真実の愛に目覚めた伊地知星歌(29)   作:三十路スキー

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モテたい人にだけはモテない定めの伊地知星歌さん


私、ガチだから。前

「ふぅ……今日の仕事も終わりだな。後は戸締りするだけだけど……その前に」

 

 密かに回収しておいた、ぼっちちゃんがバイト前に食べたご飯で使ったスプーンとストロー。今日は唐揚げカレーとコーラだ。自宅だと虹夏にバレる危険が高い。一人で楽しめるのは今だけ、ここだけ。星歌は誰も居ないことを確認してから、躊躇なく新鮮なうちにスプーンにしゃぶりつく。

 

(美味いなぁ……カレーのスパイスとぼっちちゃんの唾液が程よく絡んで絶品だぁ……)

 

 ほのかな甘みを感じる。今日もぼっちちゃんの体調は良好みたいだ。嫌な客も居なかったから気持ちよく仕事ができたんだな。今日は喜多が一緒にいたから、ぼっちちゃんの機嫌もいいのが星歌には少し悔しい。

 

(ストローも美味い! ぼっちちゃんの唾液を直に味わえる逸品だ!)

 

 しみじみとぼっちちゃんを味わう。仕事のストレスなんかあっという間に吹き飛んでいく。

 

(ああ、そんな眼で見るなよぼっちちゃん。興奮するじゃないか……)

 

 

 

 

「店長、少し時間もらえる?」

「はうわ!!! いつからそこに!」

 

 星歌、心停止寸前。

 

「ここにはずっと居たよ? そんなに驚かなくても……」

「な! 何だよ山田! まだ帰ってなかったのか」

「いいじゃん。もうタイムカードは押した」

「まあ、いいや。とりあえず座れ。折角だから話しておかなきゃいけないことがある」

 

 今日のライブは珍しく早く終わった。スターリーでは珍しいクラシックのイベントだったので始まりも早かった。いつもバイトの高校生組は10時までに帰さなければならないのでこういう状況は滅多にない。

他のバイトたちが帰ってから、山田リョウは少し居残っていたようだ。リョウはいつも虹夏と一緒に帰るから珍しい。

 

 二人でバーカウンター横の椅子に腰掛ける。

 

「最近パパ活、じゃなくてママ活だっけ? どっちでもいいけど、そういうのやめろよ。虹夏が悲しむ」

「人聞き悪いね。ファンサービスだよ。ご飯奢ってもらってるだけ」

 

 山田は誰彼構わずタカる悪癖がある。相手は女性のファンばかりらしいが。そのうち大変な目に遭うかもしれない。そういうのは男も女も関係ない。もちろん虹夏たちのような友人であればいいわけでもないが。

 

「だからそれが良くないんだよ! 売れたいなら節度を持てよ」

「……星歌さんが嫌だっていうなら止める」

「ここでは店長と呼べ」

「もう退勤したからいいじゃん」

「むう……」

「で、どうする? 星歌さんのためならもう止めてもいいよ」

 

 妙に堂々としている山田。腑に落ちないが仕方あるまい。

 

「……じゃあ止めろ。お前には危ない目に遭って欲しくない。金が欲しいならここでのバイト増やせ。無駄遣いすんな」

「じゃあ止めるよ。だから、私のお願い聞いて」

「は? 何だよ図々しいな。まあ、聞くだけは聞いてやるよ」

「じゃあ……これ。受け取って」

 

 すると山田は財布から取り出したくしゃくしゃの5000円を差し出す。

 

「なんのマネだ山田。5000円なんか出して」

「逆ママ活。今夜だけでいいから私のママになってよ」

 

 顔を赤らめ目を逸らす山田。表情はどこか艶っぽい。

 

「いやだからなんなんだ! ワケわかんねーよ!」

 

 山田は急いで椅子から降りて、星歌の前に跪く。

 

「私は悪い子です。……お仕置きしてください」




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クレイジー下北沢2(仮)主人公は誰がいい?

  • ぽいずんやみ
  • 伊地知星歌
  • ファン2号
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