「並行世界のお爺ちゃんが現れたぁ? ボケてんじゃないの?」
睡眠時間は移動時間のみという地獄の10連勤が終わり、眠たかった五条は機嫌悪そうに問うた。
「楽巖寺学長が京都にいることは確認できてます。既に学長はこちらに向かっています。今回、仕事を手伝う代わりに帰還の為の協力をして欲しいと」
「帰還の為の協力? どうしろっての」
仮に並行世界から来たというのが本当だとしても、並行世界の帰還なんぞ、できるはずがない。諦めてこちらに骨を埋めろと言いたい。
「移動の術式を持つと思しき特級呪霊の情報の収集です。その……並行世界の夏油傑に取り込ませて使うと」
「は? それを早く言えよ。後誰が来てんの」
「五条さんです」
「伊地知ー! 報告する順番違うんじゃないの。案内して。ほら早く。さっさとして」
そう言いながら、五条は伊地知を追い立てた。
「なんで君まで来るかなぁ!? どうするんだよ、当主が並行世界なんか来ちゃって! 庇った意味ないじゃないか!」
「咄嗟だったから仕方ねぇーだろ! 気がついたらお前の手を掴んでたんだよ!」
「ええい、喧嘩するな、お前達! どのような並行世界かわからんのじゃぞ」
応接間のソファーに座る楽巖寺、五条。その後ろに立つ夏油。
言い争う五条と夏油にキレた楽巖寺に黙り込む二人。
なんとも言えない顔でそれを眺める夜蛾学長。夜蛾学長は、悟を気遣いながら声をかけた。
「来たか、悟。彼らは並行世界から、戦闘中に飛ばされたらしい」
「やー。仲良く喧嘩してんじゃん。話聞いていい?」
手を挙げて挨拶しつつ、ソファーにどかっと座り込む五条。
「後3時間で学長が来る。しばらく寝てないだろう、仮眠を取っておいてもいいぞ、悟。いや、傑の事は先に説明しておこうか」
「私ですか?」
きょとんとした顔で傑。
「傑、こっちだと大量虐殺して去年死刑になってんの。一応、俺の方からも口添えはしとくけど、風当たり強いかもね」
五条は少し気遣わしげに、傑に答えた。
「「「はぁ!?」」」
3人は目を見開いて驚く。
「出鱈目言うな!」
「わ、私が?」
「一時期精神的に危ない時はあったが……となると、別行動は出来んのぅ」
すぐに落ち着きを取り戻し、髭を撫でながら思案する京都校の学長に、並行世界の五条は衝撃的な一言を放った。
「何落ち着いてるんですか、楽巖寺さん!」
「並行世界の事じゃ、何があってもおかしくは無い。大体、こっちでも健康診断でメンタル面で引っ掛かっとるじゃろうが、傑は」
こちらの世界の面々は、思わず固まる。
「さ、悟が敬語使ってるー!?」
「敬語ぐらい使えますよ、馬鹿にしないでくれませんか、夜蛾さん!!」
「うわあああああああああああああああ!!!」
「学長驚きすぎ」
「はぁ……つまり五条はこちら以上にやんちゃと。それにしても、しばらく寝ていないとは、今は繁忙期じゃったかな」
「いつも忙しいけどね。今10連勤が終わった所かなー。移動時間しか寝てないから、もう眠くってさ」
「うげ。パフォーマンス下がるじゃん」
「休んだ方がいいんじゃないか、悟?」
心配する二人。楽巖寺も、気遣わしそうに言った。
「そういう事なら、価値を示せそうかの。念の為、こちらの呪霊の等級の強さをすり合わせしてからになるが。ああ、わしらは全員特一級じゃ。全く役に立てない事はないじゃろう。存分に休むといい」
「特級じゃないの?」
「特級は危険人物という意味合いが強い。そんな称号持ち、九十九ぐらいじゃな。魔虚羅の調伏が終われば禪院の当主も選ばれるかもしれんが……。待て。五条は特級なのか?」
「そうだよ」
「ええ……君危険人物なの?」
「ちげーし!!」
「君に聞いてないよ」
引いた夏油に、ムキになる並行世界の五条。
「ちゃんと休まないから危険人物なんて言われるほどイライラするんだよ。膝枕してあげようか?」
「あー。そうしようかな」
「俺の膝!」
「君のではないよ」
ぽんぽんとソファーの隅を叩くと、夏油は戸惑いながらそこに座る。軽い煽りのつもりだったのだが、想像以上に参っていたようだと、大人しく膝に五条の頭を乗せる。五条が夏油の膝に頭を乗せると、男の膝だからやはり硬い。硬いけど、暖かかくて安心できた。
「お前、俺が起きた時もいろよ」
「3時間したら起こすよ」
そして、五条は秒で寝た。
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