真実の愛に目覚めた伊地知星歌(29)   作:三十路スキー

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ぼっちちゃん! そろそろだよな!


勇気爆発! マンゴー仮面

 どーもー。未来の大物音楽ライターぽいずんやみ14歳でーす! 今日は下北沢でバンドウォッチング。路上ライブで若手発掘よー! ……暇で悪かったわね。普段からアンテナをしっかり立てておくことがいい仕事に繋がるの。

 あーあ、今日は不作だったわね。ロクなバンドいないじゃないの。もうこんな日はさっさと帰ってギターヒーローさんの動画鬼リピするに限るわ。でも最近新着動画あんまり出てなくて心配なのよね。いずれバンドが売れたら、バンドとの相乗効果も期待できるんだからオーチューブも頑張ってもらわないと。やっぱギターヒーローさんサイコー!

 

「あっ……さささ佐藤さんこんにちわ……」

「やみって呼んで! ギタ……じゃなくてひとりさん!」

 

 なんて思ってたらなんと! 帰り道でギターヒーローさんこと後藤ひとりさんに遭遇しちゃったの! ライブハウスのバイトに向かう最中だったみたいだし歩きながらお話してるってわけ。相変わらず目も合わせてくれないけどそこがチャーミングよねぇ♪ ホントはギターヒーローなことは内緒にしてるんだから、もうちょっと構ってよね! ひとりさん!

 

「へへへ……お嬢さんたち、俺たちと遊ばなぁい?」

「遊べよぅ」

 

 なんて言ってる傍から、いきなり世紀末風の輩が絡んでくる。シモキタはお世辞にも治安のいい所じゃないけど、学ランにモヒカンとかいつの時代よ! いや、どこの世界よ!

 

「あ、あ、あ……」

 

 ヤバイ! ひとりさんが爆発してしまう! 比喩表現じゃなくて実際に爆発するから!

 

「な、なによ……。ナンパなら他当たってよね!」

「いいじゃんいいじゃん、そんなにビビんなくてもさぁ。遊ぼうぜぇー」

「うへへへ……何色のパンツ穿いてるのぅ?」

 

 ニヤつくモヒカンとスキンヘッドの輩。私らみたいな小娘、いざとなれば腕力でどうにでもできるって感じよね。私はこういうクソ男が一番嫌いなのよ! こうなったらまずはひとりさんだけでも逃がすのが私の責任!

 

「ひとりさん、早く逃げて! ここは任せて!」

「は、はい!」

 

 そして! このぽいずんやみとギターヒーローさんをナンパしようだなんて、100万年早いわ! 転んじゃダメよひとりさん! 振り向かずに走るのよ!

 

「キャー! 誰か助けてー!」

 

 私は可愛く助けを求めながら、防犯ブザーに手を掛ける。これが私のロリ神レクイエムよ! これを鳴らせばすぐ警察が来て……。

 

「待てい!」

 

 なになに!? いきなり誰かが私と輩の間に割って入ってきた。

 

「勇気爆発! マンゴー仮面参上!」

 

 段ボールを被った変態が現れた。……いや本当に変態としか言いようがない。手足が動かしやすいようにうまく分割されている。てゆーか、これ前見えてるの!? まあ、ギターヒーローさんの伝説の初ライブは段ボール被ってたっていう噂だし、いいのか? あれ? この脚、見覚えあるような? ……ってまさか!

 

「いや、どう見てもアナタ、スターリーのてんちょ……」

「マンゴー仮面だ!」

「いや、だから……」

「マンゴー仮面!」

 

 えぇ……。ギターヒーローさんのバンドが拠点にしてるライブハウスの店長がこんなヤバイ奴だったなんて……。今からでもソロデビューするように説得した方がいいかしら?

 

「ぽちっとな」

 

 イマドキカセットテープ! ラジカセを地面に置いて電源を付ける段ボール人間がシュールね……。

 

「まんごーかめんーせいぎのかめんー♪」

 

 ギターがやたら上手い! ギターソロだから全体の音が少し物足りないけどテクはかなりのものよね! ドラムやベースがいたら音に深みが出ていい感じのバンドサウンドになりそうね! できればリズムギターも欲しいわね。でも、それを全部ぶち壊しにするボーカルの酷さ! 酷すぎる! 音痴ってレベルじゃないわよこれ!

 

「なんだぁてめぇは! おい、やっちまおうぜ!」

「やっちまいましょうよ!」

 

 輩たちが自称マンゴー仮面に襲い掛かる! 2メートル近い大男相手じゃこっちはひとたまりもない!

 

「きゃあ!」

 

 やばいわよこれ! こっちの味方? は変態段ボールだけだし! 勝ち目ないって!

 

「完熟一刀流奥義! マンゴー・斬!」

「あべし!」

「ひでぶ!」

 

 その刹那、段ボール女が謎の木刀のようなもので世紀末たちをなぎ倒してしまった! そんなのってアリ!?

「す、すみませんでしたー!」

「でしたー! 兄貴待ってー!」

「ふっ。悪は去った」

 

 ウソだろおい。この変態、世紀末たちをあっさり撃退したぞ!

 

「ぼっちちゃんの平和は私が守る! ……ぼっちちゃん大丈夫か!」

「うゆゆーん♪ 助けてくれてありがとうございます!」

 

 ……ひとりさんは上手く逃げたみたいね。世紀末が去ったとはいえ、こいつがいたらもっとヤバいし。ここは私が丸く収めてやるだけ。あの店長ぶりっ子ダメみたいだし。キシシ♪

 

「済まない。14歳を自称する成人女性は生理的に無理だ。ぼっちちゃんはどこいった?」

「あ、あっち逃げたわよ!」

 

 ひとりさんが変態に捕まったらヤバイ! 嘘教えとこっと♪

 

「ありがとう! さらばだ!」

 

 やっぱ、ギターヒーローさんソロデビュー勧めた方がいいかも……。




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クレイジー下北沢2(仮)主人公は誰がいい?

  • ぽいずんやみ
  • 伊地知星歌
  • ファン2号
  • 結束バンドおばさん
  • PAさん
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