ロボットに乗りたいとは思ったけどTSしたり転生したりは望んでないよね 作:運動エネルギー坂本
評価感想超絶励みになってます
これからもよろしくお願いします
『アザレア』は、私兵部隊として暗躍し、主人公とも度々激突することとなる。
何故そのような独自な武力が許されているのか。
それは、アザレアを管理するプルヌス・インダストリーが、政治的権力と繋がっているからだ。
特に、日本において強い発言力を持つ青蓮院家とは、蜜月の関係にある。
今日は、実機での訓練を行わされるらしい。
他の子供達と一緒に狭い車に押し込められて向かった地下練習場には、高そうな服を着た男と銀髪の少女……おそらく親子がいた。
銀髪の少女には、見覚えがあるような気がする。
視察に来たのだろうか?どちらにしろまともな人間ではなさそうだ。
研究員の男が俺たちの前で偉そうに語る。
「今回は対人戦の訓練を行う。スポンサーの方が来ているんだ、見応えのある戦いをしろ」
つまるところ子供同士で戦わせるというわけだろう。
周囲の同年代の奴らは、感情のない瞳で話を聞いていた。
俺もいつかああなってしまうのだろうか?
訓練の内容はシンプルな一騎打ちのようだ。
俺が順番としては最初のようで、機体の元に誘導される。
用意された機体に乗り込むと、頭が冷静になるような感覚がする。
いつもの
二年間ずっとしてきたこのルーティンは、いつの間にか意識せずとも行えるようになっていた。
これがいいことなのか悪いことなのかはわからない。
集中すればするほど、
ただ、
乗り込んだ機体はリッターの試作段階、プロトリッターだ。
いつもシミュレーターで見るコックピットとほとんど変わらない。……いや、自爆機能はないようだが。
……ボルテックスは好きだったはずなのに、今はそんなことを思う余裕もない。
ただ道具として、使うだけだ。
戦闘エリアに出ると目の前にも同じ機体が一体。
装備もこちらと全く同じ実体剣だが、正直なところ負ける要素はないだろう。
ふと横を見ると、今さっきの男と少女がこちらを観察するように見ていた。
「始めろ」
研究者の号令で始まる。
まっすぐ突っ込んでくるリッター、しかし私はそれに乗らず相手から逃げる。
単純な近接戦闘で戦っても埒が明かない。
距離を取ると、そのまま障害物を避けながらフィールドを駆ける。
そこまで広くない、だが障害物の多いこのエリア内なら、これだけで撹乱になるだろう。
相手もこちらに追従しようとするが、障害物に阻まれて思うように加速できない。
私は機体を障害物の影に隠れながら進め、相手の視界から外れる。
「こっちだっ!」
隙間を縫うように進んでいく。ちょうど相手の横側に陣取ることができた。
障害物として配置されている壁を剣を持っていない方の腕で殴る。
飛び散る破片。相手の注意がそっちに向く。
しかし、私の機体は回り込んで相手の後ろをとる。
剣をコックピットに突きつける。少しでも動かせば相手の命を奪える。
通信機で試合を見ているだろう研究者に連絡する。
「これで終わり、でいいですよね」
「いや、中止は認められない」
「なんで……ッ!」
科学者の発言に反論しようとした瞬間、相手の機体が旋回して剣を振るう。
コックピットを狙った一撃だ、当たれば確実に死ぬ。
咄嗟に回避する。
「嘘だろ……殺し合いじゃないんだぞ……!」
仮にも重要な兵士の一人のはずだ。
こんなところで潰し合わせる必要はない。
……いやそれとも、この訓練そのものがあの視察に来た男へのサービスなのか?
そうか、場外でこちらを見下ろしているのは青蓮院の人間か。
他国との戦争を目論む過激派の彼らなら、ボルテックス同士の殺し合いは大事なデータだろう。
「ふざけるなよ……!」
私は人殺しなんて、してたまるか。
相手を殺さずに無力化するしかない。
回避した私に追撃を仕掛ける相手のプロトリッター。
防御のために剣で相手の剣を受け止めた。
打ち合った金属同士で火花が散る。
同じ性能同士の機体、スペックだけ見れば同格のはず。
しかし、中のパイロットの耐久性には大きく差があるはずだ。
私は体が他より頑丈、それを上手く使えれば。
「やってやる……!」
鍔迫り合いの剣を離し、私の機体を下がらせる。
普通この状況で引くのは悪手だ、相手に追撃のチャンスを与えることになる。
それでも、私が狙うべき状況はこの状況でしか発生しない。
予想通り相手が剣を構えて突撃してくる。
「大丈夫だ、限界まで引きつけて……」
距離がどんどん近づいていく。
剣はコックピットを狙った一直線ルートだ。
おそらく寸止めなんてことは相手はしないだろう。
引きつけて、引きつけて……。
「……らああっ!」
当たる直前、機体を一気に加速して横側に回避する。
殺人的なGが瞬間的にかかり、体がコックピットの中で振り回される。
大丈夫だ、気絶したりはしない。
これで相手の横に回り込めた。
頭部に剣を叩き込んで……!
ぐしゃり、とモノアイを剣が叩き潰す。
「……そこまでだ」
終了の命令。これ以上の戦闘は不可能だと判断したのだろう。
……これが自爆機能のついたいつもの機体だったら、相手は自爆していたのだろうか?
考えるだけで恐ろしい。
今回はうまくいったが、このままならいつか本当に、私は誰かを殺してしまうのではないか。
「はぁ……」
コックピットの中、そしてパイロットスーツの中が蒸れて気持ち悪い。
こんな状況で正気でいさせられ続けるのも、なかなかきついかもしれない。
それから30分後。俺はパイロットスーツを脱いでシャワーを浴び、休憩室で座っていた。
他のメンバーは今もおそらく訓練を続けているのだろう。
ひとまず、落ち着けそうだ。
そう気を抜こうとして。
コンコン、とドアが叩かれた。
「……入ってもよろしいですか?」
「……どうぞ」
少女の声。思わず立ち上がる。
ドアが開くと、そこには今さっき父親と一緒に俺たちの戦いを見学いた銀髪の少女がいた。
そうか、銀髪、そして青蓮院。
彼女が、あの
まだ幼いとはいえ、確かに声や見た目が彼女に似ている。
しかし、纏うオーラが違う。
ゲーム本編に出てきたカリスマ的で威圧的な雰囲気がない。
「君が、あの最初に戦ったパイロットか?」
レイカの後ろから視察していた男が現れる。
彼も青蓮院、レイカの父親か。
むしろ彼の方が、見ているだけで気圧されるような雰囲気を感じる。
「今日は君に話があってな。レイカ」
「はい、お父様」
促され、レイカがこちらの目をまっすぐ見つめる。
『ボルテック・フレーム』で、大規模な戦争を引き起こそうとした大悪人。
そんな彼女が、俺に何の用だと言うんだ。
「あなたには、私に仕えて欲しいのです」
「……はぁ?」
思わず素が出てしまった。
え、全然わからない。
どういうことだ……?
Tips:学生時代のメイネ(リディネ)のファッションは、全てレイカのセンスである。髪型をショートにすることはメイネも賛成だったが、ボーイッシュなイメージ、女子受けのするイメージに作り上げたのはレイカの趣味。仮面はほとんどの人に妙な仮面だと思われている。でもダサいとは思われてないらしい。
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