ロボットに乗りたいとは思ったけどTSしたり転生したりは望んでないよね   作:運動エネルギー坂本

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テスト勉強しなくっちゃぁな〜〜〜って思いながら書いてました
ロボットに早く乗せるために書かねば


邂・逅

ボルテック・フレーム、通称ボルフレの物語では、基本的に星外生物という宇宙に出現した異空間を通って現れる生物の脅威がメインとして描かれる。

 

この世界に転生した以上、俺にとっても星外生物の存在は無視できない存在となる。

なぜなら彼らは、何を意図してか人間を集中して襲い、食うわけでもなく殺すからだ。

 

とは言っても、世界各地にはそれらに対処するためにボルテックスが配備されているし、もちろん俺が転生したこの街の近くにも駐屯場があるらしい。

こちらに接近してきた時点でシェルターに避難する手筈になっているらしいし、自分から接触しに行かない限り、そしてよほど運が悪くない限りは彼らに殺されることはないだろう。

 

……そんな俺の甘い考えは、とある一人の少年との出会いでぶち壊されることになる。

 

 

 

 

昨日は結局考え事中に眠ってしまい、目が覚めた時にはもう朝だった。

幼稚園に行くための支度をしなければならない。

 

一昨日までの()が毎日していた作業を()がなぞる。

体が覚えているからか、そして毎日のように母親が手伝ってくれるからか、スムーズに準備は進んでいった。

 

幼稚園バスが家の近くを通るまでにあと10分はある。

 

「おかーさん、テレビ見てもいい?」

「いいわよ、でもバスが来る時間になったらちゃんと見るのやめてね?」

「はーい」

 

……意識しなければ幼女口調が口から出る。

恥ずかしさを押し殺しつつ、テレビをつけた。

すると。

 

 

「……県に出現したC級星外生物は、ボルテックスチームにより駆除されました。なお死者は現在……」

「ふおぉぉぉぉおお!」

「め、メイネちゃん?!」

 

テレビに映っていたのは、おそらく昨日撮られたであろう星外生物と戦闘を繰り広げるボルテックス。

RV-021、エクイテスだ。

本編開始前に主に運用されていた量産モデルで、メイン兵装は実体剣、実弾のライフル、そしてシールド、パイロットによってはそれにビームガンや槍、場合によっては殴打による戦闘も可能な名機だ。

なんと言っても次世代機であるRV-022 リッターの正式配備後もエクイテスを好んで使ったパイロットもいると言われていて、その汎用性と操作性は評価できる。

ゲーム中では機動性に欠けるも操作が容易で序盤はかなり活躍するいいバランスを誇る機体で……。

 

「か、かっけ〜〜〜〜〜!」

「……あの子、あーいうのに興味あったのかしら……」

 

脳内でオタク早口を垂れ流しながら、顔をテレビに押し付けるようにしながら画面を凝視する。

CGでなく、実写でボルテックスが動いている。

本当に俺はボルフレの世界に転生したのだと実感した。

 

「ウオォオオ……」

「飲んでリフレッシュ!爽快ドリンク……」

「あ、終わっちゃった」

 

テレビの画面が切り替わり、CMに変わってしまった。

くそ、もう少しやってくれてもいいものを。

 

「ほらメイネ、バス来るから支度しなさい」

「はーい」

 

母親に呼ばれ、通園バッグを背負う。

やっぱ乗ってみたいよなあ、ボルテックス……。

 

 

 

 

 

「メイネちゃんだいじょうぶ〜?」

「かぜひいちゃったの?」

 

幼稚園に着くと、友達から心配の言葉をかけられた。

小さい女の子が同じ目線でこちらを覗き込んでくる光景は、なかなか珍しいものがある。

とは言っても、私の記憶ではこれが普通なのだが。

 

「私……じゃなかった、()は全然平気だよ」

「ぼく?メイネちゃん男の子になっちゃったの?」

 

鋭い、というかどちらかというと逆だ。

 

「ううん、でもこっちの方がかっこいいでしょ」

「……よくわかんないや」

「そんなことより、あっちでおままごとしよ!」

「う、うん」

 

お、おままごとか〜〜〜。

女の子たちに手を引っ張られながら遊び場に連れていかれそうになる。

 

 

「ん?」

 

ふと部屋の隅に目を向けると、端っこで積み木を組み立て続ける男の子がいた。

 

うーん、前まではなんとも思わなかったが、一度大人の感性を手に入れると無視できないな。

女の子に断りを入れて、少年の近くに駆け寄る。

 

「ねぇ、一緒に遊ぼうよ」

「……え、い、いいけど」

「やった、今何してるの?」

「今は……ボルテックスごっこ」

 

や、やっぱり子供にも人気なんだな、ボルテックス……。

 

「僕も好きだよ、ボルテックス!君はどの機体が好き?」

「え、そういうのは、よくわかんないけど……お兄ちゃんが、ボルテックスのパイロットの勉強してるんだ」

「へぇ、すごいね!」

「うん、お兄ちゃん、すごいんだ」

 

それはまたすごい。

ボルテックスのパイロットになるには、難しい試験を突破し、また優秀な運動神経が必要になるはずだ。

 

ボルフレの主人公がパイロットになった理由の一つも、兄への憧れだった。

きっとこの少年も、兄に憧れているのだろう。

 

 

 

……しばらく俺たちは、積み木の街を飛び回るボルテックスになりきって遊んだ。

 

案外幼稚な遊びでも楽しめるものだ。

子供の体になったからなのか、ごっこ遊びはいつまでも不変の遊びなのか。

 

なんだかんだ長い時間遊んでいたのか、自由に遊べる時間は終わり、幼稚園の先生たちがレクリエーションをしてくれるようだ。

決まった席につかなければいけない

 

……そうだ、この少年の名前を聞いておこう。

席につこうと離れる彼を呼びとめる。

 

同じボルテックスオタクとして、これからもぜひ仲良くしておきたいところだ。

 

「僕、燐堂メイネ。君は?」

「え、ぼ、ぼくは……皆月ケイ」

 

世界が止まった。

 

その、名前は。

 

 

「しゅ、じんこう……?」

「……え?」

 

脳の処理が追いつかない。

視界がぐらりと揺れたかと思うと、視界が暗転した。

背中に衝撃。

 

「メイネちゃん?!」

「ちょ、だ、大丈夫?」

 

先生の声と、主人公の声が聞こえる。

……どうやら、俺はすでにあの邪神にハメられていたようだ。

 

 

 

 

 

……主人公、デフォルトネーム皆月ケイには、ボルテックスパイロットになろうとしたきっかけが二つある。

 

一つは、パイロットとして活躍した兄への憧れ。

そしてもう一つは、その兄と、家族、友人、彼の住む街の全てを焼き尽くした星外生物に復讐すること。

 

そう、彼の住む街は、小学五年生のある日、A級星外生物によって破壊の限りを尽くされる。

兄であるパイロットも出撃するも撃沈、彼の見知った顔のほとんども消えてしまうこととなる。

それが主人公としての、本編での彼のオリジンだ。

 

 

そしてこの日が、俺とケイの、幼馴染としての始まり。

小学五年生のあの日まで続く、友人関係の始まりの日の一ページ目になることを、この時の俺はまだ知らない。




次回からは小学校の話になります
幼少期編の間はロボット要素の薄いただの小学生の話になりそうですが許して
精神的BL要素は入れるので……(重要)
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