真実の愛に目覚めた伊地知星歌(29)   作:三十路スキー

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一日遅れですが、あけましておめでとうございます。

新年早々怪文書ですが、今年もなにとぞよろしくお願いいたします。

月並みに輝け! からの続き。原作とは一切関係ありません。


岩下志麻 新年の儀

 一年の計は元旦にあり。……とはよく言ったものだ。元日の朝ご先祖様への祈りを捧げ、おろしたての六尺ふんどしを穿く。身が引き締まる思いだ。

 

「この志麻、ご先祖様に恥ずかしくないよう今年も努める所存です」

 

 敬愛するひいおばあ様から頂戴した大切な掛け軸を前に決意を新たにする。

 

『膣』

 

 この一文字こそが岩下一族に伝わる『膣道』を象徴するものだ。東洋一の膣塩で知られる名士、岩下一族の一員として恥じない態度が私には求められる。

 しかし最近の軟弱な連中はなんだ! この間の『ぽいずんやみ』とかいうライターは私が膣道について語ろうとした途端に逃げ出す始末だ。膣は秘するべきものではない。もっとオープンなものでなければならない。原始女性は太陽であったのだから。この世を照らす光の道、それこそが我らの膣道だ。私は間違っていない。

 そもそもいい大人なのに自称14歳とか名乗るほうがおかしいだろう。常識的に考えて、な。

 

「……っつ……ん。よし、完璧だ」

 

 日課の乾布摩擦と膣塩の採取を終えてから、イライザのロインに誕生祝いのメッセージを送ってやる。あいつは『コミマ4日目』で忙しいようだがな。サークル参加の上にあれだけ同人誌を買い漁っておきながら、今日は福袋のはしごで忙しいらしい。全くご苦労なことだ。同人誌は私ときくりも手伝ってあげたのだから少しは感謝してほしい所。

 

「さて、きくりのために準備しようか」

 

 昨日作っておいた炊き込みご飯で手早く朝食を済ませ、きくりのため用意しておいた『岩下志麻特製おせち五段重』を風呂敷に包む。

 なぜきくりは私に振り向いてくれない。どうして伊地知先輩のことばかり考えているのだろうか? まさか、私がプレゼントした、純白の六尺ふんどしが気に入らないとでもいうのか? やはりオシャレに赤ふんどしにしておいたほうがよかっただろうか? いや、クヨクヨと考えていても仕方がない。そんなの、私らしくないもんな。もちろん今日のおせちも『膣塩』を隠し味にしっかりと使っている。どうせ新年早々ベロベロに酔っぱらっているだろうきくりのことを考えて、水筒にはしじみ汁も用意してある。

 

「行ってきます」

 

 独り暮らしの部屋に小さく挨拶をする。

 

 

 

 

 

「おーい、廣井―! 生きてるか―!」

 

 きくりの部屋はボロアパート芳文荘にある。23区内では破格の家賃月3万円。イマドキ木造風呂無しトイレ共用、ベテラン座敷童と落ち武者の怨霊付き優良物件だ。こんなところに住み続けてるなんてどうかしている。

 インターホンが潰れているからガンガンと扉を叩くか、直接呼びかけるしかない。

 

「だからー! カネはねーんだから返せねーって……あ、なんだ、志麻か」

「なんだとは失礼だな。あけましておめでとう。おせち持ってきたぞ。一緒に食べよう」

 

 私が持つ風呂敷に包まれた重箱にきくりの目は釘付けだ。

 

「うおおお! 神様仏様志麻様ぁー! さささ、むさくるしい所ですがお上がりになってくださいなー!」

「……ったく現金だな。上がるぞ」

 

 霊感のある私は幽霊たちにしっかりとにらみを利かせながら部屋に上がる。ふたりだけの時間を邪魔されたくないからな。今日くらいは、他所に行ってほしい。

クレイジー下北沢2(仮)主人公は誰がいい?

  • ぽいずんやみ
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