己の道を魁よ。
次回作は『ファン2号の推し活地獄』(仮)がいいかのう?
『下北沢警察署よりお知らせです。20代女による複数の女児に対しての声掛け事案について。こんにちわと挨拶しながら局部を見せつけるというものでしたが、後の調べにより事件性が無いものと判明いたしました。思想信条の自由に抵触するためです。市民の皆様にはご迷惑をお掛けしましたことお詫び申し上げます』
「やれやれ官憲にも困ったものだ……」
ひいお婆様が裏で手を回して下さらなければ、危うく刑務所送りになるところだ。私は『膣道』の普及活動に勤しんでるだけなのに、どうしてこんな目に遭わなければならないんだ! 全く理解に苦しむよ。
留置所で一泊の後、朝には釈放。なんとか今日の予定には間に合いそうだ。今日は新宿フォルト恒例の年越しイベントがあるのだ。昨年は参加しなかったが今年は銀次郎さんがどうしてもと頼み込むので、仕方なく参加することになった。
私は実家への帰省が遅くなることの了承を得ているが、問題はイライザだ。冬コミマが終わり次第すぐに回収して、リハーサルに行かなければならないからな。その監視も兼ねて売り子として私も参加する。コスプレはもう御免だがな。ついでにどこかで飲んだくれているであろう廣井を探して回収だ。まあ、あいつは時間通りに来ることが稀だがな。素面でのライブならその心配はないだけに惜しいことだ。
――岩下志麻。ドラマーは世を忍ぶ仮の姿、その本性は膣道の求道者である!
バンド活動は上手くいっている。廣井のソロ活動やイライザの配信も人気だ。もちろん収入も大きく増えているからね。マネジメントのために個人事務所を設立したんだ。名付けて『株式会社 四苦八苦』だ。バンドメンバーの3人を取締役として株式を三等分。カタチだけだけど、代表は廣井にした。なんだかんだ言って、私たちのリーダーだ。経営については全く頼りにならないけど。
実際の運営は私がしている。イライザもお金周りは頼りにならないしな。銀次郎さんのアドバイスを貰いながら慣れない仕事も頑張っている。所属タレントはシク ハックとシデロスの二組。ヨヨコたちもいるおかげで仕事には困らない。本当にあの娘たちには助けられているよ。
そして『NPO法人 大日本膣道保存協会』を立ち上げた。こちらは私が代表となる。私にとってはバンド活動と等しく重要なものだ。
「こんにちわ。志麻さん」
「やあ、君か。調子はどうです?」
「ええ、お陰様で店長への『教育』は上手くいっています」
「それはよかった。正しく作った『膣塩』は必ず効果が出るからね」
この人はスターリーのPAさん。私の同志だ。私はきくりを、あの人は伊地知先輩を愛しているのだ。令和に於いて恋する乙女のおまじないとして最もポピュラーなもの、それが膣塩を用いた愛の手料理。私は彼女の背中を押してあげただけ。PAさんの伊地知先輩への愛情は本物だ。
「うふふ。ありがとうございます。頂いた越中、とてもいい付け心地ですよ。今度お礼をさせてくださいね♪」
「お気持ちだけ頂戴します。これからも仲良くしましょう」
越中とはもちろん、ふんどしのことだ。PAさんも今や下着は西洋風のものではなく、さらしとふんどしを愛用しているという。無論私もだ。きくりとイライザにもふんどしの良さを布教せねば。ふんどしは膣への負担が少ない理想的な女性用下着だからだ。21世紀のコスモポリタンにとって必須のアイテムだ。
「それでは失礼しますね」
美しい所作で礼をして立ち去るPAさん。誠実で気持ちの良い女性だ。最初は外見で偏見を持っていたが、人は見た目によらないものだ。銀次郎さんと同じだな。
「ふむ……君か」
「……」
フッフフ。側溝に気配あり。だがいまはその時ではない。……私も行くか。
――ご先祖様、見ていてください。この岩下志麻、来年も一層精進いたします。
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