真実の愛に目覚めた伊地知星歌(29)   作:三十路スキー

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@98@様 氷英様 
高評価ありがとうございます!

またしても愛の試練。これR15でいいよね?


従業員にセクハラされる店長(29)

「みんなおつかれ、店閉めとくからもう帰っていいよ」

 

 スターリーは男社会なギョーカイで異彩を放つ存在だ。ライブハウスで29歳の女性オーナー店長なんて史上初めてかもしれない。血のにじむような努力と天賦の才能、そして幸運でつかみ取った夢への第一歩。そしてダメなお姉ちゃんからの愛する妹への贈り物。

 スタッフは全員女性。星歌から言わせればふさわしい人材を選んだらたまたまこうなっただけ。バイトは妹たちに任せているのもある。特に音響機材を扱う女性スタッフは少ない。職人仕事の世界で女性がやっていくのは人一倍の苦労があるだろう。

 そしてここを拠点にするバンドはガールズバンドが多い。こちらも意図したことではないが。

 

「店長、少しいいですか?」

「PA、まだ帰らないのか」

 

 星歌に話しかけるこの女性はスターリーの専属PA。こう見えて音響技術者。黒いモード系のワンピースを纏った妖艶な美女。厳ついピアスをこれでもかと付けた印象は、コワモテに感じる。しかし彼女は常に笑顔を浮かべ、物腰は柔らかい。

 

「結束バンド、上手になりましたね。こっちもやりがいありますよ」

「……私に言わせればまだまだヒヨッコだ」

「素直じゃありませんね」

「ふん。あいつらはまだまだこんなもんじゃない」

 

 ぷいとそっぽを向く星歌。

 

「ですねぇ」 

「ライブの成功はお前らスタッフのおかげだよ。特にお前はPAとしてスターリーが出来てからずっと頑張ってくれてる。いつもありがとう」

「いえいえ。でもそう思っていただけるならお給料上げて頂きたいですね」

「あ? 無理。まだまだ経営カツカツだっての。今度言ったらクビな」

 

 星歌は椅子に座り頬杖を突く。

 

「ふふふ。冗談ですよ。そういえば、今夜は虹夏さん後藤さんの家にお泊りなんですってね」

「なんで知ってんだよ?」

「虹夏さんが妙に嬉しそうだったから話を聞いてみたんですよ。そしたらウキウキしながら話してくれましたよ」

「ぼっちちゃんの家なら安心できるからいいよ。明日は学校も休みだし」

 

 PAがニヤリと笑う。しかし目が笑っていない。

 

「じゃあ今夜は寂しいですねぇ」

「いや、別に」

 

 星歌は今夜、イマジナリーぼっちちゃんとお風呂でじっくりと洗いっこする予定だ。だから独りでも寂しくない。

 

「そういえば店長、後藤さん大好きですよね。妬けちゃうなぁ。でもロリコンさんは感心しませんねぇ。捕まっちゃいますよ?」

「ぼっちちゃんが大人になるまでは清い交際を貫くつもりだ」

 

 もちろん交際していない。星歌の妄想である。

 

「いい歳していまさらおてて繋いでママゴト遊びもないでしょう? 大人同士で楽しみましょう。キモチイイコトいっぱい、ね?」

「やめろ。背中に、む、胸が当たる」

 

 PAは星歌の背中に抱きつく。後ろから手を回して、マシュマロのような胸の感触を星歌の背中にじっくりと感じさせる。

 

「当ててるんですよ? 私……後藤さんより大きいですから」

 

 そう言うとPAは二股に分かれた舌で星歌の耳をねっとりと舐める。いわゆるスプリットタン。彼女は『身体改造』の愛好者だ。

 

「レロ……レロ……はむぅ……。ちゃんと耳掃除しなきゃだめですよ? 後藤さんに嫌われちゃいますよぉ?」

「……はう! や、止めろ! こんなことしてタダで済むと思って……」

「結構上手でしょう? 店長反応がウブですねぇ、もっとしてあげたくなっちゃう」

「や、やめ……」

「いいんですかぁ? 後藤さんたちにバラしちゃっても」

「な、何をだよ?」

「この前うわごとのように、後藤さんのパンツ被りたいっておっしゃってましたよねぇ。証拠音声もありますよ?」

 

 PAはボイスレコーダーをちらつかせる。

 

「普通ドン引きですよ。私以外の前でこんなこと言うのはダ・メ……ですよ?」

 

 PAは二股の舌で今度はうなじをねちっこく舐め始める。

 

「お願い……止めて。マジ無理だから」

 

 ぼっちちゃん以外にこんなことされたくない。伊地知星歌はレズビアンではない。好きな人がたまたま陰キャ女性(15)だっただけだ。

 

「もう、まんざらでもないと思ったんですがね。……ちょっと傷つくなぁ」

「グズ……ズズ……お願い……」

 

 涙目で止めるよう懇願する星歌。

 

「はい、おしまい。一方的に性欲を向けられるイタさと怖さが分かりました? これに懲りたら後藤さんをヘンな目で見ないことですね」

「……はい」

「聞き分けのいいヘンタイさんにはプレゼントがありまーす。私の脱ぎたて勝負下着ですよ。後藤さんのおこちゃまパンツより楽しめると思いますよ?」

 

 PAが自身の黒い下着を星歌に差し出す。むせかえるような雌の匂いが辺りに広がる。PAは星歌の胸元に下着をねじ込む。

 

「いや、なんだよこれ」

「とぼけちゃって……かわいいなぁ。今夜のオカズにでもどうぞ」

「ふざけんな!」

 

 伊地知星歌が被るのは、ぼっちちゃんのぱんつだけだ。

 

 

 

 

 

「とにかくもう帰れ。私にそういう趣味はない!」

「あらら、フラれちゃいましたねぇ。まあいいです。ムリヤリは趣味じゃないですから」

 

 そう言ってPAは艶めかしい唇に軽く指を当てる。

 

「店長の事、絶対堕としてみせますね。私諦めの悪い女ですから」

 

 星歌は悪寒を覚えた。

 

「うげ、ねーよバカ。悪いけど私は一途な女なんだ。こ、今度変なことしたらクビな!」

「はぁい。うふふ」

(ホントはクビになんてできないくせに。店長ったら、ますます好きになっちゃいますよ)

 

 

 

 

――ぼっちちゃんのためなら、私は負けない。




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