喜びます。
クレイジー下北沢2(仮)主人公は誰がいい?
-
ぽいずんやみ
-
伊地知星歌
-
ファン2号
-
結束バンドおばさん
-
PAさん