迎えた入学式当日、早速輝也たちFCのメンバーは新入部員を探すことにした。
昨日荒木が帰った後、遠藤も膝の古傷を痛めてしまいSCとの試合には間に合わないことになった。
そのため、輝也たちは2人以上の新入生を確保しなければならないことになった。
とりあえず、片っ端から声をかけて少しでも可能性がありそうなやつを見つけ、鉄さんの待機している部室まで連れていくことになっていたが、マコと紅林がこの前、ドン・○ホーテで買ってきたヅラを使って鉄さんにジダンのモノマネをさせようとしていたが、大丈夫だろうか……
輝也は部員集めは他の面子に任せて、正門で駆達を待つことにした。
「あ!おーい、輝兄!!」
すぐに駆達はやってきた。
「よー、駆…!?」
しかし、奈々が一緒にいるのは輝也は予想していたがもう一人、予想外の人物がいた。
「あ、亜理紗!?!?」
そこには、江ノ島の制服を着た亜理紗の姿があった。
駆と奈々と別れ、輝也は亜理紗と歩いていた。
本当は駆達を鉄さんたちの待つ部室まで送る予定だったが、予想外の亜理紗の登場があったので駆たちはマコに任せることにした。
”金髪のヤンキーみたいなやつ”がいるからと説明したが、伝わっただろうか。
「まさか亜理紗までこっちに帰ってきたとはな」
「ふふっ、驚いたでしょ」
「そりゃあ、まぁな。俺には一言も言わなかったし」
「輝を驚かせようと思って。だがら内緒にしての」
輝也は亜理紗の思惑にまんまと引っかかったということになった。
「それに日本に帰るかどうかは私も前から考えてはいたことだったからね」
「そうなのか?俺はてっきりイギリスでトレーナーの技術を学び続けるんだと思ってた」
「それもありかなぁと思ったけどね。でも日本でもトレーナーの勉強はできるから。
それに……、輝が駆君の高校サッカーを見ておきたいように、私も輝の高校サッカーを見ておきたいって思ったんだ」
「……そっか。でもどこで暮らすんだ?孝明さんも祐子さんもまだ
亜理紗が日本に帰ってくることはできても、クラブチームのトレーナーをしている孝明さんが簡単に日本に帰ってくることはできない(亜理紗も当然大変だっただろうが)はずだ。となると亜理紗は今どこで生活しているだろうか。
「あ、それなら大丈夫だよ。奈々ちゃんの家に居候させてもらってるから」
「なるほどな」
確かに奈々の家なら、江ノ高からもあまり距離はないし安心できる。しかし、亜理紗と奈々がそこまで仲が良かったことに輝也は驚いた。
「輝はサッカー部に入ってるんだよね?」
「ん?当然入ってる。まだ同好会のチームだけどな」
「えぇ!?それってどういうこと?」
「あぁ、この学校にはサッカーチームが――――」
輝也は説明を始めようと思ったが、その前に時計が目に入った。
「っと、もう時間がやばい。また後で説明するから」
「はーい」
そこで亜理紗と別れて自分も教室に向かった輝也だったが少し間に合わず、すでに担任である近藤先生が教室に来てしまっていた。
「ほぉ、歳條。新学期早々遅刻とはいい度胸だな」
この先生を怒らしてはいけないことを輝也はよく知っていた。
なぜなら、同じクラスにいる
荒木が怒られているはずなのに、その迫力によってクラスの多くの生徒が怯える。
にもかかわらず、毎日のように怒られる荒木は意味が分からない。
「い、いや、すいません近藤先生。迷っていた新入生を案内していたら遅れてしまいました」
輝也はなんとか恐怖の
「そうか、なら今回は見逃そう。だが、どさくさに紛れて今教室に入ってきた者は別だ」
近藤先生の視線の先には輝也が話している途中に後ろからこっそりと教室に入った荒木がいた。
だが、バレないはずもなく、その行動により余計に近藤先生の怒りに火をつけてしまった。
「荒木……廊下に出ていろ」
「は、はい」
近藤先生の言葉を聞いた荒木は廊下に出ていった。
一方近藤先生も、連絡事項だけ簡単に告げて荒木の待つ廊下へと向かった。
その後、廊下に近藤先生の怒鳴り声が響いたのは言うまでもない。
「おい輝、お前どこでサボってやがったんだ」
席に着いた輝也に向かって隣の席のマコが言った。
「悪い。別にサボってたわけじゃないんだけどな、ちょっと新入生に知り合いがいたから話してた」
「知り合いって、例の輝がこの高校を決めた理由っていう期待のルーキーのことか?」
駆達の入学のことを輝也はマコたちに話したが、名前だけは伏せておいた。
駆は昔から、自分が逢沢傑の弟であることを周りにあまり知られないようにしていたからだ。
「違うやつだよ。それより、マコ。収穫はどうだったんだ?」
「とりあえず部員とマネージャーを1人ずつだな」
「そうか(駆達のことだろうな)」
「あと1人、なとしても見つけよう」
そうして話していると廊下に連れていかれていた荒木も帰ってきて、体育館へと移動して入学式が行われた。
――――――――――――――――
入学式、ホームルームが終わり放課後になり、輝也は亜理紗と待ち合わせをしていた。
「輝、お待たせ」
「おぉ、じゃあ部室行こうか」
亜理紗は駆や奈々、そして中塚公太(誰だっけ?)と同じクラスになったようだ。
さらにはそのクラスの担任は鉄さんだった。
「へえー、あの人が輝也の言ってた監督なんだ」
「そう。それで俺のクラスの担任の近藤先生がSCの監督」
「なに?SCって??」
「あぁそっか、亜理紗にはまだ説明してなかったな」
輝也は部室まで歩きながら亜理紗にFCとSCのことを説明した。
「ふーん。じゃあ輝はそのFCっていう同好会に入って、その監督が輝の言ってた岩城先生なんだ」
「そういうことです」
そう答えたのは輝也ではなく、後ろから聞こえた声だった。
「あ、先生」
「どうも、十倉さん」
声をかけてきたのはちょうど話に出ていた鉄さんだった。
「あれ、鉄さんまだ部室行ってなかったんですか?」
「ちょっと職員室で用事があったからな、今向かってたところだ。それよりも、まさか十倉さんと輝也が知り合いだったとはな」
「イギリスから付き合いです。こう見えて亜理紗はそこいらの監督よりもよっぽどうまくやりますよ」
「こう見えてもは余計だよ」
輝也が言ったように亜理紗のサッカーに関する知識の量は高校生とは考えられないほど豊富である。
さらには、チームの戦術面においても十分な知識を持っているため、指導者としても十分やっていけるほどである。
「なるほど。となると、マネージャーとしてチームに加わってもらえば、とても力強い味方となるわけですね」
「まぁそういうことです」
「それで、十倉さん。我が江ノ高FCに入部してくれますか?」
「輝がいるなら、私はFCに入ります」
「そうですか!!」
亜理紗の言葉に鉄さんは満面の笑みを浮かべた。
その後部室に移動すると、FCのメンバーの中で駆が土下座をしていた。
駆のその行動にマコは退部を許してしまったが、輝也と鉄さんの説得により駆はFCに残ることを決めてくれた。
さらには、SCの試験に落ちた新入生も1人入ったことで、SCとの代表決定戦に11人で挑むことができるようになった。
その後はいつものようにビーチサッカーでの練習に入った。
しかし、1年にとっていきなりのビーチサッカーはキツかったらしく(輝也は普通にこなしたが)練習が終わったころには駆も的場も完全にノビてしまっていた。
「おいおい大丈夫か、駆?」
「だらしないなー。輝也さんたちはもう1試合ぐらいできそうだよ」
ノビている駆に輝也と奈々が声をかける。
「信じられないよ、いくら慣れてるからって言っても…」
「その様子じゃ今夜の公園練習は無理そうだね」
奈々の言う公園練習とは、駆が中学生の時から続けているという夜に行う秘密の特訓(?)のことで、輝也も日本に帰ってきてからはよく行っている。
「もー無理、全然無理だよ」
相当キツかったらしく駆は即答で答えた。
「それじゃ今日は俺と奈々だけか?」
「私も今日から行くよ」
「あれ?亜理紗も公園練習のこと知ってたんだ」
「言ったじゃん、私奈々ちゃんの家に居候してるってこれまで奈々ちゃんが毎晩練習に行ってるのは知ってて私も行きたかったけど、行ったら日本に帰ってきてることが輝にバレルから我慢してた」
そこまでするぐらいならバレてもいいじゃん、と輝也は思ったが口には出さなかった。
「そんじゃあまた後で公園で」
「うん」
こうして駆は数日間、公園練習を休むことになり輝也と奈々、亜理紗で行った。
お待たせしました。
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