月面探査記 第二巻   作:gh0sttimes

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第一四話 実戦

翌日。

ルカとアーリマンは月面の特殊作戦軍基地にいた。

しばらくして、滑走路に一機の航空機が着陸した。

その航空機は宇宙軍の機体ではなく特殊作戦軍専用の輸送機であった。

輸送機のハッチが開くと中から2人の男が出てきた。

2人とも特殊作戦軍特有の黒い目出し帽と黒いヘルメットを着けている。

2人はルカの前に来ると敬礼をした。

ルカとアーリマンも敬礼をする。

すると2人のうちの1人がルカに話しかけた。

「久しぶりだな。確か、クーデター以来か?」

「ああ。お前もしばらく見ないと思ったら特殊作戦軍にいたとはね。」

ルカはそう答える。

その男性の名はヘルマン・シュティーゲン・シュテルンブルク。

ディアボロ政権の崩壊に間接的に関わった人物である。

するともう1人の男が言った。

「まあ積もる話は後にしてまずは任務を遂行しようぜ」

その男はヘルマンとは対照的でとても明るく陽気な人物である。

彼の名はギュンター・ノルトハイム。

彼もまたディアボロ政権崩壊に関わった人物の1人である。

するとアーリマンが2人に話しかけた。

「では任務の内容を説明します・・・」

3人は基地へと入っていく・・・ 5分後3人は基地内の会議室にいた。

そこにはすでに多くの隊員が集まっていた。

3人はそれぞれ席に着くと言った。

ギュンターはルカに言う。

「しかしお前がこの任務に参加するとはな・・・」

ルカは答える。

「まあ成り行きでこうなっただけだよ」

ギュンターは続ける。

「とりあえず、これが作戦の資料だ。今回の偵察作戦は時空を越え、2022年3月のウクライナでの作戦だ。まず、部隊はリューベチへ降下後、同地における偵察を行う。この際、武器の使用を許可する。」

 

 

ルカは資料をめくる。

そこにはウクライナの地図と部隊の行動予定が書かれていた。

アーリマンはギュンターに質問する。

「この作戦の目的は?」

するとギュンターは答えた。

「目的は2つだ。1つはウクライナ東部での反乱の実態の確認、もう1つはこの世界の状況の確認だ」

2人は答える。

ルカは言う。

「なるほど・・・ では作戦決行日はいつだ?」

ギュンターは答えた。

「2日後だ」

 

2日後、ルカたちはウクライナへと降下した。

ウクライナはロシアとの歴史的背景から非常に複雑な関係である。

またクリミア半島全域にはロシア軍が駐留しており、さらに東部に親露派武装勢力が存在するため今回の作戦ではこれらの地域への潜入を行う必要があった。

ルカたちはキエフ近くの森に降り立つと森の中を進んでいった・・・ 5時間後彼らは街に到着した。

どうやら、現在は戦時中であるようだ。

街はロシア軍によって爆撃されており至る所で銃声が鳴っている。

ルカたちは物陰に隠れると作戦会議を始めた。

ギュンターはルカに言う。

「とりあえず街の様子はどんな感じなんだ?」

ルカは答えた。

「ロシア軍による爆撃で街はボロボロだな。まだ街の中に入ったわけではないが恐らく中心部も似たような状況だろう」

アーリマンはギュンターに言う。

「とりあえずこの地域の安全を確保するべきでは?」

ギュンターは答える。

「そうだな・・・  では、艦隊に航空支援を要請しよう。」

ギュンターはそう言うと端末を操作した。

するとすぐに返答が来たようでギュンターは端末を見せた。

そこにはウクライナの地図と航空支援を行う旨が書かれていた。

ルカは言う。

「では我々はこの地域で待機か?」

ギュンターは答えた。

「ああそうだ」

2日後・・・ 6時間後、艦隊から航空機が到着したようだ。

7機の航空機がキエフ上空に飛来した。

3人は物陰に潜むと様子を伺っていた。

7機の戦闘機のうち1機がロシア空軍機2機を撃墜し、残りの4機は郊外の戦車部隊を爆撃。

周辺地域の安全を確保した。

するとギュンターはルカに言う。

「では我々は街の中心部へと向かうぞ」

アーリマンとルカは頷く。

3人は街の郊外へと向かっていった・・・ 6時間後3人はキエフの中心街へと到着した。

2日前とは打って変わって街は静まり返っていた。

7機の航空機が上空を飛び交っているためロシア軍も迂闊には手を出せないようだ。

3人は中心部にある広場に到着した。

3人はそれぞれ辺りを見渡すが特に変わった様子はなかった。

 

するとギュンターはルカに言う。

「とりあえずこの地域の安全を確保するぞ」

ルカたちは街の中心部を探索し始めた。

7時間後・・・ 3人は街を一通り探索したが特に変わった様子はなかったようだ。

変わらず銃声や爆発音が聞こえてくるがそれだけであった。

7機の航空機は上空から周辺の警戒を続けているため今のところ安全だがいつロシア軍の増援が来るか分からない状況だ。

3人が中心部にある広場へと戻ってきた時1人の男が話しかけてきた。

その男はウクライナ陸軍の軍服を着ている。

 

 

ギュンターはその男に話しかけた。

「お前はどこの所属だ?」

男は答える。

「私はウクライナ陸軍第17機械化師団所属のセルゲイ中尉です」

3人は自己紹介をするとセルゲイに尋ねた。

ルカは言う。

「この街で何があったんだ?ここら辺一帯がロシア軍によって爆撃されているようだが・・・」

するとセルゲイは答えた。

彼はこれまでに起きた事件について話し始めた・・・

2月24日。ロシア軍が国境を越え、ウクライナへの侵攻を開始。

ロシア軍はウクライナ東部へと侵攻し次々と村を占領。

さらに周辺地域の制圧を開始した。

ロシア軍の攻撃はベラルーシからも行われ、キエフへの攻撃も行われるようになった。

その段階でキエフ市民を中心とする民兵もロシア軍との戦闘に参加し、民間人への被害も出ているようだ。

ルカ達は話を終えるとドネツィク州へと向かった。

ドネツィク州はウクライナとロシアの国境地帯に存在する州であり、現在はウクライナから切り離され、ドネツク人民共和国として半ば独立状態にあるようだ。

 

6時間後。

ドネツクへ到着したルカ達は街へと入る。

そこは既にロシア軍によって占領されており戦闘が行われていた。

ルカはセルゲイに尋ねる。

「この街の状況は?」

セルゲイは答えた。

どうやらこの街もロシア軍による攻撃を受けて占領されたそうだ。

さらに街の中心部まで侵攻されているらしい・・・ 3人は中心部へと進むが途中でロシア兵と遭遇し戦闘となった。

4時間後3人は中心部に到着したがそこは既に廃墟と化しており広場には大量の死体が転がっていた。

2日前の出来事だ・・・ 6時間後3人はドネツクからキエフへと戻った。

ドネツクではロシア軍による攻撃が激しくなっておりいつこの街も占領されるか分からない状況だ。

3人は適当な適当な瓦礫の裏に隠れると、3人は会議を始めた。

ギュンターはルカに言う。

「とりあえずここまでで分かったことはウクライナ東部が完全にロシアに制圧されたということか?」

アーリマンは答える。

「そうですね・・・ あの街を見る限りロシア軍の攻撃はウクライナ全土に及んでいるようですね」

 

ルカは2人に尋ねた。

「それでこれからどうする?」

3人はしばらく考え込んでいたがアーリマンが口を開いた。

彼は言った。

「まずはドネツクのロシア軍陣地を制圧すべきでは?あそこから攻撃が行われているようですし」

3人は再び考え込む・・・ 7時間後3人は会議を終えたようだ。

しばらくの間の後、ルカは端末を取り出し、通信を始めた。

「ウクライナ偵察部隊から太陽系艦隊へ。ドネツク州への艦砲射撃を要請する。繰り返す。艦砲射撃を要請する。」

 

するとすぐに返答が来た。

ルカは通信を終えるとギュンターに言った。

「どうやら許可が出たようだ」

7時間後3人はドネツク州とルハーンシク州を脱出。

その3時間後には地球軌道上に待機していた太陽系艦隊から艦砲射撃が行われ、砲弾は目標に着弾。この段階で大規模な爆発が発生し、ドネツクに展開中のロシア軍を排除することに成功した。

後に地球ではこの爆発は隕石の落下によるものと結論づけられることになる。

その2日後にルカ達はウクライナ偵察任務を終え、母船へと帰還した。

 

ルカはギュンターに言う。

「とりあえずこれで任務は完了だな」

ギュンターは言う。

「ああそうだな・・・ まあ次の任務が来るまでゆっくりしていようぜ」

2人はそう言うと自室へと戻っていったのだった・・・

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