深夜。アーリマンは自室の端末を使い、自身のアルバムを眺めていた。
ページの進みは彼女の歴史の歩みを示し、彼女が画面をクリックするたびに彼女の時は「今」に近づいていく。
荒れていた子供時代、成績の振るわなかった中学生時代、宇宙軍幼年アカデミーの輝かしい時代。そして、仕事の少ない宇宙軍太陽系艦隊での勤務・・・
アーリマンはアルバムを閉じようとするがそこで手を止めた。
そして再び画面をクリックする。その画面には1枚の写真が表示されていた・・・ 13歳の時に弟と撮影した写真だ。
写真の中の2人は笑顔で映っていた。
アーリマンは写真を見ながら呟いた。
「あの子は今何歳だろう・・・」
そういって、アルバムを閉じた。
そして彼女は眠りについたのだった。
翌日。
3人は再び会議室に集まっていた。
ギュンターはルカとアーリマンに言った。
「次の任務が決まったぞ」
アーリマンは尋ねる。
「今度はどこですか?」
ギュンターは答える。
「ベラルーシだ。前回は日本だったが、今度はベラルーシで時空乱流が発生。子供一人が行方不明になった。そこで、その子供の捜索任務をやってほしい。」
ルカはギュンターに尋ねた。
「その子供はどんな人物だ?」
ギュンターは言う。
彼は端末を操作して資料を表示した・・・
8時間後、3人はベラルーシ北部の都市オルシャに到着した。
ルカは端末から子供の詳細情報を取得すると3人は街へと入っていった。
街の中は比較的平穏であり人通りも多いようだ。
3人は街中を歩くが特に変わった様子はなかった・・・
「とりあえず、聞き込みをしましょう。」
アーリマンはそういうと近くを歩いていた女性警官に話しかけた。
警官は少し動揺した様子だったが落ち着いて話し始めた。
彼は言う。
「あの子供か・・・ 昨日、ミンスク中心街で行方不明になったらしいが、軍を動員までして捜索しても全く見つからないらしい。だが、朝からこの辺りの警官から目撃情報の報告が絶えない。さすがに子供一人でこんなところにまで来ることは不可能だと思うが・・・」
アーリマンは警官に尋ねる。
「その子供の特徴は?」
警官は答えた。
彼は言う。
ルカとギュンターはその子供の似顔絵が描かれた紙を受け取りながら話を聞いた・・・
3人は再び捜索を開始した。
「うん?」
アーリマンは何かに気がついたようだ。
彼女は言った。
「ねえ、あの子ってもしかして・・・」
2人は再び端末を操作し情報を確認した・・・
「特徴はほぼ一致・・・ 間違いないわね・・・」
ギュンターは言う。
「ああそうだな・・・ あの子供で間違いないだろう」
2人はその子供の元へと近づいていく。
その子供は5歳くらいの少年で辺りをキョロキョロと見渡していた。
2人は子供に話しかけると彼は言った。
「お兄ちゃんたちは誰?」
8時間後3人は再びベラルーシの警察署へと戻っていた。
3人が連れてきた少年は職員に連れられ別室へと向かったようだ・・・ 9時間後ルカはギュンターに尋ねた。
どうやらあの子供の身元が判明したらしい。
警官は大体このようなことを話した。
「まず、子供についてだが、アレクサンドル・シチェンニコフが彼の名前だそうだ。年齢は5歳。父親はロシア人で母親がベラルーシ人らしい。」
アーリマンは言った。
「とりあえず、子供の容態は?」
警官は答える。
「命に別状はないそうだ。ただ、軽度の栄養失調と脱水症状らしい」
ルカは尋ねた。
「親がいないとなると・・・ ストリートチルドレンか?」
警官は答える。
「ああそうだ」
ルカは言う。
「とりあえず、子供はこちらで預かってもいいか?」
警官は答える。
「ああ構わない」
2時間後。
ルカとアーリマンはアレクサンドルの手を引きながら街中を歩いていた。
子供の名前はアレクサンドル。年齢は5歳だそうだ・・・ 2人は通りを歩きながら言う。
アーリマンは言う。
「とりあえずこの子について艦隊に連絡した方がいいんじゃない?」
ルカは頷き、端末を取り出した。
「ベラルーシ偵察部隊から太陽系艦隊へ。目的の子供を保護した。」
するとすぐに返答が来た。
「了解した。とりあえず、その子供についてはこちらで面倒を見る。」
ルカは通信を終えるとアレクサンドルに言った。
「とりあえず飯でも食うか?」
アーリマンは言う。
「そうね・・・ この子に食べさせるものを買っていきましょう」
3人は近くの食料品店へと入った。
そして店員に子供でも食べやすいものや栄養のあるものを注文し購入すると店を後にした。
そして3人は再び街中を歩き始める。
アレクサンドルは歩きながら街を見回す。
「ねえ。」
彼は言った。
2人は歩きながらアレクサンドルの話を聞くことにした。
彼は言った。
「ここはとっても綺麗だね」
3人は歩きながら話す。
アーリマンはアレクサンドルに言う。
「そうね・・・ここは綺麗な街よ」
そして彼は尋ねた。
ルカは尋ねる。
「アレクサンドル君、君の両親はどんな人だったんだい?」
すると彼は答えた。
アレクサンドルは答える。
「お父さんはとっても優しい人だったよ・・・お母さんも優しかった」
彼の目にはわずかに涙が浮かんだ。
「あー・・・ 変なことを聞いてしまったな。すまない。」
ルカはアレクサンドルに謝る。
するとアーリマンが言った。
彼女は言った。
「ねえ。アレクサンドル君お腹空いたでしょ?これ食べなさい」
そういうと彼女は持っていた紙袋からパンを取り出しアレクサンドルに渡す。
すると彼は言った。
「ありがとう」
3人はまた街中を歩き始めた。