ようやく再開できるわ。どうもすみません。
「なかなかやるじゃねぇか、佐藤」
「やみって呼んで! ……貴方たちがひとりさんを想う心は本物みたいね」
数時間に渡る激闘デス・マッチの末、私たち3人の間には奇妙な友情が芽生えた。
「もちろんです! 私だって結束バンドファン2号として、佐藤さんには負けてません!」
「だからやみって呼んで!」
この娘もなかなかのものね。あたしより年下のくせにやるじゃないの。
「よし! 早速向こうにある桃の木の下で誓いを立てるぞ!」
「え? 藪から棒に何よ?」
「昔から大切な誓いは桃の花の下でするものと決まってるんですよ!」
ちょっと何言ってるか分からない。
「私たち3人はぼっちちゃんを心から愛しているという志が同じ。いわば『純愛三銃士』というわけだ!!」
「駄目な大人とか、やさぐれ三銃士だなんて言わせませんよ!!」
「さあ、早速誓いを立てるぞ!」
四の五の言う間もなく、あたしもヘンな儀式に巻き込まれることに。一番大きい木の下で3人円陣を組む。
「天よ地よツチノコよ! 我ら3人ここに誓う!」
「我ら3人、生まれた日は違えど!」
「え? えっと……同年同月同日に死ぬことを願う?」
2号ちゃんが差出したカンペを棒読みするあたし。とりあえず儀式はこれでいいのかしら?
「ハナシは聞かせてもらいまシタ! 下北沢は滅亡シマス!」
「「「な、なんだってぇー!!!」」」
3人思わず声を合わせてしまったけど、本格的にヤバイ人が来た。アルミホイルで作った帽子らしきモノを頭に被り、白装束を纏った外国人の女性。でもアレって、シクハックのイライザさんだよね? シクハック唯一の良心がどうしてこんなことに……。
「お、お前は廣井んとこの……」
店長が彼女の姿に驚いた様子で尋ねる。
「イエス! アタシは清水イライザ。そして今のホーリーネームは『ハローバイバイ・イライザ』デース!」
うわぁ。またワケワカランのが湧いてきたわね……。
「早速ですが、下北沢は滅亡の危機に瀕していマス!」
「は? バカも休み休み言えよ清水。私は一日も早くぼっちちゃんのぱんつを被りたいんだ」
「そうですよ! 今日も私はひとりちゃんの見守り活動をしっかりこなしましたし」
案外平和よね、下北沢。アンタやアホ店長、ストーカー2号みたいなのさえ居なければ、なお平和なのに。
「シャラップ!!! 貴方たちはまだ世界の真実を知らナイのデスヨ! 後藤サンとは……ツチノコとは……日本陰キャ協会とは……こんな簡単なことだったのデス!」
「いや……どうしちゃったんですかイライザさん!」
イライザさんの蒼く澄んだ瞳は、見る影もない。今は紅く汚濁し、グルグルしている。
「HAHAHA! スーパー承認欲求モンスター! これが世界の真実デス!」
『イイネクレー!』
突如あたしたちの眼前に現れたのは、巨大な怪獣少女のぬいぐるみだった。いや、そうとしか形容できないモノだった。奴の見た目は歌舞伎町の映画館に居るアイツみたいなサイズの、可愛らしい怪獣の着ぐるみを着たディフォルメされた女の子だった。私は目を疑った。夢であることを本気で祈った。でも現実だ。
『イ”イ”ネ”ク”レ”ー』
「うわー! 何するんだてめー!」
その刹那、可愛らしいモンスターは大きな手で三十路女をヒョイと摘まみ上げる。店長が抵抗する暇も無く、奴は開きっぱなしの口へ、スナック感覚でポイっと投げ入れる。そして、あ! パックンチョ! ……食べられたっていうの? ぬいぐるみに?
――ってことはさ、あいつ、死んじゃったの? 都、助けて!『あんたとのセックスは単調で退屈なのよ!』なんてもう言わないから!
ところがどっこい伊地知は生きている。次回より最終章『果てしなき伊地知星歌』に続く!
――ぼっちちゃん、愛について教えてよ。
クレイジー下北沢2(仮)主人公は誰がいい?
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ぽいずんやみ
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伊地知星歌
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ファン2号
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結束バンドおばさん
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PAさん