月面探査記 第二巻   作:gh0sttimes

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全くだ。ログが時代遅れになるとは思わなかった。

-リアンがログの内部ソフトウェアのアップデート作業をしている時の発言


第二十九話 火星大演習

翌朝。

とは言っても、まだ5時半。

今日は火星での演習の日だ。

甲板には何人かの地上軍の将校や兵士がいた。

地上軍将校達は演習に引率するためかルカとアレクサンドルに言う。

「おはようみんな。」

アーリマンとルカも挨拶を返す。

ファジルが言う。

「おはよう。今日の演習はどうなるかな・・・」

エレーナは言う。

「とりあえず、ブラスターを忘れないようにね。」

3人は演習準備を始める。

ブラスターを装備し、宇宙船に乗り込む。

2時間後。

火星に到着したアーリマン達はすぐに近くの部隊に合流した。

地上軍の将校が言う。

「これより地上軍、宇宙軍、特殊作戦軍合同の大演習を行う。想定は砂漠地帯に存在する都市の制圧だ。まず、地上軍の歩兵部隊が侵攻。同時に宇宙軍部隊も同地への降下を行い、都市を制圧する。」

説明が終わった後、演習が始まった。

まず、地上軍が装甲車を用いて建物に接近し、窓を割って建物に侵入。

その後、ドアを蹴破って突撃した部隊が各部屋に模擬弾を投げ込み、全ての部屋を制圧。

最終的に窓を割って突入してきた部隊と合流し、施設を制圧した。

 

演習完了後。

ルカとアーリマンは雑談をしていた。

「そういえば、ラグナ星浄化ミッションってどうなったのかしら・・・」

ルカは言う。

「確か、最近になって宇宙少年騎士団との協力も進んで、北半球の浄化は完了したらしい。」

「リアンね。あの人もまだ若いのに良くやってるわ・・・ しかし、銀河法だとあの騎士団は民兵組織の集まりという形になってるから、法律を厳守すると違法なものになってしまうのよね・・・」

現在、リアンは16歳。

本来なら学校で色々なことを学び、青春を謳歌している時期である。

しかし、彼はそのようにならなかった。

宇宙での航海のうちにその殆どに気づいてしまったのである。

法律というものは残酷に作用することもある。

そして、矛盾が発生することもある。

実際、国際的に見るならば、ラグナ星という<国家>は、宇宙少年騎士団という<戦力>を持っていることになる。

しかし、銀河法においては少年兵の動員は禁止されているため、事実上ラグナ星には合法的な武力組織が存在していないのだ。

だから宇宙少年騎士団はラグナ星の<民兵組織>という扱いになっているのである。

現在、銀河漂流船団ではそのことに対して様々な議論が行われているのだ。

しかしルカは違った。

「まあ、実際違法になるが、3年前の銀河法廷も『国際秩序を脅かしていない組織である以上、ラグナ星の政府が決めるべきことである。」として判断を避けたわけだし、問題はないと思うぞ。」

この判例は現代においてはレンゲル判決と呼ばれており、非武装を掲げていた国家が次々と軍備を整えるという事態となった。特に第三次銀河大戦の敗戦国であったハポネリア帝国も新憲法においては<戦力の不保持>を掲げているが、現状では銀河第6位の軍備を保有している。

勿論、これは<戦力>ではなく、<防衛能力>である。

 

この矛盾にルカは悩んだことがあるが、今はこれ以上のことは考えないことにしている。

アーリマンが言う。

そして2人は話を変え、アレクサンドルの話になった。

「最近、艦長がアレクサンドルに教えている内容がどうも物騒になってきた気がするわ・・・」

「まあ、あの子も弾道学に興味があるみたいだし、別にいいんじゃないか?」

「それもそうね・・・」

その後、アーリマンたちは演習の報告書を書くことにした。




現在、リアンはかぐや星やエリナート銀河連邦から何冊か教科書やワークを取り寄せ、自分で勉強している。
彼いわく、「幸い、教科書で学んだことを確認できる環境が宇宙船に揃っている。何か学びたいのであれば宇宙船を運転してどこかの星に行けばいい。」
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