チェンジで!   作:かりん2022

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知りたくなかったお役立ち情報

「悟。こっちの楽巖寺学長が来たらしいから、そろそろ起きないと」

「ん……」

「ほら、コーヒー飲みな」

「うん……苦ぁっ!!」

 

 苦味で五条は目を覚まし、恨めしげに夏油をみる。

 

「苦いんだけど、これ」

「目が覚めるじゃないか。いつも砂糖一つとミルクで飲んでたよね?」

 

 夏油が首を傾げる隣では、並行世界の悟も起こされてコーヒーを美味しそうに飲んでいた。

 まだ眠いらしく、微妙に夏油に寄りかかっている。

 楽巖寺はお茶を頂いていた。3人も仮眠を取っていたのである。

 なお、楽巖寺は一時ベッドを借りている。おじいちゃんにソファーで仮眠は辛い。

 

「んー。僕、もしかして茈使えてない?」

 

 まさかと思って聞いてみると、ガバッと悟は顔を上げた。

 

「! 使えんの?」

「まあね。それに常に防御の術式使ってるから、頭に栄養送るために嗜好変えたんだよね」

「すげー! 脳焼き切れない?」

 

 キラキラした目で見られるのは悪くないと、五条は微笑む。

 

「反転術式使ってる。そうか。となると、特別一級も頷けるね。でも傑が特級になれなかったのはなんでかな」

「呪霊の取り込みでドクターストップ掛かってね。呪霊玉のゲロみたいな味に加えて、トラウマと拒否反応が出ちゃって、それも原因かも」

 

 夏油は苦笑する。そりゃ、呪霊玉がまずいことは気づいてたけど。トラウマとか、結構大変そうだと五条は夏油を心配する。

 

「傑は近々特級になるぞ。禪院の後押しでな」

「「大丈夫なの、傑?」」

 

 五条はトラウマに対して。悟は特級になる事に対して心配の声をだし、ハモった。

 気を取り直して、悟は問う。

 

「楽巖寺さん、それって恵関連ですか?」

「まだ話は来てないけど、そういえば禪院家から贈り物は届いてたかな」

「うむ。2回目となる恵の魔虚羅調伏チャレンジの手伝いだ。甚爾が失敗した場合の救出係として、特級呪霊をいくつか取り込んでもらう事となっておる。特級呪霊を使役できるなら、それは特級術師だ」

 

 髭を撫でながら、楽巖寺学長。

 

「危なくないですか? 私にもその話来てますけど、そもそも恵が乗り気じゃないし、いくら周りが調伏させてあげたって、当人がやる気ないならどうにもできないでしょ。実際、満象でも持て余してるようですし。まずあの子のモチベを挙げてあげないと。そもそも、甚爾が失敗した場合っておかしいでしょ。甚爾は手伝いで、調伏の主役は恵のはずですよね。担任としては引き続き反対です」

「そうよのぅ。そこは夜蛾も苦言を呈しておるらしいのじゃが……なんとか担任として前向きになるよう励ましてやってくれ。それか禪院家を止めてくれ」

「ええええ……。あの禪院家を止めるのは無理でしょ……。甚爾が生まれた時点でずーっといつ生まれるのかと楽しみにされてきて、ようやく生まれた相伝術者ですよ? いかに真依に気分よく死んでもらうか趣向を凝らしてるあたり、もう誰にも止められないでしょ」

 

 そこで楽巖寺学長が入ってきた。後ろには真依がついてきている。

 

「禪院真依を殺す? どういう事だ。何故昨年死んだ夏油傑がいる」

 

 生徒に言及されて、厳しい声音で問い詰める。

 

「あ、楽巖寺さん。初めまして? 並行世界の五条悟です」

「並行世界の夏油傑です」

「楽巖寺じゃ。しばらくの間よろしく」

 

 軽く頭を下げる3人に、京都校学長の背に雷が落ちた。

 

「な、五条が敬語を使って頭を下げただと……!??」

「おじいちゃん驚きすぎ」

「わ、わしを油断させるつもりじゃな!? 何を考えておる! 何故真依を殺す!」

「なんでって、真希が天与呪縛のフィジカルギフテッドで双子だから」

「待て五条、知られてないなら、言わない方がいいかもしれん。真依にだけ知らせるべきじゃろう。それで真依が選択すればいい。姉に相談するかも含めてな」

 

 そこで、真依が声を出す。

 

「予想はついてるから説明はいらないわ。聞きたくない。フィジカルギフテッドってそっちでは認められてるの?」

「調伏に、本来他者は介在できない。ただし、これには抜け穴があって、甚爾みたいな呪力が皆無のフィジカルギフテッドのみ、無機物判定になるんだ。十種影法術が生まれる時、その周辺にフィジカルギフテッドもまた生まれて来る。いや、逆かな。フィジカルギフテッドが生まれてから、十種影法術が生まれると言われてる。一番多い時にはフィジカルギフテッドが5人も生まれたそうだよ。禪院は、甚爾と真希に特級呪具を持たせて魔虚羅にぶつける予定なんだ。一回、甚爾の全盛期に挑んで失敗してて焦っててさ。何度も試せないし、取れる手段はなんでも取るみたいなんだよ、直毘人さん。でも、真希も恵も納得してなくてね。まあ当然だと思うけど」

「余計なのは私って事? 私さえ生まれなければ、真希は完全なフィジカルギフテッドとして生まれたって」

「そんな事言うと扇さんまたブチギレるよ。子煩悩だし」

 

 真依は目を丸くした後、笑った。

 

「真希も……伏黒恵も……父さんも、反対してくれてるのね」

「当たり前じゃん。真依は納得してるけど。ただ、禪院家としては魔虚羅さえ調伏できれば勝ち確だから……。過去に同じ術式の術師がかなり無双したって記録に残ってるし。準備もクソほど大変だったし、うちや加茂にめちゃくちゃ借りを作ったって話だけどね」

「今夜、真希に相談してみるわ」

「ふむ。大まかな事情はわかった。それは……禪院が決める事でわしの関知できる事ではないの」

 

 楽巖寺学長は少し、言い淀む。

 それはそうだ。生徒の命も重いが、術式の価値ももっと重い。もはや何も言えない状態である。

 

「嫌な情報持ってきてくれたなぁ。でも、こっちでは甚爾死んでるけど。真希一人でなんとかなりそうなもんなの? 真依無駄死にになんない?」

「流石に無理だろ。恵がもっと頑張ってくれれば違うんだろうけど」

「こっちの恵は結構頑張ってるよ。やっぱりすぐ諦めちゃう所はあるけど。そうだ。結構、差異が大きいみたいだし、実力見てから任務を振り分けたいかな。僕にはコツを教えてあげるよ」

「助かる」

 

「同じ顔のものがいるのはやりにくかろう。わしは東京で、五条と夏油は京都で預かるというのはどうか」

「いやー。自分の事は自分が一番よくわかるし、逆でしょおじいちゃん」

 

「な、なんかピリピリしてない?」

「こっちの悟と楽巖寺学長、仲悪いの?」

「流石にそこまで別行動は許容できん。こちらの目的は3人揃っての帰還なのじゃし」

 

 結局、今日はゆっくり休んで、朝訓練をして任務を振り分けられる事になったのだった。

 




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