宿命のライバル、ファン2号登場! 星歌に負けず劣らず(意味深)
――ひとりちゃん。私ね、生まれ変わったら道になりたいの。
今は結束バンドのファン2号と呼ばれている私。ここは下北沢にあるとある側溝。スターリーから下北沢駅への帰り道にある何の変哲もない道の側溝。私のただ一人の推し、後藤ひとりちゃんがバイトやライブの帰り道に必ず通る場所。今、私、アンダーグラウンドから毎日ひとりちゃんを見守っているの。私にはひとりちゃんを見守る義務がある。結束バンドのファン2号として、ひとりちゃんの唯一無二のファンとして!
嵐の中の初ライブ、パッとしない1曲目が終わって2曲目に入る直前、あの稲妻のようなギターソロ。私は聞き惚れたの。生まれて初めて、音楽に恋した。
そして……見てしまったの。彼女がエフェクターボードを踏み込んだ時に。ひとりちゃんの少し食い込んだ純白を。最前列だからほんの少しだけ。僅かに黄ばんだクロッチも。ひとりちゃんの正面に陣取ってよかった。
そのことを相方のファン1号に話したら『やめなさい!』って言われてひっぱたかれたわ。危うく絶縁されかけたけど決死の大土下座で事なきを得たわ。相変わらずチョロいわね、最近タヌキみたいな雰囲気になってきたし。マーキュリーって感じよね?
――うふふ。もうすぐお楽しみの時間ね。ライブ前はここを堪能しないと。
さて、そんなことよりそろそろひとりちゃんが通る頃合いよね。私もこうやってなんとか時間を作ってひとりちゃんをストーキ……じゃなくて推し活に励んでいるわ。芸大生って案外忙しいのよ? 最近では側溝に伝わる振動だけでひとりちゃんの接近を感じられるようになったわ。ひとりちゃんの控えめでオドオドしているけど、どこか意志の強さを感じさせる歩き方。これも愛のなせる業……かしら? きっとそう。うん、この感じ今日は2人なのね。でも相手は……喜多ちゃんじゃないみたい。珍しいわ。
明るく楽し気で、力強い歩み……。ということは、ジカちゃんこと結束バンドのリーダー伊地知虹夏ちゃんかしら? 学校は違うけど店の買い出しとかで一緒にライブハウスまで行くこともたまにあるみたいだし。私たちファン1号2号とジカちゃんは最近ではすっかりお友達。一緒にお茶する仲だったりする。
私の潜む側溝の真上に2人がやってくる。側溝は自販機のそばだから、ジュースを買う時には、ひとりちゃんが私を踏んでくれる!
ひとりちゃんひとりちゃんひとりちゃんひとりちゃんひとりちゃんひとりちゃんひとりちゃんひとりちゃんひとりちゃんひとりちゃんひとりちゃんひとりちゃんひとりちゃんひとりちゃんひとりちゃんひとりちゃん!
――歪な私を愛してよ!
「あ、待ってぼっちちゃん。ジュース買うね」
……ジカちゃんは縞パンか。ごめんなさいね貴方の下着には興味ないの。それよりもひとりちゃんの芋ジャージ越しのまろやかなヒップラインを真剣に拝まないと。ライブの後からなぜかひとりちゃんはスカートの下にジャージを履くようになっちゃったの。ちょっと残念。どうしてかしら、心境の変化? でも、ジャージ越しにパンティラインを想像するのもオツなものよ。ちなみにひとりちゃんのおしりの穴のしわは21本。もちろん直接見たわけじゃないけど、私には解るの。
「ごめんね、ぼっちちゃん。急に買い出し付き合わせちゃってさ」
――うそだろおい。
そんなことって! あれはジカちゃんじゃない! この声はスターリーの店長じゃないの! ヤロウとんでもないことをしてやがる! 妹に変装してひとりちゃんに接近するとは! 側溝の下からでもわかる邪悪さ!
「あ……いいい、いえ」
ああ! ひとりちゃんが怯えてるじゃない! ……それはいつものことか。
「はい! コーラ好きだよね?」
「あ、ありがとうございます……」
「いいよ。ぼっちちゃんにはいつでも奢ってあげるからね」
ぷりぷりと嬉しそうに動く三十路の縞パン。もう嫌悪感しかない。でも私には見ていることしかできない! 側溝を出てしまうとたちまち逮捕されてしまう。以前にも一度ポリスのお世話になっているし、その時は厳重注意で済んでるけど。現行犯じゃなくてよかった!
ああ、でもひとりちゃんを助けてあげなきゃ! 私、どうすればいいの? 助けて側溝の神様!
次回『ぽいずんやみの☆やみちゃんねる!』
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クレイジー下北沢2(仮)主人公は誰がいい?
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