ロボットに乗りたいとは思ったけどTSしたり転生したりは望んでないよね   作:運動エネルギー坂本

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アーマードコアがやりたくてやりたくてしょうがないのに遊べる環境がなくて狂ったので見切り発車で初投稿です。
好きなMSはウーンドウォートとペイルライダーキャバルリー


プロローグ:少女は大地に立つ
オタク、ゲーム内世界に立つ(なおほぼ寝てる)


『ボルテック・フレーム』は、巨大ロボット『ボルテックス』を駆る少年少女が、異空間から出現する怪物や、ボルテックスをめぐる陰謀と戦うアクションゲームだ。

 

ボルテックスのデザインやその自由なカスタマイズ性、骨太なストーリー、優れたキャラデザイン、全てにおいて名作と評されたこのゲームは、発売直後瞬く間にオタクどもの間で大ヒット。

 

程なく続編の制作も発表され、界隈を大いに賑わせた。

 

……かく言う俺も、『ボルテック・フレーム』の大大大ファンだ。

 

一作目はプレイ時間500時間を超え、実装されているpvpモードでは上位ランカーとして名を馳せたのはいい思い出だ。

 

そして毎日のように制作会社の公式SNSに張り付き、続編の情報を待っていたそんな日々の中で。

 

俺は、あっけなくトラックに轢き殺されて死んだ。

 

死に際に思ったのは、『ボルテック・フレーム』の続編が遊べなくなったことへの後悔。

頭の中で撃墜時のゲームオーバー音が流れている。

 

あぁ、最悪だけど、まあ悪くない走馬灯かな……。

 

 

 

 

 

 

 

なーんて感じで、クソめんどい『ボルテック・フレーム』オタクの一生は終わった。

 

……はずだったのだが。

 

「悪いね、あんたが死んだのはこっちのミスなんだ」

「……はぁ」

 

気づいた時には、俺は不思議な光の中にいた。

 

腕や足の感覚はない。ただそこに俺という自我があるだけだ。

 

そんな中、眼前———今の俺に目という概念があるのかはわからない———に、モヤのようなものが現れた。

 

中性的な声でこちらに語りかけてくる。

 

「君には申し訳ないことをしたね。お詫びに一つだけ願いを叶えてあげよう」

「……じゃあ、元の世界に」

 

俺はどうしても『ボルフレ』の続編をやらなければならないのだ。おちおち死んでいられはしない。

しかし、そんな俺の願いは却下される。

 

「死んでるんだ、そういう願いは聞き届けられない。それより他にあるだろ?ほら、美少女に囲まれる世界に転生したいとか、チートで異世界に行きたいとか」

「いや、そういうのは別に」

「つまらない男だなぁ」

 

初対面の相手につまらないとはなんだと内心キレつつ、願いを考える。

 

もう『ボルフレ』はできないのだろうか。

 

……いや、天国的なところでも『ボルフレ』ができるようにすればいいんだ。

 

そうしよう、『ボルフレ』なしでは生き残れない。いや、もう死んでるんだけど。

 

「じゃあ、僕に『ボルテック・フレーム』とその続編としてこれから発売されるゲーム全部を遊べるようにしてください」

「え、めんどくさいんだけど。未来まで辿ってそういうの見つけんのほんとに骨が折れるんだよね……あ、そうだ、じゃあ君がそのゲームの世界に転生すればいいんじゃない?はい、決まりね」

「ちょっと待てなんでも願いを叶えるんじゃなかったのか」

 

この邪神が!結局転生させたいだけじゃねえか!

 

「じゃ、そういうことでよろしく。……さっさと行ってくれ」

「待て、俺は転生とかは望んでないんだが」

「うるさいなあ」

 

……抵抗虚しく、いや、抵抗できていたかどうかはよくわからないが、俺の意識はクソ野郎に刈り取られ、そのまま輪廻の輪を通過した。

 

そして俺がそのめんどくさいオタクスピリットを取り戻すのは、5歳ごろのある日になる。

 

 

 

 

 

 

「ほらメイネ、起きて」

「ん〜、おかーさんあとごふん〜」

「だめ、幼稚園に遅れちゃうでしょ」

「や〜」

 

おかあさんはいじわる。

 

すこしくらいねさせてくれてもいいのに、いっつもあさになったらおきなさい、って。

 

それに、わたしは『ボルテック・フレーム』の主題歌のイントロがないとおきられないのに。

……なんだっけ、それ。

 

にたようなことばを、ニュースできいたことがある。

ボルテックス。たしかおっきいロボット、対星外生物用機動兵器。

主人公らはボルテックスに搭乗するパイロットを育成する士官学校で様々な事件に……

 

 

「うわあああああっっ!!!」

「どうしたのメイネちゃん!!」

「や、やべえ!!!」

「やべえ?!そんな汚い言葉使っちゃダメでしょ?」

「わ、わた、お、おれ?」

「た、た、大変、メイネちゃんが壊れた!お父さん!メイネちゃんが!!!」

 

 

 

飛び起きた俺は、自分の手を見つめる。小さくてふにふにとした、子供の手だ。

 

記憶が混濁している。

 

俺はあの神にお願いをした結果、よくわからない理屈でこの世界に転生させられたはずだ。

そして今までの五年間、この前世の記憶を持たないまま燐堂メイネとして生きてきた記憶もある……。

 

ん?メイネ『ちゃん』?

 

「あ、あわわ、あわわわわわわわわ」

「メイネちゃん、大丈夫!?」

 

心配そうにこちらを見つめる母親をよそに、私、いや俺は恐る恐る自分の股間を触る。

……なかった。

 

あの、あのクソ邪神が!!!!!!!!!!!

 

 

 

……とんでもなく心配した様子の母親に、病院に連れて行かれそうになりつつも必死で阻止し、一日幼稚園を休むことになった。

 

ベッドの上で、思考を巡らせる。

私……いや、俺は燐堂メイネ。5歳で幼稚園児のはずだ。

 

五年間普通の幼女として暮らしてきたせいで、気を抜くと意識が幼女に寄る。

一人称が勝手に私になったり、仕草が女の子っぽくなる。

そのおかげで、中身が急に変わったとかで気づかれる心配はなさそうだが。

 

とはいえ、一人称は問題だ。

ずっと人前で『私』と言い続けるのはアイデンティティが失われそうだし、だからといって『俺』と言い続けるのは痛い子みたいで少し気が引ける。

 

……よし、人前では『僕』ということにしよう。

幼稚園や家族の前では幼稚園生としての自分を引き出しておけばなんとかなりそうだ。

 

……この世界がゲーム通りの世界なら、身の振り方を考える必要がある。

パイロットはもちろん、普通に暮らすだけでも命の危険が伴う世界だ。

だからこの世界に転生なんて選択肢は頭になかったわけだが……。

 

「……あぅ」

 

……どうやら、五歳児の脳みそは複雑な思考に耐えきれなかったようだ。頭が痛むのを感じる。

 

ついでに瞼が重くなってきた。抗えない眠気に意識が遠のく。

 

あー、でもどうせならボルテックスに乗ってみたいなー……。




早くロボットに乗らせて戦わせたいけど、避けられないので幼少期編を書かなくてはならない

続きそうなら続きます
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